【レポート】イベント<V・K GIGS>、アリス九號. 、アルルカン、彩冷える、摩天楼オペラが3時間半の熱演「ヴィジュアル系を愛していこうぜ」

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K-POPやJ-POP、アイドルやアニソン、HIP-HOPなど多彩なジャンルでのイベントを行っている<DIAMOND FES>が、自身初のヴィジュアル系フェスを開催した。9月27日に<DIAMOND FES2022 -V・K SELECTION->、9月28日に<V.K GIGS>と銘打ち、Zepp Hanedaに幅広いキャリアの個性派バンドが集結。本稿では、2日目<V・K GIGS>のレポートをお送りする。

◆<V・K GIGS> 画像

同ライヴイベントに出演したのは彩冷える、アリス九號.、摩天楼オペラ、アルルカンといった4組。平日の17時45分という開場時間にもかかわらず、会場には多くのヴィジュアル系ファンが集まった。そして18時15分、<V・K GIGS>の幕が開いた。

▼摩天楼オペラ







トップバッターを務めたのは、2022年結成15周年を迎えた摩天楼オペラ。荘厳なSEが響く中、モノトーンの衣装に身を包んだ5人がステージに現れ、苑(Vo)の切ない歌声で始まる「真っ白な闇がすべてを塗り替えても」からライヴをスタートさせた。伸びやかなハイトーンボイスとともに怒濤のメタルサウンドが会場に解き放たれ、早速、優介(G)のギターソロと彩雨(Key)のキーボードソロが彩るメロディックスピードメタルが炸裂。ヴィジュアル系の歌謡性とメタルの攻撃性を掛け合わせた持ち味を存分に発揮していく。

「V系のフェスに出演するのはコロナ禍以降、今回が初めてで。令和の時代によくこの4バンドを集めてくれたなと思って、楽しみにして来ました」と気合を語った苑の言葉どおり、MCのあとはノンストップで4曲を披露。燿(B)のグルーヴィなベースが牽引する「落とし穴の底はこんな世界」や、ワルツのリズムを取り入れたドラマチックな「儚く消える愛の讃歌」など、スピードを緩めず最後まで駆け抜け、世界で活躍する実力を見せつけた。

▼彩冷える







続いては、2019年にオリジナルメンバーを含む5人での活動を再開した彩冷える。繊細なギターのアルペジオとともにバラード「映写機が映す空」で空気を一変させると、続く「query」ではアッパーな4つ打ちビートで一気に加速。オーディエンスを巧みに煽りながら、身振り手振りを交えて表情豊かに歌いあげる向日 葵(Vo)にいざなわれ、彩冷えるの世界に包まれていった。

変わらぬキャッチーさで心を掴む活動休止前の楽曲「キリサメ」「Cubic'「L/R」ock」や、活動再開後のアルバム『辞するモラトリアム』収録曲が共存するセットリストで、現在進行形の彩冷えるの姿がしっかりと伝わってくる。ラストは「思いっきりひとつになりたいんだよ! Haneda!」と葵が叫んで突入した「君は、アジテーター」。振り付けなど彩冷えるらしい遊び心を盛り込んだエネルギッシュなナンバーで楽しませ、「彩冷えるでした!」と笑顔でステージをあとにした。

▼アルルカン







3番手には、2010年代以降のヴィジュアル系を代表してアルルカンが登場。いきなり「omit」のヘヴィなリフを叩きつけ、「かかってこいよ!」と一喝してオーディエンスを扇動。そのままメタリックな「墓穴」に繋ぎ、巻き起こるヘッドバンギングとジャンプで会場の沸点が上がっていく。お立ち台に君臨する暁(Vo)が「先輩方と今日ご一緒できること、とても楽しみにしていました。そのうえで、俺たちもカッコいいヴィジュアル系を見せにきました」と宣言し、対バンイベントならではの熱が高まる。

ポエトリーリーディングでバンドの歩みを赤裸々に刻んだ「PICTURES」は、2022年の彼らが放つ渾身の1曲。一つ一つの音と言葉を振り絞るような圧巻のパフォーマンスで、リアルな苦痛と切実な想いをまっすぐ届けた。とどめに狂騒のキラーチューン「ダメ人間」を投下したあと、贈られたのはエモーショナルな「世界の終わりと夜明け前」。絶望と希望の両方をすくい取り、光が降り注ぐような温かいフィナーレを迎えた。

▼アリス九號.







さまざまな個性が映えるアクトのトリを飾ったのは、独自の存在感でシーンを牽引し続けるアリス九號.。オーディエンスが掲げるメンバーカラーのライトが会場を照らす中、「the beautiful name」のポップなサウンドで幕を開けた。「スープもステーキも出ました。シメのデザートを召し上がってください」と将(Vo)が甘やかに告げて披露したのは、11月2日にリリースされるニューアルバム『GRACE』からの新曲「Funeral」。疾走感とメロディアスさを併せ持つプログレッシヴな展開で、5人それぞれの際立つ存在感とプレイヤビリティの高さを示した。

「これからもとことんヴィジュアル系を愛していこうぜ」と頼もしい言葉を投げかけて、ハードロックなグルーヴで揺らす「RAINBOWS」、シンセのアレンジがきらびやかな「Everlasting」へ。幅広い楽曲で魅了するとともに、沙我(B)がステージ前方に出て煽ったり、ヒロト(G)が将に寄り添ったり、魅せ方にもこだわり抜く彼ららしい華やかなステージングを繰り広げた。最後はNao(Dr)がドラムソロを轟かせ、イベントを堂々と締め括った。

▼アフタートーク
お笑いコンビHi-Hiが司会を務めるアフタートークコーナーでは、摩天楼オペラから苑、彩冷えるからKENZO、アルルカンから祥平、アリス九號.からNaoが再登場。ライヴとは違うゆるいムードで、イベントの達成感を語った。

ヴィジュアル系という言葉を冠しつつも、まったく違う色を持つ4組がぶつかり合った<V.K GIGS」>。長い歴史を重ねてなお、まだまだ進化し続けるヴィジュアル系シーンの未来を感じる一夜だった。

取材・文◎後藤寛子
撮影◎緒車寿一

■<V・K GIGS>9月28日(水)@Zepp Haneda セットリスト

【摩天楼オペラ】
01. 真っ白な闇がすべてを塗り替えても
02. ANOMIE
03. 落とし穴の底はこんな世界
04. 終わらぬ涙の海で
05. 儚く消える愛の讃歌
【彩冷える】
01. 映写機が映す空
02. query
03. 前戯
04. キリサメ
05. Cubic「L/R」ock
06. 君は、アジテーター
【アルルカン】
01. omit
02. 墓穴
03. PICTURES
04. MONSTER
05. ダメ人間
06. 世界の終わりと夜明け前
【アリス九號.】
01. the beautiful name
02. MEMENTO
03. Funeral
04. TESTAMENT
05. RAINBOWS
06. Everlasting
▼アフタートーク
MC:Hi-Hi


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