【機材インタビュー】SUGIZO、ギター遍歴に顕在化する理想「自然に徐々に変化。でも10年前と見比べるとまったく違う」

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伸びやかで艷やかなサステイン、脳内をかき乱すようなノイジーなスクリーム、理知的でカミソリのようなカッティング…様々な表情を見せるSUGIZOのギタープレイだが、LUNA SEA時代から長きギタリスト人生の中で様々なギター遍歴を重ねてきている。

◆SUGIZO 画像

今もなお、数多くのバンドやユニットも並行して音を操るSUGIZOだが、愛用のギター群は全てP-90を核とした同アッセンブリが搭載され、機能美に溢れたスペックに統一されている。ソロデビュー25周年を迎えた今、SUGIZOが理想とするギターはどのようなものなのか、話を聞いた。

   ◆   ◆   ◆

■遍歴で言うとシングルコイルがソープバーに
■フロイドローズがシンクロになっていった

──求めるサウンドや作品にもよりますが、ギターのスペックもいろいろな変遷を辿っていますよね。

SUGIZO:自然に変わっていったものですけど、1990年代はメインのギターにはフロイドローズが付いてたんですよね。僕の中ではフロイドローズをやめてシンクロになったことが非常に大きいですね。

──なぜシンクロナイズドトレモロに?

SUGIZO:フロイドローズは音が好きじゃないから。


▲Navigator N-ST SGZ Custom -DII-

──確かにフロイドローズはフロイドローズの音がしますが、でもシンクロはチューニングに不安が。

SUGIZO:シンクロを極めるとね、狂いはアーミングで直せるんですよ。

──ギターが凄いのか、ESPが凄いのか、SUGIZOが凄いのか。

SUGIZO:全部ですね(笑)。本当に極めたシンクロナイズドトレモロ使いというのは、調整で“こうすればこう戻る”っていう設定をちゃんとしておくんです。たとえば弾いてるとチューニングがだいたい上がるんで、上がったと思ったらチョーキングをすると戻る。チューニングが下がったと思ったらアームをダウンすると戻るんですよね。だからライヴ中はペグはほとんど触らない。アームでチューニングをしています。

──要するにコンディションの把握とコントロールの手段が手中にあるわけだ。

SUGIZO:それはジェフ・ベックから学んだんです。もちろん会ったことはないですけど、見ていると、彼はライブ中、絶対にペグでチューニングしないんですよ。アームで調整しながらチューニングをキープしてる。だから僕もシンクロにしました。もともとストラトは、デビュー当時からレコーディングでも愛用してきているので、今はもうそれをメインに。

──LUNA SEAデビュー当時は、SUGIZOがハムバッキングでINORANがシングルコイルのギターを使っていましたけど、もともとの指向は実は逆でしたよね?

SUGIZO:そうですよね。デビュー当時のライヴはプリンス(ESP PR)でハムバッカーを使ってましたけど、レコーディングではストラトだった。もともと一番自分の演奏性にフィットしていたのがストラトだったので、2000年代に入ってやっぱりストラトがメインになっていったってことが大きいですね。2000年代初期はいわゆる本当にシングルコイルのストラトでしたけど、いろいろ試してP-90を載せるようになった。それが進化して、今となってはもうほぼすべてP-90を載せたストラトが自分のメインになっています。あとは当時はジャガー、現在はジャズマスターかな。ベスト(ソロ活動25周年記念ベストアルバム『THE COMPLETE SINGLE COLLECTION』)の「LUCIFER」と「A PRAYER」はジャガーで弾いてますね。

──結果的にシングルコイルばかりですね。

SUGIZO:滅多にハムバッカーは使わない。サウンド遍歴で言うとシングルコイルがソープバーになってフロイドローズがシンクロナイズドになっていった。でもソロにおいてはそのぐらいですよ。


▲ESP ECLIPSE V-IX

──LUNA SEAやX JAPANでは、また別ですか?

SUGIZO:LUNA SEAとソロは変わらないな。X JAPANにおいては、ああいうハードロックサウンドを再現するためには、ストラトタイプの構造じゃなくてレスポールタイプ…だからメイプルトップに変わっていきました。X JAPANの最初の時期は、いつもの僕のスタイルのギターで演っていたんですけど、なんか違うなと思ったんですよね。「そうかhideさんもベーシックはギブソンタイプなんだ。じゃあ自分の竿もそういう方向性で用意し直そう」と。それによってサウンドが落ち着いたし、X JAPANに入ってから1990年代初期に使っていたホライズン(ESP HORIZON)を改めて使うようになりました。LUNA SEAではデビュー当時以外使ってなかったので。そのホライズンでもアルダーボディのホライズンとメイプルトップのホライズンのふたつがあって、曲によって使い分けています。それもバンドサウンドが求めるものですね。

──自分の好みというよりも、曲に合うものをチョイスするということですね。

SUGIZO:僕は音楽に呼ばれて、使うギターをチョイスする。だからギターに音楽を合わせるのではなく、あくまでも音楽ありきでそこにギターを寄せていく。近年のLUNA SEAでファンの方々がびっくりしたのが、普通にギブソン・レスポールカスタムを使っていることでしたよね。特にJが作る曲だと、僕が使うようなハーモニーやボイシングではなく、パワーコードとか単音リフが多い。Jがデモを作るとき、彼はおおかたギブソンを弾いているんですよ。彼はそこを求めてるんです。そこに対して「俺はギブソンは弾かねえぜ」「シングルコイルでやろう」とは思わなくて、作者と楽曲が求めるものに対してベストを尽くしたい。もちろんレスポールも大好きだしね。レコーディングでもよく使うし。

──まさしく、曲のためのチョイスですね。

SUGIZO:ヘヴィなリフとかでは、近年のLUNA SEAでも普通にギブソンのレスポールを使うようになったりしてます。あくまでも自然に、楽曲ありきで徐々に変化していって、ふと10年前と今を見比べるとまったく違う状況になっている感じ。

◆インタビュー【2】へ
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