【インタビュー】NAO AIHARA、「自問自答も全部無駄ではなかった」

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■今年はコラボにも挑戦してみたい

──そういった意味では、かなり充実した1年でもあったんですね。そんな中で完成した今回のシングル「refrain / as is」ですが、新曲2曲はそれぞれタイプが異なり、「lighthouse」と並べてみてもそれぞれ独特のカラーが際立ち、だけど歌で一本芯が通っているから安定感も伝わる。そういうシングルに仕上がったなと思いました。

NAO:ありがとうございます。

──まず、「refrain」についてお聞かせください。この曲を最初に聴いたときの印象はいかがでしたか?

NAO:最初のデモの段階では、すごくキラキラした可愛い曲だなと思って……そこからイメージしたのがルッキズムでした。

──ルッキズムですか。

NAO:はい。実は歌詞も最初の段階からだいぶ変わっていて。最初の歌詞は「これ、キャラクター的に私じゃない」と思ったんですよ。でも、そこからその「私」を自分の友達に投影して、私とその子が夜中にダラダラ喋っていて、そこで彼氏の愚痴を聞いている私がいる。その中で、彼女の言葉……綺麗とか可愛いとか美とか、顔とか体型とかが自分の中に刺さってしまって、帰宅したときに「自分ってなんだろう?」と考え込んでしまう。そういう見た目で人を決めつけないでほしいというところから、「自分もそういう人間になりたくない。でも、自分はそうならずにいられるかな?」ということを自分自身に問いかけながら、歌詞を書き始めました。

──なるほど。特にこういう話題は、SNS中心の今の世の中だとより考えさせられるものがありますよね。

NAO:そこから派生して、どんどんカジュアルな方向へと変化していったのが今の歌詞なんです。

──描かれている世界はNAOさん世代の日常的なことかもしれませんが、我々のようなもっと上の世代にも響く、普遍性の強いテーマだと思いました。ボーカルに関しても、「lighthouse」は中音域の深いところが際立つ歌唱でしたが、「refrain」は高めのキー主体だからか可愛らしい印象もあります。

NAO:この曲は「lighthouse」と比べて、かなり歌い方を変えたと思います。実際、友達に聞かせたら「新鮮だし、意外性が強いね」と言われましたし(笑)。でも、そういう色も出せるようになりたいと思ってこの1年頑張ってきたので、少しは成果が表れているのかもしれません。

──では、レコーディングでこだわったポイントは?

NAO:「綺麗だね」とか「可愛い」とか「いらない」とか強い言葉が多いので、そういう部分はよりストレートに伝わるようにと意識して歌った気がします。

──実際、そういった強調される単語は聴いていてドキッとさせられますし、それをきっかけにより深く歌詞に入り込んでいけるのかなと。今挙げたワードは、その取っ掛かりになるフレーズばかりですものね。

NAO:そうですね、そこがこの曲の根っこになる部分だと思うので。

──シングルの1曲目としては、インパクトとしても十分だと思います。

NAO:ありがとうございます。「lighthouse」がだいぶクールで大人っぽい雰囲気でしたが、「refrain」はより等身大の自分にも近くて。そういった意外性を感じてもらえたらうれしいです。

──続く2曲目「as is」はサウンド的にはジャジーな色があり、でもサビに入ると一気にポップに弾けるというトリッキーな楽曲です。

NAO:この曲はケンカイヨシさんからいただいた最初のデモの状態から、サビのトップラインや全体のトラックアレンジを再構築させてもらいました。アレンジャーの真坂ユキタカさんと相談しながら、キックの音をもっと深くしたりサビを今の形に変えたり、さらに曲の構成自体も大胆に手を変えたりして、かなり私の色に寄せていって。結果、面白い曲になりました。

──歌詞も、先ほどの「refrain」では友達と話したあとに自分と向き合うという流れでしたが、この曲はその延長線上にあるストーリーでもあるのかなという気もしました。

NAO:そうですね。夜中にひとりで考えているから、眠気やダルさもあったりして、それゆえの不貞腐れ感もあったり。そういう意味では、どちらも「lighthouse」ともつながっているところがあるのかもしれません。

──なるほど。「lighthouse」があったからこそ、そこから枝分かれして、こういう表現もあるよ、できるよと。で、シングルでは最後に「lighthouse」へと帰結していく。シングルのこの3曲の並びにも、深い意味があるんですね。

NAO:そこも踏まえて、3曲を聴いてもらえるとありがたいです。

──「as is」は感情の起伏も激しくて、歌うのも難しそうですよね。

NAO:大変でした(笑)。私の中ではちょっと気分屋の主人公をイメージして、レコーディングに臨みました。

──楽曲自体のアレンジが持つ起伏もそうですし、歌で表される起伏も大きいので、最後まで気を抜けない感じもありますし。でも、実はこの曲って2分半程度なんですよね

NAO:最初の段階ではもう1分くらい長かったんですけど、手を加える中でいろいろ削ぎ落として、伝えることだけ伝えたらいいんじゃない?という主人公の投げやり感も反映させたら、この短さになりました(笑)。確かに、2分半の中にいろんな要素が凝縮されていますものね。


──だから、伝えたいことややりたいことが3曲とも、的確な形で凝縮されているのかなと。インタビュー前半に伺ったこの1年の成果が、ここにしっかり提示されていると思いました。

NAO:この1年、悩んだことも多かったんですけど、そういう自問自答も全部無駄ではなかったと思いますし、しっかり答えも見つけられたのですごくいい経験になりました。

──仮に答えが出なかったとしても、未来に向けたヒントにはなりますものね。それがしっかりこういう形で、新曲2曲に凝縮されているのは、僕はすごい成長だと思いますよ。しかも、シングルには3曲目に「lighthouse」が収録されることで、よりその成長を強く感じられるかもしれませんし。

NAO:この構成はすごいですよね。1年前に発表した既発曲ではありますが、新曲と並べて聴くことで以前とは違った聞こえ方、響き方をするかもしれませんし。実は今回のシングル用にリマスタリングしていて、前の2曲の流れを受けて聴けるようにしているんです。その点も、ぜひ聴き比べてみてほしいです。

──今回の2曲では、NAOさんは作詞にも携わっていますが、この1年で言葉に対する意識にも変化はありましたか?

NAO:かなり変わりました。言葉を意識することで、以前よりも本を読むようになりましたし。でも、意識しすぎて作詞する際に言葉選びで迷うことも増えました。以前は何も考えずに物語みたいな感じで作詞できていたんですけど、最近は伝えたいことや感情が大きくなりすぎることが増えて。それこそ、「refrain」も最初はもっと思いが強く出過ぎていたので、何度も書き直す中で強い言葉だけを残して、バランスを取っていきました。そういうこともあって、この2曲は楽曲に対する思い入れも強いですし、自分の中での感情の伝え方もより深く取り組めたんじゃないかと思います。

──その感情をMVとして表現するならば、どんな映像にしたいですか?

NAO:私も今話しながら考えていたんですけど、「refrain」はなんとなく想像できても、「as is」はまったく想像できなくて。でも、どちらも外で撮影はしないと思う。

──ああ、家の中とか狭い空間の中で自分と向き合うような?

NAO:ぬいぐるみを引きずって、投げたり(笑)。パジャマのシーンがあったり、鏡を通して自分と向き合うシーンがあったり。想像するだけでも楽しいですね。

──こういう話をしたのも、NAOさんの歌詞ってどこか映像的だなと思ったからなんです。

NAO:ああ、なるほど。自分では考えたことがなかったので、そう言ってもらえたことは新しい発見ですね。

──ここからどんな曲が生まれてくるのか、楽しみになってきました。

NAO:ありがとうございます。歌詞についてももっと勉強しながら、表現の幅を広げていけるよう頑張ります。あと、今年はコラボにも挑戦してみたくて。それは、ほかのアーティストさんの楽曲にフィーチャリングで参加することもそうですし、自分の楽曲をいろんなクリエイターさんと一緒に制作することもそうですし。ちょうど今制作を進めている中には、自分の色を全面に出す楽曲もあれば新たな挑戦を含む楽曲もあるので、そういう楽曲をどんどん世に出せていけたらいいなと思っています。

──加えて、そういった楽曲をステージでどう表現していくのかも気になります。

NAO:オリジナル曲も増え始めているので、ライブもどんどんやりたいですね。でも、そのやり方や見せ方も今悩んでいるところで。例えば、会場はどういう場所がいいのかとか、ダンサーさんを付けたほうがいいのかとか。自分の色をもうちょっと理解して、ある程度見えてきたところで一気に動きたいです。

取材・文◎西廣智一

「refrain / as is」

配信リンク:https://avex.lnk.to/nao_refrain_asis

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