【コラム】SixTONESの楽曲解禁に翻弄される？ ニューアルバム『声』からの粋なプレゼント

2022年、SixTONESの音源に関する斬新な情報解禁方法が話題を呼んでいる。メンバー・松村北斗主演の今春放送されたTVドラマ『恋なんて、本気でやってどうするの？』の挿入歌「わたし」も、初回オンエア内でサプライズ解禁されるという異例の展開だった。とはいえこのような一風変わった試みは、単発であることがほとんど。だがそれを続けるだけでなく、様々な手法で想像を超えていくところに、SixTONESチームのエンタメアンテナの高さが伺える。

今夏に「PARTY PEOPLE」のミュージックビデオがYouTubeにて急遽公開されるなどサプライズは続くが、異変が起きたのは11月12日午前9時ごろだった。その後追って公式サイトとTwitterではこのような文言が投稿された。

“SixTONESオフィシャルHPでは、現在試聴音源において、【メンバーのボーカルが抜ける】不具合が発生中です。復旧状況はHP上でご確認いただけます。今しばらくお待ちください”

メンバーのボーカルが抜ける？　不具合？　というか試聴音源とは？　と混乱したリスナーが、その内容の拡散と並行してサイトにアクセス。そこに出現したのは過去にリリースされたシングル曲の、メンバーの歌声だけがまるごと抜け落ちた音源の試聴システムだった。

あわせて復旧作業のアナウンスがなされ、翌11月13日午前9時には音源が“メンバーの歌声がランダムに抜け落ちた”状態へと変化。11月14日午前9時にはさらにボーカルパートの復旧が進む。全員の声が揃った完全な音源ではないものの、通常では聴くことのできない各メンバーのハモリをクリアに聴くことができるのはプレミアムな仕様であるとも言い換えられる。

そして11月15日午前9時に“SixTONESオフィシャルHPで発生しておりました、試聴音源の不具合につきまして、完全復旧したことをご報告いたします”という発表が。オフィシャルサイトにアクセスすると、デビュー曲である「Imitation Rain」から最新シングル曲「Good Luck！」「ふたり」までシングル楽曲の試聴システムが並び、さらに“復旧報告”にアクセスするとニューアルバム『声』が2023年1月4日にリリースするという情報が開示された。

“ボーカルが抜け落ちた音源”は“声”というタイトルの伏線であり、ボーカルが書けた状態は“不具合”である。つまり“6人の声が揃ってこそSixTONESの音楽である”という意思表示だったのだ。さらに詳細を読み進めると“声”というタイトルには“歓声が消えた時代だからこそいつの日にかまた熱い声を聴きたい、届けたい”という思いが込められているという。

なるほど、そういうことかとすっきりしたかと思いきや、告知文を読んでみると気になる表記が。

“大ヒットシングル「共鳴」「わたし」「Good Luck!」「ふたり」に加え、夏にYouTube限定で発表され爆発的に人気となった「PARTY PEOPLE」、ソニー「LinkBuds S」のCMソング「Boom-Pow-Wow!」、さらに「　　　　」など、共通曲13曲に各形態ごとのボーナストラックを含め、合計で21曲を収録している”

ここまで様々なサプライズをくらってきたリスナーからしてみれば“「　　　　」”が気になって仕方がなくなるのは必然だ。するとその3日後、11月18日に放送されたテレビ朝日系『題名のない音楽会』の放送中に流れたCMに、“♪SixTONES／Always”の文字が。これが「Always」の初解禁であり、題名の明かされていなかった、もとい“題名のない”楽曲の、“「　　　」表記だけ”の楽曲の正体が明らかになった。過去に出演歴のある番組のロゴやタイトルともリンクさせて、CMで展開するという小粋なギミック。これまでのSixTONESの活動の点と点とつなげて線を作るだけでなく、新しい物語まで描き出してしまった。

さらに11月26日には、公式Instagramアカウントにて突如開始したインスタライブで初回盤Bに収録されるユニット曲3曲を解禁。これらがすべて2週間以内に行われているというインターバルにも驚きだが、やはりこの“すべてのメディアを巻き込む”という手法はSixTONESというワイルドでクールかつ型破りな存在だからこそ様になるクリエイティヴィティと言えるだろう。『声』のリリースまであと約半月。いったいこの先には何が待ち受けているのだろうか。新年のカウントダウンをおざなりにしてしまうくらい、1月4日に目が離せない。

文◎沖さやこ