【インタビュー】deadman、リテイクアルバムにバンドの20年と現在地「生きている。生身だっていう感じがあります」

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deadmanが2023年3月20日よりワンマンライブツアー<deadman 2023 tour「Rabid dog walking a tightrope」>を開催する。東名阪クアトロサーキットとなる同ツアーでは、全会場で新曲「rapid dog」の8cm CDが無料配布されることに加え、リテイク楽曲を収録したニューアルバム『dead reminiscence』が会場先行リリースされる。『dead reminiscence』には再始動前の楽曲よりリテイク6曲と各曲のオリジナルカラオケを収録。20年前の楽曲たちが現在のdeadmanサウンドにアップデートされて届けられるという意味では、2022年1月リリースのリテイクベスト盤『I am here』同様だが、サウンドもレコーディング手法も異なって真新しい。

◆deadman 画像 / 動画

眞呼(Vo)とaie(G)は『I am here』リリース以降、勢力的な活動を続けてきた。deadman vs deadmanによる対バンライヴ、アルルカン×キズ主催公演へのゲスト出演、RAZORやアルルカン、DEZERTを迎えて自身主催ツーマンライブシリーズ開催、gibkiy gibkiy gibkiy初主催イベント参加、そして年末の武道館イベント<V系って知ってる?>参加など、世代を超えた共演は自身の刺激にもなったようだ。

それらライヴに参加した現ツアーメンバーがkazu(B / gibkiy gibkiy gibkiy etc.)と晁直(Dr / lynch.)であり、この4人としては初となるレコーディングには今のバンド感を凝縮。“現編成のdeadman”を体感できる仕上がりだ。deadmanの1年を振り返り、過去、現在、未来のバンド像を明かす1万字オーバーのロングインタビューをお届けしたい。


   ◆   ◆   ◆

■リテイク・ニューアルバムの6曲も
■感覚的には新曲に近い

──3月20日よりいよいよ東名阪ツアー<deadman 2023 tour 「Rabid dog waoking a tightrope」>がスタートします。今回は、会場限定盤となるリテイク・ニューアルバム『dead reminiscence』と、全会場で無料配布される新曲「Rabid dog」についてのお話を伺えればと思います。まずは2019年の再始動発表から、2021年にはリテイク・ベストアルバム『I am here』をリリースして、ツアーやイベントなど多くのライヴを重ねてきました。バンドとしてはライヴの手応えや実感はどういう感じだったのでしょう?

眞呼:deadman、面白いなと思ってますね。個人的なことになりますけど、自分が居たい場所というのはここなんだな、というのを再確認したというか。deadmanは、他の人たちがこうやっているからこうしようとか、ライヴってこういうものだよねということを考えなくてもいいバンドだと思うんです。メンバーも含めて観ている人たちも自由に、こういう私たちのスタンスを楽しみにしてくれている。それを実感できる場所だったんじゃないかなと改めて思いました。



▲眞呼(Vo)

──その中で芽生えた思いもあったようですね。

aie:『I am here』も含めて過去の曲だったので、やっている側もちょっと飽きてきたなというのは正直あったんです。で、そろそろ新曲を作りましょうというタイミングで今回の東名阪ツアーが決まって。それが2022年秋くらいのこと。その中でライヴのメンバーであるkazu君と晁直から、リテイクもやりたいという話が出たりもしたので、それも一緒に進めようという感じで、「やりたい曲あります?」って皆さんに聞きながら進めつつ、「アレンジを変えたいのはこの曲かな」とかいう話を何回かしながら今回のリテイク・ニューアルバムにつながった感じでしたね。

──4人のバンドとしてライヴを重ねてきた感じが、今回のリテイク・ニューアルバムにしろ新曲にしろ、つながっているなというのがすごくわかります。

aie:エネルギッシュというか、ライヴ感がありますよね。なんとなく過去曲もラインナップが決まってきていたので、そこに入ってない曲をリテイクすることで新たなセットリストに組み込むことができるなと、今回の6曲が決まっていった感じですね。「lunch box」はライヴでもやっていたんですけど、それもガラッとアレンジを変えて。なのでやっている側は、感覚的にはリテイク・ニューアルバムの6曲も新曲に近いというか。

──実際にdeadmanが再始動して、音源を出して、ライヴをしてという中での反響も大きかったと思うんですが、ご自身の体感は?

眞呼:目に見えてとか、実際に聞こえてくるわけではないんですけど。どうなんですかね?

aie:2022年秋の<2man live series 2022>で若いバンドと対バンツアーをして、初めてdeadmanを観る方の前でもやったんです。その方たちの声を聞く方法を我々は知らないので、ステージから見るフロアの感覚でしかないんですけど(笑)。たぶん我々のような、ステージに立ってる人間の音だけで成立しているバンドって少なくなってきたと思うんです。そういう意味では、刺激を与えられたかなとは思うんですけど。それが次のdeadmanのライヴに行こうという気持ちにつながっているのかどうかは置いておいて、経験としてはよかった。でもやっぱり、1バンド60分間のイベントより、ワンマンで観てほしいなとは思いますね。

──deadmanを初めて観る観客ということでは、2023年末の日本武道館イベント<V系って知ってる?>にも出演しました。ZI:KILL Respect Session feat. deadman名義にて、deadmanの4人に加えてMUCCミヤさんというバンド形態で、ZI:KILLのカバーをするというステージでしたが、ライヴはどうでしたか。

aie:DEZERTが旗を振って集まった今の世代のお客さんたちの前、というゴリゴリのアウェイを予想しつつ、我々は大好きなZI:KILLですけど、ZI:KILLというのはどうなんだろうとも思いながら行ったんですけど、思ったよりウェルカムな空気でしたね。すごく楽しかった。


▲aie(G)

──余談ですが、その武道館当日、aieさんのTwitterにはkazuさん撮影による自作エフェクターボード講座が公開されてましたが、あれは?

aie:ご存じのように私は機材がすごく少なくて、エフェクターとかはギターケースのポケットにバラバラと入れて移動しているんですね。ただ、武道館はステージ転換をスピーディーに行いたいので、「ボードにしてくれ」とスタッフからリクエストされまして。

──それで、弁当の空き箱をカステムしていたわけですね。これ、笑っていい動画ですよね。

aie:そうなんです。笑ってください。当日の楽屋で急遽制作したものですから(笑)。

──それくらいリラックスしてステージに立っていたんだろうなと。

aie:たしかにリラックスできてましたね。ただね、武道館に全然興味ない振りはしてきましたけど、いざステージに立つと気持ちいいものだなと。


眞呼:それに私たちを知らない人たちの前でやるというのは、すごく好きなんですよね。いいじゃんこういう感覚っていう。

aie:そうですね(笑)。

眞呼:知らない人たちが私たちがやっていることをセンセーショナルに捉えてくれたら嬉しいなと思ってましたかね。

aie:我々自身が、自分たちのことをわかってないフシがありまして。共演者たちが舞台袖に結構観に来てくれてたんですけど、ステージを降りてから、「めちゃくちゃよかったっす!」とか言われても、“マジで!?”って思っちゃうんですよね。そう言ってくれる彼らの音楽も素晴らしいと思うから、俺たちのどこがいいのか教えてくれないかな?っていう。自分たちが自覚してない部分を教えてほしいというか。それも細かく。

眞呼:そうそう、それを伸ばしていけばいいわけじゃないですか。“あ、そこがそうなんだ!”っていう発見があるとね。私たちが、“これがいいと思ってくれてるんだろうな”って作ろうとすると…ね(笑)?

aie:「そこじゃない!」って言われるんですよ(笑)。

──良いところを具体的に教えてほしいと(笑)。でも今回の作品にそれがちゃんと還元されていると個人的にすごく思うんです。型にはまることなく、今のこの4人で成立してる音を出していたり、リテイク作品ではあるけれど、現在の解釈で、今の音を鳴らす作品になっているというか。

aie:そうですね。20年以上前の曲ですけど、2023年の音になったかなと思ってますね。そこは成功したと思います。若いバンドと対バンした経験がもしかしたら、そうさせたかもしれないですけど、まだ若いもんには負けんぞっていうのと、落ち着きたくないぞっていう感じも出ていますよね。「銀のパラソル」のような大人になったからこそ出せる色気がありつつも、攻撃的な面はさらに、という感じで。

◆インタビュー【2】へ
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