【ライブレポート】FAKY、流行りを追うのではない。流行りと張り合えるプロフェッショナルなショー

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FAKYが、3月5日に東京・恵比寿LIQUIDROOMにてワンマンライブ<FAKY ONEMANLIVE 2023-FEEL IT ALL>を開催した。声出し解禁のなか、FAKY史上最大キャパを完全ソールドで迎えたメモリアルなステージで、彼女たちはどんなライブを繰り広げたのか。その様子をレポートする。

◆ライブ写真

客電が落ちると、重低音がズンズン響きだす。鼓動がどんどん高まるなか、フロアではビートに合わせてカラフルなペンライトが揺れる。ステージを覆う白幕にメンバーのプロフィール写真と名前、サイドにはモノクロのシルエットが次々と映し出されていく。白い幕が落ちると、ステージバックにはネオン管のように光るFAKYのロゴ。イントレをセットに見立てたステージ。その後方には階段まで設置してある。各自ワントーンのセットアップできめたFAKY 5人が颯爽とポーズを決め、クールな表情でファンの前に降臨。女の子のカッコよさと強さ、かわいさと艶っぽさ、全部のベクトルをバランスよく兼ね備えたFAKY。


この日のライブは「GIRLS GOTTA LIVE」でスタートすると、とたんにいつものLIQUIDROOMがラグジュアリーな空間に様変わり。そう、これがFAKEのショータイムの始まり! その合図を送るように「NEW AGE」を歌い、5人がショットガンを構えたあと、鋭いハイキックをフロアにガチでぶちかます振り付けは強烈。「ANTIDOTE」からは、よりグローバルな展開を視野に入れたサウンドを場内に響かせていく。トロピカルハウスをフィーチャーした「Re:Someday We’ll Know」ではリリック通り一斉に揃ったハンドウェーブを巻き起こして、美しい景色をフロアに生み出し、「Diamond Glitter」では煌びやかなフォメーションダンスをキラキラしたライティングがバックアップ。「Re:Candy」のサックスと重なるJ-POPにはないスピーディーなハンドクラップ音を、オーディエンスがばっちり追従してFAKYを盛り上げるなど、目と耳に飛び込んでくるもの。そのなにもかもが一見するだけで世界を見据えているのが分かるハイレベルなパフォーマンス。冒頭から、格の違いを見せつけられる。ただ流行りのK-POPを追いかけているのとは訳が違う。J-POPカルチャーのいまのトレンドをキャッチしながら、K-POPと張り合える超プロフェッショナルなショーを観せるアクト。これは5人の血の滲むようなひたむきな努力はもちろん、そんな彼女たちに夢を重ね、裏でFAKYを支えるチーム力があってこそだ。


そんなFAKY、じつはこの日のライブに到るまで、2022年10月からつい先日まで“#FAKY Road To 800”と書いたボードを掲げ、寒空の下でストリートライブを無料で行ない、そこでこのチケットを自ら手売りして、この日のソールドアウトを見事勝ち取ったのだ。見た目もサウンドもこんなにスタイリッシュなのだが、その裏に、こんな汗くさいガッツある一面を持ち合わせているところも彼女たちの魅力。このあと、ボードと一緒にみんなで記念撮影をして、Mikakoのソロアクトからライブは再開。心臓のドクン・ドクンという音をバックに、体をイントレに巻きつけて色っぽい雰囲気を出しながらも、苦しそうな表情を浮かべ、心の葛藤をパフォーマンスで表現。ここからはFAKYの心の中へとダイブしていく。妖艶な表情でこちらを挑発する「99」、ガールクラッシュな「Re:Last Petal」はキレと艶が入り混じった緩急あるダンスでオーディエンスを魅了。この後ステージはHinaのソロアクトへ。ピアノの前に座ったHinaがAkinaのソロ曲「Gravity」を弾き始めると、白いオーバーサイズのシャツを羽織ったAkinaがオンステージ。自ら振り付けたというコンテンポラリーダンスで、ファンを驚かす。続く「four」、「Take my hand」、「Sayonara My Ex」というタイプの違うバラードを続けて披露した場面では、ガーリーな仕草を織り交ぜながら5人それぞれが放つ高い歌唱力で、場内を埋め尽くしたファンを酔わせていった。


場内が暗転し、次にフロアが明るくなると、フロアの左サイドに設置されたサブステージにLil’ Fangがいきなり1人で登場。ソロでカバーーした弘田三枝子の昭和のヒットソング「人形の家」を、ステージで初パフォーマンス。Lil’ Fangは持ち前のソウルフルなパワーボイスを繊細に操って熱唱。続いてメインステージで「Black Ghost」をライブで初披露したHinaとTakiは、サビのペアダンス、指をくるくる回すチャーミングな振り付けで場内を虜に。このあと、ライブは再び5人のFAKYへ。ステージ後方にはいつの間にかソファーが置かれ、彼女たちがそこに座るだけで、まるでハイブランドのファッション誌のグラビアを見ているような雰囲気が立ち上がる。そうして、ここでは甘々な美声で「Choco Fudge」をムーディーに歌唱してファンを酔わせ、たっぷりとろけさせていった彼女たち。とろけたあとは、Takiが元気な声で「私の真似して!」と叫んで“HEY”のシンガロングを誘い、「My Story」を通して、オーディエンスそれぞれの心にエールをプレゼントした。


今回はワンマンということで「いろんなFAKYをみなさんに観て欲しくてソロもやりました」とHinaがこの前のセクションについて解説すると、続けて、Lil’ Fangが「2013年にFAKYが始まりました」と語り始める。その間、これでいけると思った矢先にメンバーチェンジ、モードチェンジがやってきてというのを繰り返し、2019年、現メンバーが揃った3rdシーズンから、やっと活動が本格化してきた彼女たち。Lil’ Fangとともに1stシーズンからFAKYを支えてきたメンバーであるMikakoは「私は10年」と、長かった月日を振り返り、「ここからはノンストップで連れていくね」とフロアに向けてに声をかけ、この後はOld&NewスクールなFAKYをメドレーで一気にパフォーマンス。

ジャケットを脱ぎ、メドレーの幕開けは1stシーズンのEDMな「P.O.V.」。いまとは違う言葉ハメの懐かしい振り付けを、ここではそのままアクト。そうして、ライブでしか聴けない未音源化の「Why'd You Make Me Cry」とつなぎ、2ndシーズンからは現メンバーでリメイクした「Re:Bad Things」へと展開。サビに向かってパッション溢れるファンキーなFAKYソウルがどんどん炸裂して、アゲアゲな空気になっていったところに、3rdシーズンから極め付けのダンスチューン「little more」「It’s a small world」の2連発には、フロアは声を上げて熱狂。そうして、メドレーの締めくくりはFAKYの始まりの曲である「Better Without You」。Akinaの英語の煽りでオーディエンスは早くも一丸となり、身体に響く4つ打ちのビートにのってジャンプやクラップを繰り広げ、観客が1人残らず大盛り上がり。5人のソロダンスの最後にTakiがフロントで頭をぐるぐる回すと、オーディエンスはものすごい声で絶叫。そこにLil’ Fangが全肺活量を注ぎ込んだようなダイナマイトなフェイクを爆発させると、場内はとんでもない熱気に包まれていった。


その熱狂を感じ取ったMikakoが「みんなが楽しんでくれて、楽しいよー!」とオーディエンスの盛り上がりを讃えると、その横ではLil’ FangとAkinaが興奮しすぎて「服がこわれた」「こんなことある?」と、体を折り曲げて大笑い。信じられないぐらいカッコいいステージを繰り広げたあとに、こんな素顔までとって出ししてしまう彼女たちがまた、たまらなく尊くて愛おしい。こんな自分たちも全部見せるから、<FEEL IT ALL>=全部を感じて受け取ってというのが今回のライブのテーマでもある。この後はここから未来に向かって歩いていくという意味を込めて、新曲「Rock, Paper, Scissors」をはじけるような笑顔で届けて、本編は終了。

場内ではすぐさま“FAKY”コールが始まり、その声に応えて、5人は各々グッズのパーカーやTシャツに着替えてアンコールのステージに登壇。いつでもFAKYはそばにいるよという気持ちを込めてミドルバラード「HappyEverAfter」をしっとりと歌いあげたあとは、タオルを回して盛り上がるパーティーチューン「SUGA SWEET」、全員で肩を組み、体を前に倒して一斉ヘドバンを繰り広げるアメリカンロックな「Get Up」でフロアと一体になって、ライブをとことん楽しんだFAKY。メンバーを代表してLil’ Fangが「ここまで来られたのはみなさん一人ひとりのお陰です」と感謝の気持ちを述べたあと「FAKYは私たちだけで歩いてきたグループではありません。スタッフ、来てくれたみなさん。こうしてみなさんから貰ったパワーがあるから次に歩いていけるんです」と告白。


そして、今日もらったパワーで歩いていく場所を「もってきております」というと、スクリーンが登場。映像を通して2023年の秋冬、Zeppクラスの場所でワンマンライブを開催することを発表した。歓喜に包まれるにフロアに向かってLil’ Fangが間髪入れずに「“#FAKY Road To Next”、これからも一緒に歩んでくれますか?」と呼びかけると、オーディエンスはペンラを大きく振りながら大歓声を上げた。そして、次はメンバーが作詞・作曲を手がけ、ファンとの絆を歌い込んだ「five +」を涙をこらえながら最後まで大切に歌きり、これがクロージングナンバーとなってこの日のライブはフィニッシュ。5人は最後、涙をぬぐいだあと手をつないで、笑顔に満ちた会場を見渡して「ありがとうございました。また絶対にお会いしましょう」といってステージをあとにした。

ステージの広さをものともしないFAKYの飛躍に、胸の高鳴りが止まらなかった今回のワンマン。FAKYが立つべきステージはまだまだこの先にあることを確信した日でもあった。彼女たちのさらなる活躍、次の“#FAKY Road To Nest”に期待が募るばかりだ。ぜひ、たくさんの人に、FAKYの唯一無二のショーを体感してほしい。

取材・文◎東條祥恵

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