【インタビュー】Kroiの自由感

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■自分たちのやりたいモノ、聴いて欲しい音楽を作ったりする中で行けるところまで行きたい

──その追加公演ではニューEP『Magnet』のリリースも告知されました。1月の「Hard Pool」、今月の「風来」というデジタルリリースはそれに先駆けて、ということですけど、ツアー中に仕上げていったような?

内田:そうっすね。

──ツアー中でも制作モードに入れるんですか?

内田:制作とライブのモードは分かれるんですけど、家にいると曲を作っちゃうんですよ。で、一旦ライブが終わって制作に入ります、となったとき、その作ったデモをメンバーにちゃんと聴かせられるように仕上げる、という流れです。


──「Hard Pool」は冬のリリースだから逆説的にプールを思い浮かべて、という話がありましたけど、そういったイメージから曲作りをスタートさせるんですか?

内田:結局、音の感じですね。サウンド感を考えて、BPMを決めて、そこから肉付けしていって、みたいな作り方です。

──メンバーから何かリクエストがある場合も?

千葉:こういう曲を!とかは言わないんですけど「ちょっとファンクが欲しい」みたいなことを伝えると、送られてくるデモの中にそれを元にした曲があったり、とか。

増田:普段から「どんなの聴いてる?」みたいなことだったり、「こういうのやってみたいよね」っていうのを怜央に話したりはしてるんです。で、千葉が言ったように、それを踏まえたデモが出てきたりしますね。



──「Hard Pool」はガツンとくる衝撃がありました。

内田 Kroiは実験的な要素がしっかり盛り込まれた楽曲、わりとルーツをそのまま吐き出す楽曲、大きく分けるとその2パターンがあって。「Hard Pool」は実験的な要素がある楽曲で、自分たちでもジャンルが訳わかんない、っていうか(笑)。

──緊迫感のある幕開けから、ちょっと緩和して、また緊迫して。しかも、それぞれ違うニュアンスがあるじゃないですか。勝手にサウナ、水風呂、外気浴みたいな感じだなって聴いてました。

関:素敵ですね。

内田:いいっすね、その表現。

──凄く心地いいんですけど、どうやって作ったんだろう、って感じたりはして。

内田 イメージを固める際、自分の中に何人かの自分がいて、その意見を戦わせるとホントにめちゃめちゃなモノができるんですよ。で、それを一旦聴きやすいように繋がりを調整してメンバーに投げて。さらに聴きやすくしたり、逆に違和感を加えたり。そのカオスさがよく出た楽曲かなと思います。

──では、「風来」はどういったところからスタートしたんですか?

長谷部:楽曲自体は「熱海」と同じ時期からあったような。

関:それこそ、新しい作品へ取りかかる度、怜央は一気に5、6曲とかデモで出してくるんで。結果的にストックが溜まっていくんですよね。で、それが今、何十曲とある中、今回は「風来」をピックアップしました。


──そういった中で「風来」ピックアップした理由は?

内田:久しぶりにがっつりルーツを見せるというか、普通にニューソウル的なモノがやりたいなって。わりと昔は「Shincha」って曲とか、70年代の軽やかなソウルっぽい曲が多かったんですけど、最近はそんなにやってないし。

──不思議なニュアンスがある曲だなと感じまして。優しく包み込むようでありつつも、歌にはハリがあったり、気持ちが高揚するリズムが入ってきたり。しみじみと聴く曲であるような、そうでもないような。

内田:いつ聴いたらいいかわからないような(笑)?

──そんなことはないんですけど(笑)、他にはない、普通じゃない味わいがあるな、と。

千葉:益田さんのドラム、ちょっとテンション高いというか、「こういう気持ちで叩いてたんだ」ってこの間思ったんだよね。

益田:オレのせいで、いつ聴いたらいいかわからない(笑)?

一同:ハハハハ(笑)。



──いやいや、誰も何かが悪いとは言ってないです(笑)。

千葉:オレもミックスしながら思ってたんですよ、「不思議なテンションだな」って。

内田:でも、意外とマーヴィン・ゲイの「What's Going on」とか、かなりおもいっきりスネアを叩いてるんですよ。だから、そのテンション感の違和感というか、そういうのもわりと昔からあるのかな、って。あと、今回で言えばかなりミックスが冴え渡ってて。ビンテージソウル的なアプローチのとき、楽器の定位をはっきりさせると凄くビンテージっぽくなるんです。結構マジで気に入ってるのは、左側にある長谷部のギターのカッティングだったり。そういうところも聴いて欲しいですね。

千葉:あと、今回はテープを通したんですよ。

長谷部:あっ、その前に1回話していい?

──内田さんが長谷部さんのカッティングの話をしたとき、ニヤッとしましたよね(笑)。

長谷部:あのですね(笑)、昔から好きだったソウルを今できるとなったから、夢だったビンテージギターで弾いてやろうと思いまして。レコーディングの1週間ぐらい前に御茶ノ水へ行って、全部の箱モノギターを弾いたんですけど、その中でいちばん良かった70年製の(ギブソンの)ES-335を買いました。

千葉:おいくらでしたっけ?

長谷部:94万円!!!

一同:おぉ〜!

内田:よく言うよな、値段を(笑)。

益田:ラジオでさ、分割4年ローンって言ってたよね。全部言うの、気持ちいいなって思ったわ(笑)。

──じゃあ、ライブの長谷部さんを観たら「あのギターか!」って。

長谷部:でも、ちょっと持ち出しが怖くて(笑)。

一同:ハハハハ(笑)。

長谷部:そういうこともあって、ビンテージの音作りにこだわった楽曲でした。

──そして、千葉さんがおっしゃったテープというのは?

千葉:今のビンテージっぽいソウルをやってる人って、テープレコーダーを使って録ってるのが多かったんです。で、ちょうどスタジオにテープレコーダーがあったんで、メイン系のトラックは全チャンネル、テープで録って。それをデジタルに戻したモノでミックスしたんです。テープにしかない歪みっぽい音や質感ってデジタルでもマネはできるんですけど、本物はやっぱり深みがあるし。

内田:やってよかったですね。それこそ、ずっとノイズが入ってるんですけど、それもテープの副産物で。

──エフェクトじゃなく、ホントに通したからこそ。

内田:うっすく、ね。

千葉:悠生のギターも、ミスったトラックがずっとかすかに鳴ってたり。よく聴けばわかるんじゃないですかね。テープって残っちゃうんですよ、上書きすると。

内田:なんで、よ〜く聴くと裏でもうひとつの「風来」が流れてる(笑)。

長谷部:消せるところは消したけどね(笑)。

──ちなみに、3月にリリースされるニューEPはもう完成してるんですか?

関:いや、まだですね。今、ラストスパートではあるんですけど……。(※2月上旬取材日時点)

──結構ギリギリな気もしますが。

内田:怖いですね(笑)。

関:スケジュールはパンパンです(笑)。


──現時点でどういったモノになりそうですか?

内田:むちゃくちゃっすね、何か。

関:毎度、そう言ってますけど(笑)。

千葉:で、アグレッシブかも。今まではもっとバランスを意識してたけど、曲数が少ないから、結構強めな曲が多い気がしてます。

内田:最近、ライヴもガツガツな感じなんで、その今のKroiが出てるかなって感じてますね。

──Kroiって自由な音楽集団というイメージが強いんです。とにかく上を目指すというより、クリエイティブを重視してるような。活動する中で見据えるモノ、達成感を味わうタイミングはどこにありますか?

長谷部:成り上がりのゴールをどこにしてるか、ってことですよね?

千葉:現時点では、たしかにいい楽曲、いいライヴができたら、というクリエイティブやプレイ的な達成感を感じることが多いかなって気はしてますね。

関:良くも悪くも、自分たちって規模感だったり、どこまで行きたいか、みたいな具体的な目標がなくて。ひたすら自分たちのやりたいモノ、聴いて欲しい音楽を作ったりする中で行けるところまで行きたい、って感じでやってますね。

──他意はないんですけど、例えばオリコンの1位を獲ってみたいと思ったりします?

内田:何だろう、自分たちがやってる音楽で革命を起こしたい感は昔からあって。ちょっと、あんまり言い過ぎると獲れなかったときに恥ずかしいんですけど(笑)、上の方へ言って、ちょっと音楽シーンを緩和させていきたいな、っていうのはあります。だから、この自由感みたいなのはちゃんと出していきたくて。カッチリやんなきゃ、みたいなのが強すぎると、ひとつの方向でしか良いっていう価値観が生まれなくなっちゃうじゃないですか。ダサいのもいいし、ただカッコいいのもいいし、オシャレなのもいいし。自由でいい、っていうのを音楽シーンに広めれるように活動していきたいですね。

取材・文◎ヤコウリュウジ
写真◎野村雄治

■Single「風来」

2023年2月22日(水)配信開始
配信リンク:https://lnk.to/fuurai

■Digital Single「Hard Pool」

2023年1月9日(月)配信開始
https://lnk.to/hardpool

■Major 2nd EP『MAGNET』

発売日:2023年3月29日(水)
https://pony-canyon.lnk.to/magnet

・CD Only/ PCCA-06194 /1,650円(税込)
・CD+DVD/ PCCA-06193 /4,400円(税込)
・CD +Blu-ray/ PCCA. PCCA-06192 /4,400円(税込)

[収録曲]
01:PULSE
02:Astral Sonar
03:Cosmic Pillow
04:Hard Pool
05:cranberry
06:風来

[DVD/Blu-ray収録内容]
Kroi Live Tour 「BROADCAST」from LINE CUBE SHIBUYA(2023.01.08)
01.Drippin' Desert
02.Pixie
03.Monster Play
04.a force
05.Juden
06.Funky GUNSLINGER
07.Balmy Life
08.Mr. Foundation
09.Flight
10.侵攻
11.夜明け
12.Not Forever
13.Never Ending Story
14.WATAGUMO
15.Network
16.HORN
17.Shincha
18.Hard Pool
19.Fire Brain

【ショップ別先着予約購入特典】
・タワーレコードおよびTOWER mini全店、タワーレコードオンライン:Kroi☓TOWER RECORD オリジナルステッカー
・全国HMV/HMV&BOOKS online:HMVオリジナル「magnet」ステッカー (50mm×70mm)
・Amazon.co.jp:メガジャケ
・楽天ブックス:オリジナルアクリルキーホルダー(50×50)
・セブンネットショッピング:オリジナル缶バッチ
・上記以外のCDショップ:オリジナルステッカー

■<Kroi 2023 "Magnetic" Tour BLUE / RED>

2023年
【BLUE】
4月13日(木) 神奈川 KT Zepp Yokohama
4月15日(土) 静岡 浜松窓枠
4月16日(日) 愛知 DIAMOND HALL
4月22日(土) 福岡 DRUM LOGOS w/ BREIMEN
4月23日(日) 福岡 DRUM LOGOS
5月6日(土) 北海道 PENNY LANE24 w/ BREIMEN
5月7日(日) 北海道 PENNY LANE24
5月12日(金) 大阪 Zepp Namba
5月13日(土) 岡山 YEBISU YA PRO
5月18日(木) 東京 Zepp Shinjuku
5月20日(土) 宮城 仙台Rensa
5月26日(金) 石川 金沢AZ
5月27日(土) 新潟 新潟LOTS
【RED】
6月2日(金) 大阪 オリックス劇場
6月23日(金) 東京 NHKホール

■TICKETS
ライブハウス公演【BLUE】 : 前売り ¥4,800(+1DRINK)
ホール公演【RED】 : 前売り ¥5,800

チケット:https://lnk.to/Magnetic_tix

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