【コラム】今こんなにもHana Hopeの歌が求められる理由

ツイート


J-WAVEの人気番組『SAISON CARD TOKIO HOT 100』(J-WAVE全番組のオンエア回数、Billboard JAPAN協力の各音楽ストリーミングサービス、ダウンロード、動画再生回数、CDセールス、Twitterのツイート回数をポイント計算)で、昨年2月にデビューした話題の新世代フィメールシンガー・Hana Hopeの新曲「We’ve Come So Far」が、3週連続2位を獲得し注目を集めている。このシングルはイギリスの⼈気エレクトロ・ポップ・デュオ、HONNEがプロデュースするシンセポップで、ラジオから流れてくる彼女のオーガニックかつ“柔らかな強さ”を持つ声は、スッと聴き手の耳に入り、心に浸透し感動を広げていく。



Hana Hopeは2月25日にシングル「Sentiment / Your Song」でデビューしたちまち注目を集める存在になったが、以前からHana名義でTOWA TEIやROTH BART BARON、am8ら、時代をリードする若手アーティストからレジェンドアーティスト達とコラボ。2021年に公開され大ヒットしたアニメーション映画『竜とそばかすの姫』(細田守監督)で“知くん”役で声優デビュー。そして主人公のすず/ベルの声優を担当した中村佳穂が、ベルとして歌った劇中歌「心のそばに」のカバーをYouTubeで公開すると、絶賛する声が多く寄せられた。彼女の声に想像力を掻き立てられた多くのアーティストやクリエイターが、その声を“欲した”。Hanaの歌声の虜になるリスナーも増え、しかしベールに包まれていた彼女が、“ついに”デビューしたのだ。



筆者が最初に彼女の歌声を聴いたのは、取材で訪れていた2019年3月14日、YMO結成40周年を記念して、YMOの音楽的遺伝子を色濃く受け継ぐミュージシャンが集結した、一夜限りのYMOトリビュートライヴ<Yellow Magic Children 〜40年後のYMOの遺伝子〜>(会場は開館40周年を迎えた新宿文化センター)だった。YMOに薫陶を受けた、YMOチルドレンのミュージシャンたちが「Yellow Magic Children Band」を結成し、高野寛(G,Vo)をバンドマスターに、高田漣(G,Vo,etc)、ゴンドウトモヒコ(Computer,etc)、沖山優司(B)、白根賢一(Dr)、網守将平(Key)という凄腕ミュージシャンが揃った。そのトップバッターとして、高野と共に登場したのが当時13歳のHanaだった。彼女は「CUE」を、瑞々しさの中にも深みを感じさせてくれる声で披露し、そこにいた誰もが、13歳とは思えない存在感を感じる歌に驚いたはずだ。筆者もこの時の彼女の全てを包み込んでくれるような歌声は、耳と心にハッキリと刻まれている。



そんな彼女がデビューしたと聞き、もちろん注目していた。デビューシングル「Sentiment / Your Song」は、国内外の数多くのプレイリストやチャートに⼊り話題になった。「Sentiment」は、millennium paradeのermhoi、蓮沼執太フィルのメンバーで、D.A.N.のサポートなどで活躍しているコンポーザーの小林うてな、ODEOのメンバーでシンガー・ソングライターのジュリア・ショートリードの3人組ユニット・Black Boboiが楽曲提供。どこか幻想的で浮遊感を感じさせてくれるトラックと、Hanaのどこか物憂げな、でもしっかりとした意思を感じさせてくれるボーカルが唯一無二の世界観を作り出している。そしてもう一曲の「Your Song」はシンガー・ソングライター麦野優衣が作詞、作曲を會田茂一、そして気鋭の宅録アーティスト浦上想起がアレンジを担当。ポップなリズムに乗るHanaの歌は新鮮だ。





このシングルに続いて発売した2ndシングル「きみはもうひとりじゃない」は作詞を加藤登紀⼦、作曲・編曲をWONKやmillennium paradeなどで活躍する江﨑文武が手がけるという、こちらもクレジットを見ただけでワクワクしてくる作品だ。温かなバラードで、シンプルな生音、強いメロディと調和するHanaの歌声は、心をまさに浄化してくれるようだ。もう一曲の「16 – sixteen」は、16歳になったHanaが作詞・作曲。プロデュース、アレンジは「けもののなまえ」はじめ数々の作品でタッグを組んできたROTH BART BARONが手がけた前向きで力強い歌。Hanaの溌剌とした歌声が印象的だ。さらに同年12⽉には3rdシングル「それでも明⽇は」(作詞:柴⽥聡⼦/作曲:UTA)を発表。この曲は2023年1⽉公開の映画『あつい胸さわぎ』の主題曲に起用されている。まるで語りかけてくるようなその歌は、息遣いも含めて彼女の歌の世界観を堪能できる一曲だ。







そんなシングルと新曲を収録した1stアルバム『HUES』が3月15日にリリースされた。色彩や色合い、雰囲気という意味を持つこのタイトル通り、様々なアーティストが参加し生まれた多様性に富んだ、まさに多彩な音像と、彼女のしなやかな歌とがブレンドされ醸成された“格別の優しさ”を、隅々にまで感じる作品だ。彼女や彼女の作品についての情報をなるべくインプットせず、まずは聴いてみて欲しい。ただただ聴いて欲しい。その救いとパワーを感じる歌声に抱きしめられ、どこかノスタルジックな肌触りを感じ、知らず知らずのうちに“支えられている”はずだ。だから今こんなにもHana Hopeの歌が求められるのかと、誰もが大きく頷くはずだ。

文:田中久勝

  ◆  ◆  ◆

アルバム『HUES』


2023年3月15日配信
発売元:U/M/A/A Inc.
配信、ダウンロード:https://lnk.to/HanaHope_HUES

収録曲
1.HARU (Lyrics, Music & Arranged by Black Boboi)
2.16 – sixteen (Lyrics & Music by Hana Hope Produced by ROTH BART BARON)
3.Weʼve Come So Far (Lyrics & Music by Andrew Clutterbuck James Hatcher Produced by HONNE)
4.Your Song (Lyrics by Yui Mugino Music by 會⽥茂⼀ Arranged by 浦上想起)
5.きみはもうひとりじゃない (Lyrics by 加藤登紀⼦ Music & Arranged by 江﨑⽂武)
6.Dawn Dancer (Lyrics & Music by 三船雅也 Produced by ROTH BART BARON)
7.CUE (Lyrics by ⾼橋幸宏 細野晴⾂ Peter Barakan Music by ⾼橋幸宏 細野晴⾂ Arranged by toshi808)
8.the ace (Lyrics by Keisei Loubté Music & Arranged by Maika Loubté)
9.SORA (Lyrics & Music by 三船雅也 Produced by ROTH BART BARON)
10.Sentiment (Lyrics, Music & Arranged by Black Boboi)
11.それでも明⽇は (Lyrics by 柴⽥聡⼦ Music by UTA Arranged by UTA for TinyVoice, Production)

この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス