【ライブレポート】「BAND-MAID10周年、駆け抜けるぞ!」

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2023年1月9日、BAND-MAIDは東京ガーデンシアターという初めての場所に立った。しかもこれが新年最初のお給仕(ライヴの呼称)であるのみならず、記念すべき10周年イヤーの幕開けを飾るものでもある。コロナ禍においても無観客でのオンラインお給仕(配信ライヴ)といった実験的機会を積極的に重ね、規制が緩やかになりライヴの日常が回復してきた昨年の夏以降は、<DOWNLOAD JAPAN>や<SUMMER SONIC>といった大型フェスへの出演を果たすと同時に、少ない本数ながらも国内4都市を廻り、10月にはフェス出演と2本の追加公演を含む全14本のUSツアーを実施。

◆ライブ写真

さらに帰国後にはさいたまスーパーアリーナでのGUNS N' ROSES来日公演のサポートアクトを務めるなど、あるべき形での本格的ライヴ活動再開に向けての段階は踏まえてきたし、お膳立てはしっかりと整っている。バンド自身もご主人様・お嬢様(ファンの呼称)側も、この日の到来を待ち焦がれてきたに違いない。その期待度の高さは、彼女たちの単独公演としては過去最大のキャパシティでありながらチケットが事前に完売に至っている事実にも裏付けられている。それは同時に、今回初めてBAND-MAIDと向き合うことになった人たちが少なくないことを示してもいるわけで、彼女たちがコロナ禍においても試行錯誤しながら歩みを止めずにきたことが実を結んだ結果ともいえるはずだ。

開演予定時刻の18時を5分ほど過ぎた頃、場内は暗転。すぐさま自然発生した拍手は荘厳なSEのテンポに呼応しながら手拍子に変わっていく。照明とスモークが醸し出す幻想的な風景は、そのSEが烈しく転じると同時に光線の交錯するスピード感溢れるものに変わっていく。まだ薄暗いままのステージ上にまず姿を見せたのはMISA(B)。続いてKANAMI(G)、小鳩ミク(G,Vo)、AKANE(Dr)の順に登場して各々の配置に就くと、SAIKI(Vo)がゆっくりと中央に歩み出る。


そこで音が止んだ次の瞬間に耳に飛び込んできたのは、楽器の音ではなくSAIKIの声。記念すべき夜の1曲目は、ノーイントロで歌と演奏が同時に始まる「Unleash!!!!!」だった。どの曲が飛び出してくるのかと身構えていたオーディエンスは、まずそこで面食らったのではないだろうか。しかしそのタイトルが「解き放つ」という意味であることを考えれば、宴の幕開けを飾るのにこれ以上相応しい曲はない。

スタンド席が高く重層的に設えられたガーデンシアターの広くて無機質な空間の温度が、一気に高まっていく。スクリーンには歌詞中に登場するキーワードがテンポよく映し出され、 “Dan! Dan! Di,di,dan! Dan!”というまじないのようなフレーズが繰り返されるたびに加速していくかのようなスピード感が、オーディエンスの同調ぶりにも拍車をかけていく。このオープニング・チューンが着地点に到達すると、SAIKIは「来たぞ、ガーデンシアター! 騒げ!」と威勢よく呼びかけ、拍手と歓声を浴びる。そう、今夜は騒ぐことが許されている。もちろんマスクの常時着用という条件付きではあるものの、「一時的な声出し」はOKとされているのだ。

赤と緑の光に彩られたステージ上で、次に炸裂したのは「Play」。スピードを抑えたヘヴィなグルーヴが心地好い。しかもSAIKIの歌唱に合いの手を入れるように小鳩が歌声を重ねることで、ツインヴォーカルならではのマジックが起きる。さらにMISAとKANAMIがバトルを繰り広げるかのようにベースとギターのフレーズを交互にぶつけあい、その繰り返しを経てAKANEが雷鳴のようにドラムを轟かせる。そんな切れ味のいいセッション・パートを経て、時間の隙間を設けることなく3曲目の「influencer」に雪崩れ込んでいく。そして次なる「BLACK HOLE」ではふたたび加速。希望の光へと手を伸ばすかのように歌うSAIKI。そのヴォーカルも含めてヘヴィな部類に入る曲だが、小鳩がそこに声を重ねることで独特の軽やかさが加わっていき、眩暈を誘うようなギターフレーズが異世界へと連れて行ってくれる。この曲をもって、最初のブロックが終了となった。


「おかえりなさいませ、ご主人様お嬢様」

会場を埋め尽くした観衆に、小鳩ミクが呼びかける。それに続いたのは「Welcome back home masters and princesses」という英語での挨拶だ。

「ようこそBAND-MAIDのお給仕へ! そしてそして、まずはHappy New Year! あけましておめでとうございますっぽ! くるっぽー! やってまいりましたっぽ。10周年の、2023年の幕開けとなる東京ガーデンシアターでのお給仕。皆様楽しみにしてましたっぽ? 今日は一時的な声出しはOKとなっておりますので、皆様思う存分、くるっぽって言えちゃうっぽ!」

そのまま「くるっぽー!」のコール&レスポンスの儀式が賑やかに遂行されると、小鳩は「嬉しいですっぽ!」と満面の笑みを浮かべ、さらに場内を見渡しながら「上の席まで見えてますっぽ。たくさんのご主人様お嬢様のご帰宅、本当に嬉しく思いますっぽ!」と呼びかけ、さらにはステージ前のカメラを通じて生配信で観覧中のオーディエンスにも挨拶。「素敵な素敵な1日にしたいと思いますが、ご主人様お嬢様の準備はできてますかっぽ?」という言葉に客席からは歓声が起きるが、一回目のそれは彼女にとって満足のいく音量ではなかったようだ。そして「もっともっと行けるっぽ!」という手厳しい言葉での扇動に大きな歓声が起きると、満足げな様子で改めて「素敵なお給仕にしましょうっぽ。ようこそBAND-MAIDのお給仕へ!」と改めての挨拶を重ね、場内はさらに沸いた。誰もが、この瞬間到来を待っていたのだ。

蛍光色のようにキラキラとしたやりとりの直後、KANAMIの奏でるヘヴィなリフが空気を一変させる。「DOMINATION」だ。常に世界征服を目標に掲げてきたBAND-MAIDにとってはテーマソングともいうべき楽曲のひとつだが、幾度も“Hello”と呼びかけるこの曲は、実際、彼女たちが自らにとっての世界を切り拓いていくうえで大切な役割を果たしてきたはずだ。SAIKIはステージ下手側のMISAと向き合い、KANAMIと小鳩はAKANEのドラムセットのもとへ。ロックバンド然としたフォーメーションと可愛らしいコスチュームとのギャップもBAND-MAIDのお給仕ならではの面白さだ。そしてKANAMIが、コンパクトながらも殺傷力の高いギターソロでインパクトを残す。ある意味、70年代からKISSがやってきたことを現代的なクオリティで実践しているとも解釈できそうだ。


さらに曲はテクニカルな高速ギターと空間にうねりをもたらすベースが耳をひく「H-G-K」へと流れていき、一瞬の静寂を挟んで「the non-fiction days」が炸裂する。曲の終盤、5分割された背景のスクリーンに各々の姿が大きく映し出された場面には思わず「おおっ!」と声をあげそうになった。こうした王道的な見せ方がバシッと決まるのは、メンバー個々にキャラクター性ばかりではなくしっかりとした存在感が伴っているからこそである。続いて聴こえてきた「I’ll」での重心を落とした演奏ぶりも説得力充分だ。ヘッドバンギングをしたり拳を突き上げたりするばかりではなく、BAND-MAIDの楽曲には身体を横揺れさせて踊りたくなるものが多々ある。しかも各自のプレイが印象的なのに、何よりも鮮烈に耳に残るのがSAIKIの歌声とメロディだという“歌ものロックソング”の理想が成立していることに改めて気付かされる。

そのままセッションパートへと移行し、AKANEのドラムビートがMISAのグルーヴを誘い出す。小鳩のギターがリズムを刻み、KANAMIの奏でるフレーズが次の場面へと先導していくと、その先に用意されていたのは 「I still seek revenge.」だった。曲がクロージングに至った際の“ジャーン!”という音ひとつにも、このバンドのタイトさと、地力の強さを感じずにはいられない。正確で技巧的なプレイができたり綺麗に演奏できたりはしても、そうしたキメの場面での音圧の弱さみたいなものが、昔からいわゆるガールズバンドの弱みのひとつとされてきたものだが、彼女たちのお給仕においてそれを感じさせられることはない。べつに彼女たちが並大抵ではない体力の持ち主だと言っているわけではない。おそらくそれは、各楽器の音色の選び方や全体的な音作りが的確で、なおかつ全員の発する音がきちんと噛み合っているからこそであるに違いない。もちろんそこにはスタッフワークの優秀さも伴っているはずだが、そうした点も含めて、BAND-MAIDのお給仕には他のバンドたちにとっても学ぶべきところが多々あるように思う。


続いてKANAMIが奏で始めたのは、この日のプログラムにおいては貴重な初期楽曲のひとつとなった「alone」。キャッチーな“oh oh”の繰り返しに合わせて観衆は手を高く掲げ、拳を振る。こうした比較的空間の豊富な楽曲と、情報量の多い密度濃い楽曲とのコントラストもBAND-MAIDの魅力のひとつと言っていいだろう。すると今度はドラムのカウントに導かれながらインストゥルメンタル曲の「onset」が繰り出される。この曲にとっての“華”はKANAMIのギターだが、AKANEの姿勢の良いビートとMISAのベースは、それと渡り合いながら起伏を演出していく。そしてこの曲のクロージング後、一瞬の静寂を挟んだのち、小鳩の歌声が青く染まった闇を裂く。「サヨナキドリ」である。この曲の終盤には彼女にとって限界ギリギリと思われる高域の箇所が待ち受けていて、そこでは声が掠れたり裏返ったりしてしまうことも少なくない。ただ、そこまで行き着かないと、この曲の切迫したせつなさは伝わらないし、聴き手の心を奪うこともないのだ。

この曲を披露し終えるとメンバーたちはステージ上からひとたび姿を消し、2023年最初のお給仕は折り返し地点へと到達した。しばらくの無音状態を経て、目に飛び込んできたのはSAIKIの姿だった。「楽しんでますか、ガーデンシアター!」という呼びかけにオーディエンスは大きな歓声で応える。「特に話すこと、決めて来てなくて」という彼女の言葉に嘘はなさそうで、あらかじめ用意された台詞のようなフレーズが飛び出すことはなかった。が、だからこそ「10周年の年ということで……ありがとうございます」「10年ですって! すごくない?」「バンドを10年続けるってホントに大変だなって自分で思う」といった発言には素直なリアリティを感じさせられた。そう、バンドを10年続けることは決してたやすいことではないのだ。しかもここ3年近くはコロナ禍という想定外の障壁にも道を阻まれてきたのだから。


しばらくするとMISAが登場してウィスキーを口にしてみせ、さらにはAKANEがバナナを食べながら姿を見せる。そこでSAIKIは「こんなバンド、いないよ」と言って笑いを誘ったのち、MISAに「何か話したいこと、ある?」と問いかけると、彼女は表情をほころばせながら「声出し、嬉しいね」と言った。その表情と口調から、本気の嬉しさが滲み出ているように感じられた。昨年11月にインタビューした際も、彼女たちは日本でのお給仕で“声出し”がずっと禁じられてきたことについての寂しさを口にしていたし、だからこそ全米ツアーの際にはオーディエンスの声にまみれながら演奏する快感を久しぶりに味わい、感慨をおぼえたのだった。もちろんすべての規制が解けたわけではないが、世の中でライヴがこうして当たり前の状況を取り戻しつつあることが純粋に嬉しいのは、演者にとってもファンにとっても同じことなのだ。

その喜びを分かち合うようにMISAが実施した“開封の儀”や、小鳩ミクの“おまじないタイム”など、その後しばらくは緩い時間の流れとなった。ただ、その“おまじないタイム”にしても、“声出し”が解けて通常のコール&レスポンスが可能になった今回は、正直に言えばBAND-MAIDのお給仕にこうした要素がかならずしも不可欠だとは思っていない筆者でさえ、ちょっとした感慨めいたものをおぼえた。もちろんそうした要素は楽曲以上に重要なものではないし、演奏曲数を削ってまでやるべきことだとは思わない。ただ、時間的余裕がたっぷりある単独公演という機会においては、やはりこれは欠かせないものなのだろう。

そうした緩やかでふんわりとしたひとときを経たうえで、お給仕は後半へと移っていく。まず聴こえてきたのはシンフォニックなサウンドの前奏パート。「Sense」である。“おまじないタイム”から一気に加速していく、こうした落差の大きなジェットコースター的展開もBAND-MAIDのお給仕の醍醐味のひとつだ。しかも「Sense」はコンパクトなサイズの中にこのバンドの特質が密度濃く凝縮された画期的な楽曲。すでに新たな代表曲のひとつとしてのポジションを獲得していると言っても過言ではないだろう。そのスピード感にさらなる熱を加えていくかのように“火花”が炸裂すると、スクリーンに浮かぶ背景も激しく炎上。その先に控えていたのは、メロウな始まりの後で強烈な波が押し寄せてくる「Corallium」。期せずしてなのか狙いがあってのことなのかはわからないが、結果的には2021年10月にリリースされたシングルに収録の3曲が立て続けに披露される流れとなった。


それに続いたのは、2021年2月、アルバム『Unseen World』の発売からわずか2週間後に配信リリースされていた「about Us」。おそらくこの曲自体はスピードを上げて攻撃的に演奏しても成立するはずだが、硬質な感触の楽曲の占める割合の高いBAND-MAIDのレパートリーにおいて、この柔らかな手触りは貴重だといえるし、“ヒトリじゃない”というキーワードが耳に残る。そうした楽曲のたたずまいに、乳白色の照明がとても似合っていた。そして次に聴こえてきたのはピアノによる耳慣れないメロディ。それを導入に据えながら始まったバラード然とした楽曲をSAIKIは丁寧に歌いあげ、小鳩はアコースティックギターで彩りを添える。「溢れ出す想いを集めて、空に浮かべよう」「またどこかで会えるまで」といった歌詞が耳に残ったこの曲のタイトルは、関係者向けに配布された曲順表には「Memorable」と記されていた。正真正銘の新曲である。当然ながら初めて耳にする曲なのにしっくりと馴染んでくるのは、楽曲自体が持ち合わせている普遍性ゆえだろう。最後まで歌い終えたところでSAIKIが「ありがとう」の一言をそっと添えていたのも印象的だった。

明らかにステージは終盤に差し掛かりつつある。次に披露されたのは、じっくりと腰の据わったグルーヴが心地好い「Manners」。疾走感やアグレッシヴさに答えを求めていないこうした楽曲は、付け焼刃でサマになるものではない。『Unseen World』完成時のインタビューの際、彼女たちはこの曲を「これまでのBAND-MAID」と「これからのBAND-MAID」を繋ぐ曲のひとつという位置付けにあるものだと認めていたが、実際、このバンドの成熟ぶりがうかがえる楽曲であると同時に、この先、味わい深さを増していくことになるものだと思えてならない。この曲のグルーヴの余韻を受けながら、今日的なヘヴィさを持った「Puzzle」へと移行すると、ベースがぐいぐいと牽引していくセッションパートを経ながら「HATE?」へと転じていく。“I hate you”などというシンプルに刺々しい言葉を軽やかに連呼する痛快さがたまらない。

すると今度はふたたびシンフォニックな響きに導かれながら最新インストゥルメンタル曲にあたる「from now on」が炸裂する。その場にSAIKIの姿はなく、スクリーンは4分割され、4人が演奏するさまを大きく映し出す。各々の演奏家としてのアップデートされた持ち味とセンスがバランス良く詰め込まれたこの曲は、昨夏の<DOWNLOAD JAPAN>出演時にはオープニングで先行披露され、BAND-MAIDの音楽にあまり馴染みのない層にもインパクトを残していた。実際、いきなりインスト曲で幕を開けたことで呆気にとられた様子の観客たちの姿を筆者は目撃している。この先も世界各地で同じような光景を呼び込むことになるのだろう。

このインスト曲をもってひとつの流れが終結、いよいよお給仕はクライマックスへと向かっていく。小鳩ミクはまずオーディエンスに「皆様、楽しんでますかっぽー」と呼びかけ、「こうして今日を迎えられてお給仕ができていることも、ホントにご主人様お嬢様がまたご帰宅くださって一緒に盛り上がってくださってるからですっぽ。ホントにありがとうございますっぽー!」と告げると、そこにSAIKIも「ありがとうございます!」と言葉を重ねていく。そしてSAIKIはそのまま言葉を引き継ぎ、「まだみんなの前でやれてなかった曲たちを中心に……『Unseen World』とか『Unleash』を中心に組んでみましたが……どう?」と、この夜のセットリストについての感想を求めると、客席からは当然のように好意的な拍手と歓声が聞こえてきた。

そして、初披露した「Memorable」について、「10年経って大人になったということで、やっとバラードができました!」と発言。さらに、これまで自分たち自身ではバラードだと自負していた曲について、まわりの大人たちから「それはバラードじゃない」と言われたり「そういえばBAND-MAIDってバラードをやらないんだね?」といった指摘を受けてきたという逸話を披露。僕自身は彼女たちのこれまでのレパートリーの中にバラードと呼ぶべきものがいくつかあると思っているが、確かにここまでバラード然とした楽曲は初ということになるかもしれない。また、彼女はこの曲の原案が先頃のアメリカツアー中にKANAMIから生まれてきたものであることを報告。先頃お届けしたインタビューの中でKANAMI自身が「ガーデンシアターでは新曲もお聴かせできたらいいなあという気持ちもあるので、アメリカツアーを経てこういう曲もできるようになったんだね、みたいなものを聴かせられるように頑張ります」と語っていたのを思い出す。


「10周年で、今年は走り抜けたいと思ってますから……ついてこれるんですか? 皆さんついてこれるんですか?」

SAIKIが挑発するような口調でオーディエンスを煽ると、歓声の音量も高まっていく。さらに配信で観ている全世界のファンに向けて小鳩が英語でメッセージを発信。国内外問わずたくさんのお給仕を実施することを公約すると同時に、世界征服という変わらぬ目標についても言及し、「世界征服するBAND-MAIDの姿を見ててくださいっぽ!」と宣言すると、改めてSAIKIが「行けるんですか、ガーデンシアター! かかってこれんのか!」と扇動。ラストスパートは「Balance」から始まり、重厚かつ前傾姿勢の突進力を備えた「After Life」へと続いていく。そして“1人は孤独じゃないから”“戦い続ける理由が生きる証だ”といった象徴的な言葉が次々と飛び出す「endless Story」は、オーディエンスを合唱に巻き込みながら盛り上がりをみせ、“The life is beautiful”という最期の一節まで歌い終えた直後、SAIKIの口からは「最高!」という言葉が漏れていた。この夜を象徴する、とても美しい瞬間だった。

そこからさらにセッションパートを経て 「NO GOD」に雪崩れ込んでいくと、合唱の輪はさらに広がっていく。興奮が絶頂に達したところでこの曲が着地に至ると、静寂の中、スポットライトを浴びたSAIKIがアカペラで歌い始める。震えをおぼえたのは寒いからではなく、そのさまがあまりにクールだったからだ。そして彼女が「LAST!」と叫ぶと「Choose me」の演奏がスタート。そこからゴールまでの直線コースを、5人は全速力で駆け抜けた。序盤からのテンションを保ちながら息切れすることもなく、まさに圧巻の全26曲だった。

SAIKIは「ありがとうございました。東京ガーデンシアター。BAND-MAID10周年、駆け抜けるぞ!」と呼びかけて歓声を集め、小鳩の「行ってらっしゃいませご主人様お嬢様、BAND-MAIDでしたっぽ。バイバイくるっぽー!」という言葉を最後にメンバーたちは手を振り、ピックや花束などを客席に放り投げながらその場から去っていく。最初に場内が暗転してから、すでに2時間40分が経過していた。そして無人となったステージが暗くなり、背景のスクリーンにBAND-MAIDのロゴと2023年という文字が浮かび上がる。満員のオーディエンスの視線を集めながらその場で発表されたのは、3月に10周年ツアーが開幕して国内外を廻り、11月26日に同ツアーのファイナル公演が開催されるとの朗報だった。しかもその会場は横浜アリーナ。2023年の幕開けと共に自己史上最大規模の単独公演を実施したBAND-MAIDは、同じ年のうちにその記録を更新することになるのだ。そしてきっと、その頃までにはこのバンド自体が今現在以上に強力な存在へと進化を遂げているに違いない。そう確信できた一夜だった。

取材・文◎増田勇一
撮影◎MASANORI FUJIKAWA

アーカイブ配信情報

<BAND-MAID TOKYO GARDEN THEATER OKYUJI>
2023年1月9日(月祝)・東京ガーデンシアター
公演詳細:
https://bandmaid.tokyo/contents/534358
※ロングアーカイブ含む配信チケット発売中

<BAND-MAID 10TH ANNIVERSARY TOUR>

詳細:https://bandmaid.tokyo/contents/609624

3月23日(木) 熊本・熊本B.9 V1
3月25日(土) 鹿児島・CAPARVO HALL
3月26日(日) 福岡・DRUM LOGOS
4月21日(水) 兵庫・神戸Harbor Studio
4月22日(土) 京都・KBS HALL
4月24日(月) 大阪・BIG CAT
7月3日(土) 東京・Zepp Shinjuku
7月9日(日) 新潟・NIIGATA LOTS
7月15日(土) 静岡・LIVE ROXY SHIZUOKA
7月19日(水) 神奈川・CLUB CITTA'
9月2日(土) 長野・長野CLUB JUNK BOX
9月3日(日) 石川・金沢EIGHT HALL
9月22日(金) 岡山・CRAZYMAMA KINGDOM
9月23日(土) 広島・ 広島CLUB QUATTRO
9月30日(土) 香川・高松MONSTER
10月1日(日) 愛媛・松山サロンキティ
10月7日(土) 秋田・Club SWINDLE
10月9日(月祝) 宮城・SENDAI GIGS
10月13日(金) 北海道・ペニーレーン24
10月15日(土) 北海道・小樽GOLDSTONE
10月20日(金) 大阪・なんばHatch
10月25日(水) 愛知・DIAMOND HALL
11月26日(日) 神奈川・横浜アリーナ

ライブ出演情報

<WELCOME TO ROCKVILLE 2023>
開催日程:2023年5月18日~22日 ※米現地時間
https://welcometorockville.com/

<Sonic Temple Art & Music Festival>
開催日程:2023年5月25日~28日 ※米現地時間
https://sonictemplefestival.com/

◆BAND-MAID オフィシャルサイト
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