【ライブレポート】The Biscats、主催フェスでロカビリーのレジェンドと共演「飛ばしていきます」

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ロカビリーバンド・The Biscatsが、ロカビリーの日である2月8日、2022年に引き続き主催イベント<ROCKABILLY FESTIVAL 2023>(以下ロカフェス)を開催した。ここでは、イベントのオフィシャルレポートをお届けする。

◆<ROCKABILLY FESTIVAL 2023> ライブ写真

日本のロカビリーカルチャーを集結させたこのイベントには、ロカビリーを堪能してもらうべく、会場の渋谷・duo MUSIC EXCHANGEにはGOOD ROCKIN'、SAVOY CLOTHING、SHIGEMI KAT CUT、原宿 Jack's、BLUE VELVET'Sといったロカビリー系アパレルショップなどが出店。DJ RAW-HIDEが畳み掛ける新旧ロカビリーナンバーを堪能しながら、買い物をしたり、お酒を呑みながら語らったりと開会前からゴキゲンなオーディエンスたち。


開場から1時間ほど経つと、主催者・The BiscatsとMCを務めるロカビリー芸人・TAIGAが登壇し「がんばロカビリー!」の掛け声と共に開会宣言した。


そして、The Biscatsのサポートメンバーとしてもお馴染みで、ブギウギピアニストのダイヤ・ピアノ・サンタがトップバッターとして登場すると、牧歌的なオリジナルソングからお得意のヨーデル、そしてビートたけしのモノマネで笑いを誘いつつ「火の玉ロック」のカバーなどを弾き語りした。会場を一気に温めていく。


親戚だけで構成されたオールディーズダンスチーム・Good Spiritsは2022年に続いての出演。BLACK CATSの「ロカビリー・ブギ」でバップも取り入れたダンスパフォーマンスを繰り広げたり、映画『ヘアスプレー』劇中歌でオーディエンスを扇情したりと、前回以上の存在感を発揮した。


同じく2年連続参戦となった、久米浩司(Dr)や山口憲一(G)、The Biscatsのサウンドプロデューサーでもある真崎修(Vo)といった伝説のロカビリーキングたちが集結したバンド・THE KING CATSは、ベースにThe BiscatsのSukeを迎えた形で出演。「今日はオリジナル曲だけでいきます」と宣言し、円熟味と色気の半端ない強烈なアクトを展開していく。特に、ロカビリーレジェンドであるビル・ヘイリーに捧げると「Hi! Bill」でロカビリー愛を爆発させたステージングは圧倒的であった。


今年の<ロカフェス>後半には、BLACK CATS以降のシーンを支えてきたレジェンドバンドたちが登場した。80年代後半~90年代にかけて日本のロカビリーをメインストリームに押し上げたBLUE ANGELは、2022年末に心臓の大手術から生還したKENこと佐々木研(Dr)含むメンバーが揃い踏み。35年のキャリアを持つ大御所バンドながら、ライブが楽しくて仕方ない様子でハジけた演奏と歌声をノンストップで響かせていく。URI-VOこと浦江アキコ(Vo)のオーディエンスの煽り方も卓越しており、会場中の誰もが「HAPPY BIRTHDAY」「君にTRY AGAIN」といった往年のヒット曲を堪能しながら飛び跳ねていく光景は圧巻だった。


また、MAGICのメンバーとして活躍していた山口憲一と久米浩司が90年代に結成したバンド・RODEOが、この日23年ぶりに復活した。The Biscatsのサポートメンバーを含む男性陣を従え、ふたりでギターを掻き鳴らしながら1曲目「Let's Go,Shakin」を歌い出した瞬間の熱量は、止まっていた時間が一気に動き出したような解放感だった。オーディエンスも一丸となり、実に痛快なグルーヴが会場中を支配していた。

四半世紀ぶりに復活し、後輩たちとライブができていることについて「こういう機会があると思わなかった。皆さんに感謝します」と感慨深げに告げる山口憲一。その後もRODEOの音楽は、最後の「今夜はダンスオールナイト」に至るまでハートフルに響き渡り続けた。


錚々たる先輩たちのステージを受け、大トリとして登場したのは<ロカフェス>主催者のThe Biscats。BLACK CATSやMAGICのメンバーとして日本ロカビリー界を牽引してきた久米浩司の娘・Misakiが率いるバンドだ。


ライブを追うごとに明確な進化を遂げてきたバンドだが、この日は冒頭の「Teddy Boy」「lingering scent」から気合いの漲り方が凄まじく、その歌声や演奏、一挙手一投足からレジェンドたちに勝るとも劣らない覇気が溢れ返っていた。

そのスパークぶりは急遽「ちょっと待って! このまま次の曲をやろうと思っていたんだけど、ハッスルし過ぎて! 10秒待って」とMisakiが自らクールダウンの時間を設けるほど。そして「いつの間にこんなに集まったの? ビックリ! 後ろまでぎっしりだよ。本当にありがとうございます!」と満員の観客に感謝を告げると、Good Spiritsの女性ダンサーたちを引き入れて、ラブリーな人気曲「Sweet Jukebox」で会場中をゴキゲンな笑顔でいっぱいにしていく。


そして、Misakiが「お待たせしました! 本日のスペシャルゲスト・尾藤イサオさんのステージです!」と紹介した瞬間、なんと「あしたのジョー」のイントロダクションが響き渡った。そこへゆっくりと登場した尾藤イサオは「サンドバッグに浮かんで消える~♪」「たたけ! たたけ! たたけ!」と今年80歳を迎えるとは思えない叫びにも似た歌声を響かせる。当然ながら客席からは拍手喝采の嵐。その反応に満面の笑みで喜ぶ尾藤の姿はとてもチャーミングだった。


その後も1960年代に<第20回記念日劇ウエスタンカーニバル>でプレスリー賞を受賞した尾藤らしく「悲しき願い」や「Don't be cruel」「監獄ロック」といった名曲カバーをThe Biscatsの演奏と共に大熱唱。レジェンドがまた新たな伝説を刻んだステージと言っても過言ではない、そんな劇的なアクトであった。


2回目にしてロカビリーの歴史そのものが体現された<ロカフェス>。主催者であるThe Biscatsは、そのプレッシャーすらも自らの力へと昇華していた。「ここからThe Biscats、めちゃめちゃ飛ばしていきますけど、ついてこれますか?」と「ジレンマ」「Baby boo」「take away」「Hot&Cool」といったキラーチューンを惜しみなく連発。今の時代にロカビリーブームを起こす夢に一切の偽りがないことを証明する、圧倒的なライブを最後まで繰り広げてみせた。


なお、ロカフェスは2024年も2月8日に開催されることが決定した。同年の夏には、渋谷公会堂でのワンマンライブ実現を夢に掲げているThe Biscats。今後の活躍にもぜひ注目してほしい。

取材・文◎平賀哲雄
撮影◎白井絢香

■The Biscats ライブ情報

<The Biscats TOUR 2023「The Biscats」>
2023年1月8日(日) 北海道・札幌cube garden
2023年1月28(土) 宮城・仙台darwin
2023年2月12日(日) 大阪・大阪Music Club JANUS
2023年2月18日(土) 福岡・福岡DRUM Be-1
2023年2月23日(木・祝) 愛知・名古屋 Electric Lady Land
2023年2月25日(土) 富山・富山MAIRO
2023年3月4日(土) 東京・渋谷 STREAM Hall

下記プレイガイドにてチケット販売中。
チケットぴあ https://w.pia.jp/t/thebiscats-t/
e+ https://eplus.jp/thebiscats/
ローソンチケット https://l-tike.com/thebiscats/

<4th ANNIVERSARY PARTY>
2023年4月1日(土) 東京・原宿RUIDO
チケット販売中 https://t.livepocket.jp/e/thebiscats-4th-anniversary

■The Biscats リリース情報

最新シングル「ジレンマ」
配信サービス https://zula.lnk.to/zpzamv
CD:The Biscats Official Web Shop: https://thebiscats.base.shop/items/62802501

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