【インタビュー】ファンタスティック☆パイセン、突きつけるまほパイセンとモイスチャー成分の高いももパイセンの魅力全開

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2021年に1stデジタルシングル「他力Hong Gung」でデビューした2人組ティーンユニット・ファンタスティック☆パイセン。2022年は初の地上波音楽番組出演や、TikTokやYouTubeで発信している、あるある替えうた“あるうた”が注目を集めるなど、その存在感を大きくし続けている。そんな彼女たちが8月に「校則あるあるのうた」、9月にはTVアニメ『ニンジャラ』のエンディングテーマ「友情的行進」と2ヶ月連続で新曲をデジタルリリース。どちらもまほパイセンのまっすぐ突きつけるボーカルと、ももパイセンのモイスチャー成分の高いボーカルの相性の高まりを楽しませてくれる楽曲だ。このインタビューではこの2曲についてはもちろん、この2曲を通して見える彼女たちの精神性に迫っていった。

■変な校則はどんどん変えていきましょう!
■みんなで行動を起こしていけばいいんじゃないかな


――2022年は初の地上波音楽番組出演から始まり、まほパイセンのパイセンユニバーシティーご入学、初のクラウドファンディングと自主企画イベント<パイセン祭り>シリーズの開催などかなり動きの多い1年とお見受けしますが、いかがお過ごしでしたか?

ももパイセン(Dr/Vo):年明けから今まであっという間でしたね。1月にまず『Love music』さんに出演させていただいて、幸先のいいスタートが切れて。まほパイセンがお受験の間はわたしひとりで活動していたんですけど――。

まほパイセン(Vo):あんまりパイセンユニバーシティで“お受験”って使わないよ(笑)。

ももパイセン:あ、そうか(笑)。でもまほパイセンには“お受験”って言い方が似合うよ!

まほパイセン:ちょっと!(笑) わたしがお休みしていた間、ももパイセンがひとりで頑張ってくれてました。ひとりでTikTok撮るって絶対かなり大変だよね。

ももパイセン:ふたりだとお互いテンション上げながらできるんですけど、ひとりだとかなり寂しいし、寂しいなかでもテンションを上げなきゃいけなくて。あらためてまほパイセンの大切さを身に染みて感じましたね。

まほパイセン:ふたりの結束が強まりました!(と言ってふたりで肩を組む) TikTokやYouTubeの撮影をしながら<パイセン祭り>の準備やレコーディング、MV撮影をして、普段なかなか行かないようなところに行く機会も多くて。2022年は刺激的な日々を送れています。

――<夏のパイセン祭り>も大成功だったようで。

ももパイセン:イベントのたびに感動するんですけど、ファンパイセンの皆さんがほんとすごくあたたかいんです。

まほパイセン:会場に来てくれるファンパイセンに、わたしたちと同年代の方がすごく増えたのもあってか、楽しくパフォーマンスができました。同じ事務所のルイとKT、かなここも出演してくれたので、一緒に前座であるあるネタをコント風にアレンジして披露してみたり。

――相変わらず自分たちで前座を(笑)。

ももパイセン:たぶんこの先もずっとやり続けるよね(笑)。

まほパイセン:あれやらないと始まらないくらいの感じになってきてる(笑)。3組であるあるコントをできたのもすごく楽しかったですし、前以上にMCに反応してくれる方がとても多くて、すごくあたたかくてうれしかったです。


▲「校則あるあるのうた」

――このイベントで「校則あるあるのうた」を初披露なさったんですよね。

まほパイセン:そうです。《靴下は白15cm以上》という歌詞なので、サビで白い15cm以上の靴下をぐるぐる回して。実際に一緒に回してくれる人もいて、フェスみたいなことができました(笑)。ももパイセンが書いてくれた歌詞の思いをちゃんと伝えるために、歌詞の内容を身振り手振りで伝える振付を入れたりして。やっているわたしたちも楽しい曲ですし、一緒に盛り上がれたかなって思います。

ももパイセン:ラスサビ前の部分はわたしが歌っているんですけど、ここに書いてある歌詞はわたしの魂の叫びなので、ずっと思い続けていたことをやっと世の中に発信できる! やっと直接人に伝えられる! という喜びもありました。



――《声が小さくても怒られる/たしかに大事なことだとは思う。/でもさ、理不尽!!!》という歌詞を、声が小さいことを武器にして歌えちゃうのも痛快です。そのエピソード然り、歌詞はほとんどがももパイセンの中学校の校則だそうですね。かなり校則の厳しい学校だったんだなと驚きました。

ももパイセン:パイセン島に数多くあるパイセンジュニアハイスクールの中でも、特段厳しいことで有名でした。眉毛も整えちゃだめだし、おしゃれ全般が禁止されていて。眉毛を整えるのもできるだけ自然にしたり、リップもものすごく薄い色にしたり、先生にバレないギリギリのラインをどうやってついていくかに苦戦する毎日で。“そんな厳しくなくても良くない?”と思って先生に抗議したこともあったし。そういうことを思い出しながら書きました。

――校則に関しては、SNSやメディアでもたびたび問題に上がりますものね。

ももパイセン:置き勉禁止とか、本当に納得できなくて。毎日ものすごく重い荷物を背負って徒歩通学をするなんて絶対成長期の身体の負担になると思うんです。それで持って帰らなかったら罰として置いていった数だけ雑巾がけ往復とか……持って帰っても持って帰らなくても身体の負担になるし、これはもう拷問じゃん!と思っちゃうんですよね。校則が厳しい学校なくなってほしいです。


▲ももパイセン

――なるほど。「校則あるあるのうた」は“あるある”というポピュラリティに昇華されてはいるけれど、本質は社会派ソングなんですね。

まほパイセン:この記事を見てくださってる全国の教員の皆さんに、ぜひ理不尽な校則を見直していただきたいですね!(笑)。でもわたしはパイセンジュニアハイスクール時代に学級委員をやっていたから、ももパイセンとは真逆でみんなに校則を守るように声を掛けていた側なんです。ボタンちゃんと閉めて! 靴ひもちゃんと結んで! かかと踏まないで! 爪も切って! ……今思えばどんなだよって感じなんですけど(笑)。

ももパイセン:まほパイセンとパイセンジュニアハイスクールで出会っていたら、わたしの敵でしたね(笑)。

まほパイセン:(笑)。当時のわたしは校則というものは守って当然だと思い込んでいたので、疑問を持つことがなかったんですよね。でもよくよく考えると“なぜこれを守る必要があるんだろう?”と疑問に思うものがたくさんあって。

ももパイセン:守るべきものは納得できるんだけどね。でも靴下は白で15cm以上必要が意味がわからない(笑)。

まほパイセン:ほんとほんと! そんなに長いの要らないもん(笑)。

――わたしは2000年代のルーズソックスブームの後の紺ハイソ世代だったので、おふたりとは逆に、靴下は白10cm以下でないとだめで。先ほどももパイセンがおしゃれ全般に関することが禁止されていたとおっしゃっていたとおり、校則は流行と逆行するのかもしれませんね。

まほパイセン:なるほど、校則は時代に乗ってないんだ。時代に乗ることを阻止するのが校則なんですかね? 校則ってなんなんでしょうね……? なんだか哲学みたいになってきましたね(笑)。

――だから校則に対する議論は止まらないし、あるあるも盛り上がるのかも。ところでファンタスティック☆パイセンがあるあるを発信し始めて1年以上経ちますが、その充実はどんなところにありますか?

まほパイセン:最初のうちのあるあるは自分の経験を元にしていたり、友達からリサーチしていたのもあって、共感してもらえることが多くてうれしいなと感じていたんです。でもたくさんあるある動画を作ってきて、最近は“○○な人の特徴”みたいなあるあるを作るようになっていて。たとえばA型あるあるなら“わたしO型だけどこのA型あるあるに当てはまるな”みたいに、みんながミニゲームのように楽しんでくれるんです。それで実際わたしたちもあるあるを作ることで自己分析ができて、自分を振り返るきっかけになっていて。

ももパイセン:確かにちょっと勉強になる部分はあるよね。自分ってこういうタイプなんだなとか、周りからそう思われてるのか! と気付くことが多いんです。


▲まほパイセン

――あるあるを考えるなかで自分を見つめ直し、成長のきっかけを得ていると。

ももパイセン:わたしはあるある替えうたの作詞を担当しているので、普段からいろんなことに気を付けるようになって、無意識のうちにいろいろなものを観察するようになりました。そのなかで自分のことに気付いたり、見える世界が変わったりして、あるある替えうたを作っているおかげで充実しています。「校則あるあるのうた」の歌詞もTikTokやYouTubeであるある替えうたを聴いてくれていた人が違和感なく聴けるように、あるある動画の延長線上で書いているんです。無駄なものをそぎ落として、覚えやすくわかりやすくギュッとして。

まほパイセン:それもあって歌うときも文章ごとにしっかり区切るように気を付けました。意味ごとにテンションを変えたりして、歌詞の内容が伝わりやすいようにしています。

――いま校則で雁字搦めになっている中高生は、どのように校則と付き合っていったらいいでしょう?

まほパイセン:ももパイセン、これはもうズバッと言っちゃってくださいよ。

ももパイセン:……守らんでいい!(笑)

――あははは、衝撃発言が(笑)。納得できない校則があるときは、まず先生に“なんでこの校則が必要なんですか? どういう意味があるんですか?”と聞いてみるのもいいかもしれませんね。

まほパイセン:あ、それならまず簡単にできますよね。その疑問に対して返ってくる答えもはっきりしてないことも多いと思うから、そこをどんどん突っ込んでみると糸口になるかも。

ももパイセン:「校則あるあるのうた」をお昼時間に流すのもおすすめですね。

まほパイセン:それいいね! みんなに覚えてもらって、歌ってもらっていったら問題提起になりますね。ももパイセンの悲痛の叫びの部分はボリューム上げてもらえるといいと思います(笑)。

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