【速レポ】<SAI 2022>DAY1、SiM「世界で1位を獲る音楽ってのを聴かせてあげよう」
「先輩ばっかでやりづらそう……。いやだ……。MAHはMAHらしく偉そうにしてたい……」──<ACIDMAN presents「SAITAMA ROCK FESTIVAL “SAI” 2022」>へ出演にあたり、ペーペーの後輩のようなしおらしさも見せ、泣き言のような事前コメントまで発表していたSiMのMAH(Vo)。しかしコメントの前半が嘘なのは、SiMのファンなら誰だって分かっていた。コメント後半こそ、MAHの本心。
◆SiM ライブ写真
正午12時、サイレンをフィーチャーしたおなじみのSEと共にステージに現われたSiM。バンド・サウンドを轟かせながら「Light it up」へ突入した直後から、SiMはさいたまスーパーアリーナの支配者となった。
歌いながらMAHが左右に腕を振れば、アリーナはもちろん、スタンド席のオーディエンスも立ち上がって腕を左右に振る。「頭を振れ!」とMAHが叫べば、GODRi(Dr)の刻む激速グルーブに合わせ、上半身を折り曲げるほどのヘドバンも客席全体に生まれる。ベースをブン回しながら弾くSIN(B)やステージ最前でリフを刻むSHOW-HATE(G)が、オーディエンスのヘドバンを激しくさせてゆく。また3曲目「Dance In The Dark」では、いやらしく腰をうねらせる仕草まで。オーディエンスの様々なうねりを、SiMは完全にコントロールしながらライブは突き進む。
「<SAI>! 今日も明日も、おっさんばっかじゃねーかよー。右を見てもおっさん、左を見ても、おっさん。おっさん、おっさん……、おっさんばっかじゃねーかよ! 我々は19年目で、それなりに長くやってるんですけど、今日と明日ではSiMが一番若いバンドってことで。いつもは楽屋でふんぞり返ってるのに、今日は朝から“おはざーっす!”って。やりづれえ! まあ、年齢は一番下ですけど、バンドの格は負けてないっていうか、むしろワンチャン勝ってる。なんつっても全米ビルボード1位ですから。ヤツら(全米の人たち)が認めちゃってるから、俺らを。自分で言い出したんじゃなく、ヤツらが言い出した。というわけで世界のSiMです。世界で1位を獲る音楽ってのを聴かせてあげよう」──MAH
真実ばかりながら、いちいち偉そうなMAHの言い方にオーディエンスも拍手で大ウケ。このMCから当然続いたのは、米ビルボードチャート“Hot Hard Rock Songs”で1位に輝いた「The Rumbling」。重厚感を持ちながら、メロディやフレーズが何層にも重なっていく。また曲展開によって、動ばかりでなく静も描き出す。そうしたスケール感のでかさと美しさは、ヤツらだけじゃなく、誰だって認める。こうした曲を形にできるところに、SiMのバンドとしての成長と自信も溢れている。
「あっ、ひとつだけ言うのを忘れてましたが、ACIDMAN、25周年おめでとうございます。この二日間のメンツを見れば、語らずとも、どんな25年を歩んできたか、よく分かります。…ほんと、年下の友達がいないんだなって(笑)。世界が、いや宇宙がACIDMANを敵とみなしても、SiMだけは最後までACIDMANの味方です。これからも、がんばれよ。…そういう曲です」──MAH
祝福しながら、最後には先輩風まで吹かせてしまう。続いたのは「The Sound of Breath」。ドラマチックな曲だが、生きる意味を見つけ未知の世界にも飛び込んでいく様や力強い生き方も描かれている。まさに25年を迎えた先輩に対する心からの賛辞と言えるだろう。
しかし、である。やっぱりSiMは憎たらしかった。「ACIDMANと集まったおっさんたち。それを見に来たヒマな人たち。いや、笑ってないで。オマエのことだぞ。いろんな気持ちを込めてこの曲を贈ります。さいたま、死ねー!」──MAH
中指を立てて、相手をナメ切った憎たしい表情を浮かべたMAHの叫びを合図に、ラスト・ナンバー「KiLLiNG ME」が炸裂。激しさを極めたバンド・サウンドとライブ・パフォームが、オーディエンス全員を煽りたてる。キレキレのテクニカルなプレイを挟み込むSHOW-HATEやSINやGODRiという楽器陣。曲の途中で全員を座らせながら「オマエら下等生物諸君は、黙って俺らの言うことを聞いていればいい」と言い放つ支配者=MAH。カウントに合わせてオーディエンスをジャンプさせ、煽りながら吠え、歌い続ける。エネルギー全開でやりたい放題、そして言いたい放題のSiM。やりづらそうと言いながら、気持ちいいほどに自分たちらしいステージをやり切った。
取材・文◎長谷川幸信
撮影◎Taka“nekoze photo”
セットリスト
2. Blah Blah Blah
3. Dance In The Dark
4. The Rumbling
5. The Sound Of Breath
6. KiLLiNG ME
■<ACIDMAN presents「SAITAMA ROCK FESTIVAL “SAI” 2022」>
2022年11月27日(日) さいたまスーパーアリーナ
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