【今さら聞けない楽器のア・ソ・コ】お題「電子ドラム」

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“楽器”と一口に言っても、多種多様さまざまな部品から構成されているのはご存知の通り。え、そんなの知ってるわい!的なものから、古楽器のレアなところまで、今さら人には聞けない“楽器のア・ソ・コ”、ご紹介します。第79回のお題は「電子ドラム」です。

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電子ドラムは、ドラムセットの代用として開発された電子楽器。叩く部分の振動をセンサーで受け、その電気信号によりサンプリングされた音声や発信器などで作り出した音を鳴らす。またサンプリング技術を用いない電子ドラムはシンセサイザー・ドラム(シンセドラム)とも呼ばれる。

1976年、ポラード・インダストリーズによって世界で初めて電子ドラム「ポラード・シンドラム」が販売。複数のドラムパッドと音源モジュールからなるその構造は今日一般的に販売されている電子ドラムでも見られるものであり、かなり先進的な機器であったと言える。カーマイン・アピスやテリー・ボジオなどプロドラマーからはかなり注目を集めたが、商業的には失敗した。

1978年にはイギリス人のデイヴ・シモンズによってシモンズが創業。シモンズはその特徴的な六角形のパッド形状による視覚的な特徴、独自の回路設計による派手な音、叩く場所や速度によって音色が変わるシンバルパッドなどの高い技術力で電子ドラムに革命を起こし、多くのミュージシャンが使用した。しかしゴム製パッドによって腕にかかる負荷、音源モジュールだけで一万ドルという価格などがネックとなり、最終的な販売台数は250台ほどと言われており、同社の業績は悪化、廃業につながった。

1997年にローランドがTD-10を発表、電子ドラム業界にさらなる技術革新をもたらす。音色を合成する技術により生ドラムに近い音を実現させたほか、REMOと共同開発したメッシュ生地を使用したドラムパッドによって静粛性と生ドラムに近いリアルな打感を両立。さらにパッドに組み合わされるセンサー類の搭載位置や精度の洗練によって叩く速度や位置の検出がより高精度となり、ヘッドホンと組み合わせて住宅地や夜間でも使用できることになったことは大きな進歩/進化と言えよう。

文:編集部



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