【ライブレポート】いゔどっと、初ツアー「こんなに楽しい想いをみなさんと共有できて嬉しく思います。また夏に」

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動画投稿サイトに「歌ってみた」動画を投稿して活動を開始し、2022年12月14日にリリースされたアルバム『POP OUT』でメジャーデビューを果たしたいゔどっとが、アルバムをひっさげて東名阪を巡る初のワンマンツアー<IVUDOT ONE MAN LIVE TOUR "POP OUT">を開催した。ライブは、初の有観客ワンマンライブとなった<IVUDOT ONEMAN LIVE 『琥珀』>以来、約1年半ぶり。声出しも解禁され、サプライズも盛り込まれていたメモリアルなツアーファイナル・豊洲PIT公演のレポートをお送りする。

◆ライブ写真(20枚)

イメージカラーの青いペンライトが出迎える中、青い照明に照らされたステージに白を基調とした衣装のいゔどっとが登場。ギター、ベース、キーボード、ドラムのバックバンドの前に立つと、「東京、よろしくお願いしまーす!」と軽快に告げてライブがスタートした。一斉に青い光が揺れる光景に「すごっ」と感嘆の声を漏らしつつ、ドラマ『ぴーすおぶけーき』のオープニングテーマになった「ブロードウェイ」から、透明感溢れるハイトーンで難解なメロディを歌いあげていく。



印象的なベースから始まる「佰鬼園」では、けだるいムードでステージを動き回りながら、艶やかな歌声を響かせる。続く「可愛くないね」もゆったりとしたリズムが心地よく、いゔどっとの声によく似合う。ツアー3公演目ということで、バンドとのグルーヴがしっかり出来上がっているのが伝わってきた。


緊張感のある雰囲気を漂わせる一方で、最初のMCタイムでは一転、「こんなにたくさんの人の前で歌ったことないよ!」とはにかんで見せる。トークで笑わせたり、ステージの端まで行ってコミュニケーションを取ったり、歌声のイメージとはまた違う気さくなキャラクターもいゔどっとの魅力の一つだ。


そこから、ダークなトラックに攻撃的なボーカリゼーションが映える「駄法螺」、一転して儚げな中低音ボイスで紡ぐ 「ちょっと大人」、星空を想起させるピアノポップ「月日記」と、アルバム『POP OUT』収録曲を続けて披露。自身が作詞作曲を手掛けた曲が増え、前作アルバムよりも楽曲の幅がグッと拡がった『POP OUT』で、さらに色とりどりに進化した表現力を堪能する。100万回再生を突破した代表曲「累累」やバラード「赤色と水色」など前作『ニュアンス』の楽曲も交えながら、じっくり浸らせるムードで前半戦を終えた。

声出しが解禁になったということで、観客とのコール&レスポンスを楽しみ、会場を温めて後半戦へ。「あの曲をついにやっちゃいます!」と宣言して披露されたのは、てにをはとemon(Tes.)が手掛けたボカロ曲「BO-ZU」。印象的な歌詞とメロディに、オーディエンスも手拍子で参加して一緒に盛り上がっていく。さらに、バルーンの「夕染」、Ayaseの「夜撫でるメノウ」と、個性的なボカロ曲のカバーを歌いあげた。そのまま軽やかなビートが跳ねるヒップホップチューン「a lot of love」に繋ぎ、ステージにもフロアにも笑顔が拡がっていった。



名残惜しそうに「残すところ、あと2曲になりまして……」と話していると、降りてきたスクリーンにいゔどっとと交流のある人気VTuber・三枝明那が映し出されるサプライズが。2月14日に誕生日を迎えたいゔどっとを祝うスペシャルゲストということで、嬉しいサプライズに大歓声が湧き起こり、いゔどっと本人も驚きの表情だ。そして、いゔどっとが三枝明那に提供した楽曲「はんぶんこ」にちなんだ「半分のケーキ」がステージに運び込まれる。オーディエンスもハッピーバースデーの歌を合唱して祝い、ピースフルな時間となった。
選曲は偶然だったとのことだが、その「はんぶんこ」のセルフカバーを丁寧に贈ったあと、最後にアルバムのエンディングを飾るバラード「部屋」の柔らかな歌声で会場を包み込み、本編を締め括った。


声援に応えて幕を開けたアンコールでは、初の実写MVで着用した衣装に身を包みステージに現れた。「嘘と傷跡」でカラーテープが舞い、さらなる祝祭感を高める。前髪をわけた珍しいヘアスタイルに歓声が起きて照れるという微笑ましいシーンも挟みつつ、ライブツアーが終わってしまうことが本当に寂しそうな表情だ。

「終わりたくねえよ~(笑)。ホントに、アルバム(リリース)からライブまで、みなさんありがとうございました。初めてのツアーだったんですけど、こんなに楽しい想いをみなさんと共有できて嬉しく思います。またツアーをやることがあったら是非来てください!」
──いゔどっと


そして、「最後に大事な1曲を歌って終わりたいと思います」と、自身初のオリジナル曲「余薫」へ。別れの切なさを歌声に込め、一人ひとりに想いを届けていった。ラストは、自ら「ダサい!」といじった「一音入魂!! POP OUT」の横断幕のもと、バンドメンバー紹介を兼ねたエンディングナンバーとともにフィナーレ。再び笑顔で満ちた会場の隅々まで手を振って、「また会いましょう! ありがとうございました!」とステージをあとにした。


歌い手や配信者としての愛されるキャラクターはそのままに、シンガーソングライターとしての実力をたっぷり感じさせたいゔどっと。ステージを去る直前に「また夏に」と意味深な言葉を残して颯爽と去った。彼の、さらなる活躍に期待が募る。

取材・文◎後藤寛子
写真◎森好弘

セットリスト

M1.ブロードウェイ
M2.佰鬼園
M3.可愛くないね
M4.フェレス
M5.駄法螺
M6.ちょっと大人
M7.月日記
M8.累累
M9.404号室
M10.赤色と水色
M11.ウタカタ
M12.BO-ZU
M13.夕染
M14.夜撫でるメノウ
M15. a lot of love
M16.はんぶんこ
M17.部屋

EN1.嘘と傷跡
EN2.余薫

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