【レポート】LM.C、<Halloween Live '22>に大収穫「みんなが帰ってこられる場所を」

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LM.Cが10月31日、東京・白金SELENEb2にてハロウィンライヴ<LM.C Halloween Live '22 †LET ME HEAR YOU SCREAM†>を開催した。同公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。

◆LM.C 画像

深き冥界へと繋がる扉が開き、今年もまたLM.CがHappy Zombiesと化してホラーティックでロマンティックな夜宴を繰り広げる祝祭の日がやってきた。

そもそもハロウィンとは、古代ケルト人たちが秋の恵みをたまわったことに対する収穫祭として行っていた習わしが原点となっているそうだが、このたび10月31日に開催された<LM.C Halloween Live '22 †LET ME HEAR YOU SCREAM†>は、約3年の時を経てLM.Cと彼らを愛する人々が“魂から湧きあがる叫び”を声として発することが出来た、それこそ収穫の多いハロウィンナイトだったのである。


思い返せば、同じく白金SELENE b2で定員数を相当数まで絞り2部制×2デイズで1公演あたりの上演時間はわずか1時間程度だった<LM.C Club Circuit '20 -Halloween->から始まり、やや制約が緩和した昨年の<LM.C LIVE 2021 -The Best Live Ever Vol.8- "Hollow Hotel">でも、ともにライヴのオープニングでは白金SELENE b2の館主であるというGhost Selene氏より、鉄の掟として「どんなことがあっても決して叫び声をあげてはならない」とアナウンスがされていたのに対し、なにしろ今回はライヴタイトルからして<†LET ME HEAR YOU SCREAM†>となっていたことからもわかるとおり、今宵の開演前アナウンスでは以下のような言葉を確かに聞くことが出来たのだ。

「紳士ならびに淑女の諸君、LM.CのHalloween Partyへようこそ。私はこの会場の主・Ghost Seleneである。扉が閉ざされ、不気味な音が響き渡るこの会場には、最高の恐怖を味わうためのルールが存在する。簡単なことさ。恐怖を感じたら手を叩き、叫び声をあげて助けを呼んでもらってかまわないが、たった一度でも叫び声をあげたら最後まで叫び続けなければならない。そして、そのたどりついたパーソナルスペースの中で力尽きるまで歌い踊り続けるのだ。もし、そのルールをお守りいただけない場合は…今いるその場所にあなたの墓石が建つことになるだろう」

当然ながら、政府ガイドラインは遵守したうえでの50%キャパおよびマスク着用必須という状況下ではあったものの、オープニングSEとなった「Rainbow Magic Orchestra」を受けての実質的な1曲目「Elephant in the Room」でギタリストAijiの弾くエッジーなリフが場内へと響きわたり、フロントマンmayaが不穏かつシュールな詞世界を歌で紡ぎ出すと、フロアでは集った人々が思い思いに飛び跳ねたり、拳をあげたり、踊ったりする様子がみられ、それに次ぐ「GHOST † HEART」ではイントロから曲にあわせてオーディエンスが勢い良く掛け声をあげる展開に。

LM.Cの場合、いわゆる“声出し”については8月に渋谷duo MUSIC EXCHANGEで行われたツアー<怪物園>のファイナル公演などでも既に実施している実績があるとはいえ、その後、9月25日にLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて15周年を記念して開催された<15th Anniversary Live “左耳のピアス。”>については会場が公共施設だったこともあって再び発声禁止となっていたのだ。が、先だっての10月4日でいよいよ16周年のタームに突入してから最初のライヴとなった本公演で、またも“声出し”が叶ったことはLM.Cのふたりにとってはもちろん、彼らのことを愛するファンの人々にとってもきっと喜ばしいことであったに違いない。

「Yeah!今日は<LM.C Halloween Live '22 †LET ME HEAR YOU SCREAM†>へようこそ。ブチあげていきましょう。たくさん声を聴かせてください!!」──maya

ダークヒーローを主人公に据えた「JOKER -my name is-」、実在の某犯罪者をモチーフにつくられた「BAD SPIDER」、エキゾチックな香りの漂う旋律が千夜一夜のドラマを描き出す「La Dee Da」、モンスター級のハジけぶりでEDM要素が観衆たちを湧かせた「My Favorite Monster」、スパニッシュなテイストの音とミステリアスな歌詞が交錯する「…with Vampire」、不可思議な幻想世界が生み出された「Hollow Hotel」などなど。それぞれの曲は独立していて別にハロウィンをテーマに作られたわけではないというのに、LM.Cの持ち曲にはどういうわけかハロウィンの夜に奏でられるのに似つかわしいものがとても多い。


また、本編中盤ではファンタジックの域を凌駕して不気味さをたたえた「The Midnight Museum 4」や、映画『キャスパー』の世界観をLM.C流に表現した「Haunted House make a Secret」、さらにはmayaが祖母の死を切っ掛けに自身の死生観について詞を書くことになったという「Kiss me??」を深くじっくり聴かせる一幕もあり、ここではハロウィン=先祖の霊を迎えるための祭という本来的な意味合いの部分にもフォーカスが当てられていたと言えよう。つまるところ、LM.Cの体現するハロウィンパーティはただのコスプレ乱痴気騒ぎと成り下がってしまっている世間のハロウィンとは格がまるで違うのである。

なお、ここぞのクライマックスでは今春に最新アルバム『怪物園』がリリースされて以降ライヴでの鉄板曲として定着してきた「Panic Time」や、その空間に居合わせた者たち全てのチャクラを全開にさせるような圧倒的パワー感にあふれた「The BUDDHA」、スケルトンデザインの衣装を纏ったLM.Cのふたりも含めてこのパーティに参加した全員が“Happy Zombies”となって派手に盛り上がった「Happy Zombies」といったアゲ曲がこれでもかと続いた中、最後はライヴハウスがダンスフロアと化した「Cameleon Dance」で大団円を迎えるのかと思いきや。

「いやー、ここで終わっちゃうのか。どうしよう?やっちゃうか…!」──maya

オーディエンス側の発する異様なほどの熱気と大歓声に背中を強く押されたところもあったのか、この場面ではmayaがお得意の独断で曲を追加することになり、完全に予定外での「MOGURA」でさらなるフィーバーぶりを呈することになったのだった。

「LM.Cのハロウィンも今年で3回目ということでね。いつのまにか定番っぽくなってきましたが、映像演出なんかも含めてアップデートしてきましたし、コロナ禍になってからようやく声が出せるところまで来て、前進してるんだなと感じながら楽しめたライヴでした。ただ、まだ状況によってはいろいろ制約もあったりするでしょうし、そういう中でも遊びに来てくれた方たちには本当に感謝しかないんですが、今日は来られなかったという人もいると思いますので、我々はこれからも一歩ずつ良いライヴを重ねて未来に繋げていきながら、まだ来ることが出来ない人たちのためにも“みんなが帰ってこられる場所”を護っていきたいと思っております。ありがとうございました!!」──Aiji

「15周年を超えて、16周年を迎えたうえでの今日のライヴもほんと凄く楽しかったです。これからも行けるところまで行きたいなと思ってますし、LM.Cの物語はまだ続いていくので、これからもよろしくお願いします!!」──maya

というわけで、来たる12月10日および11日には<LM.C&NAGANO CLUB JUNK BOX presents NAGANO CLUB JUNK BOX Reborn 1st Aniversary「C'Mon A Live House」>を長野CLUB JUNK BOXで行ったあと、12月26日に代官山SPACE ODDにてTeam☆LM.C主催ライヴを実施するというLM.C。彼らがHappy Zombiesと化してホラーティックでロマンティックな夜宴を繰り広げる機会はまた来年となるのではないかと思うが、LM.Cの提示するポジティヴでハッピーな物語の次なる展開が今から待ち遠しくて仕方ない。このハロウィンナイトで獲られた収穫は、きっと来年に向けての大切な“種”にもなっていくはずだ。

取材・文◎杉江由紀
撮影◎テディ / クマタマサアキ(BEAVAIL)

■<LM.C Halloween Live '22 †LET ME HEAR YOU SCREAM†>10月31日@東京・白金SELENEb2 セットリスト

Rainbow Magic Orchestra
Elephant in the Room
GHOST † HEART
JOKER -my name is-
BAD SPIDER
阿修羅
La Dee Da
My Favorite Monster
…with Vampire
Hollow Hotel
The Midnight Museum 4
Haunted House make a Secret
Kiss me?
Z-MAN
Panic Time
OH MY JULIET.
The BUDDHA
Happy Zombies
Chameleon Dance
MOGURA

■<LM.C&NAGANO CLUB JUNK BOX presents NAGANO CLUB JUNK BOX Reborn 1st Aniversary「C'Mon A Live House」>

2022年12月10日(土) NAGANO CLUB JUNK BOX
2022年12月11日(日) NAGANO CLUB JUNK BOX

■<Team☆LM.C主催公演>

2022年12月26日(月) 代官山SPACE ODD
※2022年ラストライブ
※詳細後日発表

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