【ライブレポート】『マガツノート』1周年イベント<大祝戦>開催。V系バンド+政宗役・峯田大夢が感情を解放

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2022年3月に始動した近未来戦国×ダーク楽曲メディアミックスプロジェクト『マガツノート』。3月には始動1周年を記念して様々な施策が行なわれ、3月28日には主催ライブイベント<大祝戦>が豊洲PITにて開催された。

◆ライブ写真

今回のライブイベントには、BabyKingdom、ザアザア、RAZORの3組に加え、4月からスタートする「戦シーズン 弐nd Battle 『荒魂大祭』」に楽曲提供をした甘い暴力と、政宗役を務めている声優の峯田大夢が参戦。豊洲PITに集結した“有害人類”達と、約3時間に及ぶ祝宴を繰り広げた(“有害人類”は『マガツノート』に登場する用語であり、同プロジェクトのファンネーム)。

この日のライブは、『マガツノート』の登場キャラクター達によるボイスムービーが上映された後、各バンドがパフォーマンスを行なうという形で進行していった。場内が暗転した後、スクリーンに現れたのは、秀吉(CV.小笠原仁)、官兵衛(CV.馬場惇平)、清正(CV.仲村宗悟)の3人によるMAD FANGの面々。「拳突き上げて、頭振って、折り畳む準備はできてるか!?」と秀吉が煽る中、官兵衛と清正がライブの注意事項を伝えた後、1番手として呼び込まれたのは、BabyKingdom。


叙情的なミディアムナンバーの「月夜のシンデレラ」を力強く奏でると、「戦シーズン 壱st Battle 『桜華狂騒』」で、秀吉・政宗連合軍に書き下ろした「GOLD」へ。ド派手に駆け抜けていくバンドサウンドと、雅やかな雰囲気を持ったメロディに合わせて、フロアからは拳が突きあがる。


バンドコンセプトは“MUSIC THEME PARK=音楽のテーマパーク”、楽曲を“アトラクション”と呼んでいるBabyKingdomだが、どっしりと安定した楽器隊の演奏の上で、「大阪ちんぷんかんぷん ROCK」ではたこ焼き、「ユーレイ☆になっても愛してる」ではお化けをイメージしたポップな振り付けを咲吾(Vo)が先導し、フロアを巻き込んでいく。また、戦国武将をイメージした衣装を身に纏とっていた彼らだが、最新シングルのコンセプトが、ずばり「戦国時代」。「若干というか、ほぼ『マガツノート』にあわせて目立とうとしてます!」とぶっちゃけながら、最新曲の「我武者ライジング」を披露。ダンサブルなビートの上で拳ヘドバンを巻き起こし、トップバッターとして宴をしっかりと盛り上げた。


BabyKingdomのライブから間髪入れずに、ステージに峯田大夢が登場。この日、1つ目の特別セッションとして、政宗×BabyKingdomによる「破壊天秤」が披露された。「破壊天秤」は、1周年を記念してスタートした『マガツノート』ソロ楽曲プロジェクト【COVER&EXPOSE】で生まれた楽曲。同プロジェクトでは、1武将につき2曲のソロ曲が制作されることになっており、「COVER」は“キャラクターの外面的な部分を、人気アーティストのダークな名曲をカバーすることで表現”、「EXPOSE」は“キャラクターの知られたくない素顔や弱さ等の内面をオリジナル楽曲で表現”するというもの。


その第1弾として公開された政宗のソロ曲が、「COVER」はLUNA SEAの「JESUS」、そして「EXPOSE」が「破壊天秤」だ。曲が始まるやいなや、挨拶代わりに強烈なデスボイスを轟かせる峯田。ヘヴィでハード、かつ憂いを帯びたバンドサウンドが響き渡る中、鋭い眼光でフロアを見渡しながら、艶やかな歌声とパフォーマンスで魅了する峯田が、「アタマー!」と、“有害人類”のヘッドバンギングを煽る場面も。咲吾と息のあった絡みでもフロアを大いに沸かせていた。


転換の後、スクリーンに登場したのは、光秀(CV.岡本信彦)、利三(CV.杉山紀彰)、左馬之助(CV.大河元気)による蛇-ウロボロス-のトークムービー。「宴の日だっていうのに猿に遭遇するなんて…あーつら。帰りたい……。」と嘆く光秀を、利三と左馬之助が同情するというやり取りの後、ステージにはザアザアが登場。光秀のヴィジュアルイメージに合わせてか、一葵(Vo)はメガネ姿だ。4人が1曲目に選んだのは、「戦シーズン 壱st Battle 『桜華狂騒』」で、光秀・家康連合軍に書き下ろした「闇と桜」。低音の効いた甘美な歌声と、感傷的で儚げなバンドサウンドを走らせていく。


曲を終えると、「ライブ終わったらさ、何食べる? 焼肉? 美味しいよね。僕も好き」と、お立ち台に腰をかけて、フロアに話しかける一葵。穏やかでありながらも、どこか狂気を孕んだトーンで、場内を自分達の世界にゆっくりと引き摺り込んでいく。「なんでみんな猫を雑に扱うと怒るのに、牛とか豚は平気で殺して、美味しいって言いながら食べるんだろうね?」と、人間の欲望や本質に疑問を投げかけるも、それを否定するでも肯定するでもなく、ただその事実を提示するように話した後、「蜘蛛の糸」へ。躍動的なビートに乗せて、美醜の価値基準をぐちゃぐちゃに掻き回すような奇怪なサウンドを放つと、「ラブレター」「アル中」といった、ある種の“中毒”をピックアップした楽曲を畳み掛け、「感電、けがのおそれがあります。」をパンキッシュに叩きつけた。ラストにミディアムナンバーの「光」を激情的に繰り広げた後、「僕は頭が悪くて、『マガツノート』さんのテーマでもある戦国武将とか正直全然分からないです。でも、出てくるキャラクターのビジュ(ビジュアル)がすごくて、それだけで大好きになりました。きっかけって本当になんでもいいと思うので、何か一個でもいいなと思ったら、好きになってください」と、“有害人類”の心に深い爪痕を残していた。


スクリーンでは、幸村(CV.野島健児)、佐助(CV.小野将夢)、才蔵(CV.堂島颯人)による六道閹の3人が和気藹々と話しているところに、シルエット姿の新キャラクターが登場。しかし、その姿が明かされることはなく、謎を残したまま映像が終了すると、ステージには甘い暴力が姿を現した。ヴィジュアル系にあまり馴染みのない“有害人類”に、咲(Vo)が定番の振りをレクチャーした後、「よかったらやってくださいね。あなたにとって都合のいいようにしていだだいて」という掴みから、「都合のいい女」でライブスタート。ハードなサウンドでフロアを激しく揺らすと、続く「噛み痕」では感傷的なメロディを走らせ、そこから「せっかくなんで頭振りましょうか!」とダークな「首絞めマアチ」に繋げるという、静と動の起伏が激しいセットリストを繰り広げる。中盤では、彼らが楽曲提供をした「戦シーズン 弐nd Battle 『荒魂大祭』」について、女装したメンバーが説明するミニコントも。



『荒魂大祭』は、登場する武将達が各陣営の枠を超え、「喜」「怒」「哀」「楽」をテーマにした4組に分かれて音楽で競い合うという、外伝的なストーリー。甘い暴力は「喜」「哀」「楽」の3チームに曲を書き下ろしているのだが、この日、チーム「楽」の「漢の宴」と、チーム「哀」の「遺書擬き」の一部を先行公開。さらに、チーム「喜」の「おねだり!ろまんちっく」が初演奏された。ポップながらも艶やかさのあるダンサブルなサウンドに、フロアからはハートが乱れ飛び、ハッピーな空気が漂い始めた……のだが、「マガツノートって殺し合いなんすよね? 二次元で殺し合いやってんならここでもやりましょうや!」と、再びスイッチをガラリと切り替え、「ミナゴロシ」に突入。咲が「お前らそれのどこが有害じゃ!」と激しく煽り倒し、一際凶暴な音塊をフロアにぶつけると、最後は「サヨナラ!」と全員がステージ上で倒れ込み、フィードバックノイズがけたたましく鳴り響く中、ステージの幕が閉じられた。


残すバンドもあと1組。スクリーンでは第六天魔王軍の織田信長(CV.神尾晋一郎)と、蘭丸(CV.土岐隼一)の2人と、彼らの無理なオーダーに慌てている悪魔斡旋会社DDのメフィスト(CV.森久保祥太郎)のやり取りが繰り広げられた後、RAZORが登場。日本刀を手にステージに現れた猟牙(Vo)は、「極上の戦国エンターテイメントにようこそ。織田信長ことRAZORです!」と叫び、第六天魔王軍に書き下ろした「存在証明」を皮切りに、凄まじい勢いで駆け出し始める。「GRAVITY EMOTION」「見知らぬ害虫」と、休みなく畳み掛けていくと、「ヘッドバンギングは好きですか!?」と猟牙が叫び、「チェゲバラ」へ。極悪な轟音でフロアを蹂躙し続けていた。


RAZORが『マガツノート』のリアルライブに出演するのは、これで3回目。「たくさん呼んでいただいてありがとうございます」と感謝する猟牙は、「たぶんね、『マガツノート』サイドは、毒を欲していて、その毒を背負ってくれるバンドを探してたんだと思う」と、話を続ける。「このご時世、真面目だったり、正しかったり、まっすぐなものが大事にされるじゃない? ステージに立つ者、人前に出る者は、品行方正、清廉潔白でなければいけないって。こちとらね、こんなメイクしてさ、そんな綺麗なものを求められてもまぁ困ると。みなさんもそうでしょ? ライブハウスに暴れに来てて。悪いこと大好きなんだよ、絶対に。だから、暴力的な音楽で共に悪い暴れ方しましょう。どうぞよろしく!」。


猟牙の宣言に大きな拍手が送られる中、5人は「戦シーズン 弐nd Battle 『荒魂大祭』」のチーム「怒」に書き下ろした「追憶の果てに眠れ」を披露。チーム「怒」なだけあって、音の重厚さは凄まじいものがあるのだが、しっかりと美旋律を響かせるRAZORらしい楽曲に、初披露ながらもフロアからは拳があがっていた。そこから「悪いことしようや!」と「ブルータルモダン」で強烈な一体感を生み出していくと、「悪ぃね、『マガツノート』は俺らRAZORのもんだから!」とラストナンバーの「千年ノ色彩」へ。最後まで痛快な言動と、『マガツノート』へのリスペクトを感じさせる熱いステージだった。


そして、この日最後に用意されていた2つ目の特別セッションへ。咲吾、一葵、咲、猟牙、峯田大夢の5ボーカルと、RAZORの演奏による「マガツノートSeason:1 ラジオドラマ」のテーマソング「DEVIL ASYLUM」が披露された。ドラマティックに高鳴らされる重音の上で、個性のまったく異なる5声がときに美しく、ときに凶暴に絡まり合いながらメロディをフロアに届けると、峯田のえげつないまでに凶暴なロングトーンのデスボイスで、全演目が終了。曲を終え、ボーカリスト5人が肩を組んで円になると、祝宴は大団円でその幕を下ろした。

この日行われた『大祝戦』の模様は、オンライン配信も行われており、3月31日18時からはアーカイブ配信がスタート。6月30日23時59分までは何度でも視聴可能となっている。

取材・文◎山口哲生
写真◎菅沼剛弘、清水健志郎

セットリスト

■BabyKingdom
M-1 月夜のシンデレラ
M-2 GOLD
M-3 大阪ちんぷんかんぷん ROCK
M-4 ユーレイ☆になっても愛してる
M-5 我武者ライジング

■特別セッション1
政宗(CV.峯田大夢)×BabyKingdom「破壊天秤~大祝戦ver~」

■ザアザア
M-1 闇と桜
M-2 蜘蛛の糸
M-3 ラブレター
M-4 アル中
M-5 感電、けがのおそれがあります。
M-6 光

■甘い暴力
M-1 都合のいい女
M-2 噛み痕
M-3 首絞めマアチ
M-4 おねだり!ろまんちっく
M-5 ミナゴロシ

■RAZOR
M-1 存在証明
M-2 GRAVITY EMOTION
M-3 見知らぬ害虫
M-4 チェゲバラ
M-5 追憶の果てに眠れ
M-6 ブルータルモダン
M-7 千年ノ色彩

■特別セッション2
政宗(CV.峯田大夢)×RAZOR×全出演バンドボーカル
「DEVIL ASYLUM~大祝戦ver~」

<マガツノート主催LIVE『大祝戦』>アーカイブ配信概要

・販売期間 
2023年3月21日(火)18:00~2023年6月30日(金)21:00

・販売URL
ローチケ:https://l-tike.com/magatsunote/
ミクチャ:https://magatsunote.mixch.tv/

・配信詳細
配信プラットフォーム:ミクチャ
配信開始日時:2023年3月28日(火)18:00~
開演時刻:2023年3月28日(火)18:30 予定
価格:2,500円
アーカイブ視聴期間:2023年3月31日(金)18:00~2023年6月30日(金)23:59
(オンライン配信チケットの販売は6月30日(金)21:00まで)

「戦シーズン 弐nd Battle 荒魂大祭」

・放送時期
2023年4月~

・媒体
ラジオ大阪・ミクチャ・YouTube

・キャラクターバンド
【喜】化楽²
(家康、才蔵、官兵衛、利三、蘭丸)

【哀】屠所之羊
(左馬之助、直政、幸村、光秀、小十郎)

【楽】益荒鬼-MASRAO-
(政宗、秀吉、佐助、清正、忠勝)

【怒】逆鱗
(信長、メフィスト)

・コラボ楽曲
【喜・哀・楽 コラボ楽曲担当アーティスト】
甘い暴力
【怒 コラボ楽曲アーティスト】
RAZOR

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