【レポート】[Alexandros]、<GUNDAM EXPO U.S.A.>で機動戦士ガンダムとコラボ「What’s going on New Yooooorrrrrrkkkk!!!!!」

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シングル「閃光」のミュージックビデオと音源を使用したYouTube動画ショートの累計再生回数が15億回を突破した。そして2023年1月15日から、同曲が主題歌を担当した映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』がTVエディションとして放送決定。2021年春のリリースから約1年半を経て、いま再び楽曲「閃光」が大きなうねりを起こしている。

◆[Alexandros] 画像

YouTube カルチャー&トレンドマネージャーの前岡氏は、この現象について以下のように語っている。

「The Pumpkin Dance (かぼちゃのマスクをかぶったダンス動画)と呼ばれる海外のミームと、映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』に登場する、かぼちゃのマスクをかぶったキャラクターとが結びついたことで、映画の主題歌である楽曲「閃光」を通じてマッシュアップされ、インターネット上で大きな話題となりました。そこで、楽曲「閃光」を使って、サビ前のブレイクするパートで前フリがあり、サビと同時にハプニングが起こるというフォーマットが生まれました。最近では、YouTubeショート上でこのフォーマットの動画が多くアップロードされ、楽しまれています」

興収22.1億円、動員数108万人突破を記録した劇場アニメーション『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』のテーマソング「閃光」ますます拡がりをみせているなか、[Alexandros]が現地時間11月20日、アメリカ・ニューヨークのJavits Centerで開催のジャパニーズ・アニメコンベンション『Anime NYC』内のメインブースの一つ、<GUNDAM EXPO U.S.A. 2022>でサプライズコンサートを行った。NYのアニメファンが熱狂した[Alexandros]のコンサートは嬉しいサプライズの嵐となった。LA在住音楽ライターの視点で綴られた、機動戦士ガンダムと[Alexandros]のコラボステージのオフィシャルレポートをお届けしたい。


▲[Alexandros]「閃光」

   ◆   ◆   ◆

このコンサート開催が発表されたのは公演前日の11月19日。メンバー4人が『Anime NYC』の公式Twitterで、「『Anime NYC』で僕らがパフォーマンスをすることになっていますが、(ビデオ撮影時点では)ビザに問題がある。『Anime NYC』でパフォーマンスが出来ることを心から願っています」とコメントしたビデオが撮影されたのが公演2日前の18日。つまり、その後、ビザが無事に降りた翌19日には海を越えてコンサート当日を迎えたことになる。その事実だけでも、彼らの歴史にとっても同コンベンションにとっても、記憶に残る出来事となった。

たった1日前の告知にもかかわらず、彼らのサプライズ出演は一気に注目を集めて、会場は満杯に。冒頭、<GUNDAM EXPO U.S.A. 2022>のスタッフからPremium BANDAI (p.bandai.com)にて予約販売のアパレルや限定のガンプラの紹介が行われた。その後、MCから[Alexandros]の登場が紹介されると指笛も含めた大きな歓声が。

アメリカでも『Mobile Suit GUNDAM Hathaway』として紹介されている『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』と、「Senko」としてアメリカのファンにもすっかりお馴染みのテーマソング「閃光」がティーザー映像のような短さで流れ、バックスクリーンに“マフティー”と[Alexandros]のロゴが映し出されると、メンバー4人が登壇。観客たちは大きな歓声で[Alexandros]を迎えた。暗転したステージに影だけが映し出される中、川上洋平(Vo, G)が腕を高く挙げて深く丁寧にお辞儀。軽くギターをかき鳴らした後、観客に椅子から立つように促すと、「What’s going on New Yooooorrrrrrkkkk!!!!!」と叫んで観客を煽った。一瞬の間を明けて、電光石火の歌声で「Rock The World」がスタート。「Let’s Go!」の掛け声で白井眞輝(G, cho)の煌めきを帯びたギターが駆け巡った。


スタジアムやアリーナが主戦場となっている[Alexandros]にとって、この場所はとても新鮮なもの。コンベンションをメインとした会場のスケールもちろん、シーケンスこそ使っているがツアーメンバーもいない4人だけのシンプルなステージだ。リアド偉武(Dr)のドラムは生音がよりアシッドに聴こえるなど、レアなシチュエーションといえる。無数のグロースティックを振って盛り上がるフロアを見つめながら磯部寛之(B, Cho)がどんどん表情を綻ばせ、ベースラインにさらなる躍動感を加えていく光景は、まるでステージと観客が写し鏡のようにも見えて笑顔が広がっていく。

アメリカのアニメコンベンションで[Alexandros]のような本物のロックバンドを観られる機会は珍しい。また、演者にとってもアニメコンベンションを観に来ている人々を前にしての演奏という、普段なかなかないシチュエーションだ。しかし[Alexandros]に至っては、冒頭こそ表情に気合と気迫のような緊張感が見えたものの、観客の盛り上がりぶりに心から安堵し、音響環境を把握したのだろう。2曲目の「無心拍数」になるとすっかりリラックスしている様子だった。

「とても圧倒されているよ。日本はとても厳しくて、この3年間で初めて観客の声を耳にした。本当に素晴らしいよ」──磯部寛之

MCでは磯部が英語でこう語った。そんな彼らの言葉を受けて、続く「アルペジオ」でのコール&レスポンスではその声がますます大きく響き渡った。


ラストは、すべての現地観客やストリーミングで鑑賞していた全米のファンが待っていた「閃光」だ。同楽曲が披露される前に川上は、「英語でもなければ日本語でもないとても簡単なパートだから、これをシンガロングしてほしいんだ。“ウォーオーオー”」とお手本を歌うと、観客も大きく応える。その声をもっとダイレクトに聴きたかったのだろう。川上はイヤモニを外した。そして一瞬、静かにメンバーと呼吸を合わせ、リアドのカウントで「閃光」のイントロへ。すると、それまでのシンプルな舞台背景が『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の映像をフィーチャーした「閃光(English ver.)」に。これには多くのグロースティックが激しく振られるなど最高潮を描き、激しく飛び回る観客の姿も。繰り返すが、彼らのコンサートが発表されたのはわずか1日前。同映画のファンも、まさかこの曲を生で聴けるなんてコンベンション初日18日には予想だにしていなかったのだ。それゆえ観客の興奮は察するに余りある。

また、2日前にビザが下りて無事コンサートを行えたことが第1のサプライズだとすれば、第2のサプライズは想定外のアンコールだ。ラストナンバーの「閃光」を終えてステージを去ったメンバーに、「アンコール!」「One more song!」という日英混じったアンコールの声が大きく鳴り響いた。しかし、<GUNDAM Expo U.S.A. 2022>のMCが登壇してイベントを締めたので、会場にいた人々も諦めて客席から移動し始めた。その矢先、突如舞台背景にバンドロゴが再び映し出されると、飛び出すようにメンバー4人がカムバック。これには観客も走り込むように慌てて客席に戻り、歓喜の声が湧き上がった。

「準備してなかったから、同じ曲、「閃光」をもう一度プレイしてもいいかな?」──川上洋平

この発言に対して磯部が「同じ曲をもう一度? 本当に?」と二度確認していたことからも、アンコールが本当に想定外のものだったのだろう。しかも川上は、「日本では弾かないから、今回はギターを弾かない。でもさっきよりもラウドにやるよ」と宣言。シーケンスの使用の有無すらもステージ上にてメンバー間で話し合うほど、生々しくリアルな場面の連続だ。余程楽しかったのだろう、イントロで堪らず笑い声を乗せてしまった川上は、「日本ではこれを“おかわり”って言うんだよ」と説明するシーンもあった。そしてギターが1本減ったのにも関わらず、確実に先ほどよりラウドで激しい「閃光」が鳴らされた。

イベント直前まで希望を見失わず、出来うるギリギリの日程で、13時間かけて空を飛んで駆けつけた[Alexandros]の情熱が、アメリカのアニメファンの心を突き動かした。そしてそんなファンの姿に突き動かされた4人が1時間という短いショウを心の底から慈しみ、全身全霊でロックを叩きつける。その全てが純粋に美しい最高のサプライズコンサートだった。

取材・文◎宮原亜矢 (LA在住音楽ライター)
撮影◎ogata_photo

■<GUNDAM EXPO U.S.A. 2022>in Anime NYC/2022年11月20日(日)セットリスト

1. Rock The World
2. 無心拍数
3. アルペジオ
4. Girl A
5. Mosquito Bite
6. 閃光
encore
7. 閃光

■『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』 TV エディション

放送局:MBS/TBS系全国28局ネット放送日時:毎週日曜午後5時~全4話:1/15、1/22、1/29、2/5


(c)創通・サンライズ

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