【ライブレポート】渋谷すばる、ツアー<二歳と1328日>が放つ“聴き手のために唄う熱量”

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渋谷すばるが2022年9月14日の福岡サンパレスホテル&ホール公演を皮切りに、ライヴツアー<渋谷すばる LIVE TOUR 2022 二歳と1328日>を開催中だ。同ツアーのオフィシャルレポートをお届けしたい。

◆渋谷すばる 画像

全国7都市をまわるツアー<渋谷すばる LIVE TOUR 2022 二歳と1328日>は、福岡サンパレスホテル&ホール(9月14日・15日)、名古屋国際会議場センチュリーホール(9月21日・22日)、広島文化学園HBGホール(10月12日・13日)、仙台サンプラザホール(10月17日・18日)、札幌カナモトホール(10月24日・25日)と10公演を大成功に収め、残すは東京ガーデンシアター(10月31日・11月1日)とファイナルの大阪城ホール(11月5日・6日)のみとなった。


このツアーが実に熱い。熱さにもいろいろ種類があるのだが、今回のツアーで魅せている“渋谷すばるの熱さ”は、自我を押し付ける暑苦しい熱さではなく、とても自然体でナチュラルに、“聴き手のために唄う熱量”を深く感じ取ることが出来るもの。大きな変化として感じ取れるのは、ツアーの1曲目に唄われる「ぼくのうた」だ。

この曲は、1stアルバム『二歳』(2019年10月9日リリース)のリード曲でもあり、ソロ活動の始まりの曲でもあり、ソロ活動初のツアーのセットリストの1曲目にも同楽曲をオープニング曲として選曲している。“歌を歌わせて頂けませんか”と連呼される「ぼくのうた」を渋谷が最初に唄っていた頃は、“歌を歌いたいという自らの渇望”だったと思うのだが、今回のツアーでは、その言葉の前に“貴方のために”という歌詞が聴こえてくる程、聴き手に寄り添う優しさが宿ったことを感じ取れるのだ。この変化は「ぼくのうた」に限ったことではなく、ライヴ全体を通して感じ取れるものである。



現在、渋谷すばる(Vo)、新井弘毅(G)、安達貴史(B)、茂木左(Dr)、本間ドミノ(Key)という同世代でまとめられた座組で行われており、日を追うごとにそのバンド力は結束力を強め、最高のグルーヴと熱量で観客を魅了している。不器用にしか生きられなかった渋谷の心が、仲間と共に織り成す最強のサウンドによって解き放たれていると感じる今回のツアーでは、バンドメンバー達と他愛のない話で盛り上がるMCや、オーディエンス弄りなど、今までにはなかった和やかな空気感も生まれている。

9月7日には4ヵ月連続配信リリースの第一弾として「7月5日」、10月5日には第二弾「ぼーにんげん」がリリースされ、11月2日には第三弾「これ」、12月7日には第四弾「タイトル未定」のリリースが控えている。これらの新曲がいち早く聴くことが出来るのも今回のツアーの見どころだ。

今回のツアーのラストで聴かせたいという想いで作られたという「7月5日」は、“あの日の君と これからの君が 失くした日々を 見失わずに 歩けるように”という願いが込められた優しいバラード。今作4曲の中で最初に出来たという「ぼーにんげん」は、表に感情が漏れないために真意がなかなか伝わりづらいのだが、実は深い想いと温かな人間性を持った人への愛しさを唄ったのほほんソング。今ツアー前にコロナ規制後初めて有観客で行ったファンクラブライヴの1曲目に届けたくて書かれたという「これ」は、多くを語らず、全てはここにあるんだ!と元気付けてくれるご機嫌なロックンロール。12月7日にリリースされる第四弾は、今までのレパートリーにはない音楽性に挑んだ新たな一面を提示した渋谷すばるの新境地となっている。


また、ツアー初日の9月14日には、俳優の滝藤賢一が映画初主演を務める『ひみつのなっちゃん。』(2023年1月13日公開)の主題歌として、「ないしょダンス」を書き下ろしたことが発表された。同映画は、岐阜県・郡上八幡の町を舞台に、大切な友人・なっちゃんの死をきっかけに集まった3人のドラァグクイーン(滝藤賢一、渡部秀、前野朋哉)が、なっちゃんがオネエであることを知らない家族のために、“普通のおじさん”として葬式に参列するまでの珍道中が描かれた物語だ。“臆病な彼女たち”が隠し事のない優しさに触れ、少しずつ前向きになっていく姿を描くハートフルなヒューマンコメディは、本作が映画デビューとなる田中和次朗が自らのオリジナルの脚本で監督を務めた期待作でもある。

田中和次朗とプロデューサー中野剛からオファーを受けた渋谷は田中監督と話を重ね、台本を何度も読み返して“主題歌”を意識した曲作りに向き合ったのだという。今回のツアーでは、その「ないしょダンス」も歌われており、映画の予告と重なって流れる力強い楽曲と、自らも表現者としてステージに立つ者、自らも“変わり者扱いされていつも一人ぼっち(歌詞引用)”だと感じているのであろう渋谷のリアルな葛藤が聴き手の胸を打ち、オーディエンスは高く拳を上げ、既に新曲とは思えないほどの盛り上りを魅せている。



8月20日に出演した<SUMMER SONIC 2022>のMOUNTAINステージで、“渋谷すばる”そのものと言える実に真摯なロックを多くのオーディエンスに魅せ、新たなファンを獲得しつつある渋谷すばるだが、まだまだ“渋谷すばるの唄”の本当の魅力が伝わりきっていないと感じる今、この唄を、この音を、渋谷すばるという存在を知らない人にも届けたい。

是非とも東京ガーデンシアター10月31日(月)・11月1日(火)、大阪城ホール11月5日(土)・6日(日)の公演に足を伸ばして、“渋谷すばる”に触れて欲しい。きっとそこには、求めていた音と唄があるはずだから。

取材・文◎武市尚子

■<渋谷すばる LIVE TOUR 2022>

09月14日(水) 福岡サンパレスホテル&ホール
09月15日(木) 福岡サンパレスホテル&ホール
09月21日(水) 名古屋国際会議場 センチュリーホール
09月22日(木) 名古屋国際会議場 センチュリーホール
10月12日(水) 広島文化学園HBGホール
10月13日(木) 広島文化学園HBGホール
10月17日(月) 仙台サンプラザホール
10月18日(火) 仙台サンプラザホール
10月24日(月) カナモトホール(札幌市民ホール)
10月25日(火) カナモトホール(札幌市民ホール)
10月31日(月) 東京ガーデンシアター
11月01日(火) 東京ガーデンシアター
11月05日(土) 大阪城ホール
11月06日(日) 大阪城ホール
▼チケット
・e+:https://eplus.jp/sf/detail/3139010001?P6=001&P1=0402&P59=1
・ローソン:https://l-tike.com/concert/mevent/?mid=490462
・ぴあ:https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2217721

■4ヵ月連続配信リリース

▼第1弾「7月5日」
09月07日配信リリース
https://nex-tone.link/A00104132


▼第2弾「ぼーにんげん」
10月05日配信リリース
https://nex-tone.link/A00105889


▼第3弾「これ」
11月02日配信リリース予定


▼第4弾「タイトル未定」
12月07日配信リリース予定

■映画『ひみつのなっちゃん。』

2023年1月13日(金)公開 ※新宿ピカデリー他、正月第2弾ロードショー
※1月6日(金) 愛知・ 岐阜 先行公開
出演:滝藤賢一、渡部秀、前野朋哉、カンニング竹山、豊本明長、本多力、岩永洋昭、永田薫、市ノ瀬アオ、アンジェリカ、生稲晃子、菅原大吉、本田博太郎、松原智恵子
監督・脚本:田中和次朗
主題歌:渋谷すばる「ないしょダンス」


▲(c)2023「ひみつのなっちゃん。」製作委員会


▲(c)2023「ひみつのなっちゃん。」製作委員会

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