【インタビュー】UNISH、音楽、思考、言葉、そして未来

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UNISH(ユニッシュ)という名前を覚えてほしい。それはシンガー・宇野悠人の新しいアーティストネームであり、シキドロップ(充電期間中)のメンバーとして過ごした4年半を経て、大きく成長した一人の音楽家の決意表明でもある。昨年10月から2か月おきに連続リリースされた配信シングル「パラノイア」「独りぼっち」「ロベリア」はその最初の果実だ。“これが最後の名前”と語るUNISHの音楽、思考、言葉、そして未来について、宇野悠人があなたに向けて語ってくれる。

■とにかく自分の好きなことだけにしたかった
■ポップという枠を超えたかったというのがありました


――UNISIH始動を発表したのは2022年の7月でしたね。

宇野悠人(以下、宇野):インスタライブをして、その時に全部報告しました。シキドロップが充電期間に入ります、結婚しました、UNISHという名義でソロ活動します、ということですね。あと、YouTubeのチャンネルをエイベックスと一緒に運営していきますということも。

――大きな区切りでしたよね。

宇野:かなり大きかったです。シキドロップが結成5年を迎える手前で、充電期間という形でストップするということで、いろいろ考えましたね。

――そこでUNISHを今後の活動のメインにしようと。

宇野:そうです。シキドロップがいつか復活する時のことも考えて、継続的にアーティスト活動をしたいという思いがあったので。

――悠人さんは歌い手から始まって、シキドロップを経て作詞作曲、アレンジの能力を開花させてきて、その最新の進化系がUNISHじゃないかと思っています。UNISHというアーティストネームを選んだ理由は?

宇野:なぜUNISHを選んだかというと、この名前で最後にしようと思っていて。要は、アーティスト活動をするにあたって、これ以上ほかの人と何かをすることはせずに、この名前で最後にしようと思った時に、“終わり”という意味をつけたかったんですね。それと、海外での活動を視野に入れていたので、英語がいいなと思って調べたんですけど、僕の英語力が足りなくて(笑)。どれもしっくりこなくて、結局“FINISH”という誰でも思いつく単語になってしまったんですけど、それも等身大でいいのかなと思って、FINISHと、YUTOのYUとUNOのUを合わせて“UNISH”にしました。

――これまで半年間で3曲リリース。ということは、ある程度の曲数を事前に準備していた?

宇野:それも実は急に決まったことで、1曲目の「パラノイア」はだいぶ前に作っていて、僕がシキドロップのアレンジをやらなければいけない立場に立たされた時に、まず自分の曲で練習しようと思って作った曲だったんです。

――ということは、悠人さんが初めてアレンジにクレジットされた「傘」(2021年)よりも前くらい?

宇野:「傘」と同じくらいです。(平牧)仁ちゃんから「アレンジやってみなよ」という話があって、「傘」のアレンジをやったんですけど、もっとクオリティを上げるためにどうしたらいいのかということを試行錯誤している時に作ったのが、「パラノイア」だったんですね。それ以外の2曲は、UNISHの活動が決まってから作った曲です。

――3曲の共通点として感じるのは、ダンスミュージックで、打ち込みのトラックで、エレクトロな質感で。もともと悠人さんはヒップホップ、R&Bが大好きだし、UNISHはそっちの方向を突き詰めたものにしたいというイメージがあったのでしょうか。

宇野:とにかく自分の好きなことだけにしたかったんですね。シキドロップももちろん好きなことをやっていましたが、ポップという枠を超えたかったというのがありました。シキドロップは万人受けするような曲というか、仁ちゃんがポップな人なので。でもUNISHは人に媚びず、と言ったらおかしいですけど、もっと自分の好きな音だけで作りたいなというのがありましたね。

――まだ3曲の段階で早計だけれど。UNISHの音は、ジャンル感で言うと何になるんでしょう。

宇野:そういうジャンルに詳しい友達に聴かせてみたら、“ハウスっぽいね”と言われました。それからジャンルで曲を聴くようになったんですけど、ハウスはかなり好きですね。テックハウス、めちゃめちゃハマっているんですよ。ちょっとダークな感じの。僕の音楽ってそこなのかもしれないって、最近思っています。

――その上にメロディがあって、歌があって歌詞がある。

宇野:たぶん日本でそういう感じの曲を作っている人は、あまりいないと思います。なので僕の音楽が何のカテゴリーなのか、いまいちわかってないところもあります。あと今後の活動として、自分が歌を歌うというよりは、曲が生きてほしいなというのがあって、DJをやってみたいんですよね。なので、なるべく繋ぎやすそうな曲を、ということは考えたりしています。バラードっぽい曲を作るつもりは、今のところあまりないですね。


▲「ロベリア」

――この3曲が、UNISHの初期衝動三部作というか。

宇野:結果的にですけどね。シキドロップの時に思ったことですけど、あまり縛りをつけすぎると自分たちの首を絞めるという、作るのに精いっぱいになっちゃうんで、縛りはせずに、その時思いついたことではあるんですけど、この3曲でUNISHの自己紹介はできたと思います。

――曲の作り方は、どんなふうに?

宇野:今まで通りです。僕は思いつくと作るのが早くて、「ロベリア」とか「独りぼっち」に関しても、たぶん歌詞に関しては30分ぐらいで書きました。メロディは歌詞と一緒に考えるので、実質1時間ぐらいで全体像は見えている感じですね。

――すごい。早わざ。

宇野:ただ、一回作ったものをぶち壊すというか、再構築するのが好きなので。今までシキドロップでの経験上、これで完成だと思ったものをリミックスするというか、作り替えたもののほうが正解なことが僕の場合は多いので。だからメロディと歌詞は1時間ぐらいで作っちゃうんですけど、そのあとに再構築する時間があるので、このメロディは曲に合わないと思ったら抜いちゃうし。

――そこにじっくり手間ひまをかける。

宇野:そこの作業が一番面白いので。あと、いろいろ変な音を入れたりとか、「パラノイア」にはあえてちゃちいシンセサイザーを入れてみたりとか。この3曲に関しては、外から引っ張って来た音源はほぼないです。キックとかスネアとかは音源を使っていますが、あと効果音とかもありますけど、音を加工しているので、ほぼ元の状態ではないんです。その作業が一番面白くて。

――それこそ「ロベリア」だったら、電話の着信音が鳴ったりとか、ああいう効果音がすごく面白いなあと思います。

宇野:あの着信音とかは、シキドロップのエッセンスというか、学んだところですね。物語性があるというか。

――物語性は重要ですよね。3曲を聴いたイメージを繋げると、一人で部屋の中から外の世界を見ているシチュエーションとか、絵が浮かぶんですよね。そこに物語を感じるというか。

宇野:仁ちゃんにもよく言われるんですけど、僕の歌詞って客観視しているというか、情景が思い浮かぶというか、たぶん僕自身が自分事として曲を書くのが苦手で、何かに当てはめて曲を書いたほうがスッキリするんですよね。仁ちゃんだったら自分の思い全開で行くところを、僕は自分の思いをなるべく隠して曲を書いてるみたいな。

――ああー。なるほど。

宇野:歌詞とメロディを30分ぐらいで作るというのも、あまり練ったものを書きたくないというか、その時思いついた単語をぶわーっと書いていくんです。

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