【ライブレポート】This is LAST、挑戦と前進を積み重ねたツアー完走「全部が意味のあることなんだと思っています」

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This is LASTのワンマンツアー<This is LAST one man live tour “OVER”>が3月30日(木)、Zepp DiverCityにてファイナルを迎えた。到着したオフィシャルレポートをお届けする。

◆ライブ写真

1月7日(土)の千葉LOOKを皮切りに全国23ヶ所、ソールドアウトが続出したこのツアーは、日に日に高まるこのバンドへの注目度の高さと、その中でライブを重ねて成長を続けてきた成果を見せつけるものとなった。ファイナルの会場は彼らにとってはもちろん過去最大規模となる東京・Zepp DiverCity。フロアを埋め尽くしたオーディエンスを前に、This is LASTは彼ららしい親密な空気を生み出しながら熱いパフォーマンスを繰り広げた。



「楽しんでいけますか?」。ステージに登場した菊池陽報(G,Vo)がフロアに語りかけ、大きな歓声を浴びる。そして「愛憎」からスタートしたライブは、初っ端からツアーを通して鍛え上げてきたバンドの力を如実に示していた。

とくに圧倒的だったのは菊池の歌だ。もともと彼のヴォーカルはこのバンドの大きな武器だが、そこにますます磨きがかかっている。たった1曲で早くもハイライトを描き出してみせた菊池が「今日はどこにも出ていない、最新で最強のThis is LASTを見せに来ました」と堂々と宣言する。「楽しんでいこうね」という言葉には、積み上げてきた自信から来る余裕すら感じる。


続けて「距離」のアッパーなサウンドで一気に盛り上げると、さらに「アイムアイ」へ。イントロのハイハットに合わせてフロアからは手拍子が巻き起こる。そのリズムを繰り出している鹿又輝直(Dr.)のプレイも大迫力。感情を豊かに表現しながら、躍動するようにスティックを操っている姿が印象的だった。

「ツアーファイナル、来てくれてありがとうございます!」と「恋愛凡人は踊らない」を終えた菊池が挨拶。This is LASTのライブに初めて来たというお客さんに挙手を促し「見つけてくれてありがとうございます。超センスいいと思います」と感謝を述べると、ここで「もういいの?」を披露する。切ない歌詞とは裏腹の広がりのあるメロディがZepp DiverCityの大きな空間を包み込む。

さらに「新曲やります」と「おやすみ」という未発表へ。この曲もまたソリッドなバンドサウンドがぐいぐいと引っ張る力強さをもっていて、今のThis is LASTが目指す方向をはっきりと指し示すような楽曲になっていた。その後「勘弁してくれ」を軽やかに繰り出すと、「強さをくれる曲を」と「カスミソウ」へ。鮮やかなホーンのサウンドが一気に会場の空気を変える。フロアを優しい表情で見渡しながら歌う菊池。今のThis is LASTにはどんな感情も音楽によって光に変えていくようなパワーがある。

ここで一息ついて、菊池が笑顔でツアーを振り返り始める。彼らはイベントなども含めると、この3ヶ月で30本くらいライブをやってきたという。「よく生きてたよね」と冗談混じりに言いながら、「強くなったのが音に出てる」と手応えを口にする。新潟で食べたタレカツ丼がうまかった、というような話を挟みながら、「思い出というか、各地回ってきた時間みたいなものを共有しながら、バンドのグルーヴは強くなっていくんですよ。あなたとも、これから最高の時間を一緒に作っていけたらなと思う」とメッセージを届けると、おもむろに歌い始めたのは、3月1日に配信がスタートした最新曲「#情とは」。研ぎ澄まされた美しいメロディと情感をたっぷり込めた歌声を、抑えるところは抑えて盛り上げるところは盛り上げる、鹿又のドラマティックなドラミングが支える。曲が終わった瞬間にシーンと静まり返るフロアが、この曲の圧倒感を物語っていた。



「結び」「ベイビー」とじっくり聴かせる曲が続いたところで、ギターを弾きながら菊池が話し始める。この3ヶ月、ひたすらライブを続けてきた日々を「楽しかったけど、すごく辛かった」と告白する一方、今日この日を迎えられて「報われた」とも語る。「1本重ねるごとに、俺たちはどんどん強くなっていっていると思います。全部が意味のあることなんだと思っています」――そういうと、現在活動を休止している菊池竜静(Ba, Cho)のことにも触れつつ「それはずっと3人でやっていくための答えです」と前を向く。「俺たち、このツアー23本、それだけじゃなくてずっと、本物のかっこいいロックバンドになってやるっていう気持ちでずっと鳴らしてきました。23本全部、最高のグルーヴを作ってこれたと思います」。言葉が熱を帯びるに従って、音も分厚く、鋭くなっていく。そのまま「私、結婚するかも」へと流れ込むと、フロアからは堰を切ったように手拍子が鳴り出した。真っ赤なライトに照らされる中、会場がひとつになっていく。

「人気のバンドがかっこいいんじゃない。ロックバンドは、かっこいい奴らが人気になるんだろ? あなたは今日、そんな俺たちを見つけてここにきたわけです。超センスあるだろ?」。ロックバンドとしての自負と、聴いてくれる人たちへの愛を溢れさせると「親愛なるあなたに」と「ディアマイ」へ。お客さんの顔を見ながらギターをかき鳴らし歌う菊池。ベースも、ドラムも、感情をとことん注ぎ込んで演奏している。今にも爆発しそうなエネルギーが会場中を覆い尽くしていく。そして「病んでるくらいがちょうどいいね」を経て本編ラストは「オムライス」。「今日超楽しかった人!」という菊池の言葉にフロアから「はーい!」と返事が起き、コール&レスポンスも成功。最高の一体感が、Zepp DiverCityを包み込んだ。

アンコールで再登場した菊池は先ほどの本編を振り返って「マジで泣きかけた。でも泣いたら歌えなくなるから頑張った」と感慨深げに話していたが、それだけ、彼らはこのツアーでたくさんのことを感じ、得てきたのだろうと思う。

この日のラストチューンとなった「殺文句」はThisi is LASTの「始まり」となった曲だが、そこから長い時間の中で挑戦を繰り返し、彼らは前に進んできた。そしてその道のりは今もなお前へ前へと伸びている。このライブ中には9月に開催する東名阪ホールツアーも発表されたが、そこではきっとさらに進化した彼らに出会えるはずだ。


取材・文◎小川智宏
撮影◎日吉"JP"純平

■セットリスト<This is LAST one man live tour “OVER”>

at 東京・Zepp DiverCity

1.愛憎
2.距離
3.アイムアイ
4.恋愛凡人は踊らない
5.もういいの?
6.おやすみ (未発表曲)
7.勘弁してくれ
8.カスミソウ
9.#情とは (ABEMA「花束とオオカミちゃんには騙されない」 挿入歌)
10.結び
11.ベイビー
12.私、結婚するかも
13.ひどい癖
14.ディアマイ
15.病んでるくらいがちょうどいいね
16.オムライス
En1.バランス
En2.殺文句

■<This is LAST HALL TOUR 2023>

2023年9月2日(土)大阪・NHK大阪ホール
2023年9月9日(土)愛知・名古屋市公会堂 大ホール
2023年9月23日(土)東京・昭和女子大学人見記念講堂

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