【ライヴレポート】LUNA SEA、<黒服限定GIG 2022 LUNACY>初日「きっと過去には未来がある」

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LUNA SEAが12月17日および18日の2日間にわたり、さいたまスーパーアリーナにて<黒服限定GIG 2022 LUNACY>を開催した。

◆LUNA SEA 画像

LUNACY名義による<黒服限定GIG>開催は、12年前の東京ドーム無料ライヴ<LUNACY黒服限定GIG -the Holy Night->以来(2014年にはLUNA SEA名義でオフィシャルファンクラブSLAVE限定の<黒服限定GIG 2014>を東京と大阪で開催)だ。初日公演となった17日のライヴのMCでRYUICHIが、「きっと過去には未来があると思って」と話したことは、LUNA SEAがLUNACYとして、今、ステージに立った大きなヒントでもあるだろう。


2010年にREBOOT(再起動)を発表し、先に記した東京ドームでのライヴを経て最初にリリースした音源は、新曲ではなく、インディーズ時代の1stアルバムをセルフカバーした『LUNA SEA』(2011年発表)だった。LUNACY時代の原点の楽曲に立ち返ることから、彼らは再び5人で新しい時間を刻み出したのだ。時は飛んで、RYUICHIの喉の手術、バンドとしての充電期間を経て、新たな声を披露したのが2022年8月26日および27日に日本武道館で開催された<LUNA SEA 復活祭 -A NEW VOICE->である。これを今一度の再起動と定義づけたならば、5人はバンドの初期衝動、つまり原点の中に今一度身を置くことで見えてくる景色を欲していたのではないだろうか。

<黒服限定GIG 2022>開催前に、インディーズ時代を象徴するダークでコアな楽曲に加え、SLAVEの中でも伝説となっている未だ音源化されていない楽曲さえも演奏するとオフィシャルサイトで告知していたLUNA SEAだが、ヴィジュアルのみならず、セットリストもステージの在り方も徹底してLUNACYだった。“まさか、この曲をやってくれるとは!”とさいたまスーパーアリーナがどよめいた初日17日の模様をお伝えしたい。


漆黒の夜──さいたまスーパーアリーナは客席が黒服で埋め尽くされていた。クリスマス時期に同会場で開催されていた、これまでのLUNA SEAのライヴとは全く違う張り詰めた空気が漂っている。LUNACY時代を知っている人もREBOOT後に好きになった人も来場していると思われるが、そんな境界線を超えて<黒服限定GIG >に参戦していることがひしひしと伝わってくる。

開演予定時刻の17時30分をまわると場内から手拍子が沸き起こり、約20分遅れでライヴは幕を開けた。時計が時間を刻む音が鳴り響き、暗闇のステージにSUGIZOのバイオリンが奏でられる。INORANのアルペジオギターが響き、真矢のドラムとJのベースが加わり、RYUICHIが吠える。まさに漆黒の世界を描き出すナンバー「THE SLAIN」がオープニングだ。この幕開けに度肝を抜かれていると、駆け抜けるエッジーな「FATE」、インディーズ時代から存在しながらなかなか音源化されなかった「SLAVE」が投下される。Jがスロープに移動し、SUGIZOとINORANが向かい合い、真矢の力強く派手なドラムプレイに高揚させられる。


「最狂の夜を楽しもうぜ! 飛ばしていこうか」──RYUICHI

これに呼応するように大きな拍手が送られ、Jのベースで始まる「MECHANICAL DANCE」(アルバム『IMAGE』収録)へ。スモークが噴射される中、RYUICHIの艶のある低音ボイス、JのベースソロからSUGIZOのアクロバティックなギターソロへと移行する展開も刺激の塊。“機械仕掛けのアダムとイヴ”が生きる罪深い楽園を歌った歌詞もフレーズも今のLUNA SEAのベクトルとは違うが、5人が過去の自分たちを再現しているわけではないことは明らかだ。かといって今のLUNA SEAがLUNACY時代に生まれた楽曲たちを生まれ変わらせているわけでもない。彼らは2022年のこの瞬間、本気で当時の楽曲に向き合っているのだ。

荒削りなテイストを残した「BRANCH ROAD」のラストではRYUICHIの「絶望」という言葉が不穏に響きわたり、今のLUNA SEAのスケール感やアンサンブルに通じるミドルバラード「SANDY TIME」では幻想的な世界にいざなった。砂が舞い上がるような景色を浮かび上がらせるSUGIZOのギター、ループするJのベースフレーズが曲のフックになり、RYUICHIのシャウトが孤独感を増幅させる。真矢、J、INORANのストイックなプレイの凄味も際立っていた。


「今夜も最高だな、アリーナ! 今年もLUNA SEA、ラスト2日間なので思いきり狂っていきましょう。いいですか?」──RYUICHI

煽った後に投下されたのはRYUICHIのシャウトと畳みかける演奏が狂気的な「SYMPTOM」。そして、もともと2ndデモテープに収録されていた高速ナンバー「SHADE」とヤバすぎるセットリストだ。間奏で3拍子になる展開から、ネジが狂って回転するようなSUGIZOのギターフレーズや構成も含めてキテる。MCがほとんどないのも当時のLUNACYのライヴスタイル。衝撃を残して第1部が終了した。


インターバルを挟んでの第2部では、気合いの入ったSLAVEたちの予想を超えるさらなる驚きが待っていた。RYUICHIの第一声。「もう死んだ振りさせない。「JUNK」」に会場はどよめいた。音源化されていない超レアなナンバー「JUNK」が30年以上の時を超えて、いきなり演奏されたのだ。唯一、INORANがギターソロを弾くナンバーとしても伝説化され、語り継がれていた曲だけあって、コアなSLAVEは“夢を見ているのでは?”と思ったのではないだろうか。続いて、特効とともに今でもライヴの定番曲として君臨している「Déjàvu」ではドラム台にメンバーが集結する見せ場も。

「12年ぶりに復活した<黒服限定>、LUNACY。楽しんでるかい? 俺たちもめちゃめちゃ久しぶりなんだけど、きっと過去には未来があると思ってね。久々に今夜は、はみ出してしまいましょう!」──RYUICHI

SLAVEを仰天させたのは「JUNK」だけではなかった。RYUICHIの意味深な言葉に続いて演奏されたのは、1stデモテープ「LUNACY」に収録されていた「SEXUAL PERVERSION」。Jのベースで始まるこの曲はあの「TIME IS DEAD」の原曲だ。ギターフレーズやキメ部分、間奏を聴くと確かにそうなのだが、歌詞は日本語が多く、メロディもギターソロも違うので、ここから始まったのか!?という新鮮な驚きに満ちている。ここまでLUNACYの歴史を解放するとは。


続いて、真矢のドラムソロを挟んで演奏されることが多く、REBOOT後もたびたびセットリストに組み込まれていた「BLUE TRANSPARENCY」になだれ込むという展開。アガらずにはいられないセットリストだ。RYUICHIのヴォーカルは完全復活。当時の音やヒリヒリして尖ったアプローチに、今のエッセンスを盛り込んでいる真矢、J、INORAN、SUGIZOのアティチュードにも感服である。そして、赤く染まった照明の中、INORANのギターにSUGIZOのメロディックなフレーズが絡んでいく「LASTLY」はアルバム『EDEN』収録曲だが、実は3rdデモテープ(町田プレイハウスでの<黒服限定GIG>で販売)に収録されているナンバーだ。Jのクールなベースフレーズもスパイスとなっている。

「最高の夜、最狂の夜、楽しんでる?」とRYUICHIが問いかけ、「楽しんでるか!?」と絶叫。語りからシャウトに移行するRYUICHIのパンキッシュでエキセントリックな流れにもゾクゾクさせられる「CHESS」を投下。Jのベースからそのまま「NIGHTMARE」へ移行、ダークネスな世界に引き込んで第2部は幕を閉じた。ゴシック、パンク、プログレッシヴ、メタルなど、様々な要素が楽曲の中に混在し、毒々しく狂おしくカオティックな楽曲を生み出してきた彼らがLUNACYとして、混沌の渦の中にある今の時代にステージに立ったことについても考えさせられた。



迎えたアンコール。客席に輝くスマホライトが徐々に増えていった中、贈られたのはLUNACY時代の名曲「MOON」だ。現在も演奏されている曲ではあるが、この日の「MOON」は切実な響きを伴っていた。柔らかく包み込むような光ではなく、もっと鋭角的な光。2つのミラーボールもドラマティックな演出を果たし、息を呑むような美しさと危うさを感じさせてくれた。

そしてメンバー紹介は真矢から。また、MCをしなかったLUNACY時代を再現するかのごとくINORANはRYUICHIに耳打ちして、RYUICHIが「みんなに“愛してる”って」と代弁した。


「今日は何年ぶりかに、みんなでドレスコードして。俺たち、どれだけ年をとっても、真剣に遊べるんだなと思って。ホントに感動してます。たぶん世界で一番輝いている漆黒の世界だと思うぞ。最高にカッコいいぜ! ちょっとうまいこと言えたから、これ明日も言うから内緒にしといてね(笑)」──真矢

「どうもありがとう! 俺たちがバンドを組んで、自分たち自身のオリジナリティを追い求めて始めたこの<黒服限定>。またやれて最高です。その旅はまだ続いてるんだなって改めて感じました」──J

「今日はホントにどうもありがとう。さっきRYUICHIが素晴らしいこと言ったよね。過去は未来にある。未来は過去にある、だったっけ(笑)? LUNA SEAが30年以上前にやったドレスコードのライヴが、2022年にこんな場所でできて。すごいことじゃない? 10代後半の田舎のクソガキが始めたことが、今となってはすごく愛おしいと思います。みんなのおかげでそう思います。ひとつ、実はちょっと思ってることがあって。マスク白いのが浮くから、明日はマスクを黒にしましょう。黒を推奨します。そしてスマホライトがアンコール待ちの時、すっごくきれいだった。感動したんだけど、曲が始まったら消したり点けたままだったり中途半端だったね。みんな躊躇してたけど、点けたままでいい。どんどん美しくしよう。強制じゃないですけど、命令です(笑)」──SUGIZO

「自分たちが始めたこと、それは過去なのかもしれないけど、未来だったんだなって、今日、実感してます。自分たちがこれから何をやるのか。それももしかしたら過去にあるのかもしれないし、現在、未来、過去を実は同一の場所に置くことができるのが俺たちのライヴなんだなと今回、“CY”(LUNACY)をやって実感しました。どうもありがとう」──RYUICHI


「WISH」では<黒服限定>仕様の銀テープが場内へ放たれ、漆黒の世界に希望の光が差し込んだ。ラストナンバーは1stアルバム『LUNA SEA』の最後に収録されている疾走感たっぷりでメロディックな「PRECIOUS...」だった。アグレッシヴなアクトが繰り広げられ、全てが貴重な瞬間の連続のライヴ。<黒服限定GIG 2022 LUNACY>2DAYSは未来のLUNA SEAの扉をまたひとつ開く鍵だったのかもしれない。

取材・文◎山本弘子
撮影◎田辺佳子/横山マサト/岡田裕介/清水義史

◆LUNA SEA<黒服限定GIG 2022 LUNACY>2日目レポートへ

■LUNA SEA<黒服限定GIG 2022 LUNACY>12月17日(土)@埼玉・さいたまスーパーアリーナ SETLIST

▼第1部
01. THE SLAIN
02. FATE
03. SLAVE
04. MECHANICAL DANCE
05. BRANCH ROAD
06. SANDY TIME
07. SYMPTOM
08. SHADE
▼第2部
01. JUNK
02. Déjàvu
03. SEXUAL PERVERSION
04. BLUE TRANSPARENCY
05. LASTLY
06. CHESS
07. NIGHTMARE
▼encore
01. MOON
02. WISH
03. PRECIOUS…

■<LUNA SEA LIVE 2023>

5月27日(土) 東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ
5月28日(日) 東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ
※詳細後日発表


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