【混沌少女 / 黒ゐ少女 メンバーインタビュー】魑魅魍魎、「アイドル活動が自分の生活の一部」

アイドルグループ「混沌少女」、「黒ゐ少女」のメンバーである魑魅魍魎、不朽不滅、天下統一のパーソナルインタビューをお届けしよう。

混沌少女はV-ROCK＆PUNK要素の強い楽曲が特徴のグループ。魑魅魍魎・天下統一・不朽不滅の3人編成で「いつしか忘れていた学園祭の気持ちを取り戻させる」ことをテーマに活動している。


また、黒ゐ少女は“黒いアイドルが売れないって誰が決めた？”をテーマに、2022年9月にデビューしたV-ROCKアイドル。ハードな楽曲と現代社会に訴えかける歌詞が武器だ。3月18日には目黒鹿鳴館にて＜「黒ゐ少女」結成半年記念無料単独公演＞を開催。

魑魅魍魎の人生には、「アイドルでいる自分が当たり前」と言えるほど、欠かすことが出来ないアイドルとしての生き方がある。自分を表現する事は天性の素質を存分に活かせる場であり、彼女のエモーショナルな叫びにも似たパフォーマンスが生まれた根源を探っていこう。

　　　◆　　　◆　　　◆


──まずは、魑魅さんがアイドルになろうと思ったきっかけを教えてください。

魑魅魍魎：とにかく、昔から目立ちたがり屋だったんですよ。だから何かしらやりたいなとは思っていたんですけど、私、背が低いからモデルは出来ないと思っていたし、かと言って演技にはあんまり興味がなかったからなるならタレントかアイドルかなとはずっと思っていて。それで、高校1年生くらいの時に事務所からスカウトされた事があって、そこでアイドル活動をやり始めたのが最初だったんです。正直はじめは、ちょっとやってみようかなくらいの気持ちだったんですけど、やってみたらドハマリしちゃって（笑）。

──やっぱり、人前でパフォーマンスする事が性に合っていたんでしょうね。

魑魅魍魎：うん、そうですね。その時は、可愛くてキラキラした王道アイドルみたいな感じだったんですけど、“自分には合っていないかも？”と思ったんです。普段聴いている音楽もロック系が多くなってきて、“自分もそういう方が好きかもしれない、やってみたいかもしれない”っていう気持ちが膨らんで来たんです。だから、今の黒ゐ少女と混沌少女の活動はすごく楽しい！

──そもそも、アイドルになる前と後では何が変わりました？

魑魅魍魎：もう、なる前が思い出せないぐらい（笑）。ちょっとアイドル活動自体を辞めていた期間があったんですけど、その時に自分のアイデンティティがわからなくなっちゃったんです。そこでアイドル活動が自分の生活の一部だって気づいたんですよね。アイドルでいる自分が当たり前だし、アイドルを頑張る事が当たり前になってる。それに、アイドルになる前は特に目指す事がなかったんですよ。将来の夢はあったけど、それも本気で目指してなかったというか……臨床工学技士の専門学校に行っていて、なれたらいいなくらいにふわふわしていた感じだったんですけど、アイドルになってからは具体的な目標も出来たし、自分の生きる糧にもなっていますね。結局、「今は今しかない、今出来る事はコレだ！」と思ったから専門学校も辞めたんです。

──そうだったんですね。でも、自分の事をしっかり意思を持って決められるのって、かっこいいと思う。

魑魅魍魎：でも、基本的にすごくネガティブだし、すぐに病むんですよ。ただ、病んでる自分が好きなのかもしれない。“自分が大好き”っていうのが大前提にあって、病んだり悩んだりしている自分が好きだからとことん悩めるし、病めるんですよ。正直、アイドル活動も先が見えなかったり大変だったりする時は、辞めたいって思うこともあるんですけど、自分には才能とセンスがあるって信じているんです。周りからどれだけ才能やセンスがないって言われても、自分が好きなことをやっているんだし、自分には才能とセンスがあるって信じることで自分のメンタルを保ってるというか。

──自分を信じてあげられる事って、すごく大事だと思いますよ。

魑魅魍魎：それに、私は周りに恵まれてるんです。相談すれば何かしら自分の欲しい答えをくれる人が周りにいてくれるし、そういうやりとりで自分はみんなから必要とされているんだって再認識出来るから、それで頑張れてるっていうのもありますね。だから、悩んでも自分で解決するよりも最終的にはみんなに相談するし、今は事務所にも所属していて自分の意見もちゃんと聞いてくれるしすごく守られた夢のような環境で活動出来ているから、ここに居られる事がメチャクチャ運が良いなと思ってるんです。

──きっと、そういう人を引き寄せる力を魑魅さん自身が持っているのかもしれないですね。

魑魅魍魎：あの、ちょっと話が変わっちゃうかもしれないけど、私、小さい頃からすごくマザコンなんです。お母さんは女手1つで私を育ててくれたんですけど、すごく私を評価してくれるんですよ。例えば、学生の頃に勉強を頑張って学年で上位になった時も「天才だ！」とか、「あなたは才能があるから、こんな田舎にとどまってちゃいけない」とか。ずっと近くでそういう風に言ってくれる人がいたのも、大きかったかなって。

──素敵なお母様じゃないですか！　すると、魑魅さんがやりたい事に挑戦している今、全力で応援してくれているのでは？

魑魅魍魎：うん、メチャクチャ応援してくれています！　YouTubeで観てすごく喜んでくれているし、お母さんの事も含めて本当に周りに恵まれてるなと思います。


──魑魅さん自身、自分のどういうところを強みとして見せていきたいと思っていますか？

魑魅魍魎：はじめ、可愛い系が似合うってずっと言われていたんです。だから、そのイメージを絶対に払拭したくて、黒ゐ少女や混沌少女ではハチャメチャやってやろうと思ってるんですよ。私、すごく卑屈だから人に言われた事の反対を行こうとするんです。天邪鬼なんですよ（笑）。

──あはは！　今の活動で楽しいところって、ズバリどういうところですか？

魑魅魍魎：もう、ライブしている時が一番楽しい！　このために生きてるんだなって思う。イベントライブでアウェイな時でもステージに立っちゃえば楽しいし、正直ダンスは苦手なんですけど、たくさん教えてもらえる今の環境でちょっとずつ克服出来ていると思うし、歌も自信はないけど自分の気持ちを発散出来るんですよね。混沌少女も黒ゐ少女も自分の感情をさらけ出すような歌詞や語りの部分がたくさんあるから、歌っていてすごく楽しい。そういう、感情的な語りとかラップの部分は〈良い〉って言ってもらえる事が多いので、そこは伸ばしていきたいなと思っているし、同じ曲を披露しても同じことってないのがライブだと思うから、そういう日々がメチャクチャ楽しいですね。

──では、魑魅さんの今後の目標を伺いたいです。

魑魅魍魎：なんだろう……ライブで輝けるアイドルになりたいんですよね。もちろん好きなアイドルとかアーティストはいるんですけど、“好き”だけどその人たちみたいになりたいとか憧れるっていうんじゃないんです。だから、私自身は“こういう人、他にいないよね”っていう存在になりたいですね。パイオニアになりたい！　そのために、歌もダンスももっと頑張って、自分をレベルアップさせていかなきゃっていう感じです。黒ゐ少女はダンスも含めて表現力豊かな部分を見せられるし、混沌少女は黒ゐ少女よりももっと感情的な部分を見せられると思うので。

──今日、お話を聞いていてもそうですし、ステージの姿を見ていても、魑魅さんは自分から発信する力を十分に持っていると思うんです。自分で何かを作っていけるというか。

魑魅魍魎：嬉しい！　でも、コンプレックスはいっぱいあるんですよ。背が小さいからダンスで大きく見せたいとか、ダンスが下手だから動きは大きく見せようとか……。

──コンプレックスを悲観するのではなくて、それをバネにしようと。

魑魅魍魎：悲観する時もメチャクチャありますけど、悲観しすぎると死にたくなっちゃうから（苦笑）。でも、実際に死ねないから、もう上がってくしかないじゃないですか。いつも追い込まれると、そう考えるんです。もう、“人生どうにかなる”がモットーなんで！　ショックな事が起きてもすぐ立ち直ろうとするし、トラブルが起きても起きてしまった事は仕方がないから、だったらこれからどうする？って考える。

──強いですね。かっこいい！

魑魅魍魎：基本的に暗い人間なんですけど、よく言えば感情豊か、悪く言えば情緒不安なんですよね。よく泣くし喚くし、よく笑う……そういうところできっとメンバーにはたくさん迷惑をかけていると思うんですけど、みんなすごく助けてくれるんです。さっきも言ったけど、すごく周りに恵まれていて、魑魅魍魎は成り立ってると思っています。

文◎平井綾子
写真◎FAKE DAWN.