【インタビュー】ミケランジェロ・マーティン、ハウイ・Bプロデュースで1st AL『Trame』12月14日(水)リリース

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イタリア出身のミケランジェロ・マーティンが、U2やビョークなどのプロデュースで知られる大物プロデューサー、ハウイ・Bプロディースの元、1st アルバム『Trame』を2022年12月14日(水)にデジタル・リリースする。

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Trame from Michelangelo Martin on Vimeo.



ミケランジェロ・マーティンがハウイ・Bにデモを送ったことがきっかけで、イタリアでアルバム・タイトルになった「Trame」という曲をハウイBがプロデュースすることとなった。それから親交が深まり、9曲入りの本作をともに完成させた。このアルバムはイタリアの中部のチヴィタノーヴァ・マルケとフランスのオレロン島でレコーディングされ、ロンドンのジョー・ハーストがエンジニアを務め、ブリストルのショーン・ジョセフがマスタリングを担当。自費で3年もの時間を費やしアルバムを制作した本作は、自身のイタリアのルーツを反映させたオリジナルでパーソナルな作品になっていると言えるだろう。

──出身は? 音楽的な家庭の中で育ったのでしょうか?

M: 僕はイタリアの中心部にあるポルト・ポテンツァ・ピチェーナという小さな街の出身なんだ。母方の祖母はアマチュアのミュージシャンだった。彼女から音楽と絵を描くことへの情熱を受け継いで、子供の頃から僕は絵を描くことと音楽を演奏することが大好きだった。父方の祖父は、戦後から家を建てる仕事をしていて、田舎と海の近くにある僕らの実家も建ててくれた。父親は銀行員だったから、彼から実務的ビジネス的な部分を受け継いだと言える。イタリアのレーベルからアルバムのリリースが決まってから、僕はミランに移住した。この街はイタリアの心臓部分とも言えるよ。

──あなたのホームタウンの歴史、カルチャー、音楽シーンなどについて教えてください。

M: 僕の出身地はファッション業界では高いレベルの職人技術で知られている。トッズなどのブランドがここで誕生したし、イタリアやフランスの有名ブランドの商品もここで製造されている。でもこの街の音楽シーンはあまり活気がなくて、優れたミュージシャンはいるけど、大抵はジェノバ、ナポリなどイタリアの音楽業界の中心地に移住してしまう。僕が育った地域は、教会の支配下から最後に解放された地域なので、そこで発展したのは主に宗教芸術だけだった。

──音楽制作を始めたきっかけは? 影響された音楽は?

M: 子供の頃から音楽に情熱があって、車の中や自宅、どこにいても両親にイタリアの偉大なミュージシャンのレコードをかけてほしいとせがんでいた。インターネットとiPodが広まると、兄にいろいろな音楽をダウンロードしてもらって、そこからロックやメタルを発見した。成長していくうちに、ファンク、ジャズ、エレクトロニック、クラシックなどあらゆるジャンルを聴くようになったんだけど、一番好きなのは、60年代〜80年代のジーノ・パオーリ、セルジオ・エンドリゴ、ルイジ・テンコ、フランコ・バッティアートなどのイタリアのシンガーソングライター、そしてプッチーニなどの作曲家のイタリアのオペラなんだ。10歳のときに初めてレッド・ホット・チリ・ペッパーズなどのロックバンドを聴いたんだけど、そこからギターを演奏するようになって、そのあとはベース、ドラム、ピアノも演奏するようになった。最終的に、自分の使命は、自分で曲を書いて歌うことだということに気づいたんだ。10代のころに作った曲は、ラップトップでレコーディングして、あまり出来は良くなかったけど、今聞き返すと微笑んでしまうね(笑)。でも、そのころから何かを表現したいという強い衝動があった。そのあとは、僕の出身地の職人たちから学んだように、一生懸命曲作りの練習を重ねていくことに専念するようになった。

──アルバムのコンセプトについて教えてください。

M: アルバム・タイトルの「Trame」という言葉にコンセプトが含まれているんだけど、この言葉には二つの意味がある。それは、「質感」と「物語」。僕がアルバムのビジュアル素材を全部クリエイトしたんだけど、その作業のときに出てくる僕の手作り感へのこだわりと、それぞれの楽曲に含まれている物語性が、このタイトルに反映されている。曲の歌詞は恋愛の物語とか、イタリアン・ライフについての気持ち、夢のような旅をテーマにしている。アルバムは3つのパートに分けられているんだけど、後半に書いた曲は全て自分で作って、前半の曲は友人のファビオ・デ・サンクティスと作った。アルバムの曲順は制作した順序の逆になっていて、最近作った曲が前半に入っている。そして、GNMRことDJジアンマリア・コッキュルトが手がけた「Trittico」のリミックスも収録されている。

──歌詞は全て一人で書いているのでしょうか?歌詞はいつもイタリア語ですか?

M: 前半に作った曲は、ファビオ・デ・サンクティスと作詞をしたんだけど、残りの曲は一人で作詞した。僕はイタリア語の歌詞にこだわっている。イタリア語というのは、無数のニュアンスが含まれているから、はっきりしたコミュニケーションには向いていない言語だけど、さまざまな解釈ができる言語だから、ポエトリーには向いている。

──ソングライティングのプロセスは? 一人で作曲をしているのでしょうか? またはコラボレーションをしていますか?

M: いつもメロディから作曲し始める。ポップ・ミュージックでは、メロディが中心になっていて、メロディが力強くなければいけない。そこからハーモニー、アレンジを考える。イタリアのオペラには、数々の忘れられないメロディが含まれているから、とても勉強になった。オペラでは、全ての楽器のオーケストレーションは、メインの旋律をサポートするためにあるんだ。作曲と楽器の演奏はほとんど自分でやっているけど、最終的なレコーディングをするときは、プロ・ミュージシャンの友人にも参加してもらう。ギターとバックボーカルのレオナルド・フォナトノット(彼もイタリア語の歌のプロジェクトをやっている)、ベースのマテオ・トルディーニ、バックボーカルのニコ・ゲロシ、アコースティック・ベースのトリスタン・ブレス(ハウイBの作品に参加しているフランス人のミュージシャン)などが参加した。テクニカルなスキルよりも、スタジオの中で仲間と作業することの方が大事で、その方がクリエイティブになれる。


──ハウイBとの出会いの経緯は?

M: 3年前に、曲作りをするために友人のファビオ・デ・サンクティスのスタジオに行ったんだ。「Trame」のデモを僕が持ってきて、二人で完成させた。とてもパワフルな曲に仕上がったんだけど、ファビオは以前ハウイと仕事をしたことがあって、「ハウイBにこの曲を聴かせてもいい?」と提案してくれたんだ。僕はU2のハウイのプロダクションの大大ファンだったから信じられなかった。そこから何度かハウイと会って、アルバムのプロデュースを手掛けてもらうことになった。前半はイタリアで制作をして、後半はフランスの島にあるハウイのスタジオで制作をした。ハウイとは親交が深まって、彼は僕の家族とも仲がいいし、彼の息子のザックが12歳のときに、「Trame」と「Portogallo」の美しいボーカルを担当してくれた。

──サウンド作りの上でハウイはどのような貢献をしてくれましたか?

M: ハウイは素晴らしいプロデューサーで、音楽的経験がとても豊富だ。彼はあまり口では説明しないけど、実践で教えてくれるタイプ。だから彼の行動をよく観察していると、人生と音楽において学ぶことがたくさんある。彼は僕にとって師匠のような存在だ。

Trame Acoustic Live from Michelangelo Martin on Vimeo.



──今作のために、あなたは美しい映像を制作しましたが、何にインスパイアされましたか?

M: まずは僕が手書きで絵を描いてから、アニメーションで仕上げて映像を制作している。歌詞の物語から映像を作っているから、音楽とビジュアルは完全にリンクしているんだ。それこそが、僕の作品の中核になっている。

──日本のリスナーにメッセージをお願いします。

M: 日本の皆さん、ハロー! 僕はイタリアの若いアーティストですが、あなたの国にとても興味があります。僕が伝えたいメッセージは、「音楽は普遍的な言語」。

Interview by Hashim Bharoocha


『Trame』

2022年12月14日(水)
Dog Tooth Records

■Tracklist
01. Mesopotamia
02. Annie & Mikie
03. Campanili
04. Trittico
05. Pianoforte
06. Fragola
07. Portogallo
08. Molecole
09. Trame
10. Trittico Remix by GNMR

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