【ライブレポート】ジュリアナの祟り、ワンマンにてPRエリア設置。参加アーティストを募集

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2022年11月に開催された渋谷REXでのライブで、今後事務所からの固定給が出なくなるという衝撃の事実と共に、『奇跡体験!バブルビンボー』のキャッチコピーを掲げた2023年前半のライブスケジュールも発表したジュリアナの祟り。

そんな彼らの、2023年ライブ初め。ジュリアナの祟りプロデューサーでもある江夏亜祐(Dr.)の誕生日を祝う『江夏バースデーワンマン「奇跡体験!バブルビンボー!!~江夏から始める奇跡体験!2023~」』が1月11日に新宿ReNYで開催された。

新年一発目にふさわしい、一体感に溢れたHAPPYなライブをさっそく振り返ってみよう。

◆ライブ写真

2023/1/11 江夏バースデーワンマン「奇跡体験!バブルビンボー!!~江夏から始める奇跡体験!2023~」@新宿ReNY

フロアにはたくさんの“タタラー”(ファンの呼称)たちが詰めかけている。18時半の開演時間を迎えるとステージの幕が上がり、すでに江夏をはじめ、蕪木蓮(Vo.)、矢島銀太郎(Ba.)、翌桧ダンク冬雪(Pf.)、佐川ネル秋吉(Dj.)のメンバー5人が和装を纏ってスタンバイ。


まずは同期音源に合わせて歌う「フタリで、、、」でライブスタートだ。ネルが手に持つピコピコハンマーは、先に触れた昨年11月開催の渋谷REXでのライブで発表された、無給のため新衣装を作れない代わりに用意されたバンドのニューアイテム。

ジュリアナの祟りというバンド名が「ビートたけし命名」であることを活かした、コマネチポーズの振り付けもさりげなく入れ込んでいく。

また、江夏と蕪木という男女ツインボーカルのふたりがお立ち台で共に歌うという、性別に身長差、そして声の違いというコントラストを際立たせる演出によって上々の立ち上がりだ。

今日のライブはマスク着用のうえで声出しOKということで、2曲目「薄紅色の淡い夢の中で~バブルの呪いはAYATRA~」では、「AYATRA」コールも。ここでネルによるメンバー紹介が行われ、サポートギターのノブもステージに登場する。同時にバンド編成へとスタイル変更。

蕪木がメインボーカルとして美声を響かせれば、フロアもライブ前に配布されたハリセンを使い、一糸乱れぬ振り付けで踊る。

「今日は江夏さんのお誕生日ライブ、来てくれてホントにありがとう! もっと、もっと、声出して、お祝いしてくれるよな!」

そんな蕪木のメッセージが会場の熱をさらに上げていくなか、ネルが《AYATRA》のフレーズを歌うよう促す。まだまだ歌声が足りないと感じたのか、「歌いなさいよっつーの!」と、蕪木の強めの圧が降り注ぐ場面も。

くるくるとスティックを回してから、江夏のドラムカウントで始まったのは「結論」だ。ノブによる音鮮やかなギター、そして低音が心地よい矢島のベースと、生演奏ならではの迫力が新宿ReNYに広がる。


ドラムという立場上、どうしても動けない江夏を除く5人が横一線になるパフォーマンスで会場を彩り、これに応えるようにフロアは最後方エリアまで多くの手が上がるほどの盛り上がりをみせた。

ノブのメロディアスなギターリフが印象的な「夏のyou」では、手拍子のタイミングもステージとフロアで息ぴったり。歌うときは力強く、間奏のダンスではにこやかに笑みを浮かべる蕪木の、コロコロ変わる表情も見どころのひとつだ。

皆で一緒に踊れるよう、シンプルな振り付けになっているので、“タタラー”も一緒になって楽しそうに踊っている。

最初のMCブロックでは、ダンクが「皆様、あけましておめでとうございます!」と新年のご挨拶。そして「新春らしく和装でのスタートとなりましたけど、和装はもう着ないって言ってませんでした?」と江夏に話を振る。すると江夏は、2022年春の時点で着納めの予定だったと語った後、今回のシリーズのタイトル「奇跡体験!バブルビンボー!!」の通り、ビンボーのため新しい衣装を作るお金がない、という理由で今回の和装着用に至ったと説明した。

さらに、新春の話題にふさわしく、今年やりたいことは?と問われた江夏は「今年こそ海に行きたい」と話す。以前は千葉県鴨川市 前原海岸にて『江夏フェス』を開催していたという彼ら。昨年夏頃から野外フェスも続々開催され、またマスク着用ではあるものの声出しも解禁となり、少しずつかつての景色を取り戻しつつある音楽シーンを踏まえて、ダンクは「2023年はさらに一歩進んでいけるように、願いを込めて最後まで盛り上がっていきましょう」と告げる。

そしてネルの「まだまだ声出して踊っていけますか!」「江夏と一緒に海に行けますか!」という煽りが入って、次のブロックへと突入。

本日5曲目は、銅鑼の音が始まりの合図となる「儚きピオニー」だ。チャイナ風サウンドに乗せて、拳法ポーズや正拳突きの振り付けなど、遊び心が散りばめられた楽曲にワクワクしてしまう。

バンドの中心で曲を支える江夏を筆頭に、左右にステップを刻む矢島、ネル、ダンクの3人、目まぐるしい運指が煌びやかなノブのギターソロ、そしてたっぷりと抑揚を効かせた味わい深い歌声で魅せる蕪木と、6人がそれぞれに躍動する。

色濃い歌謡曲テイストで聴かせる「トーチライトカモガワ」での、まるでクロールのように左右の手を交互に前へ伸ばす振り付けも面白い。また、楽器を演奏しているため自由に踊れない矢島も、パフォーマーの振りに合わせて身体の向きを変えている。動きとしては決して大きくないが、その小さなアクションが、全体のシンクロ率をグッと高めていた。

蕪木を中心とした、5人組戦隊ヒーローのようなフォーメーションがビシと決まった瞬間は、「トーチライトカモガワ」のハイライトと言っていいかもしれない。

曲が終わって場内が暗転すると、7曲目「the end」へ。赤い照明が灯り、ピアノ旋律が美しいイントロを経て、冒頭で蕪木が柔らかな歌声を届ける。直後、彼女の絶叫が響き渡ると同時にスイッチが切り替わり、激しいバンドサウンドが襲いかかる。

怒涛の展開に対してフロアも、ステップを刻んだり手を上げたり、さらには“折り畳み”と呼ばれる、腰から上を前に折り曲げる動きなど、様々なアクションでライブを楽しんでいた。

ついボーカルに注目が集まりがちではあるが、ドラムの江夏がスポットライトを浴びてドラムパフォーマンスを炸裂させる名場面も飛び出し、いつ誰が主役になるかわからないドキドキのシーンに惹きつけられる。

本日2回目となるMCブロックでは、「PRエリア」が主役となった。「PRエリア」とは、昔からライブ会場でのビラ撒きを大切にしてきたジュリアナの祟りが、今のご時世なかなか難しくなってしまったこの行為に代わる、アーティストやアイドルの告知の場を作ろうということで今日、新宿ReNYに設置されたスペースのこと。

フロア後方に用意されたその場所には、多数のアイドルを含む様々な“表現者”たちが集っていた。
当日、観客への配布物には彼らのチラシが封入されるという心遣いに加え、今この場でもPRタイムが設けられると、次々と自己紹介が始まる。

昨年できた「そのまんま祟り」(※楽曲もコンセプトもそのまんま同じで活動しているジュリアナの祟りの一番弟子ユニット)に触れるダンク。「笑点の座布団運びみたいに、『ちょっとアレ持ってきて』って言えばいろいろ持ってきてくれるから」と、この後アシスタントとしてステージに登場することを匂わせる。

そろそろ頃合い、というところで「アイドルに負けず盛り上がっていけますか!」「PRエリアも声出していけますか!」とネルの高音域煽りで準備を整え、前半戦ラストブロックへ。

「しゅわわ。なシャララ。」の始まりと共に、先ほど紹介していた「そのまんま祟り」の天人琴乃と麻布美佳子が、学生服のような可愛らしい衣装で爽やかに登場し、ステージ上がさらに華やかに。

曲中、蕪木からの「ちょっとアレ持ってきてー」の声を合図に、そのまんま祟りのふたりはすぐさまステージ袖から「ドル!ユーロ!ポンド!ペソ!ウォン円元!バブリー!」の文字が書かれたバブリーMIX用ボードを運んできてステージで掲げる。まさに完璧なアシストでさらにライブを盛り上げていった。

続く「だーりん」は、両手の指を使ってハートマークを作る振り付けがキュートな楽曲。江夏の横にあるモニターにノブが座ってギタープレイをするという、ハートマークさながらの、仲睦まじいツーショットも。さらに見せ場のひとつとして、お立ち台にて披露されたネルのけん玉、ダンクのタンバリンパフォーマンスには、会場から大きな拍手が送られた。

前半ブロック最後を飾るのは「キミリウム」。パフォーマーたちは退場し、バンドメンバーのみでのステージだ。哀愁漂うイントロから始まり、しっとりと歌い上げていく蕪木の歌声にフロアもただただ聴き入っている、まさに歌に酔いしれる時間が流れていく。

まるで歌い上げているかのようなノブのギターソロも含めて、歌とメロディの魅力が詰まった4分間だった。

ここで一度メンバーがステージから去り、ステージ後方にあるスクリーンにてジュリアナの祟りのライブ情報が発表となった。3月12日に開催される、「ジュリアナの祟り」命名8周年記念ライブの会場がついに明らかとなる。場所はなんと、日比谷野外音楽堂。しかもゲストに8組のアイドルを招いての大イベントだ。

驚きの発表に会場がざわつくなか、和装からピンクを基調とした洋装へと衣装チェンジしたメンバー5人が再登場。

給料が出ないという苦しい状況にも関わらず、野音という大きな会場でライブを行うことについて江夏は「ビンボーなので外の方がいいかな」「8周年なのでバブリーにいきたいな、と。バブルビンボーですから」と逆境にもまったく動じていない様子。

さらにここでサプライズが。PRエリアに向かって江夏が「3月12日空いてる人いる?」と問いかけると、何人もの手が上がる。すると「よし、今手上げた人、全員OA(野音オープニングアクト)」と江夏の口からまさかの発言が飛び出したのだ。


「何分かはわからないけど、ちょっとでもできたら」と江夏は話していたが、大量のオープニングアクトを生み出した今回のサプライズ決定に、ジュリアナの祟り、そして江夏の懐の深さを感じずにはいられない。誰かを蹴落として上に行くのではなく、仲間を増やして、あるいは引っ張り上げて皆で進んでいきたいという、そんな思いが溢れているようだった。

さあ、ここからはライブ後半戦だ。新宿ReNYはジャンプ禁止という注意事項があり、「8周年ということで地に足をつけて」と江夏のトークも冴え渡るなか、ネルが「後半戦ジュリセン(ハリセン型のジュリアナの祟りオリジナルグッズ)でバブル呼び起こしていけますか!」と煽って「キミクロニクル」へ。

ここでそのまんま祟りの天人と麻布も衣装チェンジしてステージに合流する。ジュリアナの祟りのライブは基本的に前後半の2部構成となっており、前半はバンドの生演奏、後半はユーロビートやトランス中心の通称“ハッスルトランスタイム”だ。

「手拍子ください」という江夏の言葉をきっかけにフロアからハンドクラップが沸き起こり、お立ち台の江夏を含めた7人が横一線に並んでパラパラを踊る、壮観なフォーメーションでライブ後半スタートダッシュを決める。

「今年も全力でギラギラしていこうか!」という江夏の言葉から12曲目「ギラギラサマーパラダイス」。コマネチポーズをさらりと挟み込むダンスに江夏への“ケチャ”、お立ち台でパフォーマンスする矢島など、ライブは目まぐるしく展開していった。

さらに江夏の「もっともっとふざけていこうか!」という合図で「【事勿れ主義】SNSメッセンジャー【痛い人】」へ突入。曲中に何度も「おりたた!」と叫んで“折り畳み”を煽る蕪木&江夏にしっかり応えて波打つフロア。煽るだけでなく、歌い踊りながら観客に向かい丁寧に視線を移していく江夏の姿に、様々なかたちで“タタラー”たちとコミュニケーションを取りたいという意志を感じる。

「全力で“いいね!”したあとは、全力でそのハリセンを振ってみせてこい新宿!」と江夏が告げて、14曲目「愛しのmy☆姫」がスタート。セクシーなピンクの照明に包まれてパフォーマンスを披露する7人。矢島もその重たそうな身体を軽やかに動かし、左右にジャンプしながらのステップを繰り出した。

ライブはまだまだ終わらない。息つく暇もなく、ノンストップで15曲目「パンティーナイト♂」へ。手拍子と「パンパン」の声出しによるコール&レスポンスでさらにフロアとの一体感を積み増していく。さらに、これまで何度か見せてきた横一列型ではなく、ステージ前方と後方を使った縦型フォーメーションも駆使した、奥行きを感じさせる構成も。

また、曲の途中で矢島がスッとステージから去り、上半身裸&パンティー姿に着替えて再登場するという同曲ではお馴染みの展開も繰り広げられ、その贅沢ボディを惜しげもなく見せつけながらお立ち台でアピールする。

刺激の強いヴィジュアルで視線を釘付け(!?)にした後は、「無敵シュプレヒコール~このSを、聴け!~」が始まった。 “ハッスルトランスタイム”ならではの、江夏と蕪木によるツインボーカルが炸裂。ふたりがお立ち台で揃って歌う姿には華があり、蕪木の歌声が加わることでユーロビートな楽曲にも関わらず、歌にグッと表情がつく。

「今日は誕生日の俺、江夏に全力のシュプレヒコール!」と江夏が煽れば、フロアからは数多くの声援が飛び交った。マスク着用ではあるが、それでもこうして声を出してライブを楽しんでいる景色が広がると、胸が熱くなる。

「紫陽花モードで責めてくれ!」では、バブリーMIXや“うりゃ!おい!”コール、さらにはPPPHなどステージとフロアが一体となる瞬間が何度もあった。ライブも終盤ということで「こんなに集まってくれて本当にありがとうね!」と江夏からは感謝の言葉もこぼれる。

そしていよいよ本編最後の曲を迎え、蕪木は叫ぶ。

「ラスト曲盛り上がっていけるよな!」
「もっともっと声出していけるよな!」
「もっともっと江夏さんの誕生日お祝いしていけるよな!」

ステージ上はバンド編成へと切り替わり、ノブも再登場して本日のオールキャスト勢揃いで披露するのは「リグレット~君を想い返している~」だ。ピンクに染まったジュリ扇片手に舞い踊り、時に喉を力強く震わせて熱唱する蕪木の姿は、バブリーな見た目に関わらずどこか凛とした空気を纏っているかのようだった。

汗まみれの裸体(パンティー一丁)でベースを操り、振り付けに合わせてくるくる回転する矢島もベースプレイも見逃せない。

「ありがとうございました! ジュリアナの祟りでした! ラスト、10回ジャンプして終わりにしたいと思います!…あ、ダメなんだジャンプしちゃ。屈伸だ。最後全員で10回屈伸いくよ!」という蕪木の号令に合わせて全員が屈伸するという、いかにもジュリアナの祟りらしい最後でライブ本編は終了となった。

メンバーがステージから去った後、フロアからは自然発生的に「AYATRA~AYATRA~AYATRA」のコールが沸き起こる。しばらくコールが続いたのち、スクリーンにとある映像が流れ始めた。今回の内容は、2月3日に東京キネマ倶楽部にて開催される、ノブのバースデーイベントだ。ライブ後の楽屋で江夏が、ギタリストであるノブに対してなんとか東京キネマ倶楽部で踊らせようと画策する、そんな映像だった。

この告知上映が終わると、ジュリアナの祟りのグッズTシャツに着替えて、きょうの出演者全員がステージに。

しかし、登場早々にノブが不満を漏らす。「気に入らねえな。いっつも俺を踊らせようとするけど、俺はギタリストだよ?」

だが、江夏は言う。「白い衣装着てノブさんが東京キネマ倶楽部に立つって、すごいエモいじゃないですか」

ここでノブが、事情を知らない人に向けて説明を入れる。彼は20年前に、白い衣装を着て、紫苑(しおん)というバンドをやっていたとのこと。そしてそのバンドでMVを撮影したり、最後のワンマンをやったのが、東京キネマ倶楽部だったそうだ。

そしてノブは「キネマでギター弾くのはエモいけど、踊るのは知らんよ!」と、心の叫びを吐き出し、場内の笑いを誘っていた。

そんな東京キネマ倶楽部でのライブにまつわるトークもひと段落すると、江夏は1年前に開催したBLAZEでのライブを振り返った。あの日、ノブはぎっくり腰を患っていたのだが、ぎっくり腰は通称「魔女の一撃」とも呼ばれている。これにかけて、「あーもー!アモーレ!!アイツのタタリ~」という楽曲にある《一撃で》の歌詞ところで金テープを放出したのだが…あいにく会場の天井が低かったため、うまく放出できなかったとのこと。

それが心残りだったので、今回は事前に告知したうえで、この「一撃」をみんなに喰らってもらいたいんだと語る江夏。この言葉を受けてネルが、「アンコールもみんなで一緒に盛り上がっていけますか!」「みんなで一撃喰らっていけますか!」と叫んで会場の熱を呼び起こすと、アンコール1曲目となる「あーもー!アモーレ!!アイツのタタリ~」へ。

本編ではバンド編成時にしか出番のなかったノブも、メンバーから一歩後ろに引いた位置でしっかりと踊っている。拳を突き出したり“折り畳み”をしたりと、ステージもフロアも一緒になって盛り上がっていく。

そして公約通り、《あー!猛烈な一撃で》の歌詞のタイミングで特効炸裂。美しいキラキラの金テープが新宿ReNYを盛大に舞ったのだった。

曲が終わり、「まだまだ踊っていこうか!」と江夏が告げて本日20曲目となる「バブリー革命~ばんばんバブル~」を披露する。江夏の勢いあるストレートな歌声と、蕪木の柔らかさの中にしっかりとした芯を持つ歌声が、「バブリー」の名のもとに景気よく響き渡っていく。

江夏はフロアに向かって、“折り畳み”しながら“うりゃ!おい!”コールするよう指示を出し、声量が足りないと見るやフロアを上手と下手に分けて声出しチェック。さらにコーラスパートを歌うよう促すと、ステージを下りて柵前でマイクをかざし、「足りねえ足りねえ、もっとデカい声出るだろう!」と煽りに煽る。

納得のボリュームに達すると「いいじゃない!」と褒めたたえ、引き続き“折り畳み”を続けるフロアに対してハンディ式装置でCO2を放出する江夏。さらにネルとダンク、そしてそのまんま祟りのふたりまでもが観客に向けてCO2を吹きかけていた。


そんなギミックに目を奪われている間に、気づけばステージはバンド編成にチェンジ。ドラムセットにスタンバイした江夏は、さっきまでの強烈な煽りが嘘のように丁寧なトーンで語り始める。

「去年に引き続き、僕の誕生日に、昔はここでファイナルをやるくらいのライブハウスだったのに、(シリーズの)スタートから平日に集まっていただきありがとうございます。全力で走っていきたいし、たくさんの出会いを作っていきたいと思いますので、これからもよろしくお願いします!」

そして本日最後の曲となる「アクシデント」を演奏する。決して激しいわけではなく、美しいメロディが光る楽曲なのだが、ボーカル・蕪木による気持ちと気合いのこもったラスト歌唱は圧巻の迫力だった。ドラム休符のタイミングで江夏が小さく踊る、そんなサービス精神も盛り込みながら、曲はクライマックスへと差し掛かる。

蕪木が《いつかまたきっと逢えるよね》と歌うと、ここで突然の静寂が訪れ、少しの沈黙を経て蕪木が言葉を紡ぐ。

「続けてきたからこそ、こんなに愛してくれる人がたくさんいて、愛してくれる人たちがいるから、私たちは続けてこれてます」

そして《『灼熱』は》とアカペラで歌うと、再びの沈黙ののち、さらに言葉を続ける。

「こんなに愛されるバンドを作ってくれて、江夏さんにホントに感謝してます。そしてこのバンドをこんなに愛してくれるみんなに、もっともっと感謝してます。ホントにありがとう!」

感極まった蕪木の震える声を受けて、“タタラー”からの大きな、そして長い拍手が彼女を包み込んだ。

溢れる感情を抑えるように心を落ち着け、蕪木は続きの歌詞となる《恋の》と歌に戻り、さらにバンド演奏も合流して曲の最後を締めくくったのだった。

蕪木はフロアを見渡して「ありがとうございました! 江夏さんのお誕生日当日は(1月)9日だったから、9回屈伸するよ!」と叫ぶと、バンドの合図と共に会場の全員で9回屈伸を行う。

最後は「ありがとうございました! ジュリアナの祟りでした! ありがとさんきゅー!」という蕪木の感謝の言葉で、江夏バースデーワンマンは終幕を迎えた。


ジュリアナの祟りのライブでは、ライブパフォーマンス終了後にエンドトークの時間があり、今回は今後控えている各種ライブ・イベントの告知に関するトークが中心。ひととおり告知して、これで終了というタイミングでノブが「誕生日の江夏に歌をプレゼントしましょう!」と切り出した。

予期せぬ展開に戸惑う江夏だったが、お立ち台へと促される。そして会場全員による「Happy birthday to you」の合唱。途中、感謝の言葉を伝えようとするも、涙で言葉が出せなくなり、思わずフロアに背を向けて顔を隠してしまう江夏。すかさず頼れる先輩・ノブがフォローしに江夏のもとへ歩みを進めたかと思うと、強制的に前を向かせる強権発動。

江夏、そしてジュリアナの祟りらしい名場面が生まれた瞬間だった。

この後全員での記念撮影を挟み、最後は「2023年のジュリアナの祟りの発展と皆さんの幸運を願って」の万歳三唱を行い、生誕祭の宴は終了した。


バンド演奏にパラパラダンス、けん玉&タンバリンパフォーマンス等おもちゃ箱をひっくり返したようなにぎやかなステージに、たくさんの笑顔と少しの涙も散りばめて、ジュリアナの祟りの2023年は幕を開けた。

この後も東京キネマ倶楽部、日比谷野外音楽堂、そしてTOKYO DOME CITY HALLとド派手な舞台でのライブが続く、彼らのこの一年から目が離せない。


取材・文◎ほしのん
写真◎蔵屋敷英樹

セットリスト<江夏バースデーワンマン「奇跡体験!バブルビンボー!!~江夏から始める奇跡体験!2023~」>

2023年1月11日 新宿ReNY

01.フタリで、、、
02.薄紅色の淡い夢の中で~バブルの呪いはAYATRA~
03.結論
04.夏のyou
05.儚きピオニー
06.トーチライトカモガワ
07.the end
08.しゅわわ。なシャララ。
09.だーりん
10.キミリウム
11.キミクロニクル
12.ギラギラサマーパラダイス
13.【事勿れ主義】SNSメッセンジャー【痛い人】
14.愛しのmy☆姫
15.パンティーナイト♂
16.無敵シュプレヒコール~このSを、聴け!~
17.紫陽花モードで責めてくれ!
18.リグレット~君を想い返している~
アンコール
19.あーもー!アモーレ!!アイツのタタリ?
20.バブリー革命~ばんばんバブル~
21.アクシデント

ライブ情報

ジュリアナの祟りサポートGt.ノブバースデーワンマン
<奇跡体験!バブルビンボー!!〜コレが祟りのヤリくちだ!〜>
2023/2/3(金)東京キネマ倶楽部
開場17:30開演18:30 ※情勢を鑑みて変更となる可能性がございます

▼チケット
https://eplus.jp/tataribb/

▼PRエリア参加受付
今回のワンマンでも同様に、PRしたいアーティストの参加を募集しております。
参加受付について詳しくはこちらから
https://forms.gle/zww9R916Vydpp5SL9

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