【ライブレポート】ジューダス・プリースト、50周年を迎えた今もなおバンドは進化

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コロナ禍明けのアメリカはバンドのツアーラッシュが止まらない。ジューダス・プリーストも延期になっていた50周年ツアーを遂行中。10月からのアメリカツアーも後半への折り返し、カリフォルニアはオンタリオの11,000人キャパのアリーナは、かの有名な"カリフォルニア・ジャム"が行われたオンタリオ・モーター・スピード・ウェイの跡地近くにある。近隣のホテルやレストランにはプリーストヘッズが溢れ、すでにファンのテンションが伺える。


今回のアメリカツアーの帯同ゲストであるクィーンズライクも新旧取り混ぜたベスト選曲で素晴らしいショウを披露。その興奮のまま、ジューダス・プリーストのトレードマークが浮かび上がると一気に緊張感が張り詰める。彼らの出身地であるイギリスのバーミンガムは工業都市であるからなのか、ステージセットは、"METAL WORLD"という工場になっている。



ブラック・サバスの「War Pigs」が流れると開演の合図、ヨーロッパツアーから大幅にセットリストが変更されたアメリカツアーは、「The Hellion / Electric Eye」からのPriest is back。2021年、大動脈瘤で緊急搬送されたと報じられたリッチー・フォークナー(G)は見事な復帰を果たしており、彼の存在がふた周りくらい大きく感じる。もちろんロブ・ハルフォード(Vo)へのウェルカムな声援は大反響しているし、ハイトーンの調子もパフォーマンスの動きも若返っているように感じる。



ヨーロッパツアーでは「One Shot at Glory」から始まり、『Deffenders of The Faith』や『Painkiller』アルバムからの選曲が中心、アメリカツアーは『Screaming For Vengeance』からの選曲が多くなっている。50周年ツアーという冠を果たすには、こういうパターンになるのだなと思うのと同時に、どちらのツアーも必見という事になる。

トム・アロムと共にアンディ・スニープ(G)がプロデュースを務め、彼の才覚が周知された最新アルバムからは「Firepower」を披露。ステージでの彼はリッチーほどの華はなくとも堅実で確かなプレイ。王道なフライングVとエクスプローラーが雰囲気の重みも増している。そして、定位置で常にバンドを支えてきたイアン・ヒル(B)の変わらぬパワフルさにも脱帽する。正直、一時期のロブには雰囲気も歌唱にも老いた印象を持った時期もあるのだが、イアンは常に変わっていないのだから。




初めてのツアーデビューとなった「Devil's Child」も含め、『Screaming for Vengeance』アルバムは、リッチーにすれば自身が生まれた頃のリリースであるわけだし、加入当初の武道館公演の印象は、「ジューダス・プリーストの大ファンがステージで嬉しそうにフォーメーションをしている」と感じたものであった。それが今は彼が中心となったステージになっているのだから驚く。ツアーができなかったコロナ禍の影響もあるかもしれないが、これだけのステージを観るとこちらも背筋を伸ばされる思いがするし、50周年を迎えたバンドにまだ進化がある事に感動してしまう。





スコット・トラヴィス(Dr)がマイクを握り、「Screamin' for Whats?」と投げかける本編ラストから、ロブがハーレーで登場しての「Hell Bent for Leather」でアンコールへ。そしてステージがスモークで覆われると、巨大な雄牛が姿を現す。これはバーミンガムの闘牛場を意味するのか、12世紀に作られたと思われる有名なランドマークにちなんだものらしい。メタル工場でこれまでのジューダス・プリーストの偉業を体験し、この巨大な雄牛を日本でも観られる日を願う。




文・写真◎Sweeet Rock / Aki


<JUDAS PRIEST 50 Heavy Metal Years 2022 >

2022.11. 7 TOYOTA Arena, Ontario, California, USA
1.The Hellion / Electric Eye
2.Riding On the Wind
3.You've Got Another Thing Comin'
4.Jawbreaker
5.Firepower
6.Never The Heroes
7.Beyond The Realms of Death
8.Judas Rising
9.Devil's Child
10.Genocide
11.Steeler
12.Between the Hammer and the Anvil
13.Halls of Valhalla
14.The Green Manalisi(With the Two-Pronged Crown)
15.Screaming for Vengeance
Encore
16.Hell Bent for Leather
17.Breaking the Law
Encore2
18.Living After Midnight
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