【ライヴレポート】DEZERT、千秋バースデーに蘇った声援と大合唱「魂は売りません。俺たちが売るのは才能です」

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DEZERTが3月2日、<Chiaki Birthday Live 「不透明人間」>を東京・Spotify O-EASTにて開催した。到着したオフィシャルレポートをお届けする。

◆DEZERT 画像

春の北風が吹き荒れた、2023年3月2日。DEZERT<Chiaki Birthday Live 「不透明人間」>が、東京・Spotify O-EASTで開催された。


フロントマンである千秋(Vo)のバースデー当日となる本公演では、コロナ禍に突入して以来、実に3年ぶりに声出しが解禁された。また、これまで千秋のバースデーライヴでは、ゲストミュージシャンの出演やカバー曲の演奏など、特別感のある内容が盛り込まれていたが、今年はメンバーのみでDEZERTの曲を演奏。つまり、超王道のステージを真正面から叩きつけたのだ。

平日にも関わらず、会場は超満員。入場中に、スタッフが観客たちへなるべく前に詰めるようにと呼びかけるほどであった。暗転した瞬間、堰を切ったように、あちこちからメンバーの名前を連呼する声が飛び交う。DEZERTのライヴの始まりだ。3年前までは当たり前だったこの光景が今はあまりにも懐かしく、曲が始まる前から胸にグッとくるものがある。




新衣装に身を包んだメンバーが登場すると、その声はさらに高まっていく。一番手のSORA(Dr)は、どこか嬉しそうにフロアを見つめ、Sacchan(Ba)はいつも通り無表情ながらも耳に手を当てて声をしっかりと聞き、Miyako(G)も耳に手を当て、穏やかに微笑みながらも「もっと!」と言わんばかりに会場を煽っていた。そして本日の主役である千秋が現れると、歓声は一段と大きくなる。

大歓声の中で始まった一曲目は「TODAY」。この曲は、昨年12月末にSORAがオーガナイザーをつとめて日本武道館で開催したイベント<V系って知ってる?powered by MAVERICK DC GROUP>や、今年1月に開催した<DEZERT LIVE TOUR 2023 「てくてくツアー」>のファイナルTOKYO DOME CITY HALL 公演をはじめ、数々のライヴのラストを飾ってきた曲だ。

《生きててよかった そう思える夜をずっと探してる》。まるで一人一人に語り掛けるよう、一つ一つの言葉を丁寧に歌う千秋の姿からは、自分の言葉と音楽で人の心を動かしてやるという、フロントマンとしての誇りと強い意志が感じられる。思えば、昨年の千秋バースデーライヴ<透明人間>もこの「TODAY」から幕を開けた。“透明人間”から“不透明人間”へと進化したタイトルも含め、この1年での成果をここで見せたいという意気込みの表れなのだろうか。


演奏と歌をしっかり聴かせながらも、やはり久々の声援に喜ばしさを隠しきれず、「EAST、一言いいですか! 会いたかったぜー!」とロックスターのごとく叫ぶ千秋。それに共鳴するように疾走感あふれる「Your Song」のイントロをMiyakoが勢いよく掻き鳴らし、SacchanとSORAが軽快なリズムを刻み始める。その瞬間、DEZERTのライヴを作り上げるピースが全て完璧に揃い、今日が最高に熱いライヴになる予感がした。

「Thirsty?」「インビジブルビリーヴァー」と激しいナンバーが続けて繰り出されると、その予感は確信に変わる。観客たちは一斉に飛び跳ねたり、ヘッドバンギングで頭を振り乱したりと、初っ端からエンジン全開。フロアの熱がメンバーのボルテージを上げ、それを感じた観客がさらに熱量を上げる、という好循環が生まれていく。

さらに、凶暴でおどろおどろしい初期曲「包丁の正しい使い方~実行編~」、心地よいジャムセッションから始まったバラードソング「「遭難」」、ダークとポップがミックスされた不穏な「モンテーニュの黒い朝食」、DEZERT流パーティーソング「殺されちゃう」など、多彩な楽曲が披露される。



中でも「カメレオン」では、イントロが始まると、一気にギアを上げたメンバーは目の色をガラリと変え、アグレッシブなプレイを繰り広げていく。その姿にフロアのボルテージも急上昇。あっという間に熱気渦巻く空間が出来上がっていた。

MCで千秋は、この3年間を無駄にしたくなかった、と前置きしつつコロナ禍を振り返る。

「俺たちは正直コロナでめっちゃ苦しい思いはしなかった。それはあんたらのおかげだと思ってます。ありがとうございます。2019年のライヴで俺は武道館でライヴをやるって言った。そこから色々あって模索しながら年を取って、何事にも一生懸命になれなかった人生で、今一生懸命にバンドに向き合うことができている。(中略)俺たちはあんたらの孫、ひ孫、玄孫まで届けたいなという目的がある。僕は病んでますよ。死にたいって思うことはないけど人並みに病んでる。でもそれがバンドをやる理由。綺麗事言うけど、あんたらがいるからやってる。音楽は俺に目的と理由と愛をくれた恩人なんで」(千秋)

改めて素直な言葉でファンへの感謝の気持ちと、胸に燃える決意を表明し、「Hello」へ。《僕らの居場所が誰かの居場所になるように》と、アーティストとしての在り方をそのまま込めたような歌詞を力強く歌い上げ、最後に《僕はここだ》と存在を主張する。曲が終わった瞬間、フロアからは千秋の言葉と音楽に心を震わせた観客たちの、「千秋!」「千秋!」という声援が一斉にわきあがり、しばらく止まらなかった。

「insomnia」をじっくりと聴かせたあとは、「デザートの楽しいマーチ」で再び勢いをつけ、ライヴ定番曲の「変態」へ。“へんたーい、へんたーい”と繰り返すコール&レスポンスから始まり、SORAが「行くぞー!」と絶叫すると、ステージからはすさまじい圧の凶暴な音が放たれる。観客たちはその轟音を浴びながら拳を突きつけ、頭を振り、中指を立てる。

声出しが解禁されたことで、タガが外れたかのように熱狂するフロアのテンションは、「「秘密」」でさらに勢いを増し、とどめの「「遺書。」」へ。サビでは《さぁ遺書を書こう》と全員での大合唱も復活し、おおいに盛り上がりを見せた。

「今日も生きててくれてありがとうございます。DEZERT入って11回目の誕生日らしいです。ときどき、髪の毛立てながら何やってのかなって思う時もあります。何歳までできんのかなって。(中略)不幸とかって耐えるしかないんです。俺たち凡人は、耐えて耐えて耐えて、術を身につけてやっていくしかないと思ってる。でもどうしても無理だってときは、音楽があるじゃない。そんなときはぜひDEZERTをよろしくお願いします。昔「「殺意」」を歌ったときの気持ち、そんなものはもう正直ないです。でもそこから色んな曲作って、「「殺意」」もあの時の気持ちと今の気持ちを複合して歌ってます。僕は過去を振り返りますよ。あと一個、僕は去年“魂を売ってもいい”って言ってたけど、あれ撤回します。魂は売りません。俺たちが売るのは才能です」。

そう宣言した千秋を讃えるよう、会場にはこの日一番の大きな拍手がわきおこる。そして、本編ラストは「ミザリィレインボウ」。壮大なスケール感の愛が詰まったこの曲ですべてを包み込み、大きな感動を観客たちの胸に残した。


さらにアンコールで「The Walker」のほか、「脳みそくん。」「「不透明人間」」「「君の子宮を触る」」「「切断」」と、限界まで体力を搾り取るようなセットリストを展開し、合計で22曲を披露したDEZERT。バースデーライヴらしいおめでたさや特別感ではなく、今のDEZERTの真骨頂を見せつけた。それを受け取った観客たちは、きっと明日からの日常へ立ち向かっていくエネルギーを十分にチャージしただろう。終演後、冷たい風が吹き荒れる道玄坂の人ごみの中、背中に「千秋」や「DEZERT」の文字を背負った人たちが、どこか軽い足取りに見えたとき、そう確信した。

ライヴの熱も冷めやらぬ3月11日より、<DEZERT LIVE TOUR 2023 / 天使の前頭葉-零->、4月24にはその追加公演<DEZERT LIVE 2023 / 天使の前頭葉-結ふ->を開催する。
さらに新たに発表された<DEZERT LIVE TOUR 2023 “きみの脊髄と踊りたいんだっ!!ツアー”。が6月17日よりスタート。そして、9月23日には<DEZERT SPECIAL LIVE 2023 -DEZERT->がLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で行われる。

“魂ではなく才能を売る”と宣言した彼らの未来に、期待しかない。

取材・文◎南秋歩
撮影◎西槇太一

■セットリスト<Chiaki Birthday Live 「不透明人間」>

2023年3月2日(木)Spotify O-EAST
01 TODAY
02 Your Song
03 Thirsty?
04 インビジブルビリーヴァー
05 蝶々
06 包丁の正しい使い方~実行編~
07 「遭難」
08 モンテーニュの黒い朝食
09 殺されちゃう
10 カメレオン
11 Hello
12 insomnia
13 デザートの楽しいマーチ
14 「変態」
15 「秘密」
16 「遺書。」
17 ミザリィレインボウ

EN1 脳みそくん。
EN2 「不透明人間」
EN3 The Walker
EN4 「君の子宮を触る」
EN5 「切断」

■<DEZERT LIVE TOUR 2023 / 天使の前頭葉-零->

3月11日(土) 新横浜NEW SIDE BEACH!!
open17:30 / start18:00
3月12日(日) HEAVEN'S ROCKさいたま新都心VJ-3
open17:15 / start18:00
3月18日(土) 金沢AZ
open17:30 / start18:00
3月21日(火・祝) 柏PALOOZA
open17:15 / start18:00
3月25日(土) 水戸ライトハウス
open17:15 / start18:00
4月01日(土) 京都MOJO
open17:30 / start18:00

※全公演チケットSOLD OUT公式リセールについて https://www.dezert.jp/news/detail/9477

■<DEZERT LIVE 2023 / 天使の前頭葉-結ふ->

2023年4月24日(月) SHIBUYA CLUB QUATTRO OPEN 18:15 / START 19:00
【チケット料金】前売5,500円(税込・ドリンク代別) オールスタンディング 
【一般発売】3月4日(土)

■<DEZERT LIVE TOUR 2023 “きみの脊髄と踊りたいんだっ!!ツアー”>

2023年6月17日(土)CLUB CITTA' OPEN 17:00 / START 18:00
2023年7月1日(土)新潟NEXS OPEN 17:30 / START 18:00
2023年7月9日(日)仙台Rensa OPEN 17:30 / START 18:00
2023年7月15日(土)福岡DRUM Be-1 OPEN 17:30 / START 18:00
2023年7月16日(日)福岡DRUM Be-1 OPEN 17:30 / START 18:00
2023年7月22日(土)岡山CRAZYMAMA KINGDOM OPEN 17:30 / START 18:00
2023年7月23日(日)高松MONSTER OPEN 17:30 / START 18:00
2023年7月29日(土)札幌ペニーレーン24 OPEN 17:30 / START 18:00
2023年8月26日(土)名古屋DIAMOND HALL OPEN 17:15 / START 18:00
2023年8月27日(日)なんばHatch OPEN 17:15 / START 18:00

【チケット料金】6,000円(税込・ドリンク代別)
 スタンディング(大阪公演以外の9公演)
 全自由/座席有り(8月27日大阪公演のみ)
 ※入場整理番号付き

【ひまわり会 チケット先行受付(抽選)】 
受付期間:2023年3月2日(木)21:00~3月12日(日)21:00
オフィシャルFC「ひまわり会」会員限定受付ページ https://www.dezert.jp/feature/kiminosekizuito
※各公演お1人様2枚までお申し込みが可能です。同伴者は非会員でも申し込みいただけます。
※受付期間中にご入会が完了した会員様もお申し込みが可能です。
※イープラス抽選受付、スマチケのみ、同行者登録有り

【オフィシャルHP先行受付(抽選)】 受付期間:2023年3月25日(土)12:00~4月3日(月)21:00
受付ページ https://eplus.jp/dezert230608-official/ 
※イープラス抽選受付、各公演1人2枚、スマチケのみ、同行者登録有り

【チケット一般発売】日2023年4月29日(土・祝)
◎公式リセール実施予定

■<LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂) DEZERT SPECIAL LIVE 2023 -DEZERT->

9月23日 (土) LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
※詳細は後日発表

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