【インタビュー】silent sparkle、ストレートなギターロックにグッドメロディのラブソング

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香川県高松市をホームグラウンドに、日本全国へと勢いを広げつつある期待のバンド。炭井誠(Vo&G)、まる。(B)、フケセリ(Dr)からなるスリーピースバンド・silent sparkleが、レーベル“three charm”から初の全国流通CD『心はずっとそのままで』をリリースする。ストレートなギターロックにグッドメロディ、ボーカル炭井の内面を素直に吐き出したラブソング中心の楽曲は、きわめて個人的な世界観にも関わらず、いや、だからこそ強烈なインパクトと共感を持ってリスナーのハートを直撃する。silent sparkleは一体どんなバンドなのか? 3人のこれまでの歩みを聞いてみよう。

■気持ち悪い男の普段は言えない感情を赤裸々に書くあたりが
■炭井じゃないと無理なのかなと思っているんです


――silent sparkleは、結成何年目ですか。

炭井誠(以下、炭井):4年目です。

――ここまで、どんな道のりだったんでしょう。

炭井:体感としては速いですね。マジで速い。1年目、2年目ぐらいまでは普通だったんですけど、3年目以降は本当に速かった。『Leave』(3rd EP)を出したのが一昨年の夏で、それが最近だなと感じます。そこらへんからやってないこととか、初めてのこともいっぱい経験できていて、だから速いのかも。

――そもそも、バンド結成の由来というと?

炭井:結成の由来は、高校の軽音部なんですけど、もともと4人だったんです。ギターがもう一人いて、違うドラマーで、全員男の子でやっていて。で、進学とかいろいろあって、ドラムの子が抜けちゃって、後輩だったフケセリに…。

フケセリ(Dr):私の教室の前にみんなで来て“お願いします!”って。そんなことされたら、無理ですとは言えない(笑)。でもやりたいなと思ったんで、最初はサポートから入って、やっていくうちに、ちゃんとしたいなと思って、正式メンバーにしてくださいって言いました。ですよね?

炭井:たぶん。それからコロナ禍になって、ギターの子があまり動けなくなって、辞めて、そこから3人でやっています。

まる。:それが『Leave』を出す前ぐらい。

炭井:だから、3人になってからめっちゃ速い。


▲Gt.Vo. 炭井誠

――バンドを組みたいと言いだしたのは、炭井くん?

炭井:そうです。(まる。は)もともと軽音部じゃなかったんです。

まる。:スポーツをしていて音楽は何もしてなくて、(炭井とは)顔見知りぐらい。一歳下の子と、僕と、炭井がそれぞれ仲良くて、でもここ(炭井とまる。)は関係ないみたいな感じ。で、突然「バンドやってみようよ」っていう紹介の仕方をされて、そこからベースを始めました。

炭井:高松MONSTER(ライブハウス)に連れて行ったんですよ。

まる。:“ベース、かっこ良いからやって”って。“じゃあ自分でやればいいやん”“いや、オレはギター&ボーカルだから”って(笑)。“ベースだけ見よって”って言うから、見ていたんですよ。そしたら、案外かっこ良いなと思い始めて、洗脳されて、そこからですね。

――炭井くんはギター経験者なんでしょ?

炭井:僕は小2からギターをやっています。親が両方バンドマンなんで。

――それは良い環境。フケセリちゃんは?

フケセリ:私も小2からドラムをやっています。

まる。:僕は高2です(笑)。

――そこがすごく面白い。経験者で組むんじゃなくて、衝動で組みたかったとか。

炭井:完全に衝動ですね。なんでベースに誘ったのかも覚えてない。いけると思ったんですよね。たぶん。

――やりたい音があったのかな。こういうバンドになりたいとか。

炭井:My Hair is Badっていうバンドがいて、(まる。が)それが好きだという噂を聞いて。あとONE OK ROCKとか。それで“バンドやろうよ”って言ったんだと思う。たぶん。


▲Ba.Cho. まる。

――最初、大変だったでしょう。初心者ベーシストとして。

まる。:右も左もわかんない。一回投げだしそうになったけど“まあええんちゃう?”みたいな感じで言われて、こんなもんで良いんだと思って、どうにかやっていけた感じです。これがカチカチのやつだったら、無理だったなと思います。

炭井:カチカチのやつ?(笑)

まる。:“ちゃんとしろよ”みたいな感じじゃなかったから、キャラ的にいけたところはあった気がする。

――最初から作詞作曲でオリジナルですか。

炭井:いや、最初はカバーを。2、3か月くらい。

まる。マイヘアと、ワンオクと、KANA-BOONとか。

炭井:僕がKANA-BOONを好きだったんで。あとback numberも一瞬やった。で、地元で<潮騒ロック>っていうフェスがあるんですけど、それを二人で見に行って。僕、このバンドをやる前にもバンドやっていて、その時一緒にやっていたマタノシタシティーっていうバンドがいて、「潮騒ロック」に出ていて、“炭井は出てないん?”って言われて、悔しくなって、出たくなって、作ったのが「水平線」という曲です。

――それが2020年9月、バンドの最初のデモ音源になったものですね。なるほど、やっぱり衝動から始まっているんだ。ちなみに香川、高松のバンド事情ってどんな感じなんでしょう。盛んなのかな。

炭井:盛んだと思います。外に出て思うんですけど、高松のバンドはレベルが高いなって思います。<潮騒ロック>は、VIVASNUTっていう先輩のバンドが主催で、<潮騒ロック>のおかげでバンドを始めた子も多くて、僕もそうだし、きっかけになっていると思います。


▲Dr.Cho. フケセリ

――その中で言うと、若手のほうでしょう。silent sparkleは。

炭井:年齢で言うと、一番下だと思います。下が出て来てほしいんですけどね。僕、21歳なんで、下だとすると高校生だから、そういう子たちが「バンドやりたい」と思うようなことをしたいですね。

まる。:バンドをやりたいと思う子が増えるのが地元のシーンなら、そこにはなりたいと思います。あと、香川のバンドである以上、<MONSTER BUSH>は出たいなと思います。

――若い子には背中を見せないと。で、今回のファーストフルアルバム『心はずっとそのままで』は、初の全国流通盤ということで。

炭井:そうです。


――これまでの集大成、という感じですか。

炭井:集大成として、今までやってきたこともやっているし、ただ、今まではバラードやミドルテンポの曲が多めのCDを出してきたんですけど、今回はやったことのないリズムにもチャレンジしています。「想い出」みたいな王道の失恋バラードもありますけど、「そばにいる」みたいな優しめのバラードだったり、人間味を出した「本音」という曲があったり、いろいろやれたかなと思っています。

――集大成であり、挑戦であり。フケセリちゃんは?

フケセリ:今までやってこなかったような曲に挑戦したかなって思います。「代わる代わる」とか、今までにない感じのリズムだし。

炭井:ハネてる。

フケセリ:ビートとか、フィルインを作るのが、苦戦もしたけど、そのぶんすごく良いアルバムができたなって思います。

――速いのと遅いのと、どっちが得意とかはある?

フケセリ:どうなんやろ? ミドルテンポが一番得意かも。「愛にまみれて」とか。

炭井:「グッドバイ」とか。

――まる。くんは、このアルバムの手ごたえは?

まる。:今までのCDと比べると、歌詞も演奏も全部ひっくるめて、大人になった一面が見せられたかなと思うし、でも要所要所は昔と一緒の感じだから、『心はずっとそのままで』というタイトルにも合っていると思います。あと再録の「水平線」が、僕的には聴いてほしいですね。前のやつを持ってる人は特に。

炭井:それこそ、大人になった一面が確実にわかりやすい。

――具体的に、何が違うんだろう。

まる。:音のこだわりというか、音作りが全然違うし、バンドに沿った音になっていけてると思います。あと歌詞で言うと、「代わる代わる」のサビ前の、“髪を切ってまた俺好みになってしまう/瘡蓋がまた捲れてしまう”という歌詞があるんですけど、そこの歌詞がめっちゃ気持ち悪い。

フケセリ:あはは。

まる。:気持ち悪い男の感情というか、普段は言えない感情を赤裸々に書くあたりが、炭井じゃないと無理なのかなと思っていて。そこがグサグサ来る人もいるんだろうなと思っちゃう。

――ということは、まる。くんもグサグサ来てる。

まる。:はい(笑)。そういうところを聴いてほしいなと思います。

――確かに、炭井くんの歌詞は相当に個性的で、個人的だと思う。

フケセリ:心に来ますよね。

炭井:思ってる?

フケセリ:思っています。「本音」とか、おおー!って思う。

まる。:思ってますか?(笑)

フケセリ:語彙力がなくてすみません(笑)。でも“大衆居酒屋でいざこざ”とか、そんな歌詞聞いたことない。才能があります、炭井は。

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