【インタビュー】THEラブ人間主催<下北沢にて>、カルチャーが凝縮する街ならではの生い立ちと発展

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2010年より毎年開催されているTHEラブ人間主催のイベント<下北沢にて>。2022年は下北沢の全22カ所の会場にて12月3日(土)に行なわれる。

本イベントは、金田康平(歌手)とツネ・モリサワ(Key)が、「ライブバー・下北沢440の前に櫓(やぐら)を建てて、そこでバンドが代わる代わるライブをするイベントをやりたい」と話していたことがルーツのひとつ。今では野外ステージをはじめ、フードや古着、ハンドメイド雑貨などの出店が楽しめる無料エリアや、南口商店街でオリジナルのラジオ番組が流れるなど、街全体を巻き込んだお祭りイベントとなり、櫓を建てるという目標はそのままに13年目を迎えた。

また、例年は冬の時期にサーキットイベント形式で実施しているが、2023年は春、夏、秋にも1日1会場で行なっており、全4回の開催となる。毎年新たな試みに挑戦し、規模を広げ続ける一方で、金田が「バンドの力足らずにはならないようにしたい」と語るように、バンド主催のイベントだからこその気が抜けない部分もあるようだ。そんなTHEラブ人間の活動に欠かせないものとなった<下北沢にて>の生い立ちと、100組以上の出演者が集結する今年の見どころをフロントマンの金田が語ってくれた。


金田康平

■音楽的にも、歌詞も、見た目も、
■なぞってないものをやりたい

──今年で13年目となる<下北沢にて>ですが、「毎年恒例でやろう」となったのはいつからなのでしょうか?

金田:2010年に開催した1回目の<下北沢にて>は、THEラブ人間の初めての全国ツアーのファイナルとして開催したものだったんですよ。ツアーの初日は<僕の愛した女たち>っていう自主企画イベントを新宿MARZで開催して、遠藤賢司さんとおとぎ話との3マンでした。当時はだいたいのバンドがツアーの初日で自主企画をやって、ファイナルでワンマンというのが多かったけど、俺らはSHIBUYA CLUB QUATTROでやれるようになるまでワンマンをやらないって決めていたんですよ。で、「みんながやってないことって何かな?」と考えた時に、バンド結成前にツネと話していた、下北の街中で櫓を建てて、The Beatlesの<ルーフトップ・コンサート>みたいなものをやるのがいいんじゃないかって思ったけど、さすがにそれは自分たちではできないから…いつかそれをやるために、まずはBASEMENTBAR、CAVE-BE、DaisyBarの3会場でサーキットイベントみたいなものをやってみようと話していたと思います。だから、最初から続けるつもりでやっていたのかもしれないですね。

──その一回目を開催してみていかがでしたか?

金田:もう本当に疲れて。でも、打ち上げをやっている時に不思議とちょっとした高揚感があったんですね。ライブをやる以外の、仲の良いバンドがいっぱい出てくれて、みんなが観てくれて気持ち良いみたいな。オーガナイズする楽しさみたいなものを味わっていたのかもしれないですね。

──「自分たちが主役だ!」という気持ちもあったと思いますが、それだけではないやりがいを感じていたと。

金田:バンドを結成した2009年は、奇数月の5月、7月、9月、11月に<僕の愛した女たち>をやっていて、そもそもそのテーマが「好きなバンドを呼ぶ」というものだったんです。<下北沢にて>はその延長戦で、一年間ライブをやって仲良くなったバンドを呼んだようなイメージでした。でも、その第一回目にはDaisyBarの1バンド目、CAVE-BEの真ん中、BASEMENTBARのトリって、THEラブ人間はセットリストも変えて3ステージやりましたね。一年間でそれだけの曲ができたのと、音楽的にも、歌詞も、見た目も、何かなぞってないものをやりたいよねっていうのは自分の中にあったので、それがイベントを作ることにおいてもあった。3ステージは大変で、もう絶対にやりたくないと思って、二年目からはやっていませんけど(笑)。

──他のメンバーにその気持ちを話したことはあったのでしょうか?

金田:口にはしないですね。アチチュードみたいなものって言葉にしたほうがちょっとチープじゃないですか?だから、その当時はメンバーに新しい曲を作ることで手紙というか、メッセージを渡していたつもりかもしれないです。曲に関しては説明していたし、よく喋っていました。世間話をずっとぐだぐだと。そういうのもあるかもしれない。

──<下北沢にて>を続けていく上で必要となっていくものは、初開催の頃から揃っていたのかもしれないですね。

金田:うん。でも、「これなら毎年やっていけるかもな」と思えるようになったのは、周りにすごいバンドが多かったということに尽きる。2009年に結成して、一年後から<下北沢にて>をやって、その間に仲良くなるバンドや、友達だけど普段から聴いちゃう尊敬するバンドがいて、それは俺だけじゃなくてメンバー各々にいるんですよ。<下北沢にて>では、好きなバンドをお客さんに紹介する以前に、メンバーに紹介し合っているところがあります。そういうのがメンバー同士の交流になっていたかもしれないですね。



■自分たちの手から離れてしまったら
■きっと誰も着いてこない

──<下北沢にて>では2014年にパレードをやったり、服や食べ物などの出店や、お笑い芸人の出演、近年は映画上映もやっていて、今でこそお祭りのようなイメージがありますが、街を巻き込んでのお祭りにしていくというイメージはもとからあったんですか?

金田:どちらかと言うと、最初のイメージではロックのアチチュードに近くて、なぜ野外で櫓を建てることを目標としたのかというと、要は俺らは地下室の音楽なわけですよ。テレビからもラジオからも流れないし、子供が聴いていたら親に耳を塞がれるようなものがロックミュージックで、それを歩行者天国にして街の真ん中でバン!と鳴らして「どうだ!?」みたいな。ジョニー・ロットンの「騙された気分はどうだ?」みたいな、反体制な気持ちがあって、外でまったく興味のない人に聴かせるというのが俺の最初のイメージでした。

──今とはかけ離れたイメージですね。

金田:下北沢の街は想像以上にあったかいんです。だから、それを話していた頃とは違って、今は本当に心が絆されましたね。友達ができるし、歩いていたら知り合いに会うし、好きな店を見つけて通っているうちに店員さんとも仲良くなったり。そうしたら、「ネットで服を買うんじゃなくて、友達の働いているあそこに行こう」とか、「腹が減ったから、コンビニにじゃなくて友達の店に行こう」とか、「ひとりになりたいから、あの喫茶店に行こう」とか。下北沢をレペゼンして活動して、毎日毎日下北沢にいると、そうやって心が絆されて、街自体が好きになるんですよ。分かりやすく「祭り」がテーマになったのは、今のロゴができたタイミングですかね。あれを作る時にシンプルにイベントの見せ方をブラッシュアップしようとなったんです。

──それまではロゴ自体がなかったですもんね。







金田:はい。イベントのテーマを改めて考えるとなった時に、今あるのはTHEラブ人間の自主企画イベントだけど、「今後はどうなっていきたいか?」っていうのをデザインに入れようと。下北沢には各商店街にいろんな祭りがあるんですけど、そのひとつに参加できるような、下北沢の新しい祭りになりたいねってことで、「祭」って漢字をイメージした「ニテ」のロゴが完成して、意識的に祭りを目指すようになりました。

──パレードやフリーマーケット、無料ステージを作るようになったのが2014年ですね。やりたいことをやればやるほど準備は大変になると思いますが、関わる人が増えていって、<下北沢にて>がTHEラブ人間だけのものではなくなっている感覚はありますか?









金田:いい意味でありますよ。ちゃんと手を離れていく感覚というか。その一方で、今年はメンバーと「THEラブ人間が置いてけぼりにならないようにしないとね」とは話しました。力足らずにならないようにしたいし、自分たちの手から離れてしまったらきっと誰も着いてこない。それは、今年話していて一番強く思いました。最初の一年目に関わっていた人は、メンバーと友達のスタッフと、ライブハウスの人と出てくれるバンドだけだったのが、今は全員の顔を見たくても見れていないのが現状だよねって。「自分たちが離れていったら、誰もラブ人間のイベントに呼ばれていると思わないよ?」と。ここから先もっと大きくなっていくのであれば、毎年そこが一番頑張っていくことになるだろうと思います。でも、いい意味で離れていくことに寂しさはまったくないです。どんどん祭りにしたいので。

──初開催された約10年前の金田さんでも、THEラブ人間だけのものではなくなっていく<下北沢にて>に対して、今おっしゃったことと同じように感じると思いますか?

金田:俺は何も変わっていないので、同じことを思ったと思います。ライブをやるということで、「ざまぁ見ろ!」みたいな、「どうだ? 見ろ!」というのは変わっていないので、10年前の自分が今ここにいても同じですね。







■毎年Star Kidsのライブを観て
■イベントのピークポイントが来る

──昨年の<下北沢にて>の無料エリアに茶封筒(バンド)のブースがあって、射的とかツイートを手書きでするコーナーとか、個性的な出し物が用意されているのを見たんですけど、そこに夕方になって射的の景品が無くなってからも遊んでいる子供がいて、それを見た時に「これも<下北沢にて>なのか」と、イベントの変化を実感しました。

金田:あのブースも最高でしたね(笑)。

──金田さんは当日の風景で印象に残っているものはありますか?

金田:コロナ禍でお預けになっていますけど、パレードは想像していた櫓に一番近いことだと思っているんですよ。<下北沢にて>が音楽イベントだったことは遠い過去で、今ではTHEラブ人間というひとつのバンドと、それに力を貸してくれるバンドや、お笑い芸人がいたり、飯を出してくれる人がいて、いろんな人たちが街自体をめちゃくちゃにしてくれるというか。その感じがパレードには強くあって、街を練り歩いていると、どの道も下北沢で若い頃から遊んでいた場所で、そこを自分が注目されて歩きながら、後ろには子供たちがくっついて来てくれていたり、騒いでいたりする……あれがすごく好きな瞬間ですね。あと、Star Kidsという小学生中学生のバンドの出演枠。音楽サークルみたいな感じで、毎年<下北沢にて>の開催前に自分が作った新曲をみんなに聴かせて、テーマを決めて歌詞を作ってもらい、それをみんなで歌って録音するというワークショップをやっているんです。俺は小4の時にバンドをやりたいと思って、中1の時にバンドを始めたので、Star Kidsの年齢はジャストで、その世代の子たちにバンドをやることや、音楽が楽しいってことを伝えられるのと、ライブハウスでドン!と演奏をさせられるのが一番たまらないですね。最初のロックする瞬間を見られるのって、その子の親でない限りはないと思うので。もし自分に息子とか娘が生まれたとしても、その子がバンドをやりたいと言って最初のワン・ツー・スリー・フォーを聴く機会ってなかなかないのに、それを毎年<下北沢にて>で見ることができて、自分が最初に音楽をやった時に立ち直る感じがします。まず最初にStar Kidsのライブを観てイベントのピークポイントが来てくれるから、そこからは数珠繋ぎで、ラストのトリまでの演奏に混ぜこぜになって作用していると思います。













──「自分が子供の頃にもあったら良かったな」みたいな羨ましい場でもあると思いますけど、今の子供たちが抱くバンドへの印象って、金田さんが小学生の頃とは違いますよね。

金田:まったく違うと思います。俺らはバンドしかなかったんですよ。でも、今はバンドをやるほうが少数派で、パソコン一台を親に買ってもらってラップをしたり、トラックメイクすればいいから、バンドは恐竜とか化石みたいなものなんですよ。パソコンがあれば音楽を作れる時代に、重い楽器を持って出向いて、誰かと練習をして、場所によって音の鳴りが違うライブハウスでライブをするって、「なんでそんなことをやるの?」というのが今のロックだし、バンドだと思うんですよね。そんな中でバンドを選んでいるあの子たちが本当に愛おしい。バンドを聴いていない子のほうが多いトラックメイクの時代に、楽器を弾きたいと思う感覚は、下北沢の小学校に通っている子だからこそのことなのかなと。親御さんがワークショップの参観に来るんですけど、1回目の時には曽我部恵一さんの娘さんと曽我部さんがいましたからね。「師匠がいる前で何を教えられるの?」と思いながらやりましたけど(笑)。もう10年近くやっていて、Star Kidsにいた椿 三期って男の子とは一緒に天使たちっていうバンドをやったりもしているんですよ。こうして脈々と繋がっているんだなと思って、それを学校の先生や親御さんたちも喜んでくれて嬉しかったです。







■全てのエリアと、空間と、
■人の表情が<下北沢にて>

──ここ数年で下北沢の街並みが変わって、新しい施設が増えましたが、<下北沢にて>の無料エリアもそこに溶け込んでいるから、チケットを持っていなくても、ふらっと遊びに来る人もいるんじゃないかなと。

金田:結構いっぱいいますね。ベビーカーを押しているお母さんもそうだし、お散歩しているお爺ちゃんとかお婆ちゃんが、「なんか若い子が歌っているわ」って立ち寄ってくれたり。今は<下北沢にて>が特別なんじゃなくて、下北沢という街が毎週平日も土日も関係なくイベントをやっているんですよ。街がきれいになった分、できることも増えていると思いますし、いろんな文化がごちゃっと一緒くたになって、いつでも新しいものに出会える。365日のうちの1日でも、この街に溶け込めているのは嬉しいです。

──最初の頃の<下北沢にて>は、お客さんはライブを多く見てなんぼじゃないですけど、ご飯を食べる間もないくらいに分刻みでライブハウスを回るイメージがあったんですよ。でも最近の<下北沢にて>では無料エリアで服や出し物を見たり、普通にお店に入って買い物をしたり、ライブではないところで下北沢を楽しんでいる感じがあって。

金田:出演者のライブは全部観たいけど、音楽ばっかりを聴きすぎて脳みそがパンパンになることもあるじゃないですか。最初の頃は音楽イベントだったけど、そこを超えて祭りになっていくということで、その楽しみ方は俺たちの理想だと思います。夏祭りだってずっと盆踊りを踊っているわけではなくて、ちょっと盆踊りに参加して、たこ焼き食って、わたあめ食って、お参りして、ちょっと石段に座って……みたいな、それ全部をひっくるめてお祭りなわけで。







──例えば野外フェスだったら、自然がある場所で開催されるものが多いですし、普段はライブハウスにあまり行かなくても、年に一回開放的な気分になって、音楽を聴きながら食べものやキャンプを楽しめると思うんですけど、そういった楽しみ方を都心でやるのってすごく難しいですよね。そんな野外フェスに近い楽しみ方ができる今の<下北沢にて>って、下北沢ならではのイベントだなと思います。

金田:バンドでいろんなサーキットに出させてもらっていて思うんですけど、下北沢ってやっぱり変わっているんですよ。まず、街自体が圧倒的に狭いのに、100個くらいあるカルチャーが凝縮しちゃっているから、闇鍋感があるんですよね。高円寺にもっとライブハウスがあったら近い感覚だったかもしれないですけど、下北沢はものすごい量のカルチャーが渦巻いているのに、街はちょっと綺麗だから歩いていて怖くないというのも重要だと思います。芸人だろうがパン屋さんだろうが、お母さんだろうが先生だろうが、渾然一体となっているので、何となく誰が来ても怖くない。街を歩いていてものんびりとした気持ちになれるのは、他の街と比べると野外フェスに近い感覚はあるかもしれないです。下北でしかあり得ない空気だし、もし<渋谷にて>とか<新宿にて>をやるとしたら、俺らも全然違ったアプローチをすると思います。ホストクラブとコラボとかね。イベントをやるなら、その街にフィットするものがあると思うので、<下北沢にて>のフォーマットを他の街に持って行っても、たぶん同じ空気にはならないんじゃないかな。

──もとを辿ると、THEラブ人間が下北沢発のバンドであるからこそ<下北沢にて>があるわけですし、先ほどはイベントがバンドだけのものではなくなっていく……という話をしましたが、やっぱり<下北沢にて>はどこを取ってもTHEラブ人間のお祭りなんだと思います。

金田:自分たちの作っている音楽と、やっているイベントの空気が似ているからだと思います。背伸びをしていない。自分の歌の中に出てくる登場人物たちが歩いている道や、飯を食っている場所、その景色を見て綺麗だなと思う感覚とかが全部この街ありきで、下北沢の街から離れていない、そういう作詞と作曲をしてきたからなんじゃないかな。茶封筒のブースで子供が戯れていたり、<下北沢にて>に遊びに来たふたりが恋人になるかもしれないし、そういうのってうちのバンドの歌の中に出てきそうじゃないですか。それを俺は歌手として、上から俯瞰して見ている。THEラブ人間の歌の中に出てくる人のことは上から微笑ましく見て書いているので、<下北沢にて>の当日に行なわれていることも圧倒的に楽しめているんだと思います。





──では、THEラブ人間を知らない人が<下北沢にて>にふらっと立ち寄るのも、その一部なんですね。

金田:当日にチケット代を払ってライブを観るのってめちゃくちゃハードルが高いじゃないですか? だから、野外ステージを立てられる環境になったのはめちゃくちゃ嬉しいです。「チケット代払って絶対に来いよ!」とは思わないけど、有料チケットでしか見られないところだけが<下北沢にて>というわけじゃない。全てのエリアと空間と人の表情が<下北沢にて>だから、イベントを楽しんでもらう時にちゃんと音楽を聴かせられる場所が無料で作れるのは、このイベントにとってめちゃくちゃでかいと思います。

■俺たちはずっと変わらないので
■ここから先もいろんな出会いがある

──今年は無料ステージだけでも4つありますが、年々大きくなっていませんか? 初めはバンドで出演するヴォーカリストが弾き語りで無料ステージに出ているイメージがありましたが、チャラン・ポ・ランタンをはじめ、ここのステージでしか観られないアーティストもいますし。

金田:無料ステージだけでも初年度の規模を超えちゃっていますね(笑)。チャラン・ポ・ランタンは当日ステージを設置する下北線路街 空き地に普段からレギュラー出演をしているので、ホームとしてやってくださるかなと思います。やっぱり、この空き地があるのは大きいですね。今年は<下北沢にて>を冬のサーキットだけではなくて、春と夏と秋にも開催したんですけど、秋編は空き地でやったんですよ。野外なので、子供が遊んでいる中でリハをやりましたけど、たぶん今までのバンド人生の中で一番盛り上がりましたよ。狂喜乱舞で踊ってくれて、客が盛り上がっているランキングはあれが一位かな(笑)。空き地の持つパワーは大きいですね。



──そして有料チケットで回ることができるライブハウスは18会場。出演者は毎年THEラブ人間のメンバーもブッキングしているわけですが、今年のラインナップはどうですか?

金田:コロナ禍に入って2年くらい経ちますけど、2020年の一年間はTHEラブ人間のライブもすごく少なくて、一年間でいろんな出会いがあって最後にイベントをやるっていう、今まで輪廻のように繰り返していた流れが初めて緩やかになってしまったんですよね。だから、自分と歳の離れている結成2年目くらいのバンドが本当に増えていて、それはコロナ禍で結成している子たちがいっぱいいるってことだと思うんですよ。今回は僕がSpotifyのプレイリストを担当して作ったので、それぞれのバンドの音源を端から端まで聴きながら一番好きな曲を探したんですけど、今年はめちゃくちゃフレッシュだと思います。THEラブ人間が<下北沢にて>を始めた頃くらいのキャリアのバンドが多いので、ワクワクしますね。まだライブを観れていないバンドもいるので、当日は一曲でも聴けるようにかけずり回ります。やっぱり音源とライブは違いますからね。

──当日はどこの会場に行ってもTHEラブ人間のメンバーの誰かしらがいらっしゃいますけど、本当にお客さんみたいですよね。

金田:バンドが主催しているっていうのが大きいですよね。これはバンドの自主企画であって、例えばメンバーが直接呼んでいないバンドだとしても、うちのスタッフとか信用していて大好きな仲間たちが「カッコ良いですよ」「聴いてくださいよ」って声をかけてくれたバンドなので、楽しまないと損というか。やっぱりシンプルに音楽が好きだし、祭りなので。

──今年の新しい見どころはありますか?

金田:紹介したら数えきれないくらいあるんですけど、シモニテTVというのが始まります。紹介文には「没入型番組」と書きました。街を歩いていて、左を向いたら古着屋があって、右を向いたらレコ屋があって、テイクアウトのコーヒーがあって……って言うのを体験しながらライブハウスに行ったり、休憩するのがサーキットイベントの楽しみ方じゃないですか? それを出演するバンドの人たちにカメラを持ってやってもらって、街自体を散策してライブを観にいくのをその人の視点で楽しめるというものです。

──そのカメラを持った人の気分で、どこに行くか分からないわけですね。

金田:ドキュメンタリーみたいな感じで、台本も用意せずに回ってもらうので、その人の素の部分も出ると思います。あと、今年も南口商店街で流れる生配信ラジオがあります。

──MCのカネコトモヤさんは12:00から18:00までずっと喋り続ける?

金田:そうですね。しかも、トモヤはラジオ局を飛び出して街のレポートまでしてくれます。あとはアイツのマンパワー次第ですね。

──ラジオのあとは440でライブ出番もありますが…。

金田:はい(笑)。久しぶりの復帰なので、そちらも楽しんでほしいですね。

──今年はフレッシュなラインナップが揃いつつも、第一回の時から出ているバンドもいますね。

金田:同期ってもんは本当にいなくなっていくものですから、初年度から出ている人は珍しいですよ。初年度の忘らんねえよは、仕事帰りでスーツを着たまま椅子に座ってライヴをしていましたね。当たり前ですけど、音楽シーンは巡るので、それを知るだけでなく共演ができる場でもあります。普通の対バンじゃ知り合えないし、結成2年目のバンドとイベントを組んでもらう機会もあまりないので。俺たちはずっと変わらないしずっとやっているので、ここから先もいろんな出会いがあるのかと思うと、<下北沢にて>もやっている意味があるのかなと思いますね。



取材・文◎千々和香苗

<下北沢にて>

2022年12月3日(土)
会場:シャングリラ / CLUB251 / 440 / BASEMENTBAR / THREE / SHELTER / Flowers Loft / LIVE HAUS / MOSAiC / DaisyBar / Laguna / ERA / WAVER / mona records / CREAM / ReG / 近松 / 近近 / 下北線路街空き地
チケット販売中
一般:¥4,500(別途1ドリンク¥600)
学割:¥3,000(別途1ドリンク¥600)※18歳以下対象
https://eplus.jp/shimokita-nite22/

◆<下北沢にて>オフィシャルサイト
◆THEラブ人間オフィシャルサイト
◆<下北沢にて>特設サイト
◆シモニテTV配信チケット
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