【ライブレポート】レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、約16年ぶり単独公演“東京ドームに還ってきた”

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Photo Credit : David Mushegain

Red Hot Chili Peppersが2月19日、東京ドームにて約16年ぶりの来日単独公演<レッド・ホット・チリ・ペッパーズ ワールドツアー 2023 ライブ・イン・ジャパン>を開催した。同公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。

◆Red Hot Chili Peppers 画像

Red Hot Chili Peppersが東京ドームに還ってきた──2007年に初の東京・大阪2大ドーム公演を行って以来、実に16年ぶりの単独公演が実現した。注目すべきは2019年に二度目の再加入を果たしたギタリスト、ジョン・フルシアンテの復活と、それを受けて6年ぶりのアルバムを2022年中になんと2作もリリースした後の新作ツアーでもあるということだ。

2022年6月にヨーロッパから始まったツアーは<グローバル・スタジアム・ツアー>と名付けられ、その一環となる今回の東京公演はまさにその名にふさわしい壮大で圧倒的なステージだった。そして鉄板ラインナップのバンドを迎え撃つオーディエンスの熱量も半端じゃない。先に16年ぶりの単独公演と書いたが、レッチリはその間、夏フェスで3度来日し、洋楽アーティスト屈指の人気を定着させている。もはや伝説となった第一回目の<フジロック>でのステージや、東日本大震災が起きた2011年に<サマーソニック>のヘッドライナーとして来日してくれたことなど、日本のファンにとって思い入れの強いバンドだろう。開演前の会場内外に漂う高揚感からは、バンドに対する絶大な信頼感も伝わるようだった。

Photo Credit : Kazumichi Kokei

イントロのジャムからドラムのチャド・スミス、ベースのフリー、そしてジョンの3人はいきなりフルスロットルで、オーディエンスを温めるどころか早くもノックアウトする勢い。超絶技巧のプレイを見せ付けた。実質的なオープニング曲「Can’t Stop」のイントロが始まると、ボーカルのアンソニー・キーディスの登場と相俟って会場は一気に熱狂の渦に巻き込まれ、同じくアルバム『By The Way』収録曲「The Zephyr Song」の心地良いメロディに身体を揺らし、レッチリのライブが始まった喜びをかみしめた。

続いて披露されたのは新作『Unlimited Love』からの「Here Ever After」で、リズミカルなドラムにベースとギターが寄り添うように絡み合い、その波をボーカルがなめらかに乗りこなしていくという、ジョンが復活した今の4人ならではのケミストリーが感じられる新曲だ。日本の前に周ってきたオーストラリアなどでは、“セットリストにヒット曲が少ない”など不満の声が上がったりもしていたが、今回の東京ドーム公演ではアンコールを含めた全17曲中、新作2作からは6曲だった。ジョンのギターソロに痺れる「Eddie」やタイトなドラムが際立つ「These Are the Ways」、“ヤーヤヤヤー”の掛け声が耳に残るグルーヴィーな「Tippa My Tongue」、『Unlimited Love』の1stシングルで新生レッチリの到来を告げたメロディアスな「Black Summer」など、新しい曲はどれもこの4人で再び集まって曲作りができる喜びにあふれていて、それをライブで聴くオーディエンスにはそんな今のレッチリを体感できる喜びを与えてくれた。

ステージにはバックドロップ全体と両サイドに大きなスクリーンがあり、グルーヴをそのままビジュアルにしたようなサイケデリックな映像(メンバーの姿とリアルタイムで合成されていたのもカッコよかった)で視覚的にも楽しめた。「Snow ((Hey Oh))」では左にアンソニー、右にジョンの顔が大きく映し出され、2人でコーラスをハモる姿にジーンときた。演奏中のメンバーの手元がアップになるのも見どころで、ベース弦の上で叩き付けるように力強く、それでいてステップを踏むように軽やかに動き回るフリーの指には何度見ても驚かされた。還暦の概念を変えるチャドのパワフルなドラミングはどれだけ体力があるのか!?と恐ろしくなるほどで、常に楽しそうにしているのがまたすごい。真っ赤なスカジャンを着て登場したアンソニーは、その後黄色いメッシュのシャツ姿になり(裾をめくり上げて頭にかぶり、のしのしと歩き回るところが最高)、気が付けばそれも脱いで股間に稲妻が走るハーフパンツ一丁になっていた。それぞれ熟練の技を見せる彼らだが、いくつになっても大人と子供のいいとこ取りのような、仲間と一緒に音楽をやるのが楽しくてたまらないという変わらなさがあるのがいい。曲のアウトロでフリーとジョンが向き合って長いジャムを続けたり、アンソニーも加わって全員がドラムキットの前に集まったりする場面は、ここがドームであることを一瞬忘れさせ、まるでスタジオでの様子を覗き見ているかのような親密感があって心温まる光景だった。

Photo Credit : Kishida Teppei

この日、一番饒舌だったフリーは、スパッとしたエンディングがカッコいい「Suck My Kiss」の後で、“今朝食べた和朝食に小鉢がいっぱい並んでいて、何を食べているのかまったくわからなかったけどおいしくて、ミステリアスでビューティフルなのが日本のいいところだ”と言って笑っていた。そして“科学者と相談した結果、史上最もスローな曲のやり方がわかった”と言って始めたのが、超絶速弾きベースの「Nobody Weird Like Me」。1989年の名盤『Mother’s Milk』からのレア曲に会場が沸いた。そんな沸騰状態はフリーとジョンがひとしきり絡んで始まった「By the Way」で最高潮に達し、ジョンのボーカルで完璧な形になったこの曲で本編の幕が閉じた。

アンコールでステージに戻ってきた彼らが鳴らし始めた「Under the Bridge」に、オーディエンスはスマホのライトで応えた。絶望的な孤独を歌ったこの曲が、満天の星のようにキラキラと輝く数万の光に照らされて、みんなの歌へと昇華していく様は泣けてくるほど感動的だった。そしてラストの「Give It Away」の大爆発で涙は吹き飛ばされ、あまりの盛り上がりに笑うしかなかった。途中アンソニーがフリーに質問があると言って(「恥ずかしいやつ?」との返しが笑えた)、「どうやったらマスクをしていても笑顔かどうかわかる?」と訊くと、「目を見たらわかるよ」とフリーが答える場面があったけれど、エンディングでアンソニーは「見える、君達の笑ってる顔が見えるよ」と満足そうに言っていた。

そしてオーディエンスに向かって「今夜のショウに来てくれてありがとう。君達を愛してる。また会う日まで、みんな仲良くな。グッバイ!」と言ってステージを去った。その言葉は未来への確かな約束のように響いた。生のサウンドを浴びて踊って(マスクの下で)歌ってジャンプして、あっという間に過ぎ去った1時間40分あまりは、ただただ最高に楽しかった。

■<レッド・ホット・チリ・ペッパーズ ワールドツアー 2023 ライブ・イン・ジャパン>2023年2月19日@東京ドーム セットリスト

Intro Jam
01. Can’t Stop
02. The Zephyr Song
03. Here Ever After
04. Snow(Hey Oh)
05. Eddie
06. Suck My Kiss
07. Reach out
08. Soul to Squeeze
09. Nobody Weird Like Me
10. These Are the Ways
11. Tippa My Tongue
12. Californication
13. Carry Me Home
14. Black Summer
15. By the Way
encore
en1. Under the Bridge
en2. Give It Away

▼<レッド・ホット・チリ・ペッパーズ ワールドツアー 2023 ライブ・イン・ジャパン>
2023年2月19日(日) 東京ドーム
2023年2月21日(火) 大阪城ホール
公演詳細:https://www.livenation.co.jp/redhotchilipeppers2023

▼RHCP来日記念キャンペーン実施店舗
https://wmg.jp/rhcp/news/88408/

▼ワーナーミュージック・ストア限定では、最新アルバム2作『Unlimited Love / アンリミテッド・ラヴ』と『Return of the Dream Canteen / リターン・オブ・ザ・ドリーム・カンティーン』のCD&Tシャツセットや限定バイナル等が販売
https://store.wmg.jp/collections/redhotchilipeppers

■『レッド・ホット・チリ・ペッパーズ ライブ・アット・東京ドーム 2023』

2023年2月26日(日)午後5:30 [WOWOWプライム][WOWOWオンデマンド]
※放送終了後~2週間アーカイブ配信あり
収録日:2023年2月19日(日)
収録場所:東京・東京ドーム
番組サイト:https://www.wowow.co.jp/music/rhcp/

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