【インタビュー】Ashley「私はボーダーレスな“Ashley World”に属していると思っている」

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■どの曲も、これがあの時のAshleyだからって言える
■そんな曲がちょっとずつ増えていくのかなって思います


──自分でギターが弾けるようになってからSNSにアップするようになったのも、きっと自然な流れだったんでしょうね。

Ashley:そうですね。(SNSへの投稿は)めちゃくちゃしていました。そこから(今のプロデューサーである)LUNAさんが見つけてくれたりして、今の活動につながっていったんです。

──Ashleyさんにとってテイラー・スウィフトがそうだったように、心を掴む何かが光っていたということなんでしょうね。

Ashley:そうだと嬉しいです。でもそういう意味で言うと、自分にとってはグリーン・デイもまさにそうだったんですよね。高校の時でした。高校生くらいの時っていろいろなことにイライラしたり、モヤモヤしたりしていたから、怒りの気持ちとかを音で表してくれるロックをめちゃくちゃ聴いていたんです。

──ギターも弾けるわけですから、自分もバンドやろうとは思わなかったんですか?

Ashley:やりたい気持ちはあったけど、まわりに音楽をやっていたり興味持っている子があまりいなくて。うちの高校には軽音楽部もなかったから、一人でアコギ弾いて歌っていたんです。友達が「じゃあ次この曲やって」「いいよ」みたいな感じでリクエストとかもらって、Twitterとかインスタとかにアップしていました。


──ジャンルは関係なく、その時の気持ちに沿った音楽をたくさん聴いてこられたようですが、いざ自分のオリジナル曲をどうするかとなった時はどんな風に方向性を見出していったんですか?

Ashley:そこは結構難しかったですね。これも好きだし、これもこれもみたいな感じだったから(笑)。でもいろいろな音楽が好きだからこそ、最初からこうと決めず、ちょっとずつものをやっていこうかっていう話になっていきました。最初は結構歌っている感じというかR&Bな感じをやって、今回作った「HIKIGANE」なんかはちょっとレゲトンに寄っている感じ。そうやって、少しずつやっていこうって。「HIKIGANE」と「PROBLEMS」の2曲はセルフ・プロデュースなんですけど、歌詞を書くときなんかは結構追い込まれて泣いたりもしました(笑)。

──そういう時にLUNAさんのような方がいらっしゃると、心強かったでしょうね。

Ashley:私のティーチャーですから(笑)。音楽について知らないこと、めちゃくちゃあるんだなっていうこともすごく思いました。知らないことがたくさんあるってわかってはいたんだけど、LUNAさんと会って、一緒に音楽を作るようになって、改めて感じたというか。

──一つひとつ学んで、形にしている段階なんですね。

Ashley:最初にデモを作っていた時は、今と全然違う感じのも録っていたんですよ。どんなのが良いかなって色々模索しながら進めていました。自分の感情の落としどころはどういうジャンルで、どういう曲調で、どうアウトプットしていくのかっていうのをLUNAさんと探りながら。LUNAさんには何でも聞けるから、そこは気楽なんですよね。今までは何でも聞けるような人が周りにいなかったから、音楽を作りたいっていう気持ちはずっとあったけど、何をどうしていいかがまずわからなかったんです。でもLUNAさんと出会って、プロデュースチームと一緒にやるようになって、わからないことを聞ける人ができたから一つひとつに答えが出てくるんですよね。今までずっと「わかんない。どうしよう。終わり」って、答えがないままの状態で永遠ループしていたけど。

──素敵なチームで創作活動ができているんですね。

Ashley:はい。今は、自分の気持ちを日本語でもちゃんと書けるようになりたいと思って頑張っているところです。私は育ったのが特殊な環境だったから、小5くらいまで英語ばかりで、日本語が喋れなかったんですね。だから歌詞も、日本語で書くのはどうしても難しかったりして。英語だとすぐに出てくるんだけど、自分の気持ちを日本語で表すのが難しい時があるんです。

──今回の楽曲もほとんどが英語と日本語のミックスになっていますが、例えば日本語で表現したいと思うのはどういう場合ですか?

Ashley:ここは絶対にわかって欲しいっていうところ。その曲の中で、これを一番伝えたいってところは日本語にするべきだなって思っています。日本にいるからには日本語にした方がみんなわかるじゃないですか。英語にしたい気持ちもあるけど、そうしたらあまり伝わらなくなってしまいそうだから。


──「HIKIGANE」もほとんど英語ですが、「この世界はもう後には引けない」など、日本語の歌詞にするとより強く印象に残る効果もありますね。

Ashley:はい。もう止まれないよって、それくらいの気持ちなんだよって自分にも言い聞かせている感じです。もう始まったんだからね、Uターンできないよって。あと、ラブソングの「クセニナル feat. Hideyoshi」は比較的ミックスされている歌詞ですけど、クセになるっていうところは強く伝えたいから日本語で表現しました。



──「PROBLEMS」は全編英語の歌詞ですが、この曲はAshleyさんのセルフプロデュースなんですよね。

Ashley:そうです。これは、全然歌詞が書けない時期に入ってしまって、どうしよう、でもとりあえず書こうと思ってバーっと書いていた中の1曲です。さっきの「HIKIGANE」もそうでしたけど、ちょうど元カレとお別れした時期だったのもあって(笑)、ちょっとマインドがそういう感じの歌詞なんですよね。

──こんなに素敵な曲が2曲も生まれたんだから、お別れしたこともプラスになったんですね(笑)。

Ashley:はい、結果オーライでした(笑)。

──それくらいリアルな感情から生まれている曲だから、聴いている人たちに響くんだろうなと思います。

Ashley:どの曲も、これがあの時のAshleyだからって言える。これから作る曲だって、書いている時がどんな気持ちに入っているかわからないし、出した時には全然違うマインドになってるかもしれないけど、この時のAshleyのマインドはこうだったんだよっていう感じで、ちょっとずつ曲が増えていくのかなって思います。

──Ashleyさんの作品は、MVも本当に見応えがありますよね。個人的には「KARMA feat. Jin Dogg」の世界観などを見ていると、自分の知らなかった東京がそこにある気がしました。

Ashley:私自身、東京に出てきてあまり経っていないんですけど、綺麗事だけじゃない日本の側面というか、華やかで綺麗なんだけどみんなカルマを抱えている…っていう側面があるのも東京かなと思います。何か自由を求めて来ている人たちが溢れていて、でもみんな結局“自分”なんだなって思う。言い方はアレかもしれないけど。それも良いことだし、間違ってはないっていうか。



──綺麗事じゃない部分が、とてもスタイリッシュな映像で作られているギャップも素敵ですよね。

Ashley:ありがとうございます。でも東京のことを歌っているのは、実は「Ghost」だったりもするんですよね。東京ってみんなスマホを持っていて、それだけで生きているみたいな、何だかゴーストみたいな世界だっていう。この曲のMVもぜひ見てみてください。



──今日お話を伺って、ジャンルにこだわらず、ある意味どこにも属してないんだけど、自分という発信場所は間違いなく持っている。そういうスタンスが、Ashleyさんの強みになっていくんだろうなと感じました。

Ashley:どこにも属してない感じ、確かにそうですね。私はアメリカの人からしたら「そうなの?」って感じだし、日本の人からしたら「アメリカ人じゃん」って感じだと思うんですよ。生まれたのは千葉で、地元は茨城。今は東京にいるけど、東京の人でもない…みたいな。なんか“Ashley World”に属している感じかな(笑)。

──“Ashley World”、良いですね!この先もAshleyさんの魅力はいろいろな方向に広がっていくと思いますが、まずはこのEP『DRAFT ONE』をしっかり聴いていただきたいですね。

Ashley:はい。「DRAFT」は下書きって意味なんですけど、これが今のAshley。私の音楽はきっとこれからもいろんな方向に変わっていくし、マインドによっても変わっていくと思うんだけど、そうやって途中経過を見せていくのがアーティストなのかなと思っていて。別にこれが完成じゃないし、完璧でもない──まぁ、たどり着く完璧なもの自体ないのかもしれないけど、「今はこんな感じで進んでるよ」、「今はこんな方向に行ってるよ」っていうことを、最初の下書きとして伝えているのが『DRAFT ONE』。まだパーフェクトじゃないけどねって感じです。

──この先、何か叶えたい夢はありますか?

Ashley:一番大きな夢、これができたら最高だなっていうのはコーチェラです。アメリカのフェスの中でも一番でかい。行ったことないし、行ってみたいけど、行くなら出たいです(笑)。

──その夢が叶う時、どんなラインナップだったら嬉しいですか?

Ashley:まずビヨンセ。あとはシザ。ビリー・アイリッシュは、世界観がめっちゃ好きなんです。MVもすごく個性がありますよね。レディー・ガガもそうだけど、可愛いとかかっこ良いとか関係ない、自分を持っていてぶっ飛んでいる人が大好きなんです。何だか、想像すると興奮しますけど(笑)。

──Ashleyさんの今後、どんな風に展開していくのか楽しみにしていますね。

Ashley:ありがとうございます。ここから何がどうなるかわからないからこそ、私自身もこれからが楽しみだなって思っています。

取材・文:山田邦子

リリース情報

1st EP『DRAFT ONE』
https://linkco.re/ampHb4Cc
1.HIKIGANE
2.Ghost
3. KARMA feat. Jin Dogg
4. クセニナル feat. Hideyoshi
5. PROBLEMS

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