【ライブレポート】Non Stop Rabbit、「逃げなくてよかった。3人でいれてよかった」

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Non Stop Rabbitが、3月11日に東京・豊洲PITで全国ツアー<PITやんなきゃ始まらねぇだろTOUR2023~あの日と違う事はたった一つ、俺たちはメジャーアーティストになった~>の最終公演を開催した。

◆ライブ写真

新型コロナウイルスが猛威を振い始めた2020年3月、この場所で全国ツアー<LiveTour2020〜武道館を狙うたてがみの生えたウサギ〜>の最終公演を行うはずだったが、感染対策のためにやむなく中止という決断を下した3人。インディーズで活動していた彼らにとって、金銭面の負担はもちろん精神的にも大きなダメージを受けることとなったこの出来事は、田口達也(G, Cho)のSNSでの発信をきっかけに、コンサートやライブといったエンターテイメント業界の在り方そのものを問う大きな動きとなっていった。あれから3年。Non Stop Rabbitがついに、豊洲PITのステージに立つ日がやってきた。


轟くSEと共に煌びやかなミラーボールが回り、主役の登場を待つ3本のスポットライトが立ち位置を照らしている。客席の熱気を可視化したかのような真っ赤な照明が会場を包み込むと、ステージに姿を現した3人が幕開けの爆音を鳴らした。悲鳴のような歓声と拍手の中、矢野晴人(Vo, B)がお決まりの口上を述べるとライブは「PILE DRIVER」からスタート。イントロで歓声が上がった「乱気流」、放たれるメッセージに呼応するオーディエンスの右手が力強く掲げられていた「BIRD WITHOUT」、ライブならではの迫力と疾走感たっぷりのサウンドで魅了した「私面想歌」。4曲続けて披露された最初のパートで感じたのは、とにかく3人のパフォーマンスが自信に満ち溢れていたということだ。ここまでのツアーでしっかり自分たちの音を鳴らし続け、体ごとライブモードになっていることが伝わってくるような佇まい。“あの日”のリベンジでもなんでもない。ただただ、集まってくれたオーディエンスと最高の時間を楽しみたいというストレートな思いが貫かれているように感じた。


ライブのテンションを一気にぶち上げる4曲を終え、客席を見渡しながら「何年ぶりやろ、この景色。すげえ!」と喜びを爆発させる3人。ツアーを振り返るMCでは達也によるガチの怪談が始まり、それに続く晴人の怖い話、下ネタを貫く太我(Dr)という図もある意味完璧で(笑)、ノンラビらしい自由な展開で会場を沸かせていた。

「推しが尊いわ」からのブロックは、聴き手の感情を内側から揺さぶるような楽曲を披露。特にエモーショナルな世界観を音と言葉で丁寧に作り上げた「夏の終わり」「最後のキス」「静かな風」と続いたあたりは非常にドラマチックで、晴人の切ないハイトーンが胸に迫ってきた。しっかり支えつつも時折感情を露にする太我のドラム、繊細な心情をメロディーで掬い上げるような達也のギターソロなど、楽曲の振り幅や演奏の面でもNon Stop Rabbitの魅力を堪能できる流れになっていた。


次のコーナーは、ノンラビにまつわる様々なクイズにメンバーが答える“デスゲーム”。敗者となった達也はケーキにトッピングされたタランチュラを食べるという罰ゲームに挑んだのだが、その咀嚼音で会場は悲鳴の渦に(笑)。メンバーが一旦はけ、次の曲へのプロローグとなる天の声に導かれた「豆知識」では、巨大な緑色の宇宙人に後ろから抱きかかえられた(ように見える仮装の)達也と晴人が登場。途中からは金ピカの全身タイツに身を包んだ太我も参加し、MVでもお馴染みのダンスを披露した。再び着替えを終えて出てきた3人は「偏見じゃん」「無自覚の天才」「三大欲求」と飛ばしていく。いろんな言葉を使って、いろんな角度から自分を肯定することの大切さに気づかせてくれるのもまた、彼らの楽曲の大きな特徴だ。



「この豊洲PITという空間は一旦全てをぶっ壊すのにふさわしい場所だと思ってるんで、好き勝手歌って帰りたいと思います。次の曲は、俺たちがただただ好き勝手言うだけの曲。どう聴いてもらっても構わない。これが俺たちだから」(達也)

3月8日に配信がスタートした「吐壊」についてそうコメントし、自分たちを取り巻く現状に対して包み隠さず本音を捲し立てる達也。「勝つまでひた走る」と力強く歌い上げる晴人のボーカルとのコントラストも抜群で、自分の音と声にむき出しの思いをぶつけてくる3人のパフォーマンスは言いようのない熱を帯びていた。「アンリズミックアンチ」「Needle return」「Refutation」という狂騒のダンスタイムを経て、達也は「この景色が見たかった。ありがとう本当に。感無量だね」と会場を見渡しながら話を続けた。「3年前の絶望の記憶は消えないけど、今日なら消せるかもしれないと思って一生懸命ツアーをしてきた。あんな状況になったらぶっちゃけやめる方が簡単だけど、逃げなくてよかった。3人でいれてよかった」。そして「あの時やるはずだったのに3年以上も寝かされた“この曲”を、ここでやるためにツアーをやってきたと言っても過言ではないかもしれない」と語気を強め、「今年も一生懸命曲を作って、絶対大スターになるから見といてください!」と胸を張った。


3年前この場所で披露するはずだったその「二十五の自白」について達也は、「俺の中では最近作った「吐壊」と同じ。でも白と黒くらい違う」と表現。時間をかけて変わってきたことと、時を経ても変わらないことの両方を捉えた震えるほど素直な言葉が、この日初めて音源から飛び出しオーディエンスに直接届けられた。長い長い拍手を受け、「ここにいるすべての人の幸せにつながりますように」と言葉を添えて歌われた次の「全部いい」も、豊洲PITのライブ中止という決断を経て生まれた楽曲。煌々と照らされたたくさんのオーディエンスの姿、突き上げられる右手をメンバーはどんな思いで見つめているのだろう。一緒に歌っている客席の歌声はどんどん大きくなっていき、最後の楽曲「PLOW NOW」では晴人のボーカルを超える勢いとなっていた。

決して止まっていたわけではないが、Non Stop Rabbitというバンドを取り巻いていた時間が正しく進み始めたようなエンディング。「ここからノンラビの快進撃が始まります!ついてきてください!」という頼もしい宣言に続き、結成7年目の記念日である11月1日にZepp Shinjukuでワンマンライブを開催するという嬉しいニュースを届け、3人は豊洲PITのステージを後にした。

取材・文◎山田邦子
写真◎菊島明梨、千佳 @cka_photo

セットリスト

1.PILE DRIVER
2.乱気流
3.BIRD WITHOUT
4.私面想歌
5.推しが尊いわ
6.全部ブロック
7.夏の終わり
8.最後のキス
9.静かな風
10.豆知識
11.偏見じゃん
12.無自覚の天才
13.三大欲求
14.吐壊
15.アンリズミックアンチ
16.Needle return
17.Refutation
18.二十五の自白
19.全部いい
20.PLOW NOW

ノンラビ結成7周年記念<歌舞伎町の乱>

2023年11月1日(水)Zepp Shinjuku (TOKYO)
OPEN 18:00/START 19:00
チケット価格:¥5,000(税込)

[チケット販売情報]
FC抽選先行
・受付期間:3月11日(土)21:00~3月19日(日)23:59
・入金期間:3月23日(木)15:00~3月26日(日)23:00
・電子チケット(要スマホ申込)
お1人様2枚まで
https://nonrabi.com/contents/624291

[お問い合わせ]
HOT STUFF PROMOTION
https://www.red-hot.ne.jp/
TEL: 03-5720-9999

Blu-ray&DVD『無自覚とは言いつつ多少は自覚がある天才ツアー2022』

2023年3月8日(水)発売
■Blu-ray初回盤:¥5,720(税込)
■Blu-ray通常盤:¥4,840(税込)
■DVD初回盤:¥5,280(税込)
■DVD通常盤:¥4,400(税込)
購入リンク:https://lnk.to/NSR_TOUR2022

収録曲:
1. ALSO
2. 乱気流
3. 明るい歌
4. 私面想歌
5. TABOO
6. Pant Voice
7. BIRD WITHOUT
8. 夏の終わり
9. 恋愛卒業証書
10. 偏見じゃん
11. 推しが尊いわ
12. 豆知識
13. 無自覚の天才
14. 三大欲求
15. ハニートラップ
16. アンリズミックアンチ
17. Needle return
18. 音の祭
19. Refutation
20. 優等生
21. PLOW NOW

初回盤特典CD収録内容:
1. 吐壊
2. 生理中の女の子は神様みたいに扱いなさい

※ショップ別先着予約購入特典:
Amazon.co.jp:L版ビジュアルシート3枚セット
楽天ブックス:アクリルキーホルダー
セブンネットショッピング:アクリルコースター
タワーレコード:ポストカード Type-A
全国HMV・HMV&BOOKS online:ポストカード Type-B
他全国CDショップ:ポストカード Type-C

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