【レポート】WEAVER、19年の活動を締めくくるラストライブ「みんなの記憶の中にしまっておいてください」

ツイート
no_ad_aritcle

WEAVERが2月26日、兵庫・神戸国際会館こくさいホールにてラストライブ<WEAVER LAST LIVE「Piano Trio 〜2004→2023〜」>の兵庫公演を開催した。地元・神戸で約19年の活動に終止符を打った彼らは、「出会ってくれて本当にありがとう」というメッセージを残した。同公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。

◆WEAVER 画像27点

高校の同級生同士で2004年に結成され、2009年にメジャーデビューを果たしたWEAVERは、昨今のコロナ禍の影響で自らと向き合う時間が増えた中、それぞれが新たな道に進むべきという結論に至り、解散を決意した。ラストライブ当日は全国のファンが彼らの地元・神戸へ。開場時には、音楽シーンの中で同時代を切磋琢磨した盟友たちの楽曲が流され、はなむけの場を彩っていた。



暗転の後、紗幕越しに躍動感たっぷりのビートを奏でた奥野翔太(B, Cho)と河邉徹(Dr, Cho)、そして杉本雄治(Vo, Pf)のグランドピアノの音色に導かれるように幕が上がり、始まったのは「66番目の汽車に乗って」だ。心底楽しそうなメンバーの表情を見れば、ラストライブが決して悲観的なものではないことが明白でもある。「トキドキセカイ」では会場の隅々まで手が上がる絶景を早々に作り出し、抜群のポップセンスで聴かせた「33番線」、「神戸にお集まりのBoys & Girls!」との杉本の呼び掛けにオーディエンスが飛び跳ねた「Boys & Girls」、どれもが最後の演奏だなんて信じたくない充実のパフォーマンスで魅せていく。

沸き立つ大歓声に「すごいね神戸! いい声が聴こえるわ。もうそれだけでこの日を迎えられてよかった」と感激しきりの杉本は、CSテレ朝チャンネル1で生中継を見ている視聴者を時おりねぎらいつつ、「今まででベストなライブを一緒に作っていきましょう!」と宣言した。それを具現化するように、切なきダンスナンバー「Another World」、美しくも儚いメロディが胸が締めつける「夢じゃないこの世界」、温かな気持ちが見る者に去来する「レイス」を畳み掛けていく。




「海のある街」では、「神戸から上京して13年経つわけですけど、10代の頃は居心地が悪いなぁと思っていたんです。それから、たくさんライブをして、たくさんの人に出会って……知らないうちに、この街には大切のものが詰まっていたんだなと気付けた。今日またここでこの曲を歌えることを幸せに思います」と杉本。これまでの人生を音楽に重ね、感慨深げに歌う光景にグッと引き込まれた。

「神戸国際会館こくさいホールはデビュー10周年のときにもやらせてもらったんですけど、“どうしても最後にここでやりたい”とお願いして」と奥野が言えば、「今日は会場の空気に、言葉にならない気持ちがたくさん浮かんでいる気がして……そんな一人一人の心の力で最高のライブに、何年経ってもこの日のことを思い出すようなライブになると思ってます」と河邉。そして杉本が、「人は生きていく中で、出会いと別れを繰り返していく。でも、僕たちの中には一緒に過ごした時間だったり、曲との思い出がある。ずっとずっとその記憶を大切にしていてほしい。そんな願いを込めて」と歌い上げた「タペストリー」。そのドラマチックなサウンドスケープに耳を奪われ、「こっちを向いてよ」の壮大なスケールに圧倒される。WEAVERアーカイヴの偉大さをかみ締めるゾーンだ。




それがより顕著に感じられたのが圧巻のスペシャルメドレー。歴代のライブ映像と共に「You」をはじめ12曲が一気に披露された。「懐かしいね」と杉本がつぶやくのも納得の若かりし姿も時にスクリーンに映し出され、メンバーがお互いの髪型の変遷をいじり合うさまもほほ笑ましい限り。WEAVERの歴史を音楽と映像の両サイドで振り返る見応え満載のハイライトとなった。

ライブ後半戦に差し掛かり、「僕たちの音楽人生を変えてくれた大切な曲」と杉本が告げたのは、「僕らの永遠〜何度生まれ変わっても、手を繋ぎたいだけの愛だから〜」。初期の代表曲としてWEAVERを支え続けたみずみずしいポップソングが大きなホールいっぱいに響きわたる。その後も「くちづけDiamond」「管制塔」と高揚感に満ちたアッパーチューンが続き、「ライブっていいね。みんなの声が聞けて幸せです」と、バンドを代表して幾度となく喜びを伝える杉本。「Free will」では、イントロのコール&レスポンスの時点で、落涙不可避のエモーションが巻き起こる。コロナ禍の断絶を超えて、今再び声という絆で深くつながり合う感動が、WEAVERの最後の日にもたらしたもの。寂しくて、でも、うれしくて…。この瞬間に立ち会った全ての人が思いを確かにしたのは、WEAVERと出会えて幸福だったという紛れもない事実だ。




「Don't look back」では奥野のベースソロでも見せ場を作り、「Shall we dance」では「最高だな神戸! マジで今までで一番のライブになるんちゃう?」と杉本も驚くほどの盛り上がり。そしてライブはいよいよクライマックスへ。

「今日このライブで、僕たちはそれぞれの道を進んでいきます。でも、きっとまたどこかでこの音楽が、あなたの背中を押したり、未来に導いたり、そういう力になると信じています」──杉本雄治

そんな杉本の願いを込めた本編ラストの「On Your Side」は、バンドが解散しても音楽はあなたの中で生き続けると約束するエバーグリーンな一曲だった。



本編を終え、深々と頭を下げステージを後にした3人だったが、終わるはずのないWEAVER!コールに応え、いち早く客前へと舞い戻った杉本が、「2022年4月の解散発表から、“できるだけたくさんの曲をやりたい”と思い続けていた」と語る。

その意志を形にしたアンコールのアコースティックメドレー。杉本が「僕のすべて」を歌い始めると奥野と河邉が合流し、ピアノを連弾するという何ともアットホームなひとときも。計10曲にわたる優しき旋律で魅了した後、3人が改めて気持ちを言葉にしていく。


「今日1曲目にやった「66番目の汽車に乗って」は、僕たちが高校生の頃に初めてレコーディングした曲でした。ここから歩いて行けるスタジオで練習して、ライブハウスでライブをして……気の合う友達とバンドができたことも幸運でしたし、さらに僕たちを見つけてくれた人がいて、メジャーデビューできました。そこでみんなと出会うことができて、一緒にいろんな景色を見て……それは僕らにとって、一生色褪せない思い出です。高校生の頃に走り出した汽車は、今日この街が終着駅となってしまいますが、僕らが過ごした時間や消えることのない音楽が、みんなにとって星空のレールのように、いつまでも心を照らすものであればいいなと思っています」──河邉徹

「改めて“いい曲だな、いいバンドだな”と感じながら今日も演奏していたんですけど、気付いたらこんなにたくさんの人に愛される人生を歩めるようになりました。みんなに聴いてほしいから練習したし、挑戦したし、その繰り返しで僕たちの歴史は作られてきた。今日この場所にこんな気持ちで立てているのは、僕たちの音楽を受け取ってくれるみんながいることを信じてきたからで。僕はWEAVERは自分たちのものじゃなくて、みんなでWEAVERだと思っていて。生まれ変わっても同じ青春時代を過ごしたいと思うような、かけがえのない19年でした。みんなと過ごせて本当に幸せでした」──奥野翔太

「今日一日、朝からこの街の景色を見ながら、浮かんでくるのはWEAVERのことばっかりで。この19年、今思うと苦しい時期も多かったなと。でも、そんなときに励ましてくれる仲間だったり、ライブでは笑顔で迎えてくれるみんながいて、それだけが僕らの救いでした。それぐらいWEAVERに全てを懸けて今日までやってきました。だからこそ、解散を発表してから約1年、後悔のないように駆け抜けて、やれることはやり切ったんじゃないかと思えています。どの記憶を切り取ってもWEAVERの音楽がたくさん詰まっていて……音楽は消えないから、WEAVERとしてみんなと過ごした時間は一生の宝物です」──杉本雄治




それぞれが思いの丈を懸命に放った後の「HIKARI」に息をのみ、最後に「出会ってくれて本当にありがとう」と杉本がいざなった「Shine」。ここで、満場の客席に突如ともったスマホのライトが3人を包み込み、予期せぬサプライズに思わず杉本も声を詰まらせる……。マイクを通さずに「ありがとうございました!」と叫び舞台を降りたものの、エンディングのSEが流れても途切れることのない拍手を受け、三たび現れたWEAVER。

「ダブルアンコールありがとうございます! ズルいわもう……絶対泣かへんと言ってたのに。マジでさ、世界で一番きれいな場所はここやったわ! 今まで一緒に過ごしてきた時間を、みんなの記憶の中にしまっておいてください。絶対になくさないでください。僕たちもこの最高の景色を、ずっと心に置いておきます。最後に聴いてください!」──杉本雄治



バンドの原点でありデビュー曲「白朝夢」が締めくくった輝ける19年。約3時間にわたるライブの中で何度も何度も感謝を述べた3人の背中を、いつまでも鳴りやまない大きな拍手が送り出した。なお、3月28日20:00からCSテレ朝チャンネル1では、このラストライブの模様や貴重なインタビュー等を収録した特番をオンエア。これまでのライブ映像や活動年表などと共に、結成から18年間の歴史をメンバー3人が振り返る。また、ラストライブの完全映像やドキュメンタリーなどを収録したBlu-ray『WEAVER LAST LIVE「Piano Trio 〜2004→2023〜」』が3月31日にリリースされる。

取材・文◎奥“ボウイ”昌史
撮影◎渡邉一生

■Blu-ray『WEAVER LAST LIVE「Piano Trio 〜2004→2023〜」』

2023年3月31日(金)発売
【2Blu-ray+GOODS】AZXS-1046 ¥8,250 (税込)
※<WEAVER LAST LIVE 「Piano Trio〜2004→2023〜」>オリジナルラミネートPASS付

●予約期間●
・2月11日(土)〜3月5日(日)23:59までにご予約の方。
 →3月31日(金)にDisc1のみ同梱された商品をお届けとなります。Disc2は別途4月下旬以降に順次発送予定となります。
・3月6日(月)以降、ご予約の方。
 →4月下旬以降、Disc2も同梱された商品を順次発送予定となります。3月31日(金)には届きませんのでご了承ください。
※制作の状況により、神戸国際会館こくさいホール公演を収録したディスクの発送時期が前後する可能性がございますことをご了承ください。

●Blu-ray収録内容●
▼Disc1
<WEAVER Billboard Live 2022 ~The Unplugged~>
01. Hard to say I love you 〜言い出せなくて〜
02. トキドキセカイ
03. Photographs
04. それでいいから
05. 心の中まで
06. KOKO
07. Billboard Live 2022 スペシャルメドレー
  ふたりは雪のように
  Reach out
  blue bird
  Nighty Night
  Hello Goodbye
  君がいた夏の空
  さよならと言わないで
08. Shall we dance
09. The Sun and Clouds
10. 33番線
11. just one kiss
<flumpool tour 2009「Unclose」Special!! LIVE at日本武道館>オープニングアクト
01. トキドキセカイ
02. 白朝夢

▼Disc2
<WEAVER LAST LIVE 「Piano Trio〜2004→2023〜」>神戸国際会館こくさいホール公演
<WEAVER LAST LIVE 「Piano Trio〜2004→2023〜」>Documentary

この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス