【対談】I.N.A. × KNOCK OUT MONKEY、hideを語る「僕らは正しい選択をしたんだって思います」

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2023年元日、KNOCK OUT MONKEYがhide with Spread Beaverの名曲「ever free」カバーを配信限定リリースした。イントロのクランチトーンからして、hide with Spread Beaverへの深い愛情と敬意が感じられる研究し尽くされたギターサウンド。曰く、「カバーをしたいという想いを幾度となく抱きつつも、自身の成長度合いや世の中へ出すタイミング等の狭間で葛藤を繰り返してきた」という彼らの並々ならぬ心意気が伝わる仕上がりだ。

◆I.N.A. × KNOCK OUT MONKEY 画像

hideが旅立ってから25年。2022年末に実弟・松本裕士氏や共同音楽プロデューサーI.N.A.をはじめとする仲間たちの姿を描いた映画『TELL ME ~hideと見た景色~』がパッケージリリースされたことをはじめ、2023年春にはhide with Spread Beaverとして25年ぶりのワンマンライブ開催が決定している。ちなみに映画『TELL ME ~hideと見た景色~』の劇中演奏シーンにはhide不在の状態で1998年に行われた実際のライブ音源を使用。これはI.N.A.監修によって、映画のために改めて新たなミックスを施した音源であるなど、精巧に制作された映画に対するファンからの大きな反響も前述のワンマン実施のきっかけのひとつになったという。

BARKSではI.N.A.とKNOCK OUT MONKEYを迎えて、カバー「ever free」、I.N.A.著書『君のいない世界-hideと過ごした2486日間の軌跡-』から紐解くhideサウンドや当時の制作の裏側、I.N.A.主催によるコミュニティ型マッチングサービス“STOCKS.TOKYO”、そしてhideが現在も愛される理由についてじっくりと語ってもらった。



   ◆   ◆   ◆

■「今日は誰が一番おもしろかった?」
■「あの曲であれやっただろー」って(笑)

──まずはKNOCK OUT MONKEY版「ever free」を聴いた時の印象から聞かせてもらえますか?

I.N.A.:いや、すごいねー。ほんと研究している。たとえばギターの音とか誰が作ったの?

dEnkA:僕です。

I.N.A.:原曲のギターサウンドにすごく似てるよね。


▲I.N.A.

w-shun:僕らオリジナル曲をずっと聴いてきたんです。それを自分らでやるってなったとき、みんなで大きい音でじっと聴いて、「これ、どうやって作ってるんやろ?」と探っていったんです。

dEnkA:すごく細かく。それこそ虫眼鏡で見るように(笑)。こういう聴き方をしたのは今回が初めてで。

I.N.A.:原曲は一見シンプルに聴こえるけど、実は細かいこといろいろやってる。音の重ね方とか。だからカバーするのは難しかったんじゃないかと思うけどね。

亜太:初めて音像とかも深堀りして、“あ、すごいな!”って思いました。これだけ時間が経ってるのに今でも新しい。世の中どんどん新しいアーティストが出てくるけど、色褪せていないですよね。だから昔のものをどうのというより、今あるものに対峙した感じなんです。

w-shun:そこにドラムの出し方とかで自分達っぽさも加えて。

I.N.A.:うんうん。カバーなんだけど、オリジナルに対するリスペクトを踏まえた上で自分達のものにしてる感があった。

一同:ありがとうございます!


▲w-shun (Vo)

──そもそもバンドの初カバー曲にhide作品を、そして「ever free」を選んだのはなぜなんですか?

dEnkA:僕ら全員同じ歳で、みんな中3ぐらいのときにhide with Spread Beaverを聴き始めてるんですよ。自分はちょうどギターも弾き出した頃で、影響受けまくった世代。周りのバンドやってない友達もみんな聴いてましたし。

亜太:僕は、楽曲以前にhideさんという存在が憧れでした。ファッションアイコンでもあり。それがCHIROLYNさんとかと知り合ったときに、バンドとして意識するようになったんです。

──CHIROLYNさんと?

w-shun:I.N.A.さんとは今回が初めましてなんですけど、CHIROLYNさんやD.I.E.さんとは地元・神戸で一緒にライブをする機会があったんです。

ナオミチ:もう10年ぐらい前ですね。金閣銀閣(CHIROLYN[金角]とD.I.E. [銀角]の謎のユニット)とやらせてもらって、そこからいろいろお世話になってます。

w-shun:去年も「アコースティックでセッションやらない?」って誘ってもらって、そこでやったのが「ever free」で。その時に思ったんです、“これはどうしてもKNOCK OUT MONKEYでやりたい! バンドの4人で鳴らしたい!”って。昔からお世話になってるDragon Ashが「ROCKET DIVE」、同じくRIZEが「ピンク スパイダー」をカバーしてる。だったらミクスチャーバンドとして僕らは、まだ枠が空いてる「ever free」を他の誰かがやる前にやりたい!って。

I.N.A.:ははは。

w-shun:もうそんな感じで情熱だけで突っ走ったらハマったという。

──でも「情熱だけ」というには隅々まで気配りを感じました。

I.N.A.:ミュージックビデオもね。セットに何気にhideちゃんのポスターが貼ってあったり。

w-shun:当時のフェルナンデス(ギターメーカー)のポスターですね。

亜太:あれは僕の私物で。


▲dEnkA (G)

──アメ車もいろいろ出てきました。

w-shun:オリジナルのミュージックビデオもクジラ(hideの愛車キャデラック)が出てきましたからね。なので、僕らのMV監督が手配してくれて。

ナオミチ:MV監督のKoji Ueharaさんは大阪でXmas Eileenというバンドもやってる方で、やっぱりhideさんのファンだったんです。

w-shun:オリジナル同様、みんなでワイワイするシーンも監督の提案ですね。

I.N.A.:原曲のミュージックビデオで使われてるあの談笑シーンは、ほとんどがオフショットなんだけどね。「ピンク スパイダー」のミュージックビデオを撮るために、みんながLAに集まったのときのオフショットが使われてる。あのときは4ヶ月ぶりぐらいに全員集合したんで、すごく楽しかったんだよね。

w-shun:KNOCK OUT MONKEYとしては、この曲のミュージックビデオで、その感じは考えてなかったんですけどね。やってみたら、“いかに自分がおもしろくなるか”っていう関西人のスイッチが入って(笑)。

I.N.A.:hide with Spread Beaverもそうだった。だいたいライヴの打ち上げの話題は「今日は誰が一番おもしろかったか」で(笑)。「オマエ、あの曲であれやっただろー」って。

──メンバーの骨折までネタになるバンドでしたからねー。

w-shun:うちのギターのdEnkAも去年、足を骨折して。

I.N.A.:あ、映像で見た! なんで車椅子なんだろう?って。

dEnkA:ライヴ中に普通にステージから落ちました。

──D.I.E.さんのコピーをしたわけではなく?

dEnkA:そこまではさすがに(笑)。

w-shun:でもファンを心配させるのもなにかなと思って、エンターテイメントの方向に持っていきました(笑)。



──「ever free」カバーはジャケットも原曲を彷彿とさせますね。向かい合った老カップルの顔が、KNOCK OUT MONKEY版ではバンドのアイコンでもある猿にすり替わっていて。

w-shun:ただのオマージュにはしたくなかったので、バックに薄くハートを入れて僕らなりのリスペクトの形を表したんですね。

I.N.A.:そこは僕のような作り手にもちゃんと伝わるよね。

w-shun:僕らのファンも同世代の人が多いので、伝わると思います。ま、この曲をカバーできた以上、周りからどう思われても構わないっていう覚悟もありますけどね。自分らの音楽人生の中で、墓場まで持っていけるぐらいのことをやりたかったので。

◆対談【2】へ
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