【インタビュー】NAO AIHARA、「自問自答も全部無駄ではなかった」

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NAO AIHARAが2ndシングル「refrain / as is」をリリースした。

彼女はテレビ東京による次世代オーディション「ヨルヤン」の「女性R&Bシンガー&ダンサー・オーディション」を勝ち抜き、アリアナ・グランデ、クリス・ブラウンなどに楽曲を提供するグラミー賞受賞プロデューサー “ SOCIAL HOUSE ”によるトラック・プロデュース曲「lighthouse」で2022年にデビューを果たした。

ダークさを含んだトラップビートに力強いボーカルが乗り、さらにs**t kingzのkazukiが担当したキレのあるダンスを披露した「lighthouse」では、デビュー作とは思えない堂々とした振る舞いを見せているように思った。しかし満を辞して1年ぶりにリリースされる2ndシングル「refrain / as is」は、自身への問いかけをテーマにしているという。デビューから1年経ち、今彼女がどのようなことを思い、何を自分自身に問いかけたのか。それを探ってみた。

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■この1年で歌に対する向き合い方も少しずつ変化してきた

──NAOさんはまもなくデビュー1周年を迎えますね。

NAO:はい。あっという間の1年でした。

──改めてデビューシングル「lighthouse」を制作していた頃は、今振り返るとどんな期間でしたか?

NAO:レコーディング経験はあったものの、あんなに大掛かりなMV撮影は初めてだったので、ずっと気が張っていたというか。しかも、ソロアーティストなので私ひとりですし、「ちゃんとしなくちゃ」っていう思いが常にあった気がします。



──その気が張っている感じは、しばらく続いていたんですか?

NAO:そもそもオーディション自体がコロナ前で、合格してからコロナ禍になってしまったんです。なかなかコミュケーションも取りにくかったのもあって、気張っていたところがあったように思います。でも、その後はスタッフさんともしっかり意思疎通できるようになって、なんでも相談できるようになってからはだいぶ気持ちも軽くなりました。

──状況が少しずつ緩和してきたことも、そういったコミュニケーションがどんどん密になり始めたことにも影響した?

NAO:はい。なので、この1年は次にどんな曲をレコーディングしようかという話し合いが、以前よりもじっくりできた気がします。

──ご自身の中で、こういうジャンルに挑戦してみたい、こういうことを歌ってみたいという、意思も明確になりましたか?

NAO:もともと私のルーツがR&Bやブラックミュージックなんですが、最近はそれに加えてK-POPの流れにあるR&Bやヒップホップが好きなので、そこからいろいろディグっていくのが楽しくて。そういった音楽にどんどん挑戦していきたいなと思うようになりました。

──デビュー以降、音楽の聴き方も変わりましたか?

NAO:もともとダンスを続けてきたので、音楽に対しての聴き方……気持ちいいとか、歌詞の入り込み度とかそのへんは意識して聴いていたので、そこまで大きく変わっていないかなと思うんですけど、自分がいざデビューしてからは、声の使い方で曲の雰囲気が変わったりするんだなということは意識するようになったと思います。

──より実践的な表現方法を意識するようになったと。

NAO:それはめちゃめちゃあるかもしれません。

──特に楽曲を配信でいろんな方に聴いてもらったり、YouTubeでMVを観てもらったりすることで、リアクションも以前より多方面から届くようになったのかなと思いますが。

NAO:もともと路上ライブなどで活動していた頃の私って、洋楽のしんみりした楽曲を歌っているようなイメージだったと思うんです。だから、デビュー以降は「イメージがガラッと変わった」と言われるんですけど、と同時に「でも、すごく合ってるよ」と褒めてもらえることも多くて。そういう声は、自分の自信にもつながりますね。

──実際、「lighthouse」は楽曲もMVもカッコよかったですし、今観ても斬新な印象がありますものね。

NAO:もしかしたら、私は今もMVは冷静に観られないかもしれません(笑)。あのときはダンサーの子たちもいたし、私が真ん中にいるんだからちゃんとしなきゃとずっと気を張っていたから。…ちょうど撮影が1月末だったし撮影場所も倉庫街、衣装も露出気味だったのでめちゃくちゃ寒かったのを思い出しました。でも撮影中はアドレナリンがみなぎっていたのか、まったく寒いと感じなくて、カットがかかってダウンを羽織った瞬間にようやく「あ、寒い」って気付いたんですよね(笑)。

──先ほど、デビュー以降の1年は「次にどんな曲をレコーディングしようかという話し合い」をしていたとおっしゃっていましたが、それ以外には具体的にどのように過ごしていましたか?

NAO:定期的にスタジオに入って、いろんなタイプの楽曲を試しながらのプリプロを続けていました。今回のシングルに収録された新曲2曲も、昨年の夏ぐらいから制作がスタートしていて。録っては作り直すことを繰り返して、このタイミングでのリリースになりました。

──かなり丁寧に制作と向き合ってきたんですね。

NAO:もちろん、それ以外にもボイストレーニングやダンスレッスンも積み重ねていって。そういったこの1年の経験で、歌に対する向き合い方も少しずつ変化してきた気がします。例えば、これまで自分が強みにしていた部分も、場合によっては裏目に出てしまうこともあると気付かされましたし。

──それは、具体的にどういったことですか?

NAO:私はずっと声を張り気味に歌ってしまう傾向があって。高いキーも全部声を張って歌ってしまうと、中音域の使い方が難しくなってしまうんです。そこの切り替えというか、ファルセットと地声を滑らかにつなげていく際に、なるべく声色が変わって聞こえないようにすることは、かなり意識するようになりました。それから、私はビブラートを付けて歌ってしまいがちなんですが、付けすぎるとクドく聞こえてしまうので、そこも匙加減だったりバランスを考えるきっかけにもなりました。技術は武器になるけど、それをいかに上手に使い分けるかで、表現の幅が変わると気付かされたことは、自分の中でかなり大きかったです。

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