【ライヴレポート】MUCC、<新世界 完結編>にSakuraやCalmera参加「こうやってずっと続いていくステージで」

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MUCCが12月22日および23日の2日間、恵比寿LIQUIDROOMで<MUCC TOUR 2022「新世界」~Beginning of the 25th Anniversary~「新世界 別巻」発売記念公演「新世界 完結編」>を行なった。同公演は6月9日発表の16thフルアルバム『新世界』と、そのアウトテイク曲を中心に構成された12月21日発売の新作『新世界 別巻』という、2作にわたった“新世界”シリーズを完結させるライヴだ。22日に開催された初日公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。

◆MUCC 画像

ライヴホール入口の“新世界入口”というゲートをくぐると、会場内には「皆様の心が、猛スピードで、急旋回、急上昇、急降下するアトラクションです」と様々な言語によるアナウンスも響いていた。4月から8月に掛けて行なわれたアルバム『新世界』のツアーを体感したオーディエンスも多いはずだが、今回は完結編。さらに奥まで踏み込むであろうMUCCの“新世界”を味わうべく、期待と緊張感が会場に充満していた。




18時32分、呪術的な響きを持ったインスト「新世界」が鳴り出すと、赤い照明がステージに灯り、妖しくも神秘的なムードに包まれていく。凝ったレーザー照明で彩られたステージは、ライヴハウスというよりもホールステージを思わせる立体感と奥行きを感じさせる。そのステージに呪術を操る主ともいうべきMUCCが静かに登場。最後に現れた逹瑯(Vo)は大きな拍手を浴びながら、しかし、表情からは集中力の凄さも伝わってくる。<新世界 完結編>にすでに入り込んでいる様相だ。

インスト「新世界」のムードをさらに膨れ上がらせるようにミヤ(G)がフレーズを弾き始めると、そこにYUKKE(B)とサポートメンバーのアレン(Dr)や吉田トオル(Key)が音を重ね、ライヴは「星に願いを」で始まった。直後、曲は激しく転調し、フロアの光景をヘッドバンギングと突き上がるコブシへと変えていく。この「星に願いを」は幻惑させるようなメロディとヘヴィネスサウンドが交互に展開する曲であり、オーディエンスを呪縛するようにMUCCの新世界へと引きずり込んでいく。続く「懺把乱」では、キメに合わせてメンバーがジャンプをすれば、オーディエンスも同じタイミングでジャンプ。曲とひとつになったハンドクラップも。エネルギーをダイレクトにお互いに感じ取れることのできるライヴハウスだけに、熱量の上がり方がハンパではない。アナウンスどおりの猛スピードの急上昇だ。だが、ここからは急旋回も急降下も、そしてアナウンスにはなかった新たな扉も待ち受けていた。




ライヴで初披露となる『新世界 別巻』収録曲「猿轡」は、「猿ども、イケんのか!」と逹瑯のドスの効いた煽りで突入。YUKKEの弾くアップライトベースのアタッキーなフレーズが刺激的に飛び交い、ミヤは殺戮的なリフで攻撃しまくる。グロウルからファルセットまで幅広い唱法で迫るのは逹瑯だ。それを浴びていると、“猿轡”どころか、MUCCの快楽でなぶりものにされていく感覚。そこからの「I wanna kiss」では、倒錯した歌詞に愛撫されながら精神まで犯されていく感じも。『新世界』収録曲「パーフェクトサークル」に入ると、レーザー照明のサークルがサイケデリックな色合いでステージに現われ、ドラッギーな世界に連れ出してくれる。

「自然体で最後まで思いっきりライヴを、ここにいる誰よりも楽しんで帰ろうと思っているんで。オマエらに追い越されないようにいくんでヨロシク」──逹瑯

そう言うが、こっちは全く自然体ではいられない。長いツアーを重ねて『新世界』の各曲をすっかり染み込ませただけに、音源の形を超えたところにそれぞれの曲を引っ張り上げていく。それは一人ひとりの心も精神も身体も奪い、それぞれを狂わせ、そして心地よく酔わせていった。さらに『新世界 別巻』からの「別世界」ではなんの紹介もなく現われたSakuraがコンガ奏者としてMUCCに加わり、'60年代のサイケデリックロックテイストも感じさせる音の波や渦を作り出す。ミヤのギターソロも、ジミ・ヘンドリックスを連想させる歪み方でフリーキーに決め、かなりヤバい効能のライヴナンバーに変貌。ロック好きにはヨダレもののブツである。




こうして会場にいる一人ひとりをMUCCの“新世界”にとことんまで没頭させていったが、13曲目「R&R darling」から急旋回。逹瑯が「いこうか!」と歌い出すと、MUCCメンバーと笑顔でコール&レスポンスするようにライヴを楽しむオーディエンス。曲の後半ではCalmeraのメンバーを中心とした6人編成のホーンチームも加わり、曲もバンドサウンドもさらにハッピーな雰囲気に。そのまま続く「HOTEL LeMMON TREE」では、オーディエンスがスウィングするリズムのハンドクラップで自然に加わり、ゴージャスなビッグバンドサウンドも生まれた。

そしてライヴは急上昇へとモードを切り替える。メタルスクリームを轟かせ、メタルの様式美も兼ね備えたアレンジが冴える「Paralysis」を皮切りに、「零」を叩きつけた。スモークも吹き上がるステージでミヤが弾くのは、X SUGINAMIでもおなじみのHIDEをリスペクトするギター。YUKKEと背中合わせになって、HIDEとPATAのハモり場面を想起させるステージパフォームをキメるのもニクい。もちろんフロアはヘドバンの嵐だ。続く「SLAVE」では音源よりも突き抜け方が増し、MUCCとオーディエンスの一体感を強くさせていくばかり。

そんなライヴを締めくくるように披露されたのは『新世界』からの2曲。世界中に様々なことが起こり、今もなお混乱した世界を描いた「いきとし」では、バックドロップに赤い雨が降るレーザー照明や戦車や戦闘機、たたずむ少女の姿が。悲しみと苦悩を感情的に歌に込めて歌う逹瑯の姿と、その思いに、心は震えっぱなしになるオーディエンス。また歌の最後には、“いつか世界中に明かりが灯りますように…”と願う逹瑯。そして共に願うように掲げられたオーディエンスの手がフロアを彩る中、広がっていったのは「WORLD」だった。コーラスを歌うように腕は左右に揺れ、言葉のひとつずつを噛み締めながら演奏するミヤやYUKKE。力強い優しさで歌い上げていく逹瑯。歌い続けなければいけない2曲であり、いい意味で封印できる時が来ることを望みたい2曲かもしれない。


そしてアンコール。「久しぶりにやる『新世界』の曲、おっかなくね? ヒリヒリ感がたまらん」とステージに再登場して本音をもらす逹瑯。YUKKEも「おっかねえけど、めっちゃ、おもしろいよな。だべ?」と思わず茨城弁。ゲストのSakuraやCalmeraも交えて、普段着なトークも繰り広げ、すっかりリラックスしたMUCC。ゲスト全参加で「XYZ.」を芳醇なメロディやフレーズ満載のアレンジで聴かせていった。

「25年やってきて、いろんな出会いといろんな別れがあったんだけど、こうやってずっと続いていくステージでいろんな人と関われるのは幸せだなと思います。ステージの上だけじゃないからね。アンタらも関わっちまったからな。一回関わるとね、MUCCはうざいんだ(笑)。これからもよろしくお願いします」──逹瑯

改めての挨拶から、底抜けに明るい曲と紹介しながら突入したのは爆裂激速ナンバー「爆弾」。さらに、やるつもりもないと言っていた『是空』からの「蘭鋳」が、ミヤの暴走によって特別にぶっぱなされた。もちろん興奮ばかりが渦巻くフロア。そんな気持ちを鎮め、新しい世界へと足を向けさせる「終の行方」が、ライヴのラストに響いていった。


<新世界 完結編>と謳いながら、『新世界』と『新世界 別巻』をまとめて再現という範疇に留まらず、各曲の表情も表現も膨れ上がらせたライヴ。そして余韻をいつまでも残す曲もあれば、新たな世界まで見せてくれた曲もある。これで本当に完結させないでほしい。“新世界入口”ゲートをくぐったんだから、出口は見つからなくていい。そう思わせるステージだった。

取材・文◎長谷川幸信
撮影◎冨田味我

■<MUCC TOUR 2022「新世界」〜Beginning of the 25th Anniversary〜「新世界 別巻」発売記念公演「新世界 完結編」>2022年12月22日(木) LIQUIDROOM セットリスト

01. 星に願いを
02. 懺把乱
03. 空-ku-
04. 猿轡
05. I wanna kiss
06. パーフェクトサークル
07. GONER
08. NEED
09. HACK
10. 未来
11. 別世界
12. COLOR
13. R&R darling
14. HOTEL LeMMON TREE
15. Paralysis
16. 零
17. SLAVE
18. いきとし
19. WORLD
encore
en1. XYZ.
en2. 爆弾
en3. 蘭鋳
en4. 終の行方

■映像作品『新世界映像全集 高画質盤』

2022年2月22日(水)発売
【Blu-ray】3,960円(税込)
01. 星に願いを
02. GONER
03. R&R darling
04. COLOR
05. Paralysis
06. 零
07. WORLD
08. 空-ku-(Mixed by Miya)


■『MUCC 25th Anniversary TOUR 「Timeless」〜是空・朽木の灯〜』

KT Zepp Yokohama公演独占生中継
▼ニコニコ生放送配信チケット
アーカイヴ視聴期間:12月31日(土)21:00まで
4,500円(税込)
https://live.nicovideo.jp/watch/lv339393673

■東西二公演<MUCC 25thAnniversary Special Liveムック試験導入公演その5. 暴れて、感じて、声出しOK。『咆哮』>

▼2023年
2月06日(月) 神奈川・川崎CLUB CITTA’
2月14日(火) 大阪・GORILLA HALL OSAKA
▼チケット
9,600円(税込) ※入場時ドリンク代別途必要
スタンディング
一般発売日:2022年12月3日(土)


■<MUCC 25th Anniversary TOUR「Timeless」〜鵬翼・極彩〜>

▼2023年
3月04日(土) 札幌PENNY LANE 24
3月05日(日) 札幌PENNY LANE 24
3月08日(水) 広島 CLUB QUATTRO
3月11日(土) 福岡BEAT STATION
3月12日(日) 福岡BEAT STATION
3月18日(土) 長野 CLUB JUNK BOX
3月19日(日) 新潟LOTS
3月25日(土) 仙台 GIGS
3月26日(日) 盛岡CLUB CHANGE WAVE
4月01日(土) 名古屋DIAMOND HALL
4月02日(日) 名古屋DIAMOND HALL
4月08日(土) 大阪城音楽堂
4月15日(土) 水戸ライトハウス
4月16日(日) 水戸ライトハウス
5月06日(土) 日比谷野外大音楽堂
▼チケット
前売7,800円 (税込) ※入場時ドリンク代別途必要(5/6日比谷野音以外)
※4/8大阪城音楽堂公演のみ 芝生エリア席 15,600円(税込)販売有り ※一般発売のみ
※大人2名+子供2名まで入場可能 ※お子様は3才以上~12才まで(3才未満入場不可) ※お子様の身分証確認有り(保険証・生徒手帳等)
一般発売:2023年2月12日(日)〜
【朱ゥノ吐+SWAMP会員先行】
受付期間:2023年1月1日(日)12:00~1月9日(月・祝)21:00
※イープラス抽選受付 ※1人2枚まで ※同行者登録有り ※電子チケットのみ(チケプラ)
【MUCC 朱ゥノ吐+会員先行・虚無僧DU MODE会員先行】
受付期間:2023年1月15日(日)12:00~1月21日(土)21:00
※イープラス抽選受付※1人2枚まで※同行者登録有り※電子チケットのみ(チケプラ)

■<MUCC 25th Anniversary TOUR「Timeless」〜志恩・球体〜>

▼2023年
6月09日(金) LINE CUBE SHIBUYA
6月24日(土) 三郷市文化会館
6月30日(金) メルパルクホール大阪
7月21日(金) 高崎芸術劇場スタジオシアター
7月26日(水) Zepp Shinjuku
8月01日(火) 浅草花劇場
8月02日(水) 浅草花劇場
8月21日(月) 水戸市民会館

■<MUCC 25th Anniversary TOUR「Timeless」〜カルマ・シャングリラ〜>

▼2023年
10月01日(日) 仙台 GIGS
10月04日(水) 渋谷 CLUB QUATTRO
10月07日(土) 松山W studio RED
10月09日(月・祝) 広島 CLUB QUATTRO
10月14日(土) 長野 CLUB JUNK BOX
10月15日(日) 金沢EIGHT HALL
10月21日(土) 札幌PENNY LANE 24
10月22日(日) 札幌PENNY LANE 24
10月24日(火) 青森Quarter
10月28日(土) 福岡BEAT STATION
10月29日(日) 福岡BEAT STATION
11月04日(土) 名古屋ボトムライン
11月05日(日) 名古屋ボトムライン
11月11日(土) なんばHatch

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