【インタビュー】13.3g、様々な音楽ジャンルが混ざり合い強烈なグルーヴで踊らせる1stアルバム『Ashtray』

ツイート

■自分達が聴きたい音楽を作りたい
■ワクワクするものを作りたい


──今回リリースされるアルバム『Ashtray』に関してですが、アルバムとしてこういう1枚にできたらいいなという全体像みたいなものはありました?

ロビン:今回の曲は、各々が持ってきたフレーズとかをみんなで肉付けしながら作っていって。それがある程度固まってきたぐらいのタイミングでヒデヲさん(プロデューサー/13.3g所属事務所レーベル主宰)と話したんですけど、オルタナのエッセンスと、シンセサウンドやストリングスが混ざったような音像で映画のサントラみたいなアルバムよくない?って。そこの掛け算やコンセプトっておもしろそうやなみたいなところから、楽曲をそういう方向性でプロデューサーのヒデヲさんと一緒に作業していきました。

──アルバムを締め括る「蛍火」は、まさにそのコンセプト通りですね。全体としてはとても美しいんだけど、ギターはかなり歪んでいて。場所によっては、まあ、だいぶやらかしているというか(笑)。

ロビン:そうですね(笑)。ここは遠慮せずに行ききろう!って。そういうところで遊び心を入れていったところはありますね。


──本作のテーマやポップスをしたいという軸がある中で、拓馬さんとしては、13.3gの楽曲を作るときに、自分はこういうドラムを叩こうと意識していることはあります?

拓馬:僕としては、自分のエゴを出すというよりは、その曲に溶け込みたいっていう意識のほうが、どちらかというと大きくあって。その中にふと出ちゃった自分っぽいところを残す感じですね。まず曲全体のことを考えて、こういう感じにしよう。ただ、ここはドラムが引っかかってきたほうがかっこいいなとか、ここはちょっと焦らしたほうがいいかなとか、グルーヴのことを考えながら作っていきます。

──収録曲の中で、自分がかなり出ちゃったなって思う曲というと?

拓馬:「蛍火」は、最初は溶け込もうと思って入っていくんですけど、他のパートも高揚していく中で、ちょっとやりすぎちゃったかなと思ったんですよね。でも、後で聴いてみたらオルタナな感じがすごくあったし、すごく馴染んでいて。元々ラウドとかメロディックをやっていたのもあって、ついやっちゃったみたいなフレーズがすごく詰め込まれていたりするんですけど(笑)、将太が歌ってみるとクリーンな感じが出てきたり、意外と昔の日本みたいな感じというか、童謡っぽいものが聴こえてきたりして。いざ作ってみたらいろんなエッセンスが入って、どんな世代の人が聴いても「いいな」と思える曲になったんじゃないかなって思います。


▲Dr. 輪田拓馬

──「蛍火」の歌詞は、かなりストレートに今のご自身の心境を綴られていて。

将太:そうですね。最初にオケを聴いてできたのが、〈あの日あの時あの瞬間に〉のところだったんですけど、なんていうか……正直、無謀だったと思うんですよ。今まで音楽をしたことのなかった自分が、音楽を通して何者かになれるのかなって漠然とした目標だけは持っていたけど、まったく何の当てもない状況で地元から飛び出してきて。でも、みんなに出会ったことで自分のなりたいものが定まって、何者かになれたのかなって。そういう思いから書いた曲ですね。

──聖樹さんとしては、13.3gのベースを考えていく上で大事にしていること、意識していることというと?

聖樹:「ベースに耳が行く」とか「このベースかっこいい」ってよく言っていただくんですけど、自分でもそこはかなり意識していて。まぁ、やりすぎてはいけないとは思うんですけど、やりすぎても許されるバンドだとは思っているので、わりとガンガン行っていますね。



──実際にベースがかなり耳に飛び込んできますからね。歌っている感じというか。

聖樹:確かに歌っているイメージですね。昔はシンプルにルートを弾いてたけど、メロディアスなベースも好きなので。

──『Ashtray』の中で、会心の一撃的なものが出せた曲というと?

聖樹:フレーズであれば「アニソン」、グルーヴであれば「エレファントマン」ですね。「アニソン」はテクい感じで、今回のアルバムの中で一番難しかったかもしれないです。キメがいっぱいあって、ストップアンドゴーをたくさん入れていこうっていう話をしていてたら、めちゃめちゃムズくなってたっていう(笑)。

──「アニソン」って、それこそアニソンみたいな曲を作ろうというところから始まったんですか?

聖樹:そうです(笑)。

ロビン:仮タイトルも「アニソン」だったんですよ。これそのままでよくね?って。

──〈アニソンみたいな展開〉という歌詞もうまいなと思いました。

将太:“遊び心”があるような感じで落とし込めたと思います。

──もう1曲挙げられていた「エレファントマン」はかなりファンキーな感じで。

聖樹:レコーディングでめちゃめちゃ気持ち良いグルーヴを出せたなと思ったんですけど、拓馬が聴きながら身体をめっちゃ揺らしていたんですよ。

メンバー全員:はははははははは(笑)。

──それ一番嬉しいリアクションかも(笑)。

聖樹:そうなんすよ。「めっちゃええテイクやわ!」って言ってくれて。

拓馬:思ったところに来てくれるとこんなに気持ちいいんだ!って(笑)。自分がイメージしていた通りだったし、聖樹の魂もしっかり乗っていたんで、これはノるしかないやろみたいな感じでよかったっすね。

──そんな強烈なグルーヴと、挑発的な歌詞がまたマッチしていて。

将太:アルバムに入っている「カメレオンシンドローム」でも書いているんですけど、自分の中にエゴみたいなものがあまりないんですよ。みんなはそれぞれ好きな音楽があって、こういうものがやりたいんだっていう意思があるけど、自分は何にでも染まれるというか、染まってみたい気持ちがあって。そういうなかでデモを聴かせてもらって、ここに乗せる自分の感情はなんだろうとなったら、ちょっと攻撃的というか。世の中に対して、戦ってやるよみたいな。



──染まれるし染まってみたいけど、決してすべてを委ねるわけではなく、自分の思っていることや信念は、どの歌詞からもしっかりと出ていますよね。

将太:うん、そうですね。なんていうか、いろんな自分がいるんですよ。別に多重人格とかそういうことじゃなくて、そのときの自分がどう思ったのかをそのままストレートに乗せていくので。


▲奥野“ロビン”領太

──ロビンさんはいかがでしょうか。13.3gのギターを考えるにあたって意識していることというと。

ロビン:13.3gの音楽性はポップスだと思うんですけど、13.3gはロックバンドなので。僕の中でロックっていうのは曲の雰囲気の話じゃなく、人の心をどれだけ掴めるのか、人の心にどれだけ自分の思いを伝えられるのかっていうことだと思っているので。だから、僕の中では、レコーディングでもライヴでも、伝えてやるっていう気持ちでプレイすることを意識しています。

──ご自身の中で、人の心を掴めるものをここで一番出せたと思う曲というと?

ロビン:どれやろう……できれば違う曲を言いたいんですけど、やっぱ「蛍火」かなっていうのは正直あって(笑)。13.3gの思いとか、将太が歌っている言葉をギターでちゃんと伝えられたのかなって思いますね。せっかくバラエティに富んでいるので、他の曲にも触れたいんですけど(笑)。

──それぐらい強烈な一撃をバンドとして出せたことでもあると。

ロビン:そうですね(笑)。

──お話にあった通り、かなりバラエティ豊かな作品ですが、「ララルラ」は、ホーリーな雰囲気があって。

将太:「蛍火」に関しては、何者でもなかった自分が、こういう自分になれたんだっていう感情から生まれたんですけど、「ララルラ」に関しては、何もない状態で大阪に飛び出してきた自分に対して、よくその夢を信じて進んでくれたっていう気持ちで書いていて。じゃあ、あのときの自分を突き動かしたものは何だったんだろうと思ったときに、言葉は出てこなかったんですけど、自分を突き動かしてくれた何かのことを、“ララルラ”という言葉に託して書いていきました。



──あとは「too much」みたいな、かなりポップに攻めた曲もあって。これぐらい振り切ってしまおうという気持ちで作り始めたんですか?

聖樹:〈トゥルルル・トゥルル〉っていうフレーズがめっちゃよかったから、これをとにかく使っていこうっていうことになってな?

将太:あそこは元々、アウトロで自分がなんとなく耳障りがいいなと思って歌っていただけだったんですけど、ヒデヲさんと制作してる時にこれをどんどん入れていこうって。歌詞としては、普通の生活をしていく中で、みんな大変だよね、自分のことを褒めて明るく楽しくやっていこうよみたいな感じにしようっていうのを最初から決めていたんです。

ロビン:デモも軽快な感じだったからな。

将太:その雰囲気と〈トゥルルル・トゥルル〉がすごくハマったんですよね。ここも何かしらの言葉を入れようと思っていたんですけど、鼻歌を歌ってる感じで、小さな幸せを噛み締めている様な感覚をこの表現以外考えられなくなったんで、そのままにしました。

──本当に素晴らしい1枚になりましたが、2023年はこういう活動をしていきたいと考えていること、そして、今後はどんなバンドになっていきたいのかを最後に教えていただければと。

聖樹:いまは東京と大阪をメインで活動しているんですけど、今年は他の県にも行って、もっとジュウサンの音楽を広める年にしたいなと。

将太:「これって13.3gっぽいよね」って言われるような唯一無二なバンドになっていきたいです。

ロビン:ライブハウスでもホールでも、どこでも自分達の音楽や世界観を同じように、そこにいる人達と共有できるバンドになっていきたいですね。

拓馬:いろいろ目標はあるんですけど、やっぱり根底としては、自分達が聴きたい音楽を作りたい、ワクワクするものを作りたいというのが軸にあって。それをもっと共有できるようになりたいですね。たとえば、好きな音源を友達に「これよくない?」って言うみたいに、僕らはこんなにワクワクしてるんだけど、みんなはどうですか?って。そうやって共有していった結果、大きな会場に着地できればいいなって思っています。

取材・文:山口哲生





リリース情報

1st Full Album『Ashtray』
2月15日リリース
1.Familia
2.嘘つき
3.アンコウ
4.エレファントマン
5.WALK
6.ホットレモネード
7.ララルラ
8.アニソン
9.カメレオンシンドローム
10.too much
11.Body Song
12.キライダー
13.蛍火

ライブ・イベント情報

<JUST FOR FUN 対バンライブ>
2/18 (土) 大阪 梅田CLUB QUATTRO

<BüG-TRIPPER NEXTRIP TOUR 2023>
2/19 (日) 渋谷 Milkyway

<CROSS THE WALL Road to QUATTRO~かかってこんかいクアトロツアー!~>
3/21 (火) 大阪 梅田Zeela

◆インタビュー(1)へ戻る
この記事をツイート

この記事の関連情報