【インタビュー】海蔵亮太「日本語の美しい響きと歌の豊かな情緒を世界に届けたい」

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■日本語が大好きで日本の歌が大好きなので
■日本語が嫌いにならない限り新しい表現は尽きない


――さだまさしの作品、山口百恵が歌った「秋桜」はどうですか。“明日嫁ぐ私”という主人公の気持ちに、どうやって寄り添ったのか。

海蔵:というよりは、嫁いでいく娘を見る親の視点ですね。自分はもう30歳代ですし、自分の親だったら、この歳でもう自分はいたので。この年齢だからこそ、親子の関係性ということは、当事者でもあるし、俯瞰的にも見えるところが増えてきたので、それをさだまさしさんの言葉をお借りして歌いたいなと思いました。とにかくさだまさしさんが大好きなんです。神だなと思います。ライブは長いですけど(笑)。

――それは有名ですね(笑)。トークが長い。

海蔵:歌は本当に素晴らしいです。この曲は、良い意味で歌謡曲感をちゃんと残したくて、今風にアレンジすることもできたと思うんですけど、そういう曲じゃないと思ったので。歌謡曲の世界を大事にしたいから、歌い方もそっちの雰囲気が出ているかもしれないです。

――さださんは今年デビュー50周年ですね。グレープから数えて。

海蔵:恐ろしいです。僕はまだ5年なんで、十分の一ですよ。なんだこのひよっこは、って感じですよ。

――そして最後の1曲、デビュー曲「愛のカタチ」を、新たにストリングスバージョンでセルフカバー。これは大事な曲ですね。

海蔵:デビューした時は20歳代だったので、認知症というテーマを通して家族愛を歌うことについて、なかなか自分の中ではイメージしにくいところがあったんです。でもデビューしたあと、実際に祖父が認知症になったこともあって、よりリアルな家族愛の現場を垣間見たあと、アレンジを変えてまたこの歌を歌わせていただけたのは、自分にとってすごく大きな成長を感じることでした。


――という、それぞれに思いを込めた6曲。4年前の『Communicaton』のジャケットと、今回のジャケットを見比べると、どっちもポートレートですけど、はっきり違うんですね。今回はより思慮深い大人の表情になっていると感じます。

海蔵:そうですね。あと今回の写真に関しては、去年、多様性を認め合う国際的なイベント(『True Colors Festival THE CONCERT 2022』)に参加させていただいたんですけど、そこで、国もジェンダーも取り払って一つの世界を作っていこうよというマインドに触れて、とても素敵だなと個人的に思ったので。多様性を表現するために、今回はこういう写真になりました。

――ジェンダーを超えた表現がありますよね。メイクやマニキュアも。

海蔵:もちろん歌も含めて、映像や写真でも表現したいなと思って、そういうところを意識して作りました。

――そういうふうに考えると、これからも歌う歌は尽きないんじゃないですか。今の時代に伝えたいメッセージは何か?を考えながら、過去の曲を掘り起こしていけば、その都度新しい表現がみつかっていく。

海蔵:たぶん、日本語が嫌いにならない限り、尽きないと思います。日本語が大好きで、日本の歌が大好きなので。僕の大きなテーマとして、いつか、日本人にしかないわびさびの文化を世界に届けられる曲を作れたら、こんなにうれしいことはないって、デビューの時からずっと思っているんです。日本人でもなかなか表現しづらい分野ではあると思うんですけど、わびさびというのは。


――外国語には翻訳しにくいところですね。たぶん。

海蔵:日本人でも、感覚はわかるけど、言語化するのは難しい価値観なので。それをいつか音楽で表現できたら、こんなに幸せなことはないと思います。「花束の代わりにメロディを~」じゃないですけど、アイラブユーと言えば済むのに、それを使わない表現がいっぱいできるのが日本語の強みというか。英語でもあるにはあるけど、限られていると思うので、外国人の方に聞いてみても、そこまで表現の引き出しはないみたいです。直接言いたい、という気持ちが根底にあるみたいなので。それを直接言わないのが、日本語の強みでもあるなと思います。

――真偽はともかくとして、夏目漱石が言ったとされているエピソードがありますよね。英語のアイラブユーを“月がきれいですね”と意訳したという。本当にあった話ではないかもしれないけれど、日本の感性として、わかる部分があったりします。

海蔵:そうですね。そういう言葉を紡いでいけるのは本当に素晴らしいなと思います。たとえば、さだまさしさんは僕にとってそういう立ち位置です。

――わかります。そんな様々な深い思いが詰まった、この『Communication 2 ~ Covers』。たくさんの人に届きますように。

海蔵:ぜひ聴いてほしいです。どのように受け取るかはみなさんの自由なので。

――リリース直後の24日、25日にはライブもありますし。今年はたくさんライブをやってくれますか。

海蔵:はい。今年はデビュー5周年なので、いろいろなイベントも考えています。ライブでの規制もだんだん少なくなってきて、みなさんの表情が柔らかくなってきているのを感じるので、うれしいですね。みなさんに楽しんでいただける年になると思うので、楽しみにしていてほしいです。

取材・文:宮本英夫

リリース情報

『Communication 2 ~ Covers』
CRCP-40651 定価¥2,500(税抜価格¥2,273)
2月22日(水)リリース
1. 喝采
 作詞:吉田 旺 作曲:中村泰士 編曲:大隅知宇
2. 愛燦燦
 作詞・作曲:小椋 佳 編曲:橋口佳奈
3. 糸
 作詞・作曲:中島みゆき 編曲:SUI
4. 花束のかわりにメロディーを
 作詞・作曲:清水翔太 編曲:m.s.t.
5. 秋桜
 作詞・作曲:さだまさし 編曲:大隅知宇
6. 愛のカタチ -Strings Ver.-
 作詞・作曲:中村つよし 編曲:信澤宣明

ライブ・イベント情報

<Communication 2 ~ Covers>
2/24(金)東京・渋谷eplusリビングルームカフェ&ダイニング

<「カラオケ喫茶“蔵”へようこそ>
2/25(土)東京・渋谷eplusリビングルームカフェ&ダイニング
【出演】海蔵亮太/久保陽貴

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