【インタビュー第一弾】渋谷すばる、映画『ひみつのなっちゃん。』主題歌を語る「苦手だからこそみんなに伝えたい」

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映画『ひみつのなっちゃん。』が1月6日より岐阜・名古屋で先行上映を開始、1月13日からは新宿ピカデリーをはじめとする全国の映画館で公開される。同映画の主題歌を担当するのは、渋谷すばる。主題歌「ないしょダンス」が1月11日にリリースとなった。

◆渋谷すばる 画像 / 動画

『ひみつのなっちゃん。』は田中和次朗初監督にして、自身が完全オリジナル映画初脚本で挑んだ作品だ。映画は田中監督の故郷・岐阜県のほぼ中央に位置する郡上八幡が舞台。バージン(滝藤賢一)、モリリン(渡部秀)、ズブ子(前野朋哉)の3人のドラァグクイーンが、オネエ仲間なっちゃんの突然の死をキッカケに、なっちゃんのお葬式に参列するため、郡上八幡へ。オネエであることを知らないなっちゃんの家族に秘密を守り抜くため、普通のおじさんになりきる3人が繰り広げるハートフルヒューマンコメディだ。歳を重ねたバージンがドラァグクイーンとして踊り続けていくことへの葛藤、オネエであることやドラァグクイーンであることに、やり切れない想いを抱くモリリンやズブ子の胸の内の深さは、改めて自分自身と向き合うきっかけとなるだろう。

この物語に自分自身を重ねたという渋谷。彼はこの物語から何を感じ取り、何を伝えたいと思ったのだろう?「ないしょダンス」が生み出された経緯を渋谷に訊いたオフィシャルインタビュー第一弾をお届けしたい。


   ◆   ◆   ◆

■この映画にロックンロールって
■すごく合う気がするなって

──1月11日にリリースされた「ないしょダンス」は、滝藤賢一さん映画初主演作『ひみつのなっちゃん。』の主題歌として作られた楽曲だそうですが、作られた経緯を訊かせてもらってもいいですか?

渋谷:まず台本をいただいたとき、何も考えず、ただただ台本を純粋に読もうって思って読み始めたんです。“自分がこの映画のタイアップ曲を作るんだ”という意識もまずは持たないで、ただただ純粋にこの物語を読んで、自分の中に何が残るのかな? どんな気持ちが残るのかな?っていうところだけを自分自身が知りたくて。まずは本当に何も考えずに台本を読んだんです。

──最初の印象はどんな感じだったんですか?

渋谷:めっちゃ面白かった。予告映像にもなっているんですけど、なっちゃんのお母さんが訪ねて来るシーンあるでしょ。そことかほんまに面白いなって思って(笑)。序盤からクスッて笑っちゃう場面が自分の中でたくさんあって。そのあたりかなぁ。読みながら、“この映画にロックンロールってすごく合う気がするな”って想いながら読み進めていった感じだったというか。


──まさしく田中監督は、この先も「コメディを撮りたい」っておっしゃっていましたからね。『ひみつのなっちゃん。』を作られるとき最初は、「お葬式の映画を撮りたかった」っておっしゃっていて、そこからだったんだ…って少し驚いたんです。そこに、お知り合いのオネエの方のご友人がお亡くなりになって、やはりご友人はカミングアウトなさっていなかったこともあって、お葬式でバレないようにするのが大変だったっていう…実話を重ねて今作のストーリーをお書きになられたという流れだったと。

渋谷:僕も、実話から広げられていったお話だということを監督からお聞きしたときには驚きました。でも、だから嘘っぽくないんだなって思ったんですよね。なんかね、人間のあったかさを感じたんです。人と人との繋がりの大切さを感じたのもそうやし、全部見終わった後に、すごく伝えたいことのある映画だなって思ったんです。ドラァグクイーンとかLGBTQ +とか、いたずらに興味本位でずかずかと入り込んじゃいけないところでもあると思うんです。ちゃんと向き合うべきというか。特別視するという意味じゃなく、ちゃんと曲がって伝わることなく伝えるべきところでもあると思うので。最初は本の趣旨として、どういうテンション感なんだろう?ってすごく考え込みそうになったんですけど、まずは本当に先入観とか深く考え込まずに純粋に自分の中に入れたかったんですよね。そうしたら、一番に自分の気持ちの中に残ったのが、“あ、この映画、めっちゃあったかいな”だったんです。

──すごく分かります。元気にしてくれますよね。

渋谷:そう。本当に背中を押してくれる感じがする。

──台本を読んでいる時点で掻き立てられた感覚だったんですか?

渋谷:そう。早く書きたい!って感覚になれたというか。それって、作品の力だと思うんですよね。

──田中監督は、渋谷さんがこの歌詞の冒頭で書かれた“「お前は普通じゃない」” “じゃあ普通って何なんだろ”というところに、とても共感されていらっしゃいましたよね。主演の滝藤賢一さんも。

渋谷:そう。今回、田中監督や滝藤賢一さんと今作(『ひみつのなっちゃん。』と「ないしょダンス」)について、いろんな媒体で対談させていただいて。その部分への共感を語ってもらえたことで、改めてこの映画にみんなが託した想いや意味を、より深く再認識させられた感じがしたんです。田中監督は、お話させていただいて本当に物腰柔らかで、本当に人間性もあたたかで。ご自分も言ってらっしゃいましたけど、グイグイと現場を引っ張っていく“THE監督”的なタイプではなく、“みんなで一緒に作り上げて行きましょう!”っていうタイプで、現場のみんなを尊重しながら進めていく感じの方でもあったんですけど。そんな柔らかな人柄の中にも、やっぱり何処か反骨心みたいなのがあるんだな、訴えたいことがあるんだなっていう熱意を感じさせられたんですよね。それが、“「お前は普通じゃない」” “じゃあ普通って何なんだろ”という僕の書いた歌詞と重なる部分だったんじゃないかな?って思ったんです。滝藤さんも同じく、あんなに熱量高く真に迫るお芝居をされる役者さんで、自分の考えをとてもしっかりと持っていらして。誰もが憧れるようなカッコいい生き方をしていらっしゃる俳優さんなのにやっぱり、「“「お前は普通じゃない」” “じゃあ普通って何なんだろ”って思いながら生きてきた過去があったんだよ。だから自分にもすごく重なる部分を感じたんだよ」ってお話をしてくださって。この映画を通して、主題歌「ないしょダンス」を書かせていただいたことで、こんなにもいろんな方々と、いろんな深いお話をさせていただけて、向き合える機会をもらえたことを、本当に幸せに感じているんです。「ないしょダンス」を書かせてもらったことで、自分自身が成長出来たと感じることが出来たんです。


──たしかに。なかなかここまで深く“生き方”の話をする機会ってなかったりしますよね。でも、今回は『ひみつのなっちゃん。』という映画を通して、そこに関わった方々が、みなさんご自身の生き方とも、とても深く重ね合わせていらした感じがします。

渋谷:そうなんですよね。内に秘めた反骨心というか、ハングリー精神というか、そういう共通した部分を知ることが出来たなって思うんです。監督とか役者さんとかドラァグクイーンとか、音楽を作ってる日常ではなかなか会う機会もないし。性格的に自分からそういう人達の中に交わりに行こうとするタイプでもないから、こういう機会をもらえたことで、自分の作った音楽を介してこんな風にいろんな人達とお話させてもらえる機会をいただけたことで、いろんな経験になったなって。ほんまに楽しかった。

──映画が出来上がって観たときは、台本を読んで楽曲を書いたときの感情とか感想と異なるものを感じたりしましたか?

渋谷:いや、今回に関しては、台本を読んで想像した通りだったんですよ! もちろん台本に登場人物のキャラクターイメージや、風景や情景が細かく描かれていたから、そこから自分の中でいろんな景色や登場人物を想像しながら脳内で映像化していってたんですけど。実際に映画になったとき、自分の頭の中で想像したいろんな景色や登場人物がぴったりハマっていたんです! 滝藤さん演じるバージンさんも、渡部さんのモリリンも、前田さんのズブ子も、郡上八幡までの道のりの景色も、郡上八幡の景色も、想像通りだったんです。それに、監督とお話させてもらっていたこともあって、監督の人柄のあたたかさも自然と自分の中で映像の中に落とし込んでいたのか、“自由に生きたらいいやん!”っていう強い熱量の中に、あたたかい優しさがあったんですよね。映画を観終わったとき、“あぁ、ほんまに想像通りのあったかい映画やったな”って思ったんです。自分自身がこの映画に背中を押してもらったような感じがしたというか。

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