<THE KEBABS 必死>、東京でファイナル

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THE KEBABSが12月16日、東京・豊洲PITでライブツアー<THE KEBABS 必死>のファイナル公演を開催した。そのオフィシャルレポートをお届けする。

◆THE KEBABS画像

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始まりからアンコールまで、ひたすら楽しいライブだった。12月の東名阪ツアー<THE KEBABS 必死>は、大阪、名古屋、そしてファイナルがこの日の東京・豊洲PIT。そもそもTHE KEBABSは、それぞれに多忙なメンバーたちが、難しいことは抜きに純粋にライブを楽しむために結成されたバンドである。佐々木亮介(Vo,G/a flood of circle)、新井弘毅(G/ex-serial TV drama、作詞家、作曲家、アレンジャー、プロデューサーとしての活動は多岐)、田淵智也(B,Vo/UNISON SQUARE GARDEN)、鈴木浩之(Dr/QUADRANGE、GOLIAS)という手練れのメンバーたちから繰り出される遊び心満載のロックサウンドはとにかく痛快。この4人だからこその歌でありアンサンブルでありエンターテイメントである。ロック好きならとにかく一度は体感すべきライブバンドだ。

豊洲PITはこれまでのTHE KEBABSのワンマンとしては最大キャパとなるライブハウスだ。前説ではツアータイトルに掛け「必死にやったんですが、売り切れませんでした」との自虐的な言葉に会場が笑いの空気に包まれる。その状況を逆手に取るように、この日のステージには急遽、少し前にせり出すいわゆる“花道”が左右それぞれに設置された。この演出も、THE KEBABSの瞬発的な遊び心から。ライブ中のMCで田淵が「UNISON(SQUARE GARDEN)だったらオレたち楽屋で“あれ(花道)は絶対に使わねえ”って言うよね」と言っていたが、ケバブスではむしろ積極的にそのベタな演出を楽しんでいるということ。それがこのバンドの面白さでもある。

1曲目「ピアノのある部屋で」でライブスタート。上々のロックサウンドに早くもフロアの腕が上がりまくる。ポップな「うれしいきもち」、そしてアメリカンポップスのキュートなメロディが心地よい「かわかわ」ではコーラスワークも冴える。その後は怒涛のケバブスワールドへ。超絶ヘヴィなベースラインからドラム一閃! タメ、キメのバッチリ効いた「やさしくされたい」、フロアのジャンプも激しくなる「Bチームでも」と、新井のギターも天井知らずにヒートしていく。

THE KEBABSの音楽性はロックの衝動そのもののようでありながら、楽曲の多様性もまた魅力。グルーヴィーな16ビートを素晴らしく心地よく鳴らすバンドでもある。そのグルーヴに乗る歌が「ジャンケンはグー」という、まったくもってナンセンスな歌詞なのも最高。それに合わせて踊ってしまうのも痛快。それにしてもバンドサウンドの良さが際立つ。「恐竜あらわる」もそう。性急でハードコアな新井のギター、佐々木の速射砲のようなボーカルに引き込まれながら、中盤でリズムがハーフになって、さらにまた一気に走り出すという緩急自在の展開は、この4人の技量があってこそ。何よりステージの4人がその演奏を楽しんでいるのがよくわかる。田淵は“花道”の最先端まで出てきてはベースを弾き倒す。新井もクレイジーなギターソロで観客を煽る。佐々木はステージに寝転がって歌う。縦横無尽というか傍若無人。それでもライブは破綻するどころかどんどんロックのグルーヴが加速していく。




佐々木が「もし自分の大切なものを全部捨てられそうになっても大丈夫。オレがプリンを取っといてあげる」と、すごく「いいこと」を言うような雰囲気で語り、始まったのは「ともだちのうた」。ミディアムスローのロックバラードで佐々木の歌声にグッとくる。この曲、ふざけているようでいてかなりの名曲である。演奏後に「今演奏した、こんないい曲あんの?って曲、それCD作ってきたんで」と曲紹介をする佐々木は、この楽曲は、出演予定だった大阪のフェスに新井が体調不良で出られなくなった時に、急遽3人だけの別ユニットという形で出演することにして、その前日に作った曲だという。「(田淵から)急遽“ともだちのうた”のデモが前の日に送られてきて。歌詞書いてって。オレ、仙台でライブやってたんだよ? でも書いたよね」と振り返った。新曲はこれだけではなかった「今日のための新曲もあるからね」と始まったのは「パリはもえているか」だ。これはまた、アメリカの某メロコアバンドというか90’sパンクの名曲へのオマージュがダダ漏れの一曲。この振り切れた大胆さに思わず笑ってしまう。最高。そして「すごいやばい」のヤバさは半端なかった。田淵と佐々木がキレイなハーモニーを生み出すその横で、新井はヘドバンしながらのギターカッティング、このバンドやはりどうかしている(もちろん良い意味で)。スローな「ラビュラ」では佐々木の影のあるスポークンワードから、グッと情感のこもるサビへとつながり、なぜかいちばんいいところを田淵が歌い上げるという「オマエが歌うんかい!」的展開の曲。大真面目に歌い切る田淵の歌もいい。さらに、ゆるいMCで客席を油断させておいて急に始まる「急に来る」からの「ゴールデンキウイ」、そして《シンセサイザー》の連呼で超絶グルーヴを生み出す「てんとう虫の夏」は大サビの炸裂感が爽快。その勢いのまま佐々木が「まだまだ行けんの?」と「台風ブンブン」へ。スモークが焚かれ、新井のギターはここに来てさらにクレイジーさを増す。バカテクの速弾きから目が離せない。



ラストは「THE KEBABSのテーマ」。フロアのジャンプも大きくなる。ステージも皆動きまくる。《いかしたやつら》と佐々木は観客を指差しながら歌い、本編終了。アンコールは3曲が披露された。「夢がいっぱい」で軽快なビートと青春感溢れる歌を聴かせると、佐々木は新作EP『幸せにしてくれいーぴー』のリリースを告知。田淵が即興で《幸せにしてくれー》と適当な歌を歌い始める。「そんなメロディだっけ?」とツッコミながらもバンドは合わせて演奏をする。「いい曲できてよかった」と満足そうな田淵だが新井は「この出来損ないの曲が!」と笑う場面も。そして「THE KEBABSは忙しい」でまたもや強烈なアンサンブルを聴かせ、ラストは「ロバート・デ・ニーロ」。フロアの熱量も最高潮に達した。これで終わりかと思いきや、何やら田淵が佐々木に耳打ち。すると佐々木は「オマケいこう!」と言って予定外のアンコール4曲目として、再び「THE KEBABSのテーマ」を披露。予定調和ではないライブの真髄を見た。演奏を終え、「いかしたやつら、バイバーイ」という佐々木の言葉で<THE KEBABS 必死>ツアーは大団円を迎えた。


取材・文◎杉浦美恵
撮影◎VIOLA KAM (V'z Twinkle)

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■<THE KEBABS 必死>2022年12月16日(金)@東京・豊洲PIT セットリスト
01. ピアノのある部屋で
02. うれしいきもち
03. かわかわ
04. やさしくされたい
05. Bチームでも
06. ジャンケンはグー
07. 恐竜あらわる
08. 枕を変えたら眠れない
09. ともだちのうた
10. パリはもえているか
11. すごいやばい
12. チェンソーだ!
13. THE KEBABSを抱きしめて
14. ラビュラ
15. 急に来る
16. ゴールデンキウイ
17. てんとう虫の夏
18. 台風ブンブン
19. 猿でもできる
20. THE KEBABSのテーマ
En1. 夢がいっぱい
En2. THE KEBABSは忙しい
En3. ロバート・デ・ニーロ
En4. THE KEBABSのテーマ

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『幸せにしてくれいーぴー』

2023年3月15日(水)発売
CD+Blu-ray TECI-1804 ¥7,700(税込)
CD+DVD TECI-1805 ¥6,600(税込)

CD収録内容:
01. THE KEBABSを抱きしめて
02. ゴールデンキウイ
03. かわかわ
04. ともだちのうた
05. 常勝アミーゴ

Blu-ray、DVD収録内容:
2022/12/16(金)「THE KEBABS 必死」豊洲PIT公演のライブ全23曲収録予定

※早期予約特典:「早く予約して幸せにしてくれステッカー」
詳細:https://the-kebabs.lnk.to/1216

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