【対談インタビュー】奈緒(アルルカン)× ミヤ(MUCC)、「ライヴが楽しい!ってなれたらそれが一番」

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■「前を向き続けて来て良かったね!」ってみんなと感じられたら良いな(ミヤ)

──そんな盛大なる祭典<V系って知ってる?>を経たうえで、このたび2月11日には恵比寿リキッドルームにてアルルカンとMUCCによる<10th Anniversary 2man「餓者髑髏」>が開催されるわけですが、ここからはそのライヴに向けての具体的なお話もおふたりにうかがって参りたいと思います。

ミヤ:この<餓者髑髏>っていうライヴタイトルは暁がつけたの?

奈緒:そうです。MUCCといえば髑髏、みたいな連想からつけたみたいです。これ、最初はMUCCの名前は出さずに日程と2マンをやりますっていうだけの告知をしたんですよ。でも、その時点でちょっと匂わせたいよねという気持ちもあり<餓者髑髏>というタイトルも先に出したんですけど、実際に告知を開始した時点で「うわ! MUCCとやるんじゃない?」って、SNSとか見てたらわかる人はわかってたみたいです。その様子を僕はニヤニヤしながら見てました(笑)。

ミヤ:暁は言葉選びのセンスが相変わらず面白いよね。<V系って知ってる?>の時のMCだって、1番手で出ていきなり放ったのが凄く良い言葉だった。

──あの日の暁さんは、まず“たくさんの期待を持って今日、君たちはここに来た。僕たちもたくさんの想い持ってここに来ました。そこにあるのは敬意と野心!”と高らかに宣言してから、MUCCの25周年、D'ERLANGERの再始動15周年、girugameshの限定復活を祝しつつ“先輩たちがくれたものの上に僕たちは今いることが出来てます”とMCをされていましたね。

ミヤ:イベント全体のことをあそこまでしっかり意識しながらライヴメイクしていく、ライヴを始められる若手って、あんまりいないと思うんで。そういうところも含めて、この流れで2マン出来るっていうのは凄く嬉しい。

奈緒:ありがとうございます!

ミヤ:アルルカンはライヴ観ててもどっか汗臭いというか、他のヴィジュアル系のバンドとは明らかに違うところが良いですよね。

──個人に焦点を絞ると、奈緒さんは逹瑯さんのソロプロジェクトでも活躍されていますし、それぞれが器用な一面も持つ一方で、バンド全体としてみるとアルルカンというのは良い意味でとても不器用なバンドだと感じますし、その歩みぶりは泥臭いといって言いくらい実直でもあるなと感じます。そこがとても魅力的なのですけれど。

奈緒:うちはめっちゃ不器用なバンドですね、ほんと。不器用なのが集まって、なんとか器用っぽくやろうって頑張ってるバンドです(苦笑)。

──華麗にファンタジックな夢を見せます、というバンドではないところがリアルですし“響く”のですよね。

奈緒:ファンタジックとは完全に逆だし、辛いこととか苦しいことから目を背けられないのがアルルカンなんですよ。現実には立ち向かっていきたいし、聴く側にもそういう力を音楽やステージングを通してみんなにあげられたら良いなって考えてるバンドなんです。


──そうした“辛いこととか苦しいことから目を背けられない”性質は、MUCCも確実に持っている要素ですよね。

ミヤ:持ってるけど、アルルカンはライヴでそこを惜しげもなく言葉にしてくでしょ。うちは曲とかはまた別だけど、思っててもステージで言葉としてはそこは言わないタイプですね。MUCCは音とか雰囲気からそれを感じて欲しいな、っていうバンドなんですよ。もし言ったとしても、一言とか二言みたいな。そこは世代の違いもあるのかな。言い過ぎることはカッコ悪いと思ってるところがあるんですよ。だけど、恥ずかしがらずはっきり言えるカッコ良さっていうのもあるから。それぞれの良さってあると思う。

──当然、今度の<10th Anniversary 2man「餓者髑髏」>ではそうした両バンドの個性がぶつかりあうことになるのでしょうけれど、今年はアルルカンが10周年ということで、先日は<Anthology~10th Anniversary Special Night~vol.1>というバンドの歴史を意識した企画ライヴも行っていらっしゃいました。一方、MUCCは現在25周年を祝うタームの最中であり昨年末には<MUCC 25th Anniversary TOUR 「Timeless」~是空・朽木の灯~>がありましたし、今年も11月まで続々と「Timeless」シリーズのツアーが繰り広げられていくことになるのだとか。バンドとしての節目を迎えた時に、自分たちの歴史を見つめ直すことはやはり重要なのでしょうね。

奈緒:僕らがこのあいだやった<Anthology~10th Anniversary Special Night~vol.1>は、これもMUCCの「Timeless」シリーズに影響を受けてるところがあるんですよね。10周年だからこそ出来ることって何だろうっていうことを考えた時に、その10年という時間をここでファンのみんなと一緒に振り返ってみても楽しいんじゃないか、っていうことになりまして。間違いなくそこはMUCCからインスパイアを受けたところなんです。

──やってみてはいかがでした?

奈緒:かなりの大盛況でした(笑)。ステージに関しては当時を再現しようみたいな感じで一応やったんですけど、でも結果的には当時のままにはならなかったですね。今の自分たちがやることで、自然とアップデートされたものになっちゃうんですけど、そこがまた面白かったなって思います。「あの頃は難しくて弾き辛かったフレーズが普通に弾ける!」っていう発見もあったし、そのライヴはアルルカンにとって初めての声出し解禁ライヴでもあったんで、みんなの声が戻ってきた!って感じた時に当時を彷彿とさせる感覚とはまた違う、何かまた新しくここからバンドとファンで一緒に新しい世界を作り直していくんだ!っていう感動があったし、やってて凄く楽しかったです。<Anthology~10th Anniversary Special Night~vol.2>も決まったんで、それも楽しみですね。

──声出し解禁ライヴといえば、MUCCも2月には川崎と大阪で<MUCC 25thAnniversary Special Liveムック試験導入公演その5.暴れて、感じて、声出しOK。『咆哮』>を開催することが決定していますよね。

ミヤ:タイミング的に、ちょうどMUCCが声出し解禁になる川崎公演の次のライヴがアルルカンとの<10th Anniversary 2man「餓者髑髏」>で、それをはさんで大阪での声出し解禁があるんですよね。この展開も絶妙だなと思ってます。しかも、2マンも声出し解禁になったんだよね?

奈緒:今のところ、その方向で動いてるって聞いてます。

ミヤ:最高のタイミングじゃないですか。アルルカンもMUUCも、ワンマンでの声出しをやった状態で2マンに臨めるわけですから。その状態を経てこんなに早い段階でお互いに交じり合えるなんて、ちょっと楽しみですよ。

──3年もの間、バンドもファンも共に耐え忍びながら生き抜いてきた日々を思うと……万感の想いで胸がいっぱいになってしまいます。失われてしまったものもたくさんあっただけに、ここからはそれ以上のものを取り戻していく日々にしたいところですよね。

ミヤ:バンドごとに取り戻してくものも当然あるし、特に今度の2マンに関してはそれぞれに雰囲気が違うところもあるわけで、その両者が混ざりあった状態での声出しライヴがどうなるか、っていうのはまだ未知数なところがあると思うんですよ。まだ、タイバンで声出しをやってるケースっていうの自体があんまりないだろうし。これはひとつのチャレンジでもあるんで、そこをしっかりとみんなにも受け止めてもらえたら良いなっていう風にも思ってます。

──逹瑯さんからの情報によると、昨日ミヤさんからいちはやくもらった2マンに向けたセトリは「MUCCってこういう感じのバンドだよねっていうのを知ってもらうには凄く良い」曲並びだったそうですが、ミヤさんとしてはどのようなねらいを持って組まれたセトリなのでしょうか。

ミヤ:アルルカンが声出し解禁するらしいよ、したらしいよ、っていうことをついこの前に聞いたんでね。だったら、そっちの方向に寄せてもいいかなってあらかじめ考えてたのをちょっと組み換えたのが逹瑯に送ったやつですね。だから、わりと攻めてる感じにはなってますよ。

──良いですねぇ。期待が膨らみます!

奈緒:でも怖ぇー!!(笑)

──迎え撃つ側としてはそうかもしれません(笑)。

ミヤ:多分、今の時期だとまだちょっと「声出しは怖い」みたいなお客さんもいると思うんだよね。でも、その場所に来てくれるお客さんたちは俺らと一緒に挑戦してくれる人たちだし、フタを開けてみたいって思ってる人たちがほとんどなはずだから。そこで保守的になってもしょうがないでしょ。

──おっしゃるとおりです。

ミヤ:お互いにさ、こっちのバンドはこのくらい盛り上がってるし、こっちのお客さんはここまで盛り上がるのか、ってそういう面でも闘えばいいと思うよ。


──怖い気持ちもわからなくはありませんが、先だってのワールドカップを経て参加した各国がまたとんでもない混乱状態に陥ったのかどうか?という点を、ここは冷静に判断していただけると幸いですよね。

ミヤ:そこはちょっと歯がゆいですよね。音楽ライヴだけはいまだに規制が多いし、声出し解禁とはいってもガイドラインだってあるわけじゃないですか。でも、スポーツとかの世界は全然違う状況になってたりするんでねぇ。

──観客に高齢者が多い相撲でさえ、マスク着用が前提ではあるものの既に声出しは解禁になっていますし、その際の制限は特に設けられていないようです。にも関わらず、何故かライヴにだけは根拠の不明瞭な25%の発声という枠があるのが不思議ですよね。

ミヤ:そこはね、俺的にはですよ? 厳密に25%とか誰がどうやって計んの?っていう話だと思うんで、声を出して良いよっていう曲では好きなだけ出してもらって、1本ライヴを観終わった時に最終的にはちゃんと25%になるっていう計算でセトリを組んでます。

──リーダー、流石です。

ミヤ:あとはもう、来た人たちの出す答えに委ねるしかないでしょ。あれじゃ声を出し過ぎだろうって感じる人もおそらくいるだろうけどね。でも、こんな感じだったら全然大丈夫でしょ!って感じる人たちだっていると思いますよ。アルルカンはさ、もう1回やってるわけじゃない? 最初にSEが鳴って始まった時の雰囲気ってどんな感じだったの?

奈緒:もうなんか、凄い「おーっ…!」ってなりました。

ミヤ:いきなりワーッってなったんだ。

奈緒:なったんですけど、こころなしか最初は遠慮気味というか。でも、ライヴが進んでいくごとにどんどん良い感じでネジが緩んで行きましたね。ぶっ壊れてる子は完全にぶっ壊れてるし(笑)、みんなマスクはしてても如実に動きとか表情から「これを待ってた!」っていうのが伝わって来るんですよ。

ミヤ:そっかー。うちは声出しを出来ない状況でアルバムを2枚(『惡』『新世界』)作って、いずれ声出しを出来るようになったらこうなるだろうなっていうイメージもそこにはあるんでね。ほんとの意味での完成形というか、着地点にそれぞれの曲をここから持っていきたいなという気持ちは凄くある。そして、この3年間「今は難しいけど、いつかは状況が良くなる」って思いながら時間を共有してきたバンドとファンって、もうそれだけでも精神的に強いからね。絶対的な絆があるんで、今度の「餓者髑髏」でも俺は「前を向き続けて来て良かったね!」ってみんなと感じられたら良いなって思ってる。

──奈緒さんは、今度の<餓者髑髏>をどんな場にしたいとお考えですか?4月5日には新しいアルバム『δυσ-τόπος ~Dystopia~』の発表も控えていますし、その後には<10th Anniversary Tour[escape from dystopia]>が控えている中でもあるだけに、この2マンはそれらに向けてのブーストポイントになっていきそうですよね。

奈緒:僕らもコロナ禍でアルバムを2枚(『The laughing man』『MONSTER』)、シングルも3枚くらい出しててて、声出しがダメな状況下でも楽しめるものをっていうことを思いながら曲を書いてた時期もあったんですけど、途中からは「これ、声出しが出来るようになったら絶対に化けるぜ」っていう曲も作るようになったんですね。このあいだのライヴではそれを実際にやることが出来て、予想通りだったところと予想以上の部分があったのも楽しかったんで、MUCCとの2マンでは戦略とかそういうのよりもライヴが楽しい!っていう風になれたらそれが一番だろうなって思ってます。

──ただし、そこは相手がMUCCですので……。

奈緒:そうなんですよ。良い意味でほんとにオトナゲナイ人たちなんで(笑)、そこはほんとに頑張ります。

ミヤ:俺たちだって、さんざんオトナゲナイ先輩たちとやってきてるからな(笑)。

奈緒:あはは(笑)。そうやって続いてきた歴史の中に自分たちも関われるのが嬉しいですよ。僕らもオトナゲナイMUCCに必死で食らいついていこうと思います!

取材・文◎杉江由紀

<アルルカン Presents 10th Anniversary 2man「餓者髑髏」 at 恵比寿LIQUIDROOM>

・日程/会場
2023年2月11日(土)恵比寿LIQUIDROOM

・出演者
アルルカン / MUCC

・開場/開演
開場17:30 / 開演18:00

・チケット料金
前売¥6,800(税込/D別)
当日¥7,300(税込/D別)

・チケット
【A】イープラスプレオーダー先行
受付期間:1月16日(月)12:00~1月28日(土)23:59
入金期間:1月31日(火)13:00〜2月2日(木)21:00
※枚数制限:お一人様4枚まで
https://eplus.jp/arlequin/

【B】一般発売
2月3日(金)10:00~
※枚数制限:お一人様4枚まで
https://eplus.jp/arlequin/

・その他
本公演は総演奏時間の約25%程度までの声出し可能とします。

・お問い合わせ
NEXTROAD 03-5114-7444(平日14:00~18:00)
http://nextroad-p.com/

アルルカン ライブ・ツアー情報

<Anthology~10th Anniversary Special Night~vol.2>
3月11日(土) 、12日(日) 新宿BLAZE
Day1:【1部】Anthology -Utopia-【2部】Anthology -影法師-
Day2:【1部】Anthology -ANIMA-【2部】Anthology -secret-

<10th Anniversary Tour「escape from dystopia」>
4月8日(土) 渋谷CLUB QUATTRO
4月19日(水) 神戸 太陽と虎
4月20日(木) 神戸 太陽と虎
4月22日(土) 京都MUSE
5月3日(水祝) 金沢AZ
5月4日(木祝) 長野CLUB JUNK BOX
5月6日(土) 新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
5月20日(土) 仙台darwin
5月21日(日) 仙台darwin
5月28日(日) 名古屋Electric Lady Land
6月3日(土) HEAVEN’S ROCKさいたま新都心VJ-3
6月4日(日) HEAVEN’S ROCKさいたま新都心VJ-3
6月10日(土) 柏PALOOZA
6月11日(日) 柏PALOOZA
6月17日(土) HEAVEN'S ROCK 宇都宮 VJ-2
6月21日(水) 岡山IMAGE
6月22日(木) 広島SECOUND CRUTCH
6月24日(土) 福岡BEAT STATION
6月25日(日) 福岡BEAT STATION
7月1日(土) 新横浜NEW SIDE BEACH!!
7月2日(日) 新横浜NEW SIDE BEACH!!
7月8日(土) 札幌SPiCE
7月9日(日) 札幌SPiCE
7月22日(土) 大阪BIG CAT

MUCC リリース情報

■映像作品「新世界映像全集 高画質盤」(Blu-ray)
2022年2月22日(水)発売
価格:3,960円(税込)
収録曲
01.星に願いを
02. R&R darling
03. COLOR
04. Paralysis
05. 零
06. GONER /WORLD
07. 空-ku-(Mixed by Miya)

■NEW MINI ALBUM「新世界 別巻」
2022年12月21日(水)発売
【特別書籍特装盤】 MSHN-169/170 13,000円(税込)※受付終了
【初回限定盤】 MSHN-171/172 3,960円(税込)
【通常盤】 MSHN-173 2,530円(税込)

収録曲
01.空 -ku- (Mixed by Miya)
02.猿轡
03.I wanna kiss
04.別世界
05. HOTEL LeMMON TREE
06.SLAVE
07.終の行方
08.猿轡(Original Karaoke)
09.I wanna kiss(Original Karaoke)
10.別世界(Original Karaoke)
11. HOTEL LeMMON TREE(Original Karaoke)
12.SLAVE(Original Karaoke)
13.終の行方(Original Karaoke)

・特別書籍特装盤、初回限定盤、共通収録
Documentary of 『MUCC TOUR 2022「新世界」〜Beginning of the 25th Anniversary〜』
新世界ツアーの密着映像にメンバーインタビューを交えたドキュメント映像
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