【インタビュー】シンガーズハイ、乱雑な音の楽しさとキャッチーなメロディの娯楽と刺激に溢れた2ndミニアルバム『Melody』

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結成から2年、初ライブからわずか1年半ほどで、ライブハウスシーンを騒がせる注目バンドへと成長した4人組。シンガーズハイの音楽は、王道ギターロック、メロコア、パンク、ダンス、ロックバラードなど、おもちゃ箱をひっくり返したよう乱雑な音の楽しさ、ボーカル・内山ショートの強烈なハイトーンボイス、キャッチーなグッドメロディとを重ね合わせた、娯楽と刺激に溢れたもの。最新2ndミニアルバム『Melody』の完成度も非常に高く、YouTubeで高回転を記録中の「daybreak」「ノールス」「我儘」をはじめ、なぜ彼らが支持されているかがよくわかる会心の出来栄えだ。彼らはいかにして生まれ、歩み、ここにいるのか。バンドの成り立ちと音楽性について饒舌に語る、BARKS初登場インタビュー。

■前のバンドの曲も気に入っているのでやらないともったいない
■せっかくならこのメンバーでちゃんと録りたいと思っているんです


――このバンドは内山くんが最年長なんですよね。

内山ショート(以下、内山):そうです。僕が24歳で、あと3人が22歳になる年です。

――どんなふうに集まったバンドなんでしょう。

内山:もともと僕が広島でバンドをやっていたんですけど、解散して、通っていた大学も辞めて、やることがないから行っちゃおうと思って東京に行ったんですけど。ベースのみつが僕のことを知っていてくれて、僕はバンドを組むつもりはなくて、ソロプロジェクトでも良かったんですけど、「なんでもやるよ」と言ってくれたので、ベースを弾いてもらって、「ほかのメンバーも探して」と頼んだら、ドラムを連れて来て、りゅーいちが以前に一緒にバンドをやっていたギターを連れて来て。

――次から次へ。

内山:芋づる式に、とりあえず呼んでもらった人とスタジオに入って、「あ、いいじゃん」と思って、そのままバンドにしちゃいました。だからちょっと特殊なんですよね。もともと仲の良い人同士とかではないし、バンドを組むために出会った人たちなので。それが4人とも前のバンドが終わった直後のことで、各々の理由で解散しているんで、「今までの失敗を生かしてうまくやっていこうね」と言っていて。

みつ:全員二つ目ですね、このバンドが。

――それはけっこう大きなキーワードかもしれない。みつくんが内山くんに声をかけたのは、何かピンとくるものがあったということですか。

みつ:一番は声ですね。曲も良かったし、そんな人が上京して音楽やるぜと言っているのに、誰も声をかけないから、もったいねえと思って。「なんでも手伝うからいつでも呼んでよ」って言ったら、「ベースできるなら弾いて」という話になったので。最初からメンバーになろうと思って声をかけたというよりは、「この原石が埋もれちゃいけない」と思うだけでした。


▲Gt/Vo:内山ショート

――かっこいい。

みつ:たぶんほかの二人もそんな感じだと思いますよ。曲を聴いてビビッときた。

りゅーいち:同じです。みつくんが言った通り、声も良いしメロディも良いし、作って来る曲全部が良いんですよね。外れがない。良いものしか持ってこないから、「ポテンシャル、凄っ」と思った。

――しかも、曲調も全部違うんですよね。僕も、このバラエティと、1曲ごとにクオリティの高さにはビビりました。

りゅーいち:そうなんですよ。「すげえ!」と思いました。ちょうど前のバンドを辞めたタイミングで、こんなにすぐにこんなに才能のある人に会えるのかと。

ほりたいが(以下、ほり):そのバンドが、僕とりゅーいちが専門学校で組んでいたバンドで、僕とりゅーいちはこれからも一緒にやれたらいいねと言って解散して、気がついたらりゅーいちだけがシンガーズハイにしれっと参加してるから、「聞いてないよ」と(笑)。それで事情を聞き出して、曲を聴かせてもらって、「これを逃したら駄目だ」と思って、「このバンドに入れてください!」って内山くんにDMを送って、加入しました。

内山:みんな、いい話にしようとしてない?(笑) 「打算的に付き合ってみようと思った」とか、そういうのでもいいのに。


▲Gt:ほりたいが

――3人が、内山くんの天才にほれ込んで集まったバンド。ちなみにシンガーズハイという、ランナーズハイを思わせるバンド名はどこから?

内山:僕が一人で考えた名前で、ソロプロジェクトとしてやろうと思っていたんですよ。たまたま居酒屋で前のバンドメンバーと飲んでいる時に、「シンガーズハイという状態が実際にあるかもしれんな」ということを言って、何その言葉かっこいい、と思ってメモしておいたんです。僕にぴったりの名前だなと思って、新しく何かを始める時に、ちょうど良い言葉があるやんということでした。名前って覚えやすさが重要で、そんなに意味を持たせるものでもないかなという、軽さはあると思います。

――音を聴くと、ボーカル中心でありつつメンバー全員のプレイが目立っているし、特にギターの存在感はすごく大きくて、これはどういうふうにアレンジをしているのかな?と。

内山:まず僕がスリーピースと歌でデモを作って、細かいフレーズを二人に考えてもらって、ある程度固まったものをギターに丸投げするという形です。「好き勝手に弾いて」って。

ほり:自由にやらせてもらっています、自分が影響を受けた音楽の引き出しを開けて、好き勝手にやって、ボーカルに戻して、推敲していくみたいなことをずっとやっています。


▲Ba:みつ

――それぞれの音楽的ルーツも聞いてみたいですね。たいがくんは何が好きですか。

ほり:僕はB'zが好きです。迷った時は松本さんのギターを聴いて、原点に返って考え直すことが毎回あるので、僕の中でずっとギターヒーローです。

みつ:僕はポップ/ロック生まれ、メロコア育ちです。学校にギタリストしかいなかったので、ベースを始めました。当時メロコアにハマってた影響で、ベースは低い位置のピック弾きに。シンガーズハイは、意外とライブのサウンド自体は自分以外のみんなも割とメロコアに近い要素を感じていて、それが意外と自分のスタイルとマッチしてるなって思います。りゅーいちもツービートが得意だし。

りゅーいち:僕はKEYTALKが一番好きです。メロコアももちろん聴くし、重たいのも聴きます。シンガーズハイは、定番のエイトビートもあるし、ツービートもあるし、ハネもあるし、最近四つ打ちもやるし、ドラムのフレーズはやっていてめっちゃ楽しいですね。

みつ:飽きないね。ベードラは飽きない。

――内山くんは何がルーツなんですか。

内山:自分がテレビっ子だった時、小学生中学生の時に見ていたのが2010年あたりのJ-POPで、あの頃のメロディラインが一番キャッチーで王道だと思っています。たとえばGReeeeNとか、FUNKY MONKEY BABYSとか、ポルノグラフィティとか、とにかくメロディが良かったらなんでもかんでも聴いちゃうんですよね。本当にジャンルを選ばず。ギターを中2でやり始めて、それからテレビにギターを持っている人が出てるとずっと見るようになって、かと思えば途中でボーカロイドにもどっぷりハマって、自分でバンドを始めるとなった時には、インディーズバンドを掘り下げて聴いたりとか、なんでも聴いちゃいますね。

――それが今の曲調のバラエティにも出ている。

内山:そうだと思います。なんでもかんでも好きだから、ジャンルにとらわれるのがもったいないと思っていて。


▲Dr:りゅーいち

――じゃあ、ロックバンドですと名乗る必要も特に感じていないのかな。

内山:そうですね。そもそもロックバンドって、ジャンルじゃなくてスタンスだと思うし。ただ、あくまでも4ピースでやるとなったら、ギターロックになるじゃないですか。どうせならギターに主張してもらいたいと思っていたところに、たまたま良いものが落ちていたというか。

ほり:落ちてた(笑)。

――たいがくん、拾われたんだ(笑)。

内山:良いの拾ったなーと思いました。僕の好みにぴったりの、良い感じで抜けるギターを弾く人だったんで。それは大きいかも。たいががいることで、全体としての自信になっている部分はありますね。

――曲はどんどん作るタイプですか。それともじっくり時間をかけるタイプ?

内山:時間をかけるタイプです。ほんとに遅いです。なんだったらシンガーズハイで出している曲も、前のバンドの曲のリアレンジが多かったりもしていて、今回も3曲ほどあります。

――それはどの曲?

内山:「日記」と「エリザベス」と「朝を待つ」です。「エリザベス」はもともとボツ曲だったんですけど。よくよく聴くと、その3曲はまだ若い時の、僕としては変な青さが出ちゃってる、こっ恥ずかしさはちょっとあります。歌詞がきれいごとを書きすぎてるというか、自己満足の世界かなと思ったりして。自分が気にしすぎなのかもしれないですけど。

――結成2年でミニアルバム2枚で、そのうち半分近くが前のバンドの曲だとすると、確かに遅いかもしれない(笑)。

内山:そうです(笑)。でも前のバンドでやっていた曲も気に入っているので、やらないともったいないし、せっかくならこのメンバーでちゃんと録りたいよねということです。

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