【ライブレポート】「the GazettEは一生続くものだと俺らは思っているから」

ツイート
写真◎Keiko Tanabe

2021年5月にリリースした10thアルバム『MASS』をカバーするツアー<the GazettE LIVE TOUR2022 -MASS- / PHASE 01-COUNT "DECEM">を2022年5月から7月にかけて行なった後、10月1日から<the GazettE LIVE TOUR2022 -MASS- / PHASE 02-"The Unknown">と銘打った新たなツアーへと旅立ったthe GazettE。

同ツアーは『MASS』と彼らが作ってきた歴代のアルバムを掛け合わせて、各公演で様々な世界観を構築していくというアプローチが採られた。音源リリースに伴って毎回精力的なライブ活動を行うスタンスに加えて、新たなライブの在り方を常に追究し続けているthe GazettEにふさわしいツアーとなった。

◆ライブ写真

そんな<PHASE 02-"The Unknown">のファイナルであると共に2022年のthe GazettEを締め括るライブとなった東京公演が12月21日にLINE CUBE SHIBUYAで行なわれた。同公演は『MASS』とthe GazettEの9枚目のアルバム『NINTH』を掛け合わせたパターンで、ここ数年の彼らのモードがより強くうかがえるライブに期待が高まる。ツアーファイナルもチケットはソールドアウトとなり、LINE CUBE SHIBUYAの場内は開演前から熱気に包まれていた。

写真◎Kyoka Uemizo

暗転した場内にオープニングSEとして「COUNT-10」が流れ、the GazettEのメンバー達がゆったりとした足取りでステージに姿を現す。客席から熱い拍手が湧き起こり、場内のボルテージが一気に高まったことが感じられる中、ライブは『MASS』に収録された「BLINDING HOPE」と「ROLLIN’」から始まった。眩いオーラを発しながら内面の感情を露わにして激しいステージングを織り成すメンバー達の“ビシッ”とした姿に目を奪われずにいられない。そして、重厚なウネリとキレのよさを併せ持ったハイクオリティーなサウンドとRUKI(Vo)のエモーショナルなボーカルを活かした最新のthe GazettEの楽曲は本当に魅力的で、気持ちがグッと駆り立てられる。オーディエンスも激しいリアクションを見せ、場内はライブ前半からLINE CUBE SHIBUYAが揺れ動くほどの熱い盛り上がりとなった。

その後は「“02 TOUR”最終日を持って2022年のラストライブになります。俺らももちろん悔いを残さないように死ぬ気でいくので、お前らも死ぬ気でこいよな」というRUKIのMCを挟みつつ狂騒感を放つ「HOLD」やダークな雰囲気の「裏切る舌」、ヘヴィネスと洗練感を巧みに融合させた「Falling」などを相次いでプレイ。膨大なエネルギーが漲ったハード・チューンでいながら外に向かってハジけるだけではなく、エモさが香るthe GazettEの楽曲の惹き込み力の強さは圧倒的といえる。このテイストは彼らならではのものであり、それが多くのファンを魅了し、何度でもライブに足を運びたくなる要素のひとつであることを、あらためて感じることができた。

写真◎Keiko Tanabe

ライブ中盤では暗い音世界とRUKIの訴えかけるボーカルをフィーチャーした「濁」を皮切りに、透明感と広大なスケール感を湛えた「THE PALE」、翳りを帯びた「その声は脆く」といったメロディアスなスローチューンが続けて届けられた。これまでにも何度も書いてきたことではあるが、モダンな感覚のヘヴィネスを追究する一方で、こういった憂いを帯びた楽曲も得意としていることはthe GazettEの大きな強みといえる。「激しさのチェンジ・オブ・ペースとして、こういう曲もやります」ではなく、メンバー全員がエモーショナルなものを愛し、的確に理解し、それを表現できるスキルを持っていないと、ここまでの説得力を生むことはできない。12月21日にリリースされた『the GazettE 20TH ANNIVERSARY BEST ALBUM HETERODOXY-DIVIDED 3 CONCEPTS-』がシングルコレクションのDISC1とエモーショナルなナンバーを集めたDISC2の“ABYSS”、へヴィ・チューンを纏めたDISC3の“LUCY”という仕様で3枚揃って上質なのは、彼らだからこそなし得たことだといえるだろう。

写真◎Kyoka Uemizo

麗(G)と葵(G)が奏でるアコースティックギターのアンサンブルを打ち出した抒情的な「MOMENT」で新たな世界を披露した後、RUKIの「かかってこい!」という熱いアジテーションからライブは後半へ。ここでは「BARBARIAN」や「FRENZY」「UGLY」といったハイボルテージなナンバーが畳みかけるように演奏された。華やかにステージをいききして、力感と深みを兼ね備えた歌声を聴かせるRUKI。ライブを楽しんでいることが伝わってくる晴れやかな表情と楽曲のテイストを増幅させるギターソロの取り合わせが印象的な麗。エレガントな雰囲気を醸し出しながらソリッドなギターワークを決める姿が最高にカッコいい葵。膝の辺りにベースを構えて激しいステージングを展開しつつファットなグルーブを紡いでいくREITA(B)。ドラムセットの後ろから強い存在感を発して凝ったパターンのドラミングをパワフルに叩ききる戒(Dr)。“LINE CUBE SHIBUYAはthe GazettE には狭すぎる!”と感じさせるスケールの大きなパフォーマンスと爽快感を放つ爆音の連続にオーディエンスの熱量はさらに高まり、場内のボルテージはどんどん上がっていった。

さらに拍車をかける形でthe GazettEは本編のラストソングとして、タイトに突進するファストチューンの「UNFINISHED」とアッパー&キャッチーな「LAST SONG」を続けてプレイ。場内は激しさと一体感に溢れた熱狂的な盛り上がりを見せ、バンドとオーディエンスの双方が完全燃焼したことを感じさせてthe GazettEはステージから去っていった。

写真◎Keiko Tanabe

ライブバンドとしてのポテンシャルの高さを遺憾なく発揮して、2022年の活動を最良の形で締め括ってみせたthe GazettE。冒頭で述べたように今回のライブは『MASS』と『NINTH』を掛け合わせた内容だったが、あくまでも『MASS』の楽曲が軸になっていることが印象的だった。つまり、今回のツアーは過去曲にスポットをあてて昔を懐かしむのではなく、彼らが歩んできた道のりを提示することで現在のthe GazettEをより強く感じさせる場だったというわけだ。激しさと情感を巧みに融合させ、それを生々しいバンド・サウンドで表現し、さらにエモーショナルな楽曲で円熟味を感じさせる最新のthe GazettEは唯一無二の魅力を湛えている。そんな彼らだけに、2023年の動向にも大きな期待を寄せずにいられない。

写真◎Kyoka Uemizo

最後にアンコールでメンバー全員が語った言葉を記しておこう。

「2022年は20周年イヤーということでいろいろやらせてもらって、ツアーもこういう状況の中全国をまわらせてもらったことに、まずは感謝したいと思います。全国をまわってきて思ったのはね、もちろん声が出せるのが1番いいよ。だけど、声以外にも俺らには身体がある。それで応えてくれたということが、このツアーは1番嬉しかったです。今日のライブはもうすぐ終わってしまうけど、the GazettEは一生続くものだと俺らは思っているから安心してください。2022年、非常に楽しませてもらったことを感謝しています。いろんな地方の子だったり、ツアーをまわってきたみんな、今ここにいない人にも感謝したいと思っています。ありがとうございます」(RUKI)

「お疲れ様でした。素直に、今日のライブは楽しかったと思います。“01”の最後の中野でやってから本当にアッという間に“02”の準備が始まって、今回は曲がすごく多いのでいろいろ大変なところもあって、どうなることかと思っていましたけど、1個1個重ねていくと本当に楽しかった。昔の曲をやることがこんなに有意義で、今のthe GazettEの新しい曲も最高ですけど昔の曲を変わらずやっていって、みんなにも忘れないでほしいし、いつまでもthe GazettEの曲達を愛していってもらいたいと思っています。今年は終わってしまうけど、来年もきっとthe GazettEが楽しい景色を見せられると思いますので、皆さん期待していてください。ありがとうございました」(麗)

「本日は、ありがとうございました。今年は20周年のライブから始まって、無事に『MASS』のツアーをまわれて、初のファンミーティングとかもやってみたりしました。通常の状態ではない中でいつもと変わらない景色を見させてもらえて、今年は支えてくれているスタッフの方々と、みんなのお陰で本当に楽しい1年になりました。本当に、ありがとうございます。来年も、よろしくお願いします」(戒)

「奪われたものも沢山あったけど、それ以上に与えてもらった1年でした。みんなマスクをしているからかわいい顔が見れないし、声を出せないということでいかつい声も聞こえないけど、それでも俺達のライブは問題なくできるということを今年のツアーで証明できたかなと思います。今日は本当に、みんなよくやってくれました。感謝しかありません。ありがとうございます。また来年も、かわいがってやるよ」(REITA)

「今年は、すごく沢山the GazettEができました。ライブとかも沢山できたんですよ。だから、1本1本いいライブにしたくて、もう緊張しっぱなしで、今日なんかお腹痛くなっちゃいました(笑)。本当に、あり難い。みんなが最高の空間を作ってくれるので僕らは幸せです。ありがとうございました」(葵)

文◎村上孝之

写真◎Keiko Tanabe

<the GazettE LIVE TOUR2023 -MASS- / PHASE 03 "LAST MILE">

2023年3月4日(土) 宮城・SENDAI GIGS
OPEN17:00 / START18:00
[問]キョードー東北
TEL:022-217-7788
※平日13:00〜16:00/土曜日10:00〜12:00(日曜・祝日休業)

2023年3月9日(木) 福岡・DRUM LOGOS
OPEN18:00 / START19:00
[問]キョードー西日本
TEL:0570-09-2424
※11:00〜15:00(日曜・祝日休業)

2023年3月10日(金) 福岡・DRUM LOGOS [FC ONLY]
OPEN18:00 / START19:00
[問] キョードー西日本
TEL:0570-09-2424
※11:00〜15:00(日曜・祝日休業)

2023年3月12日(日) 大阪・なんばHatch
OPEN17:00 / START18:00
[問] キョードーインフォメーション
TEL:0570-200-888
※11:00〜18:00(日曜・祝日休業)

2023年3月15日(水) 愛知・DIAMOND HALL
OPEN18:00 / START19:00
[問] サンデーフォークプロモーション
TEL:052-320-9100
※12:00〜18:00

2023年3月27日(月) 東京・豊洲PIT
OPEN18:00 / START19:00
[問] DISK GARAGE
https://info.diskgarage.com/
TEL:050-5533-0888
※平日12:00〜15:00

※各会場のOPEN/START時間は状況により変更になる可能性がございます。

[チケット情報]
スタンディング・指定席:¥7,500(税込)
※未就学児入場不可、諸サービス手数料別、ドリンク代別

《FC.HERESY先行受付》
申し込み受付期間:2022年12月21日(水)22:00〜2023年1月10日(火)23:59

《the GazettE MOBILE先行受付》
申し込み受付期間:2023年1月28日(土)14:00〜2月5日(日)23:59

《チケット一般発売》
2023年2月18日(土)

◆the GazettE オフィシャルサイト
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス