【インタビュー】Ado、2023年第1弾「アタシは問題作」に「一人歩きしてしまったイメージに対して、“私、全然そんなことないのにな”って」

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2022年リリースの1stアルバム『狂言』、そしてアルバム『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』がロングヒットを記録し、Billboard JAPAN Artist 100アーティストランキング年間1位を獲得したAdo。まさしく2022年を象徴するアーティストとなった彼女が、2023年第1弾作品となる楽曲「アタシは問題作」を発表。メディア関係者を一同に招いたリモート合同インタビューが行われた。

◆Ado 動画 / 画像

今回、Adoが新たにタッグを組んだのは、「神っぽいな」「魔法少女とチョコレゐト」などが高く評価されている人気ボカロPのピノキオピー。2022年5月にAdoが行ったTwitter企画“Adoに歌って欲しい曲”投票では、1万件超の応募の中からピノキオピー「神っぽいな」が選出されており(Adoによる「神っぽいな」の“歌ってみた”動画もYouTube公式チャンネルで公開)、ファンにとっても待望の強力コラボレーションの実現だ。


▲「アタシは問題作」ジャケット画像

もちろん、長年にわたってボカロ曲を追いかけてきたAdoにとっても、ピノキオピーはリスペクトするボカロPの一人という重要人物。そんな彼から新曲のデモが届いた際、「改めて“ピノキオピーさん、天才だ!”って実感させられた」と、最初に曲を聴いた印象をAdoはこう振り返った。

「私から、“こういう曲にしてください”というリクエストや、“こんなことを思っている”と伝えずともAdoのことをわかってくださっていて。自分の感情に完全にリンクした歌詞を書いてくださって、本当にすごいなって、感激しました」──Ado

Adoがこう語るほど、自身が日々感じ、独り言としてつぶやいているような本音や感情をそのまま言語化した歌詞であり、これほどまでに共感できる歌詞に出会ったのは初めての経験だったと彼女は続けた。

「結構皮肉的な楽曲だと思うんです。何の皮肉かと言うと……そもそもAdoの一般的なイメージって、デビュー曲の「うっせぇわ」からくる印象がすごく根強いと思っていて。でも、そのイメージと実際の私の性格は真逆というか。そんな一人歩きしてしまったイメージに対して、“私、全然そんなことないのにな”っていう気持ちを、この曲ですべてを書いてくださっていて。だから、“ほぼ私の独り言”みたいな感じで、歌うというよりも、ただ本音を話しているような、そんな感覚で歌をレコーディングしました。中でも特に本音に近かったフレーズは、一番のAメロ、“♪ちょ待ってよ なんで? 過大評価です/本音言えず 胸焼けしてる”です」──Ado

本当の自分はそうじゃないと歌いながら、諦めたかのように世間の評価を受け入れ、勝手に作り上げられたパブリックイメージを逆手にとって遊びつつ、やはり心の中はどこか孤独で、泣いている。そんな、ある意味では自虐的で、不憫な主人公の心情が歌われる「アタシは問題作」。しかしながら、音楽的には実に多彩な音色が散りばめられ、シーンによってビート感が大きく変化するなど、決してネガティヴさを感じさせない、緻密に練り上げられたフックが随所に仕掛けられた明るくポップな仕上がりとなっている。

「レコーディングでも、ポップというか、明るい感じを意識して歌いました。でも、ただ明るいだけでなく、カラ元気というか、“無理して頑張ってるねぇ”というような歌い方を心掛けて。これまでも、「阿修羅ちゃん」や「私は最強」などの曲では、力強いパワーをみなさんに届けるという意味で明るく歌う表現をしました。でもこの曲においての明るく歌うというアプローチは、今までとは全然違います。無い元気を無理矢理に振り絞りながら“うわぁ、頑張らなきゃ”と歌うような明るさ。そういう意味での、今回の明るく歌うという表現は、新境地と言えるかもしれません」──Ado

まるでジェットコースターのように勢いを加速させながら、めくるめく展開で楽曲が進んでいくが、その果てに訪れるのは“あんたはどうだい?”という最後のフレーズ。ぼそっとつぶやくような低い声に、聴き手は思わずハッとさせられる。

「私も最初に聴いた時、ピノキオピーさんの狙いを感じました。曲の中で、ちょっとかわいそうな自分、ちょっとバカにされている主人公といった自虐的な印象が続いていくのですが、そういった一人歩きしている印象って、第三者である視聴者さんが決めつけているものだと思っていて。そういう人たちに“じゃあ、あなたたちはどうなの?”と刺すような表現ができたらいいなと思って、歌のニュアンスを考えました」──Ado


「アタシは問題作」のミュージックビデオは、アニメーター/イラストレーターのえいりな刃物が担当。Adoが「完成した映像を洗面所でスマホ再生した時に、“最高だね!”って、最近で一番テンションが上がりました」と語るほどに、新曲の世界観を表情豊かに表現。主人公の不憫さを描写しつつも、かわいらしさも感じる映像作品となっている。そしてAdoは、6月29日の埼玉・大宮ソニックシティ大ホールを皮切りに、全国14公演という自身最大規模となる全国ツアー<Ado 全国ツアー2023「マーズ」>に挑戦する。

「昨年の全国ツアー<Ado LIVE TOUR 2022-2023『蜃気楼』>から、さらに規模感の広がったツアーになりますし、開催時期が“夏”ということもあって、ライブに足を運んでくれるみなさんには絶対に、燃え上がる夏の想い出のひとつにしてもらえるように、気合を入れて頑張りたいです」──Ado

全国のホール&アリーナでAdoのリアルな歌を目の当たりにした時、彼女に対するステレオタイプなパブリックイメージがどのように破壊され、新たなイメージがどのように創造されるのか興味津々。目撃必至のツアーになること間違いなしだろう。

取材・文◎布施雄一郎

■楽曲「アタシは問題作」

2023年2月20日(月)配信開始
詞曲・編曲:ピノキオピー
https://ado.lnk.to/atashiPR

■<Ado 全国ツアー2023「マーズ」>

6月29日(木) 埼玉・大宮ソニックシティ 大ホール
7月01日(土) 宮城・東京エレクトロンホール宮城 (宮城県民会館)
7月08日(土) 香川・レクザムホール (香川県県民ホール)
7月16日(日) 福岡・福岡サンパレスホテル&ホール
7月22日(土) 新潟・新潟県民会館 大ホール
7月30日(日) 愛知・名古屋国際会議場 センチュリーホール
8月12日(土) 北海道・札幌文化芸術劇場hitaru
8月20日(日) 広島・広島文化学園HBGホール
8月29日(火) 東京・日本武道館
8月30日(水) 東京・日本武道館
9月09日(土) 大阪・大阪城ホール
9月10日(日) 大阪・大阪城ホール
9月16日(土) 神奈川・横浜アリーナ
9月17日(日) 神奈川・横浜アリーナ
※詳細は後日発表


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