【ライブレポート】みゆな、3年ぶりのツアー「絶対に音楽はやめません」

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8月にリリースした1stアルバム『ガイダンス』を引っさげて、約3年ぶりとなるツアー<みゆな TOUR 2022 -ガイダンス->を開催したシンガーソングライターみゆな。今回のツアーは大阪BananaHallと、ここでレポートする東京・渋谷CLUB QUATTROの2公演となったが、3年分の思いはもちろん、アルバムのクリエイティヴィティと高い温度感、その制作でつかんだ自身の音楽への手応えとを、余すことなくダイレクトに観客に味わってもらおうという強い意志を感じるステージとなった。

◆ライブ写真

SEと大きな拍手に迎えられ、バンドメンバーとともにステージへと表れたみゆな。スリリングなビートを軸に、ど頭からボルテージの高いアンサンブルが観客をとらえ、みゆなはスタンドマイクの前でハスに構えて、クールな低音ボイスをドライブさせる。覚めた思いと抑えの効かない情とが不穏に入り混じるこの「狂愛」の世界が、赤と青のライティングに映え独自のムードを生み出していった。

続けざまに「甘苦」、「彩色」と『ガイダンス』からの曲を連投。ドラムのカウントから緊張感に息を飲むようなサウンドがフロアに響きわたり、みゆなのボーカルはそのサウンドの中を自由に泳ぐように、またバンドと呼吸を合わせて大きなうねりを起こしていくように躍動している。アルバム『ガイダンス』が持つ、またみゆなの音楽が持つ、様々なカット割りで複雑怪奇な心模様を見せるその世界を、高い解像度で描いていくバンドメンバーは、toeの柏倉隆史(Dr)をはじめ、木下晢(G)、村田シゲ(B)、中村圭作(Key)という強力な布陣。この猛者揃いのバンドとの息もぴったりで、互いに高いエネルギーをぶつけ合って音を生み出しているのを感じる。冒頭から、今回のライブへの気迫がビシビシと伝わってきた。


「グルグル」では、緊迫したムードから一転してバンドのグルーヴに乗せて「盛り上がっていきましょう」と体を揺らし、心地よいフロウを聴かせる。ゾクゾクする低音ボイスでの囁きとポリリズム的なアンサンブル、そしてエクスペリメンタルな展開で観るものを引きずり込んで行く「凝視」から、伸びやかなボーカルやフェイクがエモーショナルな「奇術」、変幻自在なシアトリカルなロック「貪欲」が、息つく間もなく続く。前半から、ディープだ。


「改めましてこんばんは、みゆなです。突っ走ってまいりましたが、この後も突っ走って行く予定なので。疲れたら、疲れたって言ってください」と、中盤でようやく一呼吸おくMCをしたみゆな。3年ぶりのライブ、たくさんの人が来てくれて、こうしてやっとみんなの顔が見ることができた喜びを笑顔で語る。しかしながら「喋るのは苦手で。ここからMCなしなんだけど、いい?」といたずらに微笑んで、中盤はアコースティックセットでフロアと一対一で向き合う。ピンスポットの中アコースティックギターを奏でながら、全身で「my life」を表現し、続く「秘密」では鍵盤の中村圭作を呼び込んで、フラジャイルなピアノの音色とともに美しいバラードを紡いでいった。再びバンドとともにじっくりと聴かせた「くちなしの言葉」では、「好きな人を思い浮かべながら、聴いてください」と感情豊かに歌い上げた。


「神様」からスタートした後半は新旧の曲を織り交ぜて、再び馬力をあげたアンサンブルとボーカルでフロアの温度をあげていった。ギターを弾きながら、たっぷりと間合いを取って歌った、最初期の「ふわふわ」。そしてアルバム『ガイダンス』のオープニングを飾り、長くライブを重ねていくなかで人気となり形作られていった「埋葬」、そこから10月12日にデジタルリリースされたばかりの新曲「愛愛だな」を披露。都会的なダンスチューンでいて、ラテンやエキゾチックな雰囲気もまとったポップさが、観客の手拍子を高鳴らせていく。オルタナティヴなみゆなサウンドを、さらに広げていく1曲になっていきそうだ。


そこからシュールでファンタスティックな「頂戴」、「ソレイユ」とポップな曲が続いて、観客は手拍子していた手を高く掲げて、気持ちよく左右に振るう。音と観客が放つ高揚感の余韻をたっぷり吸い込むようにして、「ああ、終わっちゃう」というみゆな。思いがいっぱいで言葉が出ないようだが、「でもこのあと、ビールが控えてるから!」とライブ後の楽しみにも触れる。この夜は存分に祝杯をあげられそうだ。そしてこの日の締めくくりと、その先をも見つめるようにして歌ったのは、「願い」だ。いちだんと大きな手拍子に乗せ、フォーキーに、おおらかな歌声で編み上げた歌は、エバーグリーンで、優しい歌心に満ちていた。


鳴り止まない拍手と手拍子で、アンコールに応えたみゆな。ここでは、映画『少女は卒業しない』の主題歌に決定したリリース前の新曲「夢でも」が披露された。また「缶ビール」では、未だライブで歓声等が制限されていることもあり、手拍子でコール&レスポンスをして盛り上げた。最後に改めて来場してくれたことへの喜びを語ったみゆな。一方で、コロナ禍では思うような活動ができず悔しい思いもあったと素直に吐露しつつ、「音楽をやめずに続けて行けば、みんなが着いてきてくれると思った」と溢れる思いを言葉にした。


3年ぶりのワンマンは、残念ながらソールドアウトとはいかなかった。たくさんの人が来てくれて胸がいっぱいになったけど、はっきりと「悔しい」とも口にした。「絶対に音楽はやめません」と力強く宣言し、「ライブをやり続けるので、またお会いできたらいいなと思います。皆さん、また会えますか?」と最後に思いを全身で表現するように「生きなきゃ」を歌った。この日の「生きなきゃ」には、いつも以上にポジティヴで、次に向かっていく力強い意志が宿っていた。

取材・文◎吉羽さおり

セットリスト

セットリストプレイリスト:https://asab.lnk.to/miyuna_guidancetour

M1:狂愛
M2:甘苦
M3:彩色
M4:グルグル
M5:凝視
M6:記述
M7:貪欲
M8:my life
M9:秘密
M10:くちなしの言葉
M11:神様
M12:ふわふわ
M13:埋葬
M14:朝曇
M15:愛愛だな
M16:頂戴
M17:ソレイユ
M18:願い

アンコール
EC1:夢でも(リリース前新曲)
EC2:缶ビール
EC3:生きなきゃ

◆みゆな オフィシャルサイト
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