【インタビュー】鍵盤奏者の平畑徹也、ヨルシカや高橋優、キタニタツヤなど9名のゲストを迎えた初アルバムに音楽人生の総括「自分自身を再確認できた」

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■完成して嬉しいような寂しいような
■命を削って作りました

──ロックサウンドという点では、ヨルシカのn-bunaさんがギターで参加した「遠野」もそうで、こちらは1970年代の感じですね。

平畑:アメリカ南部、サザンロックっていう感じです。1970年代ロックへのリスペクトでありつつも、全員がリモートでレコーディングしました。そこがあまのじゃくのポイントです(笑)。これ、狭いスタジオでみんなで集まって録ったと思われるでしょうけど。

──タバコのヤニで壁が黄色くなったようなスタジオが思い浮かびます。

平畑:ほんとにそう(笑)。n-bunaくんはヨルシカのサウンドチェックとかで、こういうニュアンスのギターをよく弾くんです。

──ラリー・カールトン、ジョニー・ウィンター、スティーヴィー・レイヴォーンをはじめ、ブルースロックやフュージョンは彼のルーツのひとつですから。

平畑:ヨルシカの音楽性からは想像しにくいと思いますけど、そうなんです。

──この曲はレーナード・スキナードの「フリーバード」がモチーフで、前半のゆったりしたところはデレク・アンド・ザ・ドミノスの「アイ・ルックド・アウェイ」がリファレンスだったとか?

平畑:はい。ベースがキタニタツヤなのも、なかなか想像がつかないでしょうね。50代とか60代のミュージシャンを集めた感じの音なので(笑)。

──n-bunaさんはこの曲を自宅で録る際、ジミ・ヘンドリックスとかジミー・ペイジが使っていたスプロアンプにマイクを立てて録ったそうですね?

平畑:はい。アナログなやり方にこだわってくれたのも嬉しいです。

──気持ちよさそうに弾きまくっています。

平畑:「n-bunaくんのギター無双やって」とお願いしたんです(笑)。終盤の鍵盤とのバトルは最初控えめだったんですけど、「もっといって!」と言って弾きまくってもらいました。


──アルバムを締め括るのが、浅田信一さんが歌っている「A Beautiful World」です。グックルのプロデュースをしていただいた際に出会って、平畑さんがサポートミュージシャンとして活躍するきっかけを作ったのが浅田さんだったという?

平畑:はい。浅田さんは僕にとって父であり兄であり、という存在です。この業界で仕事をする上で“音楽として何を大事にするべきか?”というアンテナの張り方とか、良いリズムのとり方とか、いろんなことを教えてくださって。僕がピアノでぱっと弾いた時の半分くらいのものは、浅田さんから教えていただいたセンスから出ていると思います。「A Beautiful World」は、そういう恩師への手紙のような曲ですね。できる限りシンプルでありながら、どこまでもドラマチックに描き切るというのもテーマでした。

──2コードで作るのも挑戦だったとか?

平畑:厳密に言うと、間奏の2つ目のコードは構成音をちょっと変えているんですけど、基本的には最初から最後まで2コードです。それは自分に課した挑戦でしたね。浅田さんの声だから成立したというのもあるんですよ。僕もたくさんのアーティストの声を聴きながら演奏してきましたけど、やっぱり浅田さんの声には、浅田さんにしかないものを感じています。長年歌ってこられたあの喉でこの曲を歌っていただけたのは、僕の誇りです。

──様々な紛争が起る世界を憂いながら、穏やかな日々を願う姿が描かれていますが、浅田さんは「歌詞の主人公として平畑さんをイメージした」とおっしゃっていました。

平畑:その話をお聞きした時、意外に感じました。“自分ってそう見えてるんや?”と思ったので。今回は、アーティストさんが書いてくださった歌詞を通じて自分自身を再確認できる感じもありましたね。

──収録されている全11曲について語っていただきましたが、改めてどのようなことを感じていますか?

平畑:嬉しいような寂しいような。こういう作品を作ってしまうと、“今後、自分は何を目標にして生きていけばいいんだろう?”となってるところもあって(笑)。でも、まずはこの作品を多くの人に聴いていただきたい。このオールスター陣でアルバムを作れるっていうのは、人生でそう何回もないはずで。責任感を抱きながら命を削って作りました。自分の40年間の音楽人生の総括でありながら、僕自身の新しいところや、参加アーティストさんの新しい面も発見したいという欲求もあったアルバムなので、惰性では作りたくなかったんです。10代の頃と同じような初期衝動を持って1年間向き合いながら作ったので、聴いてくださるみなさんにその熱量を受け取っていただけたら嬉しいです。

取材・文◎田中大
撮影◎野村雄治

■1stアルバム『AMNJK』(エーエムエヌジェーケー)

2023年3月22日(水)発売
https://linktr.ee/hirahatatetsuya
【初回生産限定盤】rep-063 / ¥4,620(税込)
・トールサイズデジパック仕様
・全83ページ、約5万文字で構成されるブックレット(対談掲載)
【通常盤】rep-064 / ¥3,300(税込)


▲初回生産限定盤


▲通常盤

▼収録曲
01. 前奏
02. 天邪アウトロー feat.高橋優
03. 恋に首輪 feat.キタニタツヤ
04. よるのとばり feat.みゆな
05. とある王子の恋物語 feat.小関裕太
06. サイトシーイング feat. peppe (緑黄色社会)
07. 先日はロマンス feat. suis from ヨルシカ
08. Armando
09. アバウトタイム feat.平部雅洋(reGretGirl)
10. 遠野 feat. n-buna from ヨルシカ
11. A Beautiful World feat.浅田信一
【店舗購入特典】
・Amazon:特典CD「天邪アウトロー feat.高橋優」(PIANO SOLO ver.)
・タワーレコード:特典CD「恋に首輪 feat.キタニタツヤ」(PIANO SOLO ver.)
・HMV:特典CD「先日はロマンス feat.suis from ヨルシカ」(PIANO SOLO ver.)
・音楽処:平畑徹也 直筆メッセージ入りポストカード

■先行配信シングル「天邪アウトロー feat.高橋優」
2023年2月22日(水)先行配信開始
https://nex-tone.link/A00113414



▲「天邪アウトロー feat.高橋優」


▲高橋優


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