【ライブレポート】BabyKingdom、「みんながべびきんを幸せにしてくれてます」

ツイート

“MUSIC THEME PARK=音楽のテーマパーク”をコンセプトに掲げる4人組バンド・BabyKingdomが、全10公演に上る冬のワンマンツアー<Grace Ecclesia>のファイナル公演を12月4日に神田スクエアホールにて開催した。

◆ライブ写真

ひとつひとつの楽曲をテーマパークのアトラクションになぞらえ、毎回異なるテーマでリリース&ライブを行っている彼らが、11月2日にリリースした最新曲「ダクラメント」で打ち立てた新アトラクションは“修道院”。修道士やシスター、法王を思わせる衣装に身を包み、ロックチューンとは相性の良いヘヴィかつ荘厳な世界観で非日常へと誘うと、本編終わりには新たなツアーを2本も発表するサプライズも。ばぶりーずと呼ばれる“べびきん”ファンに、一足早いクリスマスプレゼントとお年玉を一気に届けてくれた。


讃美歌が厳粛に流れるなかに教会を思わせるステンドグラスがそびえ、まさしく“神への祈りを捧げる場”となったステージに4人が放った1曲目は、もちろん「ダクラメント」。攻撃的な重低音に客席は一気に身体を折り畳み、舞台上を胡乱に蠢くメンバーの動きは不可思議な陶酔を呼んで、一心に腕を振るオーディエンスと共に神秘的な一体感を創り上げる。しかし、続けざま「拳を高くあげて!」という咲吾(Vo)の煽りから「GOLD」へと雪崩れ込むと、タイトル通りの眩いアッパーチューンに、ばぶりーずも大きく身体をうねらせ手拍子を鳴らして狂喜乱舞。「咲き誇れ!」(咲吾)と始まった志記(G)のギターソロも、この曲とコラボを果たしたメディアミックスプロジェクト『マガツノート 戦シーズン 壱st Battle「桜華狂騒」』でのバトルを彷彿させる桜花爛漫の華々しさだ。

ダーク極まる最新曲に、桜を奪い合う物語のため書き下ろされたキラーチューンと、タイプ真逆の2曲で冒頭からテーマパークらしさを垣間見せたあとは、以前、本サイトのインタビューでも語っていた“身体を使って体感する参加型ライブ”をさっそく実現。コロナ禍でなければ左右に飛び跳ねて大移動しただろう「カンチGUY&GIRL」、蝙蝠を作って揺らしたり合掌したりとエキセントリックな振りつけにヘッドバンギングが吹き荒れる「半端嫌~HAMPIRE~」と、ばぶりーずに容赦なく体力消費させて「お疲れさん、自分たちに拍手しよう!」と賞賛する。さらに、前者ではトリッキーなもにょ(B)のベースからロックンロールなギターで攻め立て、虎丸(Dr)の爆裂ソロ繋ぎがあったり、後者でも志記が運動会でお馴染みのクラシック曲「クシコス・ポスト」を巧みにメロ弾きしたりと、演奏力の高さも特筆しておきたいところだ。


声を出せない客席に「鳴りやまない手拍子を、拍手を!」と求めたMCでは、修道院と化したステージを見渡し「MUSIC THEME PARKを音楽だけじゃなく、視覚でも形にできるようになったのは本当にありがたいなと思っております」と、咲吾も感慨深げ。それもそのはず、彼らは約1年前にも同じ神田スクエアホールでワンマンを行っており、その公演をもって前事務所を退所&独立しているのだ。そこからの苦難を乗り越えた結果、動員もグッと増えたとのことで、後のMCでは「うちのリーダーに拍手してほしい! 頑張ったんだよ、彼!」と、ベースのもにょを褒めたたえる場面も。「この1年、確実に強くなって帰ってきたぞ!」という咲吾の言葉に嘘はない。


「まだまだ全員でかっとばしていこうぜ!」と「ダクラメント」のカップリングでもある高速メタル曲「PECIOUS ROSE」で再び厳かな世界を創り上げ、直後に「ハイカラ」でツーステップやパラパラを繰り出すというギャップありすぎの展開も“MUSIC THEME PARK”なればこそ。ロックとエレクトロとダンスが謎融合した「ハイカラ」がデビュー曲であるという事実からも、彼らの手強さが見て取れるだろう。以降も、雷の音から激烈に奏でられる三拍子やシャウトボーカルに、オーディエンスが恍惚と頭や腕を振る「まほらば」、曲名通り爽やかでファンタジックな空気が広がる「ドラゴンと少女」、実直な恋心をスピード感たっぷりに綴る「WHITE KNIGHT」と、多彩なアトラクションを披露。「1曲1曲がアトラクションなので、みんなをいろんなところに連れていく」という咲吾の宣言を、ポップもロックも何でもござれの豊かな演奏力と柔軟な表現力で見事に具現化してみせる。

ホイッスルを吹き鳴らしてポップに跳ねる「君はヴィーナス」に、重厚なギターリフや虎丸の雄大なドラミングが迫りくる恐竜をスリリングに彷彿させる「恐竜賛歌DINOBOY」と、恐竜モチーフの2曲からは激熱ゾーンへ。咲吾がランニングベースを奏でるもにょに寄り添ったり、志記がドラム台に乗り上がったりとエモーションを爆発させた「BANG UP」を挟み、「ヴィジュアル系っぽくないと言われたけど、俺たちにとっては誇りの1曲です!」と贈られたのは「ぱらでーしょん☆彡」。“誰も置いてかないよ 跳ねるリズム”という歌詞の通り、大きく手を振るばぶりーずたちの姿は心底楽しそうで、スラップベースからギターへの爽快なソロ繋ぎも、さらなる高揚感をかき立てていく。そうして会場中に生まれる笑顔こそが、彼らの“誇り”なのだろう。


「これからもBabyKingdomとばぶりーずが健康に生きていけますように」と本編を締めくくったのは、こちらも「ダクラメント」のカップリングである「めっちゃアーメン」。ステージからスモークが噴き上がり、サイドステップやお祈り、ハートやバッテンポーズのある可愛い曲で拳を突き上げるという難易度の高い動きを、ばぶりーずたちが完璧にこなせるのは、リリースのたびに公開されている振りつけ動画の賜物。ライブ中「でっかいスピーカーから音が鳴って暴れるのが好きなんでしょ? そんな自分をこれからも大切にしろ!」と咲吾は叫んだが、それを叶えるための手立てを彼らは常に整えている。

4人がステージを去ると、モニターに告知映像が三連発。まず、春の新曲……ならぬ、新アトラクション発表まで制作期間に入るのに伴い、<新アトラクション増設工事中 ツアー『トンネルの向こう側』>が、来年1月15日の新横浜 NEW SIDE BEACH!!より東名阪全4箇所で行われるという。志記いわく「リリースがないから、何が来るかわからない縛りのないツアーになる」うえ、実験的に声出し可能公演ともなり、ファイナルの2月5日ESAKA MUSEでは「楽しいお話」もあるそうだ。また、2月12日の高松 DIMEを皮切りに<べびきんと行こう日本の良い所ツアー『COUNTRY ROAD 2023』>と題して、これまで訪れる機会の少なかった地方都市を巡るツアーも開催。8ヶ月をかけて全10公演を回る予定で、中でもファイナルの10月9日・東加古川スターダンスは、もにょ&志記の兄弟にとって地元で雄姿を見せる、いわば“凱旋公演”になる。さらに来春にはシングルのリリースと、それに伴うツアーも決定。「バリかっこええねんな!」と咲吾が胸を張る新アトラクションを楽しみに待ちたい。


客席をバックに記念写真を撮影し、センチなミドルバラード「僕らのメリーゴーランド」から始まったアンコールも全5曲の大ボリューム。ピョンピョン跳ねる“粉雪ジャンプ”が愛らしい冬季限定曲「アイシングシュガー」、ヘドバン三昧の激ロックからパラパラへの高低差に度肝抜かれる「チキンライダー」、赤い如意棒を振りかざす咲吾に客席ではモンキーダンスと扇子の花が咲く「満天モンキーウェイ」と、目にも耳にも鮮やかなナンバーを次々に投下していく。ラストの「HeartBeat」で金テープが噴射されると、咲吾は「お前らのおかげでこれが飛んだぞ!」と声をあげ、志記もクライマックスでステージ中央に集い忘れた1年前のミスをしっかりリベンジ。さらに、金テープを拾い集めるばぶりーずたちに、何も印刷されてないから必死にならなくていいと咲吾が告げて、「字入れるのにもっと金かかるねん! 次、入れられるように頑張るから!」と裏事情をバラすのも潔い。すべてを自分で運営している彼らに隠すものもなければ、自らを繕ったりカッコつける必要もなく、つまり怖いものなど何もないということなのだ。

最後は「いろんなことを経験すると時間が濃く感じられます」と、状況が激変したこの1年を振り返り、「みんながBabyKingdomを幸せにしてくれてます、BabyKingdomもみんなを幸せにできるように頑張ります!」と咲吾が宣言。事実、この日のステージにはカメラが入っており、初めての映像作品もリリースされるという。自らの手で環境を整え、着実に前へと進み続けるべびきんは、2023年もばぶりーずたちに喜びを与え続けるだろう。

取材・文◎清水素子
写真◎菅沼剛弘

セットリスト

M1.ダクラメント
M2.GOLD
M3.カンチGUY&GIRL
M4.半端嫌〜HAMPIRE〜
M5.PRECIOUS ROSE
M6.ハイカラ
M7.人生崩壊SHOW!
M8.まほらば
M9.ドラゴンと少女
M10.WHITE KNIGHT
M11.君はヴィーナス
M12.恐竜賛歌DINO BOY
M13.BANG UP
M14.ぱらでーしょん☆彡
M15.めっちゃアーメン

En1.僕らのメリーゴーランド
En2.アイシングシュガー
En3.チキンライダー
En4.満天モンキーウェイ
En5.HeartBeat

<BabyKingdom 新アトラクション増設工事中ツアー『トンネルの向こう側』>

2023 年
1月15日(日)新横浜 NEW SIDE BEACH!!
1月20日(金)渋谷 REX
1月29日(日)HOLIDAY NEXT NAGOYA
2月5日(日)ESAKA MUSE

チケット情報
【全4公演共通プレオーダー受付期間】
2022年12月10(土)12:00〜2022年12月17日(土) 23:59
【全4公演共通一般チケット発売日】2022年12月27日(火)12:00〜

<BabyKingdom べびきんと行こう日本の良い所ツアー『COUNTRY ROAD 2023』>

2023 年
2月12日(日)高松 DIME
5月27日(土)HEAVEN'S ROCK 熊谷 VJ-1
6月3日(土)熊本 Django
6月4日(日)熊本 Django
6月24日(土)札幌 Crazy Monkey
6月25日(日)札幌 Crazy Monkey
9月16日(土)新潟 GOLDENPIGS-BLACK STAGE
9月17日(日)新潟 GOLDENPIGS-BLACK STAGE
10月7日(土)滋賀 U☆STONE
10月9日(月祝)東加古川スターダンス

チケット情報
※2月12日(日)高松 DIME
【プレオーダー受付期間】
2023年1月12日(木)12:00〜2023年1月19日(木) 23:59
【一般チケット発売日】
2023年1月29日(日)12:00〜

※5月27日(土)HEAVEN'S ROCK 熊谷 VJ-1
【プレオーダー受付期間】
2023年3月27日(月)12:00〜2023年4月3日(月) 23:59
【一般チケット発売日】
2023年4月13日(木)12:00~

※6月3日(土) 6月4日(日)熊本 Django
【プレオーダー受付期間】
2023年4月4日(火)12:00〜2023年4月11日(火) 23:59
【一般チケット発売日】
2023年4月21日(金)12:00〜

※6月24日(土)6月25日(日)札幌 Crazy Monkey
【プレオーダー受付期間】
2023年4月25日(火)12:00〜2023年5月2日(火) 23:59
【一般チケット発売日】
2023年5月12日(金)12:00〜

※9月16日(土)9月17日(日)新潟 GOLDENPIGS-BLACK STAGE-
【プレオーダー受付期間】
2023年7月17日(月)12:00〜~2023年7月24日(月) 23:59
【一般チケット発売日】
2023年8月4日(金)12:00〜

※10月7日(土)滋賀 U☆STONE、10月9日(月・祝)東加古川スターダンス
【プレオーダー受付期間】
2023年8月7日(月)12:00〜2023年8月14日(月) 23:59
【一般チケット発売日】
2023年8月24日(木)12:00〜

◆BabyKingdom オフィシャルサイト
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス