KANDYTOWN、日本武道館で“終演”

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Photo by Tomoyuki Kawakami

KANDYTOWNが3月8日、東京・日本武道館で<LAST LIVE>を開催し、クルーとしての活動を“終演”した。以下、1万2千人を動員した同公演のオフィシャルレポートをお届けする。

◆<LAST LIVE>画像

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2023年3月8日、この日をもってヒップホップクルー:KANDYTOWNはその活動の終演を迎えた。終演を飾るのは、<LAST LIVE>と銘打たれた最後の単独公演。KANDYTOWN単独公演としては初となる武道館での公演。アリーナの中央に鎮座するステージは、周りを360度客席に囲まれ、大所帯クルーとしての魅力を余すことなく伝えるには格好の設計だ。上部には大画面のLEDスクリーンが、床面にも一面のLEDスクリーンが設られており、その佇まいはさながら外界とは異なる空気が流れる神殿のようにも見える。

開演予定時刻を少し過ぎた頃、会場の照明が全て落とされた瞬間に観客席から割れんばかりの歓声が起こる。続いて、客席から照らされるスマホの明かりの渦が会場を包む。舞台上には二基のDJブースが設置され、指揮を執るのはクルー内のDJであるWeelowとMinnesotahだ。客席からの期待の渦が会場全体を包み込むころ、まず流れ始めたのは「Curtain Call」のイントロだ。続いて、ステージ上にはKEIJU、Ryohu、そしてIOの3名が現れる。「Curtain Call」は3rdアルバムにして最後の作品となった『LAST ALBUM』から発表されたリードシングル楽曲でもあり、自らその幕を引こうとするKANDYTOWNのメンバーらの心境をそのまま代弁したような曲、いわば、この日の武道館ライブに向けたアンセムともいうべき重要曲だ。客席からは合唱の嵐が聴こえ、完璧なスタートを切るに相応しい一体感が生まれた。続いて、「You Came Back」、「Last Week」と楽曲が進むにつれてステージ上のメンバーが増えていき、続く「Soul Assassin」が会場に鳴り響く頃には、先述の3名に加えてBSC、DIAN、Dony Joint、Gottz、Holly Q、MUD、そしてNeetz、MASATOらが揃い、メンバー全員がステージに並ぶ。前半は、主に『LAST ALBUM』と2ndアルバム『ADVISORY』からの楽曲で構成される。それぞれのヴァースをしっかりと聴かせるように、マイクパスが繰り広げられる。

今回、総合演出を担当したのはこれまでKANDYTOWNの数々のミュージックビデオを出がけてきたdutchこと山田健人。LEDスクリーンを贅沢に使用したステージには、楽曲が変わるごとに綿密に用意された映像と照明が映し出され、インスタレーション的な美しさを伴うステージングが実現した。


Photo by cherry chill will.


Photo by Tomoyuki Kawakami

楽曲が進むにつれ、ディープなKANDYTOWNの世界観が展開していく。「One More Dance」や「Local Area」と人気曲がパフォーマンスされるたびに、上階席の一番後ろまでオーディエンスの手が挙がる。

途中、KANDYTOWNの軌跡を振り返るとともにプライベートの様子が垣間見える映像がスクリーンに映写される。その直後、ノスタルジックな雰囲気の中、会場の時計の針を戻すように「All In One (Remix)」のパフォーマンスがスタート。後半戦の始まりだ。MUDが「今日はKIKUMARUとMIKIもいるぜ」とシャウトし、メンバーらが「Paper Chase」をキックしながら再度ステージ上に現れる。その様子は、武道館ライブの最後のピースを埋めるようでもあった。後半は主に1stアルバム『KANDTYTOWN』からの楽曲で構成され、「Good Die Young」や「Ain’t No Holding Back」など、今も根強い人気楽曲を続けて披露する。2015年にリリースされたストリートCD『BLAKK MOTEL』に収録された「His Game」のビートを挟み、「Get Light」、「R.T.N」と、クライマックスに近づくに連れステージと客席全体のヴァイブスも上がっていく。特に「R.T.N」のパフォーマンスではBSC、Dony Joint、MASATO、そしてRyohuらの自身の想いをぶつけるようなエモーショナルさに加え、YUSHIによるhookに合わせて彼の姿が映し出される度に一際大きな歓声が上がる光景は印象的なものとなった。

いよいよ終盤、IOが改めて「小さい時からの仲間と一緒にこんな景色が見れて嬉しい。KANDYTOWNとして経験してきたことは、これからもずっと誇りです」と語る。「今回の決断は後悔していないし、俺たちはこれからも進んでいく」と続け、「最後の曲は仲間のYUSHIに捧げます。11年間、本当にありがとうございました」と、2015年に逝去したメンバーの名前を挙げながら、彼らの終演を飾る「Blue Verse」をキックする。「これからも熱く生きる Soul Long」「KANDYTOWN 4 LIFE」というリリックが響き渡り、KANDYTOWNからの最後のメッセージが会場を包み込む。「Blue Verse」のアウトロとともに、名残惜しい気持ちを感じさせながら、IOから順番にステージを降り、客席の向こう側へと退場していく。ステージ上から誰もいなくなったその瞬間、『LAST ALBUM』のエピローグとして収録された「Endroll」が流れ始めた。最後、スクリーンには”WE AND 4EVER YOU“の文字が。彼らは、自分たちの手でKANDYTOWNを終わらせた。その景色とともに残された余韻は、彼らにとって、そしてKANDYTOWNを愛したリスナーたちにとっても完璧なエンディングとなった。


Photo by cherry chill will.


Photo by Tomoyuki Kawakami

Text by 渡辺志保

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■<KANDYTOWN 単独公演「LAST LIVE」>2023年3月8日(水)@東京・日本武道館 セットリスト
1. Curtain Call
2. You Came Back
3. Last Week
4. Soul Assassin
5. Progress
6. Method
7. Few Colors
8. Prove
9. I Am
10. One More Dance
11. Grace
12. Local Area
13. The Maniacs
14. Definition
15. Voyage
16. Until The End Of Time
17. Urban Tears
18. All In One(remix)
19. Paper Chase
20. Twentyfive
21. Good Die Young
22. Ain't No Holding Back
23. Against
24. Scent of a Woman
25. His Game (inst)
26. Get Light
27. R.T.N
28. Blue Verse
29. Endroll

「KANDYTOWN 単独公演 『LAST LIVE』」

配信日時:2023年3月8日(水)19:00〜(配信開始18:30)
見逃し配信期間:3月19日(日)23:59まで
配信プラットフォーム:ABEMA
視聴URL:https://abema.tv/channels/payperview-5/slots/AkR4puqCfJPTiF
※購入者特典:サイン入りデジタルメモリアルピクチャーチケット

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