【機材インタビュー】SUGIZO、ギター遍歴に顕在化する理想「自然に徐々に変化。でも10年前と見比べるとまったく違う」
2022年11月29日、東京・Zepp Hanedaにて開催されたソロ25周年記念ライヴ<SUGIZO 四半世紀祭 25th ANNIVERSARY GIG>は、約3年ぶりのSUGIZO COSMIC DANCE QUINTETによる“超宇宙的SGZ MUSIC”として届けられた。曰く「音楽性には全く一貫性がないけれど、音楽に対する情熱はいかなる時も最高のポテンシャルを貫きながら、波乱万丈を生きてきたSUGIZOというアーティストの25年の軌跡を象徴している作品」だというベストアルバム『THE COMPLETE SINGLE COLLECTION』を掲げ、四半世紀の足跡を辿る壮大な音空間。そのステージ上にセットされていたSUGIZOサウンドシステムのひとつひとつをピックアップしてご紹介したい。
【GUITAR】
▲Navigator N-ST SGZ Custom -DII-
2014年、LUNA SEA25周年ツアーより愛用しているDII。それまでフロントとリアのみにソープバーを搭載していたN-ST SGZシリーズだが、このモデルよりセンターピックアップを追加、3ピックアップとなった。また、DIIは2本存在しているが、こちらはより吟味された木材を使用しているほか、作り込みの精度を極めるなどブラッシュアップされた1本。
ボディー材はアルダー、ネック材はハードメイプル、指板材はローズウッドで22フレットを採用。フロントピックアップにSeymour Duncan Custom Shop Staple Pickup Repro ALNICO V、センターとリアにSeymour Duncan CustomShop SP90 TB Spaceを搭載している。コントロールは、マスターボリューム、マスタートーン、ピックアップセレクターはブリッジ、ブリッジ+ネック、ネックの3ウェイ。ミニスイッチはセンターピックアップのダイレクトスイッチだ。
▲Navigator N-ST SGZ Custom -EDEN-
N-ST SGZシリーズの最新モデル。ステージ初御披露目は2020年12月、横浜市・山下ふ頭の『GUNDAM FACTORY YOKOHAMA』オープニングセレモニーにて。DIIのアルダーボディーに対して、EDENはスワンプアッシュボディを採用。一般的にアッシュ材はブライトにしてウォームでサウンドバランスに優れているといわれる。
ボディー材以外の基本スペックはDIIと同じだが、注目はボディー全面にイラストがあしらわれたデザインにある。世界中で精力的なボランティア活動を継続しているSUGIZOだが、イラクへの医療支援で知られる特定非営利活動法人“JIM-NET”のサポートもそのひとつ。JIM-NETの活動を世に広める目的で作られたのが、2019年7月の<“SUGIZO 聖誕半世紀祭HALF CENTURY ANNIVERSARY FES.>で着用した衣装であり、絵柄は小児がんと闘うイラクの子供たちがチョコ缶に描いたアートだった。そのデザインをSUGIZO自身のギターに転写して完成させたギターが、N-ST SGZ Custom -EDEN-となる。
なお、デザインを活かすべく透明ピックガードを採用しているため、通常のストラトキャスターとはザグリが異なることも特徴。ちなみに、市販モデルN-ST SGZ Custom -EDEN-の売り上げは、JIM-NETを通じてイラクの人々の医療支援として寄附されている。
▲Fender STRATOCASTER 1969 -Apollo-
ラージヘッドにトランジションロゴ、4点止めのボルトオンジョイントが特徴の1969年製。2004年に入手したという同モデルは、レリックではなく、経年変化による褪色やウェザーチェックに風格漂うSUGIZOの生まれ年に製造されたギターだ。
本人曰く、「レコーディングやライヴで使うため、今の自分の仕様にするべく実戦用に改造した」という同モデルは、21フレットから22フレットへ変更するため、指板のエンド部分をツバ出し加工。さらにボディをザグってソープバーを3基搭載している。コントロールもN-ST SGZシリーズと同仕様の改造が施されている。
▲ESP ECLIPSE V-IX
2007年製作。当時はV-VIIIという名称でフロントとセンターにシングルコイル、リアにソープバーを搭載したモデルとして誕生。ソロやLUNA SEAはもとより、X JAPANのステージ等でも使用していた。2014年、LUNA SEA25周年ツアー時より、フロントピックアップにSeymour Duncan Custom Shop Staple Pickup Repro ALNICO V、センターにSeymour Duncan SP90-1n、ブリッジにSeymour Duncan SP90-1bを搭載してソープバーの3ピックアップに変更。同時にECLIPSE V-IXという名称となった。
スケールはストラト同様のロングスケールで648mm。シンクロナイズドトレモロを搭載しているため、ボディー厚も通常のフライングVよりも厚めに作られている。ボディー裏のメッセージは2019年、イラク北部クルド自治区にあるJIM-NETハウスやダラシャクラン難民キャンプで音楽ライヴを開催した際に現地の子供たちが描いたもので、その上からクリアの塗装が施されている。
▲Gibson ES-330
1961年製のヴィンテージ。ボディー内部にセンターブロックのないフルアコ構造ゆえ、ホロウボディ特有の鳴りと厚みのあるサウンドが特徴。ピックアップにはドッグイヤー(P-90)を搭載している。
1961年製までは、ミッキーマウスイヤーと呼ばれる丸みのあるカッタウェイホーン、プラスチックピックアップカバー、ドットポジションマーク、ハカランダ指板などの仕様を持つモデルだ。
▲C.F. MARTIN CUSTOM GPC STYLE41 SGZ
SUGIZO初のアコースティックギターのシグネチャーモデル。2019年に日本限定発売された。グロスオールブラックのボディフィニッシュをはじめ、ヘッドプレートやフィンガーボード、ブリッジにもエボニーを採用するなど、すべて黒で統一されたスタイリッシュなモデルだ。
トップ材にシトカスプルース、サイド&バック材にソリッドイーストインディアンローズウッドを採用。ボディシェイプはGrand Performanceスタイル、胴厚部分をOOOスタイルの深さにした独特のスペックを持つ。
◆ ◆ ◆
【VIOLIN】
▲David Gage The Realist Electric Violin RV5 SGZ Custom -See Thru Black-
The Realistは、デビッド・ゲイジが設立したアップライトベース、チェロ、ビオラ、バイオリン専門の弦楽器メーカー。RV5は5年の歳月を経て、SUGIZO監修のもとに誕生したエレクトリック/アコースティックスタイルのバイオリンだ(写真右列はシグネチャーモデル)。
The Realist Violin RVPeAをベースとして、シースルーブラックのフィニッシュが深い味わいを醸し出す。カーボン弓はCoda BowとSUGIZOのコラボによるYsaye。
◆ ◆ ◆
◆AMPLIFIER&EFFECTOR SYSTEM紹介【4】へ
◆インタビュー【2】へ戻る
この記事の関連情報
SUGIZO
LUNA SEA
X JAPAN
THE LAST ROCKSTARS
Juno Reactor
邦楽
オーディオ&楽器
V-ROCK
ライブ・イベントレポート
インタビュー
楽器人 -音楽を聴くだけなんてもったいない- | トップ
ギブソン、130周年特設サイトを公開、SUGIZO×生形真一のスペシャル・インタビュー掲載
【コラム】BARKS烏丸哲也の音楽業界裏話009「SUGIZOから学んだもの」
LUNA SEA、結成35周年記念ツアー第三弾は<黒服限定GIG>含むアルバム6作品再現ライヴ
真矢(LUNA SEA)、「はだのふるさと大使」就任一周年記念イベント<奏・秦野 (おと・はだの)>開催
LUNA SEA、結成35周年記念ツアー第二弾解禁『IMAGE』『EDEN』ツアーも再現
SUGIZO×石田組、<越境 ~BORDER CROSSING~>セットリスト公開
SUGIZO、ファッションブランドTHE ONENESSより能登半島地震復興チャリティーアイテムを発表
LUNA SEA、結成35周年記念ツアー第一弾詳細発表。『MOTHER』『STYLE』に続き『SHINE』『LUNACY』ツアーを再現
ISSAY追悼、DER ZIBETトリビュートアルバムにSUGIZOなど40名を越える参加アーティスト