【インタビュー】JURASSIC JADE「停まらない列車から降りないから」、最新作『Nyx filia』リリース

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■今までJURASSIC JADEになかった雰囲気

── 「Cave Sorrow」は沖縄の言葉も使われていて、第二次世界大戦の沖縄戦を思い出します。曲を聴いて歌詞を読んでJURASSIC JADEは昔から変わらず歌っているし、戦争はまだ続いているんだなって。

HIZUMI:前半は沖縄じゃないよね。タイトルもWATANABEが付けてくれて。

WATANABE:仮タイトルは歌詞の一部にある「How Many Days Stay Here」でした。

HIZUMI:仮タイトルの時にWATANABEが意味を汲んでくれて。

WATANABE:最初は「Cave Of Sorrow」だったけど、「Cave Sorrow」に落ち着いた。

HIZUMI:『CAPE FEAR』(1991年)という映画が好きだったから、それに寄せてみました。『CAPE FEAR』は後味の悪い怖い映画だよ。

WATANABE:曲を作った側から言うと、意識的に今までJURASSIC JADEになかった雰囲気を入れたかった。極端に言うとデス・メタルっぽい感じを出したくて。最初に作ったデモがあるのですが、いかにもデス・メタルっぽいトレモロ・ピッキングとか入れていて、そういった雰囲気を頭に描いていた。現代的な激しさをやってみた。この曲のチューニングは少し下げているので重いイメージもあるかと。

▲WATANABE

── 「Rain In Black」はタイトルの響きがSLAYERの「Raining Blood」ですね。

HIZUMI:HAYAがすぐにそれを言ってた。「Raining Blood」であり、「黒い雨」であり、CREEDENCE CLEARWATER REVIVALの「Have You Ever Seen The Rain」で、私の中で全部をイメージしてこの曲の中にある。

NOB:CREEDENCE CLEARWATER REVIVALの「Have You Ever Seen The Rain」は俺の青春ソングで、大ヒットした曲なんだ。表向きはそんなことは歌っていないしバンドは否定しているけど、聴く人は反戦歌だと思っていて。

HIZUMI:雨に例えられているのはベトナムのナパーム弾、のどかな曲なのにアメリカでは一時期放送禁止になっていた。

NOB:イントロをレコーディングした時にエンジニアの稲荷さんに「こんなにイントロを長くしてどうするんですか?」って実はダメ出しがあったけど、そこに歌詞が乗ったら「ああ、こうなるんだ」って言われてね。

▲NOB

── 「私だけにきこえる」はドロっとした曲で、内容は宗教絡みなのだろうなって。「原理の塔からHappy Wedding」なんて表現はドキっとさせられましたし。

HIZUMI:分かっちゃって!テーマは「私だけにきこえる アレが」なんです。

── 最後にHIZUMIさんが色々な声で歌っているのが追い詰められていく様を表現している狂気を感じて。「ヤバイよ 神様 見捨てないでおくれ」が「ヤバイよ 神様 正体が見えてきた」に変わっていく恐怖も感じました。

HIZUMI:まぁ、素敵。第二次世界大戦で敗戦になった価値観の転換もあるよね。そこで青少年だった人たちがどんな気持ちで生き延びたのか。敗戦国であり加害国になった国で生きて、それで被害者でもあり。価値が変わるところに恐怖があるんだろうね、私は。そんなに信じたらダメってことだろうよ。

WATANABE:ある程度、疑ってかからないといけないって部分もあるでしょうし。

── 「君が死んだあとで」は若者の闘争からの挫折、世代ではないですが全共闘が頭を過ります。

HIZUMI:生き残ったものの矜持なんだよね、「君が死んだあとで」だから。でも私たちだって、全共闘の世代じゃないよ(笑)。

NOB:何となくは感じた世代ではあるけど、彼らがその後にどうやって生きているのかは重要かもしれない。

HIZUMI:でも、関わったからってそれが前提ということでもないんだよ、私の根っこにあるのは。そういった解釈も成り立つんだよね。

▲HIZUMI

── 歌詞にある「敗けるなんて思わないよ 戻る道が分からないよ あの仔だけは逃がさなくちゃ」は、同じく価値の転換でグサリと刺さります。

HIZUMI:正義の戦争を信じていた第二次世界大戦とも重なるでしょ?私の中ではイメージでそういったことが繰り返しであって。生き残った子孫として、私たちはこれで良かったのだろうかってことはずっと歌の中に出てきている。人に聴いてもらう歌詞を書く時の切っ掛けはそうなってしまう。

── 「女神の憂鬱」は歌詞にNyxが出てきたこともあって、このアルバムのカギにもなるのかなって。

HIZUMI:blue islandは香港だよね。憂鬱乃島って書いてblue island、その映画もある。

WATANABE:高円寺で「ドキュメンタリー・フェスティバル」っていう映画祭を毎年やっていて、僕は去年そこで上演された『理大囲城』を観て、それをイメージしました。今年は『Blue Island 憂鬱之島』が上映されていました。

HIZUMI:苦しくなるものは観に行かない方がいいのかなって。調子悪い時に観ると立ち上がれなくなっちゃうからさ(苦笑)。

── JURASSIC JADEでそういった対峙すると苦しくなってしまうものとかを目を反らさずによくテーマにしていますよね。

HIUZUMI:JURASSIC JADEって看板を背負っているけど、私の心根の問題だと思う。ごめんね、違う人が歌っていたらもっと違うバンドになっていたかもなのにね。私は苦しみaddict系かもしれない。苦しみが原動力だから、苦悩がなくなってしまったらアッチ側にいっちゃうかも。

◆インタビュー(3)へ
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