【ライブレポート】THE ORAL CIGARETTES、<PARASITE DEJAVU>で見せつけたロックシーンのエネルギー

ツイート

(◆)

THE ORAL CIGARETTESの地元の泉大津フェニックスで、デビュー5周年の感謝の気持ちを込めて2019年に開催された<PARASITE DEJAVU>。それから3年ぶりとなった<PARASITE DEJAVU 2022>は、現在の活動拠点である関東の屋内アリーナ会場・さいたまスーパーアリーナで「コンセプチュアルなワンマンライブ」と「オムニバス形式のライブ」の2DAYS公演として行われた。2日目、10月23日の模様をレポートする。


(■)

開演直前にTHE ORAL CIGARETTESのメンバー全員がステージ上に登場して、集まった観客たちに挨拶。和気あいあいと互いの発言にツッコミを入れ合ったりもする様子が、リラックスしたムードを漂わせている。この日が来るのを彼らも心から楽しみにしていたのだろう。その後、オムニバス形式でのライブはCVLTEからスタートし、Vaundy、KEYTALK、MY FIRST STORY、マキシマム ザ ホルモン、凛として時雨、MAN WITH A MISSIONが続いた。オーラルと普段から親交がある面々だが、音楽性がとても幅広かったのが印象深い。集まった観客たちにとって、新鮮なサウンドとたくさん出会える空間となっていたはずだ。


(■)

そして、このイベントの大トリを飾ったのは、主催者であるTHE ORAL CIGARETTES。彼らを紹介するアナウンスが流れ、ステージ上に山中拓也(Vo, G)、鈴木重伸(G)、あきらかにあきら(B, Cho)、中西雅哉(Dr)が登場。1曲目「Red Criminal」がスタートした瞬間、さいたまスーパーアリーナは凄まじいエネルギーで満たされた。鳴り響いた荘厳なサウンドに負けないくらいの勢いでステージへと押し寄せた手拍子が、とにかく熱い。演奏をしている4人の気持ちがどんどん高まっているのが音からも伝わってきた。続いて「ENEMY feat.Kamui」に突入すると、ギターをスタンドに置いて、ハンドマイクで歌い始めた山中。ゲストとして招き入れられたラッパーのKamui、山中、鈴木、あきらが一緒に花道へと飛び出すと、観客たちは激しくジャンプをしながら興奮を露わにしていた。


(■)


(■)


Kamui(●)

野性的なダンス衝動を目いっぱいに掻き立ててくれた「BUG」の後に迎えた小休止。マキシマム ザ ホルモンのダイスケはんが先ほど、オーラルのファンたちを「ヘビースモーカー」と称したことを受けて、早速その呼称を使った山中の笑顔が眩しいくらい明るかった。そして「愛をたくさん頂いて、めちゃめちゃ幸せやわ。まじありがとう。楽しかった?良かった。俺らも大層気分がいいので、昔の曲どんどんやります」という言葉を経て届けられたのは「STAY ONE」。続いて「N.I.R.A」と「通り過ぎた季節の空で」も披露されて、爽やかな一体感がどんどん生み出されていた。


(■)


(■)


(◆)

「ロックシーンの勢いがなくなってきているとか言われていますが、今日、ここにいた人には、“そんなことない。むしろ上がってるんちゃう?”って思っていただけたと思います」と山中が言ったのに反応して、観客たちが送った特大級の拍手。その波動を肌で感じながら、メンバーたちは心底嬉しそうな笑顔を浮かべていた。そして、「いろんなバンドに祝っていただいて、ファンの方々とこうしてライブができて、“ご褒美タイムやな”と思っています。俺ら自身が思いっきり楽しんで帰りたいんですけど、一緒に楽しんで、遊んでくれますか?」と山中が呼びかけてからスタートした「5150」が、とても気持ちよかった。山中とあきらの歌声のハーモニーが随所で冴えわたり、客席の全エリアで掲げられた人々の掌が、まるで大合唱の声のように揺らめいていた様が忘れられない。


(■)


(◆)

「友達呼んでいます」と山中が言った直後、ステージに現れたSiMのMAH。特効の火柱が何本も上がり、無数のレーザービームが会場内を飛び交う中で届けられた「CATCH ME feat.MAH(SiM)」は、観客たちを桁外れに興奮させていた。その直後にMY FIRST STORYのHiroも登場して披露されたのは「BLACK MEMORY feat.Hiro(MY FIRST STORY)」。仰向けになった鈴木がエモーショナルなギターソロを奏でた後、花道に飛び出して歌声を交わし合った山中とHiroの姿は、彼らの間にある深い絆を自ずと伝えてくれた。


MAH(SiM)(●)


MAH(SiM)(●)


Hiro(MY FIRST STORY)(●)

飛び跳ね続けた観客たちのエネルギーが圧倒的だった「狂乱 Hey Kids!!」。温かなムードで会場全体を包み込んだ「LOVE」の2曲がさらに披露されて本編は終了。掲げられた無数のスマホのライトが輝き、客席全体がまるで星空のようになっていた。そして、アンコールを求める手拍子が湧き起こると、スクリーンで流れ始めた告知映像。対バンツアー<COUPLING TOUR 2023>が全国7都市で11公演行われる旨が発表された。


(◆)


(■)


(■)


(◆)

アンコールで再登場した4人を代表して、次のツアーに懸ける想いを語った山中。「いろいろルールとかきわどいところがありますが、前に一歩進めるようなツアーに絶対したいと思います」という言葉が力強かった。「<PARASITE DEJAVU>はやれるだけやっていきたいと思っています。休む年もあるかもしれませんけど、またやると思いますので、ぜひお越しください。めっちゃ楽しかった。ほんまにやばかった。こんなに幸せな2日間があっていいのかと。次のツアーの対バン相手、ゴリッゴリッですから、暴れる準備をしっかりしてください(笑)。ロックシーンをちょっとでも前に動かそうっていうツアーですので、そういうバンドしか誘ってません」。来年のツアーへの期待を高めてくれるMCだった。


(■)


(■)


(◆)

「じゃあ、ラスト1曲。対バンツアーに向けて、このさいたまスーパーアリーナをライブハウスに変えていきますか?どうですか?」という煽りの言葉を合図に「mist...」の演奏がスタート。「歌える日が来るのを願っています」と、途中で山中が叫んでいたが、観客が大合唱できる日をいつか必ず取り戻せると、心から信じることができる曲だった。客席にいるひとりひとりが胸の内で響かせていたはずの歌声は、ステージ上の4人にしっかりと届いていたのではないだろうか。


(■)


(◆)


(◆)

こうして終演を迎えた<PARASITE DEJAVU 2022>。THE ORAL CIGARETTESが抱いているライブに対する愛情を、再確認させられるイベントであった。自分たちの活動に真摯に取り組むと同時に、ライブハウスシーン、音楽シーン全体を活性化させることに対しても全力なバンドだからこそ、彼らはミュージシャン仲間たちと素敵な友情を育み続けられているのだろう。そんなオーラルの姿を、存分に体感することができた。


(■)


(◆)

写真◎ハタサトシ(●)、Ryotaro Kawashima(◆)、スズキコウヘイ(■)
文◎田中大
提供◎Artist Commons

PARASITE DEJAVU 2022 DAY2 OMNIBUS SHOW

1.Red Criminal
2.ENEMY feat.Kamui
3.BUG
4.STAY ONE
5.N.I.R.A
6.通り過ぎた季節の空で
7.5150
8.CATCH ME feat.MAH(SiM)
9.BLACK MEMORY feat.Hiro(MY FIRST STORY)
10.狂乱 Hey Kids!!
11.LOVE
EN1 mist...


◆THE ORAL CIGARETTESオフィシャルサイト
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス